- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062734585
感想・レビュー・書評
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素晴らしきプロットの美しさ。
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現実と虚構が混じり合うメタ小説と聞いていましたが、意外にもとても読みやすかったです。
ただ、殺害シーンが必要以上にグロテスクで、そこに至る犯人の心情などが描かれていないので、余計におぞましく感じました。
ミステリですし、上巻ですし、何をどう書いたらいいのかわからなくて困ります。
雑誌連載という態で章立てされています。
犯人の手記、作者の日常、そして本来の小説部分(芸者の話)。
犯人は、隣家に客が来た時、夜遅くまで大騒ぎをしているのが気に入らず、嫌がらせに盗聴器を仕掛けたところ、隣家に住んでいるのは作家・竹本健治ということがわかります。
竹本家では、最近埼玉県で起きている連続殺人の話で盛り上がるので、作品の中では実話としてつながっているのかな?と思わせておいて、竹本家は両隣に不審人物が住んでいないことが明かされます。
ということは手記または日常がウソ?
"すべての自然定数がピッタリとうまい数値に揃ってこそ、素粒子によって原子が構成され、炭素原子によって高分子が構成され、高分子によって生物が構成されるようなシステムが成り立つんです。”
生命の発生に必要なのは、炭素系有機物(4パターン)かケイ素系有機物(2パターン)しかないと聞いたことがあります。
有機的岩石ということで、『11人いる!』の石頭を思い浮かべたことがあるので、炭素だけに絞った記載はちょっと哀しい。
”だいたい彼はどんなミステリを読んでも、途中で事件の真相を当てたためしがないらしい。というよりも、提出された謎を解いてやろうとか、作者の謀(たくら)みを暴いてやろうという気が全く起こらないらしいのだ。”
大抵の人は真相を当てたことがないと思っていた私は大甘ですか?
ミステリを読む人には2種類いて、一人はストーリーに沿って読むタイプ。
このタイプは事件の真相を当てることよりも、気持ちよくだまされたいタイプなのではないでしょうか。←それは私
もうひとつとしては、プロットから作者の思考を辿りつつ、動かせない情報から真相を読み解くタイプ。
これは実作者視線で読んで考えるということで、ミステリファンはこのタイプが多いってこと?
難しいなあ。
最終的には小説部分も現実部分に侵食してきます。
まさしくウロボロス構造?
*ウロボロスとは己の尾を噛んで環となったヘビもしくは竜を図案化したもののこと
???となりながら、下巻に続く。 -
世評の高い?竹本健治の怪書。ミステリ作者が書く小説と同じ事件が実際に起こり、それが交互に綴られるうちに何が虚構で何が現実か境目がわからなくなる。メタミステリというかこういうレトリックを用いたミステリはいろいろ書かれているので、発表当時はともかく、今読むと驚きはない。作者本人はもちろん、綾辻行人や島田荘司など実在のミステリ作家や評論家などが実名で登場してやりとりするのはリアルでおもしろいが、肝心のメインストーリーは今一つ。こういうのは納得のいく結末をつけるのが難しいというか不可能なのはわかるけれど、全員集めての最後の種明かしはどんなもんかなあと思ってしまう。あと、個人的には本線に関係のないプロレス関連の話題が随所に出てきて、興味のないぼくは辟易させられた。
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レビュー・感想は「下巻」に記載します。
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話しとして面白いかどうかはともかく、小説の世界と現実の世界が入り乱れると言うのは、本当に些細なことでも恐ろしいよなぁ、と思ったり。しかし、現実の世界でこうも殺人事件が起きても皆それほど動揺しないものなのか。
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活字世界。
初心者には理解不能。 -
「ウロボロスの偽書(上・下)」竹本健治
擬似推理小説。特になし。
奇妙な小説でありました。
作者自身を模した実名小説の部。殺人犯の手記の部。「トリック芸者シリーズ」の部。それぞれの物語が次第に奇妙に交錯し、「ミステリ的カタストロフ」を与えられないまま物語は収束(発散?)していく。
作品の内容に触れるとどこをとってもネタバレしそうな気がするんですが、
とりあえずもう途中からどうでもよくなってきますね(笑)
この作品をつかってやってること、言わんとするところは複雑難解ですが、
とりあえずはミステリーという体裁をとっているから、読み易いことは読み易い。
竹本健治って作家さんは初読だったんですが、経歴をみると哲学科の出身だそうで。。。道理で、と言いたくなるような作品でした。作品構造が。
文章自体はとても読みやすいので、メタフィクション好きな方にはおすすめ。(4) -
面白いです。何処で誰が何処と誰とつながっているのか、つながるのか。何が事実で何が虚構なのか。何重かに重なった物語はどう展開していくか;。殺人の描写も淡々と、しかしえげつない;下巻が楽しみです!
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