黒猫の三角 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.53
  • (281)
  • (538)
  • (1012)
  • (66)
  • (12)
本棚登録 : 4584
レビュー : 456
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734806

作品紹介・あらすじ

一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、六月六日、四十四歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第一作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • これまでいわゆる「S&Mシリーズ」、つまり森氏のいわば代表作しか読んだことがなかったが、このたび、かなり久々に、しかもS&Mシリーズではない作品を読んだ。まるで「めぞん一刻」を想起させるような、古そうなアパートとその大家でもある豪邸に住む人たちの間に起きる事件についての物語である。
    S&Mシリーズの主人公たちは「品行方正な変人」だったが、こちら(Vシリーズというらしい)の主人公は、直截な胡散臭さを備えている。
    紹介文に「一年に一度決まったルールの元で起こる殺人」とあるが、そこには森氏らしい数字遊びが盛り込まれている。といっても、難しい数理や公式などが出てくるわけではないので、(私のような)文系人間でも抵抗なく読むことができる。むしろそうした数字遊び的な要素は、事件の本質を撹乱する要素でもあるかもしれない。
    S&Mシリーズとの対比ということになるが、本シリーズはより登場人物が(主人公のみならず)個性的で、繰り広げられる会話も軽妙洒脱である。このシリーズの一作目ゆえ、おそらく、今後このシリーズにレギュラーメンバーとして登場するであろう人物の紹介も書かれている。ともあれ、軽妙でテンポよく進む物語の中に、巧みにプロットを忍ばせる森氏のテクニックにはまたも舌を巻いた。
    凝ったトリックを好む向きには、敬遠される要素もあるかもしれない。幸い、私はミステリー小説を読むときも、血眼になって犯人探しや動機解明をしたりしないタイプである。何気なく読み進め、漠然とした憶測は持つけれど、それが裏切られることに心地よさを覚える。本作はそうしたタイプの読者には、抵抗感はないだろう。
    胡散臭い個性あふれる登場人物たちを忘れないうちに、次作も読んでみようと思う。

  • Vシリーズ第1弾。個性的な名前を持つ個性的な登場人物たち。数年前から続く連続殺人の謎。猫が突然飛び出してくるように魅力的な謎、伏線、会話が現れる。事件そのものよりも人物たちのひとつひとつの行動、会話が面白い。S&Mシリーズのような楽しい作品が続いてくれそうな予感がする第1弾。

  • vシリーズ1作目。慣れていないこともあるけど、名前が読みにくい。そして、相変わらず密室に拘りがあり、動機に関してはあまり拘りがないように見受けられます。でも、連続殺人鬼の動機なんてそんなものかもって気もします。これを読む前に、このシリーズの短編を読んでいたこともあって、犯人には騙されてしまいました。この作品は登場人物の紹介的な感じで次以降からが本格的な始動になるのかな。

  • レビューというより個人的な感想に過ぎないのですが、

    天才が天才にしか理解できない言葉で語った本は苦手です。

  • またまた会社の方に貨していただいた。

    犀川先生のシリーズに大嵌りした私だが、こちらのシリーズはどうだろう?
    期待度が高すぎて★★★評価にさせてもらったが、十分楽しめる。

    個性豊かな登場人物で、物語は実に軽快。

    この物語のテーマの1つに殺人の動機があるのだと思うが、先日この本を貸してくれた会社の女性が、森先生は京極夏彦先生と交友があるということを教えてくれた。

    そういえば、京極先生も殺人の動機について「魍魎の匣」で綴られていたことがあったように記憶している。

    お二人で、そんな話をすることもあるのかな?何となく興味深く読み進められた。今は借りている本が山ほどあるが、一段落したら、また京極堂シリーズも再読したい。

  •  この物語に織り込まれた私たちの常識を覆す概念は、スパイシーというか、激辛で、普通の人には受け入れられないかもしれない。

     2016年4月23日から読み始めた通称Vシリーズの第一巻『黒猫の三角』を一週間かけてようやく読み終えた。正直S&Mシリーズに比べたら退屈な物語に感じられたが、それは皇 名月さんが解説に書かれているように、私が「わかりやすい部分だけを目にして『すべてを理解した』と思った人」の一人だからだろう。だからと言って今すぐ441頁を再読し、登場人物が吐いているという嘘を探す気力は残っていないので、この物語は主役のデビューを華々しく飾るための序章と割り切り、宝を取り損なったRPGプレイヤーのように、さっさと私の英雄を『人形式モナリザ』へ侵攻させたい。

