ハサミ男 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 17967
感想 : 1823
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735223

感想・レビュー・書評

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  • 何というか超超面白かった:(;゙゚'ω゚'):
    別の本の箸休め的に読み始めたけど、そっちより先に読み終わる始末。

    叙述トリックとして有名な本書。
    なのでネタバレせずにどう面白かったのか描くのが難しいけど…

    こんなのは「びっくりトリックがある」と分かっていてもまず気づけない。
    でも「もしかしたら?」「んん?今何か変だったぞ?」と警戒しながら読むのがまた面白い。
    大丈夫。絶対当たらない。
    自分の予想した遥か斜め上から驚かされること間違いなし!

    興味深かったのは、小さな勘違いの積み重ね。

    例えば自分はしかめ面をしたつもりでも、相手には笑みを浮かべたように見えることもある。

    終わり方も、すごく人の心の闇の深さを感じさせて
    あえて事件解決めでたしめでたしでないのが良かった!

  • どんでん返しがあるというのは、知っていたので注意深く読み進めていったつもりでしたが、

    表紙、内容、タイトル...

    素直にヤラれました。


    好みはあるかもしれないですが読了後は、なんとなく手品を見せられたような感覚。

  • ブクログを始めてから、ミステリーの有名傑作「ハサミ男」を知りました。
    古い作品である、という感想を読んだのですが2002年‼︎全然、古くない‼︎

    内容は、どんでん返しエンタテインメント・ミステリーといった感じでしょうか。
    刑事達が事件を解決しますが、重厚な警察ミステリーではないです。
    面白かったのですが、なんとなく仕掛けや犯人が分かってしまって、あんまりどんでん返しにならなかったのが少し物足りなかったです。
    そういう方も結構いらっしゃると思います。

    この事件、この後の公判乗り切れるのかな、大丈夫かな…

  • この本を見かけると
    「あらすじを読み、また書店の平棚に戻す。を繰り返していた。
    いや、また今度読もう「忘れよう」と
    別の本を買っていたが、ようやく読む。

    美しい女性の首にハサミを突き立てて殺害する殺人鬼「ハサミ男」
    刑事が主役ではなく、このハサミ男が主人公の話
    ある時、ターゲットの女性を調査していつものように殺害しようとしたところ、すでに自分と同じく「ハサミ」を首に突き立てる方法で殺害されていた!?
    …偽物がいるのか?と調査をはじめる…
    というくらいしか書きようが無い。

    序盤で物語に隠された仕掛けに
    なんとか当たりをつけて読み
    どうにか当たったけど、そこから
    更に驚きがあった。
    (展開が動くたび、頭の中でハサミの
     金属がぶつかる音がする)

    シニカル、ドライ、淡々と進む空気感が殺人鬼が主人公の話に合う。
    ユーモアも少しだけ。
    主人公は毎週のように自殺をしては生き延びていて、次の週の予定を決めた後にも必ず自殺をしていた場面が特に怖かった。

    「何も感じない人」が出てくる。
    奇妙さを奇妙と感じてるうちはまだ良いのかも?とか、それは固定観念でしか無いのか?感度をすり減らさないとどうにもならない生活を続けたら自分も度合いは違えど痛みを感じないことが増えたり。
    本を読んで「痛そう」と思わなくなってきている感覚の鈍さを指摘されたような感覚
    「虐殺器官」の痛みを感じない兵士達を
    思い出す。

    「どんでん返し」はやはり凄かった。
    いっそハサミで記憶を切り取ってもらって、もう一度読みたいくらい。

    余談:昼飯に「ミートパイ風のパン」を買って食べました。
    ※作中にミートパイが登場する。
    (って、無意識に選択を操作されてるし、
    感覚が鈍り過ぎてる…不謹慎だ!っていう感覚もなんだか考えを止めてるような…堂々巡りだ…)

  • スカッとするくらい気持ち良くまんまと騙された。
    先入観によって、私の中で冤罪が発生してしまった。
    何度読んでも絶対におもしろいやつだ。
    完璧主義なはずのハサミ男のおっちょこちょい感が憎めないです。

  • 騙されたとの高評価が多いのでずっと読んでみたかった。
    途中から一つのことは違和感で気が付いたけど、もう一つの騙しには気が付かなかった。
    騙されていたとわかっても「だから何なんだろう…」という感じで、最後にきっと面白いことがあるのかと思ったけど特になかった。

    面白い本の時には決して感じない「長いな~」とずっと思ってしまっていた。
    こんなに高評価なのに何で自分は面白いと感じないんだろう…。

    サイコパス的なものは感情移入できないので、自分には合わないのかもしれない。
    Audibleにて。

  • ヨビノリたくみさんが出演されているほんタメというYouTubeチャンネルで紹介されていた本。どんでん返しのミステリー作品の常連という印象なので今回読んでみました。
    どんでん返しの部分は、「わたし」という一人称の時点で?マークがあったものの、刑事達の視点から「わたし」=「ハサミ男」=「日高光一」という固定観念を植え付けられて、医師の場面からこの日高光一(ハサミ男)は自分の中にもう一人の人格と話しているという思い込みが形成されてしまったことが作者の思うつぼなのだと思った。真相が分かった部分はこの固定観念のおかげで、少し混乱してしまうが樽宮由紀子を殺害した犯人の正体には正直に驚いてしまった、そしてその動機は本当に最低であるのだが。そしてこの小説のモヤモヤポイントとしては日高光一の殺害の犯人が誤認され、本物の「ハサミ男」は逮捕されないまま終結に向かっていくことだと思う。 
     そしてYouTubeでも紹介された最後のページに書かれていたあの一言がこの後の展開を予期させるようでとても恐ろしかった...。

