黒猫の三角 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 4587
レビュー : 456
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734806

作品紹介・あらすじ

一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、六月六日、四十四歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第一作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • これまでいわゆる「S&Mシリーズ」、つまり森氏のいわば代表作しか読んだことがなかったが、このたび、かなり久々に、しかもS&Mシリーズではない作品を読んだ。まるで「めぞん一刻」を想起させるような、古そうなアパートとその大家でもある豪邸に住む人たちの間に起きる事件についての物語である。
    S&Mシリーズの主人公たちは「品行方正な変人」だったが、こちら(Vシリーズというらしい)の主人公は、直截な胡散臭さを備えている。
    紹介文に「一年に一度決まったルールの元で起こる殺人」とあるが、そこには森氏らしい数字遊びが盛り込まれている。といっても、難しい数理や公式などが出てくるわけではないので、(私のような)文系人間でも抵抗なく読むことができる。むしろそうした数字遊び的な要素は、事件の本質を撹乱する要素でもあるかもしれない。
    S&Mシリーズとの対比ということになるが、本シリーズはより登場人物が(主人公のみならず)個性的で、繰り広げられる会話も軽妙洒脱である。このシリーズの一作目ゆえ、おそらく、今後このシリーズにレギュラーメンバーとして登場するであろう人物の紹介も書かれている。ともあれ、軽妙でテンポよく進む物語の中に、巧みにプロットを忍ばせる森氏のテクニックにはまたも舌を巻いた。
    凝ったトリックを好む向きには、敬遠される要素もあるかもしれない。幸い、私はミステリー小説を読むときも、血眼になって犯人探しや動機解明をしたりしないタイプである。何気なく読み進め、漠然とした憶測は持つけれど、それが裏切られることに心地よさを覚える。本作はそうしたタイプの読者には、抵抗感はないだろう。
    胡散臭い個性あふれる登場人物たちを忘れないうちに、次作も読んでみようと思う。

  • Vシリーズ第1弾。個性的な名前を持つ個性的な登場人物たち。数年前から続く連続殺人の謎。猫が突然飛び出してくるように魅力的な謎、伏線、会話が現れる。事件そのものよりも人物たちのひとつひとつの行動、会話が面白い。S&Mシリーズのような楽しい作品が続いてくれそうな予感がする第1弾。

  • vシリーズ1作目。慣れていないこともあるけど、名前が読みにくい。そして、相変わらず密室に拘りがあり、動機に関してはあまり拘りがないように見受けられます。でも、連続殺人鬼の動機なんてそんなものかもって気もします。これを読む前に、このシリーズの短編を読んでいたこともあって、犯人には騙されてしまいました。この作品は登場人物の紹介的な感じで次以降からが本格的な始動になるのかな。

  • レビューというより個人的な感想に過ぎないのですが、

    天才が天才にしか理解できない言葉で語った本は苦手です。

  • またまた会社の方に貨していただいた。

    犀川先生のシリーズに大嵌りした私だが、こちらのシリーズはどうだろう?
    期待度が高すぎて★★★評価にさせてもらったが、十分楽しめる。

    個性豊かな登場人物で、物語は実に軽快。

    この物語のテーマの1つに殺人の動機があるのだと思うが、先日この本を貸してくれた会社の女性が、森先生は京極夏彦先生と交友があるということを教えてくれた。

    そういえば、京極先生も殺人の動機について「魍魎の匣」で綴られていたことがあったように記憶している。

    お二人で、そんな話をすることもあるのかな?何となく興味深く読み進められた。今は借りている本が山ほどあるが、一段落したら、また京極堂シリーズも再読したい。

  •  この物語に織り込まれた私たちの常識を覆す概念は、スパイシーというか、激辛で、普通の人には受け入れられないかもしれない。

     2016年4月23日から読み始めた通称Vシリーズの第一巻『黒猫の三角』を一週間かけてようやく読み終えた。正直S&Mシリーズに比べたら退屈な物語に感じられたが、それは皇 名月さんが解説に書かれているように、私が「わかりやすい部分だけを目にして『すべてを理解した』と思った人」の一人だからだろう。だからと言って今すぐ441頁を再読し、登場人物が吐いているという嘘を探す気力は残っていないので、この物語は主役のデビューを華々しく飾るための序章と割り切り、宝を取り損なったRPGプレイヤーのように、さっさと私の英雄を『人形式モナリザ』へ侵攻させたい。

     『黒猫の三角』では、もちろん一つの事件が完結しているのだけれども、一方でVシリーズという新たなサーガの序章に過ぎないのかもしれない。そしてそのVシリーズも一つの太陽系として、更に大きな銀河系の一部に過ぎないのだと思われる。森ワールドでの旅は、第二幕に入ったばかりなのだ(^^;

  • エンターテイメントとしてはおもしろいが、密室のトリックはやっぱりイマイチ……。幽霊のくだりも、ちょっとこじつけ感が否めない。しかし、キャラクターはいずれも個性的で文章を読んでいるだけでおもしろいし、キャラクターの関係性を利用したミスリーディングを狙うという手法は好き。動機云々のところがちょっとくどい気がするけど。

  • 約10年前に読んで以来の再読。

    Vシリーズ1作目。
    個性豊かな主要な登場人物。
    SMシリーズを好きな人にとっては、
    すんなり入れる内容と世界観だと思う。
    森博嗣作品として初めて読む人にとっては、
    うーん。どうなんだろう。わからない。

    林さんの名前が変わってるというあたり、
    シリーズ物を意識した表現だなぁと感じた。

    タイトルがまたステキ。
    と、読んだ後にわかるのがスバラシイ。

  • 森博嗣さんの本は学生の時、s&mシリーズを読んだきりでした。今回、初めてvシリーズを読みましたが、s&m同様、登場人物のかけ合いが面白く、楽しんで読めました。そして、相変わらず自分の予想をはるかに超えるトリックや仕掛けの数々に驚愕させられました。

  • べたではあるが心地よい裏切られ感をあじわえた

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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