- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062734912
作品紹介・あらすじ
「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」-精神に「暗い山」を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。
感想・レビュー・書評
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直木賞受賞作品。
東京で発生した連続殺人事件。この事件を警視庁捜査第一課七係の合田刑事が事件を追う。
過去北岳で発生した殺人事件と、現在の殺人事件が交錯していく。
関連していない数々の場面が、だんだんと鮮明になっていく。息を飲む展開。 -
重厚な警察小説。
文章の端々までに緊張感が漲っている。それが息詰る物語の展開とリアルさを創り出している。様々な伏線が絡み合う物語の構成はさすが。
丹念な人物描写と心理描写。警察内部での政治的駆け引き。殺人事件の背後に蠢くエスタブリッシュメントの不気味さ。
ただ、結末に納得がいかない。犯人の動機をしっかり描いて欲しい。
その点が惜しい。 -
最初は少し読みにくかったが途中からどんどん引き込まれる
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書棚整理の途中に見つけ、一気に読みました。
おかげで片づけは中途半端のまま。
さて、なぜこれほどのめりこんだかというと、
昭和の終わりから平成の初めにかけての
懐かしいにおいに引き寄せられたからです。
まだ携帯電話も防犯カメラも一般化していない時代。
公衆電話にテレフォンカードを差し込み、
大きく膨らんだ手帳を開いてメモを取り、
コンビニからファクスを送る。
あと、張り込み中に一杯ひっかけたりもして。
刑事のアナログ的泥臭さがものすごくかっこいいんです。
地を這う人間たちの息遣いが重苦しくなりました。
若い人たちにとっては古典的な感覚かもしれないけれど、
合田と同年代の私にとってはつい昨日見た夢のよう。
警察側の精緻で冷徹な感じを受ける描写とは対照的に、
「若い男」の目から見た世界は、きわめて感覚的です。
この正反対の二者が対峙する時がいつになるのか、
読者は今か今かと待ち望んでいるのですが…
帯には「警察小説の金字塔 全面改稿」とあります。
ならば改稿前の物語とはかなり違っているのでしょうか。
ぜひ前の物語も読んでみたいものです。 -
マークスの山(講談社文庫)
著作者:高村薫
発行者:講談社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
facecollabo home Booklog
https://facecollabo.jimdofree.com/
著作者の代表作にして、大ベストセラー。 -
直木賞受賞作、非常に重厚で密度の高い作品でした。一気読みしたいのになかなか進まず
内容と相まって息苦しさ焦燥感が半端ない。真綿でじわじわ首を締められるかのようです。
個人的には後半の林原との対峙がいまいち。ペコ刑事の(名前が一緒でひっそり笑った)
どす黒い面を期待していたし『彼』がどうなったか、そっちの方が気になって…長いわ、と。
ラストはもう「早く、間に合って、間に合って!」それしか出てきませんでした( ノД`)゚。 -
マークスはかわいそうだ。悲しい。
高村さんの小説で一番好き。
北岳のエピソードにじんとくる。富士山と昇る朝日を見たかったんだ。その後の状況も病気もどうにもならなかったとしても、よい状態の時に見せてあげたかった。
文庫でしか読んだことがない。ハードカバーと読み比べたいと思いながら、うかうかしてるうちにハードカバーは図書館でも見かけなくなった。 -
マークスの山に取り憑かれた哀しい少年。
かって、何が起こったのか…
初期の代表作の1つ。
刑事物として、迫力があります。