     『黒猫の三角』では、もちろん一つの事件が完結しているのだけれども、一方でVシリーズという新たなサーガの序章に過ぎないのかもしれない。そしてそのVシリーズも一つの太陽系として、更に大きな銀河系の一部に過ぎないのだと思われる。森ワールドでの旅は、第二幕に入ったばかりなのだ(^^;

  • エンターテイメントとしてはおもしろいが、密室のトリックはやっぱりイマイチ……。幽霊のくだりも、ちょっとこじつけ感が否めない。しかし、キャラクターはいずれも個性的で文章を読んでいるだけでおもしろいし、キャラクターの関係性を利用したミスリーディングを狙うという手法は好き。動機云々のところがちょっとくどい気がするけど。

  • 約10年前に読んで以来の再読。

    Vシリーズ1作目。
    個性豊かな主要な登場人物。
    SMシリーズを好きな人にとっては、
    すんなり入れる内容と世界観だと思う。
    森博嗣作品として初めて読む人にとっては、
    うーん。どうなんだろう。わからない。

    林さんの名前が変わってるというあたり、
    シリーズ物を意識した表現だなぁと感じた。

    タイトルがまたステキ。
    と、読んだ後にわかるのがスバラシイ。

  • 森博嗣さんの本は学生の時、s&mシリーズを読んだきりでした。今回、初めてvシリーズを読みましたが、s&m同様、登場人物のかけ合いが面白く、楽しんで読めました。そして、相変わらず自分の予想をはるかに超えるトリックや仕掛けの数々に驚愕させられました。

  • べたではあるが心地よい裏切られ感をあじわえた

  • ドラマなんてやってたんだ。私の中ではいつまでも皇さん作画版。あの漫画は本当によいものです、あれがあったから原作もちゃんと読もうと思ったものな

  • Vシリーズを読み返そう祭り。
    いつの間にか紅子さんの年齢追い越してた。がーん。

    先日この作品をシリーズ初映像化ということで、檀れい主演の特別ドラマをやっていたけど、なかなかよかった♪

  • Vシリーズ第1弾。三度目の再読。
    一度目の時はすんなり騙されてしまった程。やられました。
    シリーズ10冊読了後にも、必ず再読したくなる。
    森先生、伏線を張るのが異常ですよ。

  • デルタと云うネーミングセンスの素敵な猫。
    無意味な動機とゾロ目の法則という、反比例な人間性が気持ち悪くて良い。

  • そこそこ面白かった。

    謎解きよりも、真犯人と対峙して初めて見せた瀬在丸紅子の真の人格が。

    S&Mシリーズとは異なる魅力、S&Mシリーズの底流にあるものと同じ冷静な哲学が、ここにもある。

    これもまた、森博嗣。やめらんないな。

  • 登場人物の会話がおもしろい。森博嗣の本に登場する人は皆、自分自身で考える。だからおもしろい。それぞれが考えた上で、どこまで思考を凝らせるかでもあるし、そこまで考えた上であえてそうやる。というのもおもしろい。とにかく、登場人物一人一人に独自の哲学があり、そこから生まれる会話の面白さが際立った小説だった。紅子さんがすごく良い。

  • 「すべてがFになる」はM&Sシリーズ、そしてこの作品はVシリーズになります。実は舞台は同じ、時間系列が違うだけのようです。


    VシリーズとM&Sシリーズの大きな違いは語り手がいる、と言う点だと思います。そしてその語り手も物語の中では大きな役割を担っていて……。

    M&Sシリーズよりもテンポよく、キャラクターも多く、そしてキャラクターの性格が基本的に明るいので、ミステリー独特の暗さなどをあまり感じずに読めた印象があります。

  • 既読

  • 個人的理由で読むのに時間かかりました!以前ドラマを見ていつか読んでみたいと思ってました。真ん中あたりでダレたけど最後は、えー⁈でした。ドラマの最後を全然覚えてなかったf^_^;続編も読んでみようかな。

