マークスの山(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734912

作品紹介・あらすじ

「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」-精神に「暗い山」を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 重厚な警察小説。
    文章の端々までに緊張感が漲っている。それが息詰る物語の展開とリアルさを創り出している。様々な伏線が絡み合う物語の構成はさすが。
    丹念な人物描写と心理描写。警察内部での政治的駆け引き。殺人事件の背後に蠢くエスタブリッシュメントの不気味さ。
    ただ、結末に納得がいかない。犯人の動機をしっかり描いて欲しい。
    その点が惜しい。

  • 直木賞受賞作、非常に重厚で密度の高い作品でした。一気読みしたいのになかなか進まず
    内容と相まって息苦しさ焦燥感が半端ない。真綿でじわじわ首を締められるかのようです。
    個人的には後半の林原との対峙がいまいち。ペコ刑事の(名前が一緒でひっそり笑った)
    どす黒い面を期待していたし『彼』がどうなったか、そっちの方が気になって…長いわ、と。
    ラストはもう「早く、間に合って、間に合って!」それしか出てきませんでした( ノД`)゚。

  • サスペンスか警察小説か微妙だが、下巻の紹介文に警察小説と書かれていたのでそちらに分類。同種の凶器による連続殺人の裏に見え隠れする昭和57年の殺人と心中事件、謎の圧力によって間々ならぬ捜査、その中で次第に事件の全体像が浮かんでくる様は、上巻だけでもかなり引き込まれるものがある。事件の発端は、野村の殺人なのか?とか、平成元年の事件の真相は?とか、この時点でもいろいろと想像できるので、想像と比べつつ下巻を読むのも楽しそう。

  • マークスはかわいそうだ。悲しい。
    高村さんの小説で一番好き。
    北岳のエピソードにじんとくる。富士山と昇る朝日を見たかったんだ。その後の状況も病気もどうにもならなかったとしても、よい状態の時に見せてあげたかった。

    文庫でしか読んだことがない。ハードカバーと読み比べたいと思いながら、うかうかしてるうちにハードカバーは図書館でも見かけなくなった。

  • マークスの山に取り憑かれた哀しい少年。
    かって、何が起こったのか…
    初期の代表作の1つ。
    刑事物として、迫力があります。

  • 南アルプスの山奥で起きた殺人事件から物語が始まるが、早々に舞台は約10年後の東京に移る。そこで連続殺人事件が起き、主人公はそれを追う刑事課の刑事。ただ読者には早くから、その犯人が、精神的に病んだ人物なのだろうということはわかっている。それをどのように追い詰めて行くか、刑事の様子の描写が細かい、警察小説のような雰囲気。

  • とにかく魅力が多すぎてどこから書いていいやら。著者の直木賞受賞作にして刑事合田雄一郎シリーズ第一弾。
    精神に「暗い山」を抱える殺人者マークス。昭和51年に南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後の平成4年に発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。目黒で頭部に穴をあけられ殺害された元暴力団員・畠山宏と王子で同様の手口で殺された検事・松井浩司。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。
    圧倒的な迫力で終始鷲掴みにされる。この重厚感は他の作家では味わったことがない。人物の造形が巧みで、どんな脇役でも描写が緻密で手抜きが一切ない。それが作品に奥深さを与えている。
    合田刑事の煩悶は、読者のそれとなり、怒濤の勢いのまま下巻へ。

  • 20年ぶりに再読。最初に読んだときは警察官同士の確執のすさまじさが、事件そのものよりも印象に残ったものだったが、それは変わらなかった。作者の問題意識の中に、政治的な圧力によりわれわれが真相に届かないというもどかしさというよりも怒りというのがあるが、それを刑事たちの心情にたくして、その重層さを同量の活字で表現しようとする高村節が心地よい。疲れるけど(笑。

  • 書棚整理の途中に見つけ、一気に読みました。
    おかげで片づけは中途半端のまま。
    さて、なぜこれほどのめりこんだかというと、
    昭和の終わりから平成の初めにかけての
    懐かしいにおいに引き寄せられたからです。
    まだ携帯電話も防犯カメラも一般化していない時代。
    公衆電話にテレフォンカードを差し込み、
    大きく膨らんだ手帳を開いてメモを取り、
    コンビニからファクスを送る。
    あと、張り込み中に一杯ひっかけたりもして。
    刑事のアナログ的泥臭さがものすごくかっこいいんです。
    地を這う人間たちの息遣いが重苦しくなりました。
    若い人たちにとっては古典的な感覚かもしれないけれど、
    合田と同年代の私にとってはつい昨日見た夢のよう。

    警察側の精緻で冷徹な感じを受ける描写とは対照的に、
    「若い男」の目から見た世界は、きわめて感覚的です。
    この正反対の二者が対峙する時がいつになるのか、
    読者は今か今かと待ち望んでいるのですが…

    帯には「警察小説の金字塔 全面改稿」とあります。
    ならば改稿前の物語とはかなり違っているのでしょうか。
    ぜひ前の物語も読んでみたいものです。

  • お金があったら、あの子にメロンを買ってあげよう。そう考えた、孤独な男の子のはなし。壮大そうに見えて、たったこれだけのことだった気がする。それがとてもかなしい。

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著者プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

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