宙返り (上) (講談社文庫)

  • 講談社 (2002年6月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (536ページ) / ISBN・EAN: 9784062734653

みんなの感想まとめ

個性豊かなキャラクターたちが織りなすストーリーは、20世紀末の不安をリアルに描き出しており、読者に深い考察を促します。特に、教祖と通訳の独特な組み合わせが物語の魅力を引き立て、緊迫感を生んでいます。オ...

感想・レビュー・書評

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  • 個性を持ったキャラクターがしっかりと配置されていて、ストーリーも飽きさせない。20世紀末の漠然とした不安を顕在化させてやる!と思った人がいてもおかしくないのではないか、と訴えるよう。
    おそらくオウム真理教を下敷きに、いやきっかけにこのような集団は本当にいたんではないかと思わされる。それぞれのキャラクターとそれにまつわるストーリーがどのように統合されるか、下巻に期待。

  • 教祖と通訳の組み合わせという構造からしてすごい。
    興奮した。

  • 登場人物
    師匠 パトロン 案内人 ガイド
    踊り子 ダンサー
    犬のような顔に美しい眼をした少年
    画家木津 同性愛者
    育雄

    ストーリー
    案内人が脳に動脈瘤を破裂させ、意識不明となる。

    木津が、育雄をモデルとして、絵を描く。
    かつての少年の育雄と少女だったダンサーと木津が、フランス料理店で会食して、出会う。

    評論
    かつての大江と文体が、異なる。
    物語から醸し出す雰囲気も。

  • 大江健三郎を語りたくって読んでみた。初期からはじまり晩年へとつづく大江作品は多数出版されていて、過去に短編集を読んだ程度だったので、今回は晩年作品の長編『宙返り』に挑戦してみた。レビューは下巻で

  • "上下巻合わせての感想です。

    ある少年(育男)と少女(踊り子(ダンサー))が、奇妙で劇的な出会いをする場面から始まる。その場に居合わせた国際的に活動する画家木津と、少年と少女の3人が15年後に再会し、踊り子(ダンサー)がある教団の指導者(師匠(パトロン)と案内人(ガイド))の住み込みの秘書をしていたことから、木津と育男はその教団に関わることになる。その教団は、十年前、急進派による無差別テロ計画の実行を阻止するために、師匠(パトロン)がテレビで「すべては冗談でした」と棄教を宣言し、活動を停止していた。案内人(ガイド)が元急進派に殺されたことから、物語は教団の活動再開へと急展開する。。。

    旧約聖書のヨナ書が大きなモチーフとなっている。ヨナ書では、結局神は異教徒の都市ニネベを滅ぼさず、ヨナもそれに納得するように書かれているが、「宙返り」の育男はそれに疑問を感じている。ヨナ書には続きがあるのではないか?神に納得しなかったヨナの行動を考えたい。。。

    主要な登場人物の木津が画家であり、ヨナの絵の描写など、芸術的、特に絵画的な感じがする。最初の出会い、ニューヨークの雪の場面、新幹線の車窓、最後の桜など、印象に残る絵画的、映像的なシーンは多い。

    木津、師匠(パトロン)、案内人(ガイド)、踊り子(ダンサー)、育男、荻青年(普通の青年の役割?)を中心として、他にも、心に傷を負い、様々な個性を持った人物が登場し、主に信仰について語りあう。それぞれがとても饒舌。

    師匠(パトロン)と案内人(ガイド)、木津と育男2組の相棒関係(この表現は妥当でないかもしれないが)もインパクトがある。

    私はこの本を読んでいくうち、特に木津と師匠(パトロン)とたくさん話したような感覚で、結末がとても悲しかった。

    この本は、1999年に刊行された。さすがは大江さん、「1Q84」よりも「教団X」よりも誰よりも早くあの教団をモチーフにした小説を書きあげたのです。

  • 長かった。長い道のりだった。しかし、大江健三郎はこのくらいの、ある程度の長さがなければ醸し出されないものがある気がする。だから、この長さは半ば必然的な長さだったのだと思う。途中、面白くて面白くて、一回休憩入れないと駄目だ、勿体無いわ、と思って、休憩入れてまた読んで、というのを繰り返しながら。大江作品には本質的に悲嘆に暮れている人間がいないように感じる。みんな、どこかしら明るい。リジョイス!と叫びたくなる、そういう明るさがある。これでレイトワークは読みきったので、ここからはもうちょっと自由に年代を考えないで読んでいこうか、それとも順番にできるだけ沿って、次は「燃えあがる緑の木」三部作に手を付けるべきか、ちょっと悩む。しかし、一方ではいったん大江を休憩して、他のものをがっつり読みたいっていう欲求もまたある。(10/7/5)

  • ヨナ記(旧約聖書)ご一緒に

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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