OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734486

作品紹介・あらすじ

主婦ら四人の結束は、友情からだけではなく、負の力によるものだった。その結びつきは容易に解け、バランスを欠いていく。しかし動き出した歯車は止まることなく、ついに第二の死体解体を請け負うはめになる。彼女たちはこの現実にどう折り合いをつけるのか。大きな話題を呼んだクライム・ノベルの金字塔。'98年日本推理作家協会賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 下巻も一気読みした。
    中盤の展開は読めたがために読み進めるのが恐ろしかった。最後は、ん?と感じた事もあったが全体として得体の知れない面白さがあった。

  • 先の展開が気になるような、絶妙な終わり方をした上巻。対して、下巻では予想外な方向へと物語が進行する。

    定形通りなら、物語の主眼は「犯行がバレるのかどうか」に置かれるはず。佐竹が主婦たちを追い詰め、宮森が穴となってそこから決壊し始める…のような。

    しかし、OUTの下巻ではあっさりと秘密が漏れる。

    それどころか、雅子は新たに死体解剖の仕事を依頼される。なんという予想外の展開…。想定をぶち壊してくる型破りさは嫌いではないし、桐野夏生の描写力のおかげでスラスラとページを捲れてしまう。

    とりわけ女同士が剥き出しの言葉で精神が削り合うような様はお見事。グロテスクを再読したくなってしまった。

    けれど、いかんせん感情移入できないところまで話が飛躍してしまった印象。

    佐竹と雅子の心理は尋常ではない。これに移入できる読者は果たしてどれくらいいるのだろうか…。

    きっと名著なのだと思う。ハマる読者にはハマるだろう作品。でも、個人的には最後に突き放されて、迷子になってしまったような読後感。

    (書評ブログも宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E5%9E%8B%E7%A0%B4%E3%82%8A%E3%81%AA%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%B9_OUT%E4%B8%8B_%E6%A1%90%E9%87%8E%E5%A4%8F%E7%94%9F

  • テレビドラマを先に見た
    ほぼ同じだけど、結末が少し違うのと、刑事が男だったかな?
    家庭の問題を抱えてはいたものの、俗に言う普通の主婦が、徐々に悪に足を踏み入れていってしまう、身体の奧からゾワゾワしてくるような、怖さを感じる1冊。

    ドラマの主演は田中美佐子。
    何の楽しみもなく、淡々と深夜のお弁当工場で働く、疲れきった主婦を演じてる。
    まだ若手の哀川翔、
    このドラマがほぼデビューの伊藤英明が出演。

  • どこかのサイトで紹介していたので買った一冊。

    ラストまでは、緊迫感がありこの先どうなるか気になり読み入ってしまった。

    ラストはちょっと理解できない。

    上巻から下巻のラストに入るまではよかったが…

    この主人公の女性がこの先どうなるかも気になる。
    なぜここまで犯罪を犯してるのに捕まらないのかも気になる。

    ラストが理解できないが、なかなか読み応えのある小説でした。

  • 最後、佐竹との一騎打ちは壮絶だった。吐き気を感じるこの感覚、ストロベリーナイト(誉田哲也)以来。その一方、お互い殺すか殺されるかの紙一重の中、雅子は最後の最後で佐竹への愛を示す。この矛盾あるいはカタルシスを読者がどうとらえるのか。弁当工場の4人が家庭崩壊・経済崩壊で、生きるのに精いっぱいの中、死体解体。ただ、雅子のパーソナリティ・行動に何故だか惹かれる。ある意味男らしく、エキセントリックだからだろう。

  • 雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。彼女は、なぜパート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?
    自由への出口か、破滅への扉か? 四人の女たちが突っ走る荒涼たる魂の遍路。

  • 格差社会でいえば、下級層の女たちのリアルな日常がある時突然急展開する。
    女たちの関係性もそれがきっかけとなり変わっていく。
    そのままユーモアも交えて話が進んでいくのかと思ったら、前半に出てくる人物が絡んできて一気に狂気な展開になって、ハラハラドキドキで楽しく読めた。

  • 面白かったな〜〜
    読ませる話やねぇ〜
    でも最後ら辺はちょっと理解できなさすぎてワロタwwwwこれは感情移入できひんやろ!!!
    思わぬ方向に行ってしまったのが少し残念!!
    一度道を踏み外してしまったら、もう後戻りはできないぜっ人生\(^ω^ \Ξ/ ^ω^)/
    桐野さんは闇とか不幸を書くのが上手い作家さんだ!!

  • 脇の甘い共犯者から次第に犯行の全容が漏れ出してゆく場面の緊迫感は手に汗を握るものがありました。
    次第に主人公が追い詰められてゆく様子も緊張感があります。

    それぞれに「不遇」な環境に置かれた女性たちが、彼女たちの「日ごろの行い」に応じた結末を迎えるあたりに、「どれだけ(自分に)誠実に生きるか」ということの価値を考えさせる要素があるようにも感じました。

    物語の結末が、ちょっと納得しづらい展開であるようにも感じましたが、ほかの終わり方があるのかと考えると、これが最適解なのかもしれません。

    著者の代表作として、ミステリ小説が好きな方にはお勧めできる一冊です。

  • 面白かった〜!!上巻下巻と、ノンストップで転げ落ちる登場人物達。弁当の生産ラインも一度動きだしたら止まらないもんなぁ。失敗しても流れていくんだよね。軌道修正出来ないんだよね。でもじゃあ最初から彼女たちにとっての『成功』って何?って感じなんだけど。
    登場人物それぞれが抱える闇や鬱憤の描かれ方も丁寧で共感できるし、解体シーンはしっかりグロくて面白い。
    工場で働く『仲良し』4人。その実情もなんかね、いいよね。罪を犯した4人がどういう結末を迎えるのかとハラハラしていたけど、それぞれがそれぞれ、納得出来る終わり方で良かったな。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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