  • 難しい話はわからないけど、なんとか読めました。最後に題名の猫と事件の関わりというか、ああ、難しくてわからないけど、そういう事ね。と、なりました。

  • 没落貴族の令嬢、瀬在丸紅子を主人公としたVシリーズの一作。謎、もといトリックはやや反則めいているように感じるが、記述そのものはフェアである。あくまで前提条件の食い違いというのが肝ではあるが、初読の衝撃を過ぎ去ってしまえばどうしても地味に写ってしまう。動機そのものは面白く、キャラクタも魅力的なため、それでやや底上げされている感じがした。キャラの魅力に関して謂うならば、やはり探偵役である瀬在丸紅子であろう。特定の人格に縛られず、その局面に応じて無邪気な少女だったり、妖艶な貴婦人であったりとくるくる入れ替わる様は本当に素晴らしく、また魅力的であった。天才的なキャラクタというのは数多いが、やはり「底が知れない」という断固とした評価基準があるので、その点で言えば瀬在丸紅子は合格である。加えて「現代社会に対して決して馴染めない」という条件も満たしてはいるのだが、そこに対する葛藤や屈託が一切なく、天衣無縫のままに没落貴族を楽しんでいるというのが非常に良かった。シングルマザーを描くとどうしても重くなったり、それを嫌うあまり不自然なまでに明るくなるものだが、瀬在丸紅子にはそのどちらも感じなかったのが新しいといえば新しく、それが「囚われなさ」を示しているのでいいとは思う。結論として、謎やトリックはいまいちではあったものの、瀬在丸紅子というキャラクタをもう少し長く見たいと思わせただけでかなりの良作であるとは思う。

  • 過去の既読本

  • ミステリの謎解きよりも登場人物たちのやりとりに惹きつけられた気がする。

  • 終盤の疾走感に一気にドキドキしました。読み終わって混乱します。そう言われれば確かにちらほらヒントはあったなーと思いつつ、でもそれってどういうこと?!ってまだ納得がいかない部分もあり。
    きっと作者が随所に仕込んだトリックの半分以上も気づけてないんだろうなあ、気になるなあ。
    S&Mシリーズと比べて、キャラクター性が強い印象。登場人物達の会話のやりとりはS&Mシリーズのほうが好きかも。でも、林選弱桑と黒猫のデルタのくだりは洒落ていて好き。

  • 新しいシリーズ。なんの前情報もなく読み始めたので、誰がレギュラーメンバーなのかも、誰が探偵役なのかも知らない新鮮な読書だった。彼らの関係性が今後どう変化していくのか楽しみ。

  • Vシリーズに手を出してみる。

    S&Mシリーズの犀川、萌絵に比べると、登場人物にまだ愛着がわかない。
    というより、被ってしまう。

    ゾロ目という共通性の殺人、黒猫の三角、宇宙人のなぞなぞなど、興味深い要素が多いのだが、その決着は少々物足りない。

    ぜひこのメンバーの麻雀に混ぜてほしい(笑)。

  • 2018.5.15

    森博嗣Vシリーズ1作目。
    過去ではたぶんFしか読んでないので森氏2作目。
    最近では最速!2日で読破。(御手洗から続けてだったからか?)超絶読みやすくて、さくさく展開するから止まらず・・・。2日で読めたことに感動。私読めるじゃん。

