ペルシャ猫の謎 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734509

作品紹介・あらすじ

「買いなさい。損はさせないから」話題騒然の表題作「ペルシャ猫の謎」。血塗られた舞台に愛と憎しみが交錯する「切り裂きジャックを待ちながら」、名バイプレーヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する「赤い帽子」など、粒よりの傑作集。「国名シリーズ」第五弾、火村・有栖川の名コンビはパワー全開。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。
    ちょっと風変わりな話もあったり、火村先生やアリスの登場しない話があったりと飽きない。

    『赤い帽子』では、主役が森下刑事で面白かった。
    今までにもちょくちょく登場していた刑事らしくない刑事。
    今回どうしてブランド物のスーツを着ているのかとかが知れてよかった。

    最後の小話では、火村先生の猫好きが描かれててほんわか和んだ。

  • '22年6月26日、Amazon audibleで聞き終えました。

    有栖川さんの「国名シリーズ」は、全て所持していて、最低一度は読んでいるので…本作も、あえてaudibleで経験、ということでトライしました。

    シリーズ中、僕には少し異色に感じられたのを、懐かしく思い出しました。でも、味わい深い…そこは、聴く読書においても、同じでした。表題作の結末なんか、思わず笑ってしまった╮(^▽^)╭

    こういう有栖川さんの作品に、どこか「優しさ」のようなものを感じて…僕にはそこも有栖川さんの大きな魅力です!

  • これまでの火村&アリスシリーズとは違う描かれ方。好き嫌いは別として、斬新!
    そして、猫好きさんにお薦めしたい。

    〝切り裂きジャックを待ちながら〟〝猫と雨と助教授と〟が好み。〝赤い帽子〟も良かった。

  • 国名シリーズ5作目。
    7編からなる短編集。
    今作はいつもと違う感じ。
    ミステリっぽさがあまりない作品も多かった。
    お気に入りは赤い帽子。

  • 火村英生と有栖川有栖の国名シリーズ、第5弾だそう。
    このコンビのシリーズ、小劇団がよく出てくるような気がします。
    それから、この本には7つの短編が収録されているのだけれど、「親から相続した一軒家に住む30代くらいの独身男性」が3人も登場する。
    それぞれ違う作品に。
    何か思うところがあっての事でしょうか。

    『切り裂きジャックを待ちながら』
    小劇団の女優が行方不明になり、劇団に脅迫ビデオが届く。
    クライマックスの、火村と犯人のやりとりが演劇を見るよう

    『わらう月』
    幼い頃の祖母の一言から、月の呪縛に自ら捕らえられるようになった若い女性。
    火村はちゃんと見抜く

    『暗号を撒く男』
    先輩小説家・朝井小夜子と居酒屋で飲みながら、意味を知らない人から見たら、世の中のありとあらゆることが暗号になる、という話に。
    この人は、どうしてこんな事をしたのでしょうか・・・
    ちょっとユーモラス

    『赤い帽子』
    火村とアリスは登場せず、若手刑事の森下恵一の捜査と推理が描かれる。

    『悲劇的』
    たしかにたしかに・・・世の中にはあってはならない死があふれている。
    この世に神も仏もいないのか!?と天を仰いで叫びたくもなる。
    でも、その中の多くは、人間自身で解決しなくてはならない問題なのだな。
    とはいえ、傷ついている今の彼に、それはアカンよ、火村センセ。

    『ペルシャ猫の謎』
    死ななくて良かった。
    ペルちゃんはラッキーキャットですね。

    『猫と雨と助教授と』
    火村の下宿に桃ちゃんが来た日

  • 国名シリーズ第五弾だそうだ。もはや私にはなん弾であろうと意味はなさない。
    短編7作品が読める。

    切り裂きジャックを待ちながら→舞台で使われるクリスマスツリーに劇団の看板女優が自体で吊るされる。相当大きなツリーだ。演目が切り裂きジャックの舞台、本作で娼婦を切り裂き内臓を取り出すのか?

    笑う月→月がカギとなる。私はこの作品の主観の女性と同じく、なぜか月には魅力を感じる。アリバイの攻防が面白い作品。

    暗号を撒く男→普通の会社員が自宅で刺殺される。その自宅の不自然な置物が複数あり謎が深まる。犯人探しよりなぜこんなところにこれが置いてあるのかが興味を駆り立てられた。確かに世の中は暗号に満ちている。

    赤い帽子→森下刑事が主人公だ。赤い帽子の男が川で溺死、ビオラがカギになる。構成も王道で好感が持てた。

    悲劇的→短編というよりショートショート。課題図書のレポートから、ちょっとした展開がある。

    ペルシャ猫の謎→強盗に入られ頭を殴られ、薄ぼんやりと肩にペルシャ猫を乗せた双子の弟が見える。だが、猫のペルにも弟にも完璧なアリバイがある。結末が意外すぎるが、嫌いではない。

    猫と雨と助教授と→・・・

  • 国名シリーズ第五弾は猫ちゃんの表紙が目印!殴打され、充満するガスの中で見た双子の弟は自分の飼い猫を抱いていた。しかし、弟にも猫にもアリバイが!という謎を探る表題作など七作の短編を収録。『悲劇的』が断トツで好き!

    『切り裂きジャックを待ちながら』(☆3.5)
    劇団<屋根裏の散歩舎>に届けられたビデオテープ。そこには看板女優・鴻野摩利が拘束され、身代金を要求するメッセージを読み上げさせられる姿が映っていた。しかし、座長の鳴海邦彦はクリスマス公演を優先させるの一点張り。劇団員の谷邑は顔見知りだった有栖川に意見を求める。

    誘拐ミステリかと思いきや、思わぬところで幕が上がった殺人劇!身代金を要求しているのに、期限前にクリスマスツリーへ死体を吊るした意味。矛盾だらけの犯罪は、まさに人間という矛盾だらけの存在へと還元されていく。火村の論理的な推理と、劇に込められた真意を推察していく鮮やかさ。そこから犯人の心を火あぶりにする展開は、思わず息をのんで見入ってしまった。

    『わらう月』(☆3)
    希美が海辺で交際相手・京児と撮影した写真。それは貿易商がシドニーで殺された事件で京児のアリバイを証明する写真だった。写真に浮かぶ月。希美には月に対してある呪いがあった──。

    「──まただ。人に言えないようなことばかり、あいつは見ている。」
    希美と祖母とのエピソードがもはやホラー。親たちのことを無条件に信用してしまう子どもの頃だからこそ、批判的な言葉は迷信ではなく確信となって心に消えない傷を残す。それが夜を照らすはずの月を依り代にして、希美の心へ影を落とす呪いとなったのが恐ろしい。そこからの倒錯した感情へと転がっていく心理描写もぞわぞわする。

    『暗号を撒く男』(☆3)
    推理作家の朝井小夜子との飲み会にて、火村たちが遭遇した奇妙な殺人事件の話に。被害者・待田暁規は喉を鋏で突き殺されていた。現場のテーブルの上には凶器とまったく同じ鋏がもう一本手つかずで置いてあり、それ以外でも場違いな物が家中に置かれていて──。

    「姐ちゃんら、どんな関係の仕事をしてんねや?」
    「人殺し関係です」
    飲み屋で話しかけた相手に真顔でこう返されたら帰るなあ(笑) 殺人事件はプロローグでしかなく、家の中に置かれた不可解な物の正体を推理するのが本題。本人には自明であっても、他人から見たら不可解なんてものはザラにある。世界は暗号に満ちているのだから。

    『赤い帽子』(☆3.5)
    森下刑事が主役の短編。川で発見された男の溺死体。その素性を探っていくと、赤い帽子を被った男に辿り着いた。彼は別の男と一緒にスナックで話していて「ビオラはまだやっているのか?」と問いかけていた──。森下の捜査と推理が味わえる一作。

    「この雨だけが見ていたのだ。冷たくなってコンクリートの上に身を横たえている男がどこからやってきたのか、誰と一緒にいたのか、そして何があって川に投じられたのか。」
    この表現が好き。雨だけが知り、洗い流していった事件。推理をぶつけても事件は終わらない。証拠から事実を導き出し、組織として捜査していくのが刑事なのだ。洗い流された事件を洗い直す実直さを感じる話だった。

    『悲劇的』(☆4)
    担当編集者・片桐光雄とバーで飲んでいた有栖川。話の中で火村が書いたとも言える小説の話になる。ある学生のレポートに十八文字を加えたことで完成した小説とは?

    わずか14ページの作品でこの切れ味よ!世の中を悲劇ばかりだと嘆き、神へとその理由を問うた学生のレポート。その最後に添えた一文に痺れる。
    「神がいると信じることで救われる人間もいれば、神がいると思うことで絶望を感じる人間もいる。」
    『わらう月』と同様に、物事の両面性、解釈によってその意味が変わることを物語というレンズを通して教えてくれる。

    『ペルシャ猫の謎』(☆3)
    有栖川の作品のファンだという男・喜多嶋一充が殴打された事件。元栓から充満するガスの中で、彼は双子の弟・一孝が自分の飼い猫であるペルシャ猫を抱いている姿を目撃する。弟が犯人だと言い張る一充だが、弟にも猫にもアリバイがあって──。

    「買いなさい。損はさせないから。」の圧がすごい(笑) 被害者が愛読者だと知って嬉しがるも、男と知ってガッカリしたり、有栖川を頼ろうとする一充を「ちょっとうるさい」と内心で一蹴する有栖川の人間臭さが面白い。ペルシャ猫のペルをめぐる元恋人との人間模様や、愛着を抱いていく姿が哀愁を誘う。

    『猫と雨と助教授と』(☆3)
    火村と飼い猫のいい話!なんかあの火村の姿を想像するだけでにやけてしまう。

  • 久しぶりに火村アリスコンビを。安定した二人と、短編の内容。コンビが登場しない森下刑事の推理「赤い帽子」も森下刑事の事を知ってるだけに、面白かった。コンビに頼らず解決してる事件もあるんだなと。
    長編もまた早く出て欲しいなぁ

  • 赤い帽子が一番面白かった。
    まさかの主人公でいつもと違って読めて良かった。

    ただ他はあまり印象に残らなかった。
    読んだのに内容思い出せなかったり…

    猫が好きだからちょっとほっこりする小説でした。

  • 色々あって、やっと本を読む気持ちになりまして読みました。
    このコンビ、癒されます。
    猫はいいですね。猫は。
    切り裂きジャックが1番好きだったです。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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