    この作品をアニメ化(できるかどうかわからなけど)した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    ハサミ男/安永知夏:沢城みゆき
    医師:子安武人
    磯部龍彦:下野紘
    下川宗夫:鳥海浩輔
    村木晴彦:遊佐浩二
    松元順三郎:三宅健太
    進藤誠斗:岡本信彦
    上井田警部:大塚明夫
    堀之内靖治:中村悠一
    日高光一:杉田智和

  • うぬぬ…もう少し初期の段階で読めばよかったかな。ちょうどこの作品の前に読んだミステリー小説がまさにこのような喋り口調の○○。
    それに、割と好みで読むミステリー系にはこの手の喋り方の○○が多く登場する。
    なので、先入観に囚われれなかった!! 
    囚われたかった!!
    序盤からこの主人公を脳内で作り上げるときに○?○?どっちだっけ?と思いながら読み、あぁどちらとでもとれるようにしてあるのね、と自ら楽しみを踏み躙り冷めた心地になり、極めつけに目撃者二人が○と○。
    あぁ、まだ先は長いのに…自分を軽くビンタしたい気持ちになりながら、でもあの時のあの小説のような作者のミスリードかもしれない。まんまと手中に嵌められているのかもしれない。と気持ちを抑えつつ読み進めた。
    結局ハサミ男が追う犯人登場にはあまり心が弾まず、ああ、その人だったんだー。と思ったくらい。
    だが、そんなことを言いながらも充分に楽しめた。ハサミ男が様々な方法で自殺を繰り返すヤバさや、別人格との会話、仕事ではアルバイトながらも評価される人物であり、最終的には連続殺人犯にもかかわらず主人公を魅力的に見せるような持って行き方が面白かった。
    刑事のパートでは刑事の見る目や勘がどうだの語っているが、刑事の勘?と鼻で笑っちゃうような展開。人は見た目が9割って本があったなぁ…なんて思いだした。やっぱり人は見た目が9割なのだ。
    ラストの不穏な終わり方も良かった。主人公の殺人衝動がおきるポイントも興味深い。なぜ頭が良さそうなことがポイントになるのか?ちらっと父親が出てくるので、やはり幼少期の環境を考えずにはいられない。ハサミ男のことがまだまだわからない。わからないから知りたい。あっおもしろかったんだと読後に気付かされました。

    • しんさん
      私はまんまと先入観に囚われ騙されてしまいました(T_T)
      初心者にしてはよく読み切ったとの自画自賛でコメントに返させて頂きます(^o^)
      私はまんまと先入観に囚われ騙されてしまいました(T_T)
      初心者にしてはよく読み切ったとの自画自賛でコメントに返させて頂きます(^o^)
      2022/05/03
    • あささん
      しんさん、
      やはりどんでん返し系はお互い好みですよね(*゚v゚*)自作も感想会楽しみです!
      しんさん、
      やはりどんでん返し系はお互い好みですよね(*゚v゚*)自作も感想会楽しみです!
      2022/05/20
  • はい。しっかりと楽しめた。
    否、楽しまされてしまったというほうが正しい。
    私なんて者はチョロいもんである。

    複数の視点が絡み合うミステリーの中に秘められた視点というのだろうか。そんなものが散りばめられている。

    特に後半は読者を混乱させたかと思えば一気に落としにくる感じが良く出来ている。


    以下、重大なネタバレあり。(個人的なメモ)


    私=安永千夏(ハサミ男)、女、男っぽい性格(心的なコンプレックスから)、過去に二人の女子高生を殺害している。
    いまいち千夏の殺人動機がピンと来ない。家庭の影響?

    医師=千夏の妄想、もう一つの人格、または本当の千夏自身。

    堀之内は恋に狂い、憎悪に狂い、最後は絶望に狂ったか・・・なぜか全ての殺人を自分の罪として自害。な、なぜ・・・。
    千夏の犯罪は堀之内の死と共に融解。

    叙述的なトリックがあるとの前情報はあったために、少し懐疑的に読んでいたが、それも含め十分に納得できる満足な読了感。

    次は何を読もうかな。
    読了。

  • すっかり騙されました。
    連続殺人鬼視点の、猟奇殺人への渇望や思考などの類の描写が多いタイプの話で終わるのかなと。
    実際ハサミ男の頭の中には「医師」なるもう1人の幻覚がいて、自身は毎週自殺を試みるなど、普通の感覚とは違っていて、そこもまたならではで、興味深いと思いました。
    が、後半にさしかかるにつれ、自分は言葉のトリックにすっかり騙されている事に気付いてきます。
    後半はもう一気読みです。
    止まりませんでした。
    どんでん返しのミステリーの中では、私の中でお勧め度2位に君臨した作品です。
    (1位は「十角館の殺人」なので。)

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2022年 『殊能将之 未発表短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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