    探偵:保呂草(ほろぐさ)潤平を筆頭に、同アパートの住人:小鳥遊練無(たかなし ねりな(男))、香具山紫子(かぐやま むらさきこ)、アパート向かい屋敷の居候:瀬在丸紅子(せざいまる べにこ)の4人が事件を解決する。名前(笑)。なぜこんなにヘンテコなネーミングにしたのか謎。作者の意図が気になって調べたけどヒットせず。紅子の元執事は根来機千瑛(ねごろ きちえい)。
    探偵保呂草の元に、日付と被害者の年齢に規則性のある「ゾロ目連続殺人事件」に関わる依頼。4人が居る中、4人目の殺人が密室で行われてしまう。4人+紅子元旦那、林刑事が知恵を出し合う。解決編は紅子独壇場。

    大どんでん返しパターンだったが、想定の範囲内でやや物足りなかった。
    Vシリーズと言われているくらいだから紅子が主人公扱いでいいはずなのに、本背面紹介文では「探偵:保呂草と他3人が~」みたいになっていることに違和感しかなかった。保呂草今回でフェードアウトしてもシリーズ続くじゃん、と思ってしまって、序盤から保呂草犯人説濃厚だった。また、各章最初に添えられている引用がやたらと「まさかの犯人です」みたいに暗示してくるから、余計に保呂草・・ってなった。
    けれど中盤らへんで(森氏を調べている過程で)ウィキぺディアを見たら、シリーズでも保呂草の名前が出てくるから保呂草フェードアウト説なしか・・と。
    思ったところで解決編。ほんとにそのパターンか!っていう衝撃はあったけど、やられた~とはならなかった。
    動機に関する独特な思想を難しく述べる描写があって好きだった。ミステリーってこういう独特な社会的思想を連ねるのつきものなの?(御手洗しか知らないけど)他ミステリーも要確認と決意。

    ところで・・・
    森氏の小説って全部こうなの?Fもそうだったっけ?
    未解決事項があって読後もやっとする。
    小田原兄弟のいざこざ、終盤の紫子への来客など。あえて、みたいだけど、全部納得したい派閥だからどうにか理由をつけてほしかった。今思ったけどそれが無意味って話だったなこれ。
    しかも!解説でさらなる謎を残された。
    ・2重のトリックが2つある。
    ・登場人物による嘘があり、前後の矛盾がある。
    ・紅子のクイズ(離れた宇宙人が中間地点で会おうとしたが会えない。なぜか)
    などと森氏が供述しているらしい。もちろん全力で調べたけれど明確な答えはなかった。気になる。
    2重トリックの1つは普通に本書のトリックのことだと思う。もう1つは不明。
    登場人物の嘘と矛盾は、最後に長野で紅子と保呂草が会わなかったこと。2人とも同時刻に保呂草の地元にいたはず・・これは読んでて違和感あったからすぐにこれかなって思った。なのにネットでこれ説が全然なくてビビってる。これしかなくない・・
    紅子クイズは色々な解釈と正解がありそうだからまあ。個人的にはそれぞれの外見認識の相違かな。いるのに認識できてないやつ。
    というか、この残った謎を血眼で調べてたら衝撃のネタバレが。本書で全くフューチャーされていないへっ君があのひとだったなんて。本書犯人以上にびびったわ(笑)。やられた。
    調べるほど、このシリーズが他シリーズと繋がっていることが匂わされていて、シリーズ単位での伏線も多数(?)ある模様。読後の深追いができない・・・。レビュー読むのも危険。
    読後の謎が多いのに深追いできないもどかしさ。やってくれるわ。

    とにかくシリーズ読破したい。
    一気に読んだ方がよさよう。読みやすいしね。
    S&Mシリーズ読破してからにするべきだったと後悔。まいっか。

  • 登場人物がそれぞれ個性的でユーモアの部分では面白かった。ミステリーとしては反則。

  • 再読だけれどもすっかり忘れていた。
    なるほど・・・保呂草さんが・・・。
    未だ入り込みきれないのかS&Mほどキャラに愛着が持てない。
    まだまだ序章。

  • メインキャラ4人が独特で面白い。
    引用文、犯人、名前
    様々なところに伏線を張られている。

    読了後はプロローグだけでも読み返すといい。

全456件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

黒猫の三角 (講談社文庫)のその他の作品

森博嗣の作品

黒猫の三角 (講談社文庫)に関連する談話室の質問

黒猫の三角 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする