マークスの山(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 2622
レビュー : 239
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734929

感想・レビュー・書評

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  • 南アルプスの山奥で起きた殺人事件から物語が始まるが、早々に舞台は約10年後の東京に移る。そこで連続殺人事件が起き、主人公はそれを追う刑事課の刑事。ただ読者には早くから、その犯人が、精神的に病んだ人物なのだろうということはわかっている。それをどのように追い詰めて行くか、刑事の様子の描写が細かい、警察小説のような雰囲気。

  • 解説の秋山氏によるとジャンルは「本格小説」らしい。なんでも本格をつければよいというものではないと思うので、ネーミングはいかがかと思うが、言いたいことは何となくわかる。
    犯人はもともと分かっていたし、動機や経緯も予想の範囲内だったが、サスペンスが作品の本懐ではないのだろう。いくら「マークス」が過去に罪を犯したとしても、水沢には何の関係もないわけで、水沢が単なる猟奇殺人犯であることには変わりはないのだけど、ラストシーンは雪山の山頂の静謐さと合わさって、なんだか切ない。真知子のメモとサンダルと、開いたままの目が、なんだか切ない。
    一気読みしてしまう面白さでした。

  • ミステリーを書く作家は、「真相」から遡っていって謎に巻き込まれる登場人物たちを描かなければならないのだが、その登場人物たちが、いつどうやって「真相」に気が付いていくのかをご都合主義にならずに書くことは難しい。それが「都合よく」にならないようにじっくりと、というよりも作者の相当な執着心によって書かれている。実際に「真相を知らない人」たちが真相に少しずつ近づいていく、その「少しずつ」感が半端ない。

  • 不気味さと狂気を感じさせる殺人犯・マークスがたどり着いたのは「彼」を生んだ山だった。
    この最後に「山」にたどり着いたところがなんとも切ないのである。
    ずっと作品全体に暗い影を落とし続けた「山 」の頂上が開けるラスト。

    これ「山」に捕らわれた人達の物語なのだ。「マークス」の5人にあった「山」は「絆」であり「過去の呪い」でありそして「郷愁」だった。そういった意味では「青春」の匂いさえ感じさせるところもあった。

    ''十三年経って過去を振り返る浅野の言葉のすみずみに、おぞましい郷愁はなかったと言えるか。
    山とは何だろう―――。''

    続きか気になって一気に読んでしまった。警察や検察や権力の攻防も描かれたけど一連の事件を通して「山」の影が背後に見え隠れして、人間の持つ闇に留まらない「暗さ」、緊張感や不気味さが作品に漂ってそれが魔力みたいにページをめくらせる。
    面白かった。

    あと某作家さんが著作で言及されていたように合田刑事と加納検事の何とも形容しがたい関係もとても気になるところ。笑
    (2016.2.7)

  • 警察主体の社会派ミステリという良くあるの
    警察ものというのは時代劇とかと同じく役割分担がわかりやすく
    すなわちキャラ立てがやりやすい素敵な素材である
    作者得意の綿密にして勢いある描写で前半の引きは良い感じだけれど
    社会派な感じの解決がいまひとつ
    あえてここから文量半分にするくらいしても良いと思う
    細かいことだが「鑑」とか「嗤う」を妙に多用していて気になった
    地の文ならともかく登場人物に使わせるのはどうかと

  • 髙村作品らしい結末。北岳にまた登りたくなった。
    wowwowドラマ版も鑑賞してみたい。

  • 七係の登場人物の説明が押し付けがましくて読み飛ばした。もう少しエピローグながかったら良かった病院後の水沢の主観が気になった。概ね良かった

  • 照柿も合わせて。読み終わった後にタイトルがしみじみくる…。おお…と思った。良い後読感です…。

  • 高村薫のサスペンス小説。
    南アルプスの北岳がキーとなってストーリーが展開していく。
    犯罪者マークスを追っていく刑事。過去の山岳部仲間で現在の社会エリートたちの過去の犯罪が現在進行形の犯罪とシンクロしていく。
    展開にぐいぐいと引き込まれていく。
    昔も読んだのに全然覚えていなかった。

  • 上巻から一気読み。

    思っていたよりあっさり、というか拍子抜けな終わり方。しかし不思議なことに爽やかさが感じられました。もう少し読書に慣れたら改めて読み返したい作品。

著者プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

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