地球儀のスライス A SLICE OF TERRESTRIAL GLOBE (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062733878

感想・レビュー・書評

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  • 「僕は秋子に借りがある」のみ読んだ。
    「石塔の屋根飾り」、「マン島の蒸気鉄道」は別の短編集に収録されていたのを読んだことがあると思う。

    「僕は秋子に借りがある」は、すごく映像が頭に浮かぶ作品なので(確か元は漫画で描いていたものを小説にしたんだっけ…?)、漫画か映画なんかで見ても面白いかもしれない。
    なんとなく、言葉で表現するよりもイメージや、セリフのない“間”で表現する方が面白いものが出来そうだと思った。

  • 森博嗣さんの短編集第2弾です。
    この間S&Mシリーズの10作を読み終わってちょっと寂しかったので、短編2作ですが、また犀川先生と萌絵ちゃんの話が読めてうれしかったです。
    私的には前作の『まどろみ消去』よりも良かったです。
    『まどろみ消去』は全体的に不思議で私にはよく分からない話が多いなという印象だったので。
    今作も不思議な話もあったんですが、おもしろかったです。

    私が好きなのは、『小鳥の恩返し』、『片方のピアス』、『石塔の屋根飾り』、『僕は秋子に借りがある』です。
    どれも不思議なミステリーって感じです。

    そして『気さくなお人形、19歳』はVシリーズに続くんですね。
    これからVシリーズ読んでいく予定なので楽しみです。

  • 最初の「小鳥の恩返し」が面白すぎて、そのあとも一気に読んでしまいました。
    どれもサクサク読めて、そして面白い!
    「片方のピアス」も良かったし、「僕に似た人」も。シリーズのキャラたちも出てきて、そっちの欲も満たしてくれる感じ!

    でも、ただひとつ、「有限要素魔法」だけは全く意味がわからず。
    もしかしたら一番森さんらしい感じなのかもしれないと思いつつも、さっぱりわからない。
    結局どういうことなのか、再読してもわからないままです。

  • 短編の方が普段の長編より凝縮されていて全ての話しが印象的でした。得体のしれない薄ら寒さを感じたり、犀川せんせと西之園さんに癒されたり。特に印象的なのは河童とピアス。尾を引くようなお話で引き込まれました。ちょっと河童は長野さんのような流れだったような。他の短編も読みたくなりました。

  • 「ご馳走の準備もしているんだよ」
    「何か、いるものは? 何か買っていこうか?」
    「足りないのは、貴方だけ」

    『彼女は、微笑んだ。
    人工的に、芸術的に、造形的に、微笑んだ。
    人間って卑怯だ、と思う。』

    「何でもそうですが、正解とは、真実とは、本人が最も納得できる仮説にほかならないのです。」

    「人生、常に修行なんだよ。いつ何があるかわからん ー やれるときに、最善を尽くすのみ」

    「ほらね、たった今、僕は手首を切ったんだよ。ごらん、溢れ出るこの赤いもの…、これは、何だろう? ー これは何だろう?」
    「わからない」
    「よくごらん ー これが、僕だ」

    『馬鹿馬鹿しくなって、僕は短く息を吐いた。不毛な話がしたいんなら、他に沢山相手がいるだろう。女の子と無意味な会話をするだけで一日の目的の大半が達成されたと勘違いできる、そんな特技を持った連中がいるんだ。しかも、それで人生の目的の大半を忘れられる特典付きの連中がいるはずだ。』

  • この短編集はS&Mシリーズの最後に出されたものです。一作目と違いおもしろい。

  • 僕は秋子に借りがある。が一番好き。突飛で不思議な秋子に引かれる。でも、表に出たものとその奥にあるものは違う。秋子にお礼を言いたいと思う。

  • まどろみ消去から間を開けずに読んだが、個人的にはユーモア感の強いあちらのが好み(もちろん本作も十二分に楽しめた)。本作は多くの話から詩的な印象を強く受けた。好きな話は小鳥、石塔、マン島、お人形、秋子(文字数節約の為省略、お許しを)。マン島の蒸気鉄道を読み、どことなく萌絵から犀川に対するスキンシップが増えたように感じた(そして、犀川もあまり嫌がっていない様子)。これは場所が場所だからか、それとも素直に関係が進展してると受け取っていいのか…。どちらにしろ嬉しかったことには変わりはない。諏訪野さん、良いキャラだ

  • 短編集も順番通りに読んだ方がよかったみたい。

    短編ならではの読みやすさもあるしね。

  • 4 

    劈頭を飾る、童話オマージュと見せかけておいてしっかり本格な「小鳥の恩返し」で心臓鷲掴み状態。これは面白い。続く「片方のピアス」は双子登場でサスペンスフルな展開から目が離せない。「素敵な日記」は基本的なプロットの甘さもあるがアイデアは悪くはない。もう少し明確な伏線と展開のバリエーションがあればなお良かったが。ダールを模したタイトルを冠した「僕に似た人」のもやもや感はイマジネーションを刺激して一層心に残る。硬軟織り交ぜながらも一定の水準と勢いを保ち、安心のシリーズキャラが登場する中盤の「石塔の屋根飾り」に至る前半の構成はかなりのハイレベル。「石塔〜」も提示された謎の真相だけでなく最後のいかにも短編的なオチがまた秀逸。
    ただ、同じくシリーズキャラの登場する「マン島の蒸気鉄道」はお馴染みのキャラが外国でワイワイやってる光景は微笑ましくもあるものの、メインの謎は脱力もの。方角や線路の状況などの伏線を持ち出すまでもなく、特に喜多あたりが直感的に真相に気付かない態なのは説得力がない。“涙が倍になる”などのフレーズも印象的な「有限要素魔法」も、一度結末まで読んでから再読すると味わい深いものがあるが、初読時はふわふわしていて曖昧だ。「河童」は結末がどうこうというより、お話の組み立てが上手くいっていない感じ、と後半はやや中だるみ。しかし終盤に来て、キレがありながらも若干の泣きを発散するVシリーズ先行短編「気さくなお人形、19歳」で盛り返し、若き日の後悔の念と“ビリー・ジョエルのテープ”というワードが郷愁を誘う「僕は秋子に借りがある」で締める構成は非常に良く出来ている。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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