ハサミ男 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.84
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本棚登録 : 9122
レビュー : 1151
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735223

作品紹介・あらすじ

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 何というか超超面白かった:(;゙゚'ω゚'):
    別の本の箸休め的に読み始めたけど、そっちより先に読み終わる始末。

    叙述トリックとして有名な本書。
    なのでネタバレせずにどう面白かったのか描くのが難しいけど…

    こんなのは「びっくりトリックがある」と分かっていてもまず気づけない。
    でも「もしかしたら?」「んん?今何か変だったぞ?」と警戒しながら読むのがまた面白い。
    大丈夫。絶対当たらない。
    自分の予想した遥か斜め上から驚かされること間違いなし!

    興味深かったのは、小さな勘違いの積み重ね。

    例えば自分はしかめ面をしたつもりでも、相手には笑みを浮かべたように見えることもある。

    終わり方も、すごく人の心の闇の深さを感じさせて
    あえて事件解決めでたしめでたしでないのが良かった!

  • この本を見かけると
    「あらすじを読み、また書店の平棚に戻す。を繰り返していた。
    いや、また今度読もう「忘れよう」と
    別の本を買っていたが、ようやく読む。

    美しい女性の首にハサミを突き立てて殺害する殺人鬼「ハサミ男」
    刑事が主役ではなく、このハサミ男が主人公の話
    ある時、ターゲットの女性を調査していつものように殺害しようとしたところ、すでに自分と同じく「ハサミ」を首に突き立てる方法で殺害されていた!?
    …偽物がいるのか?と調査をはじめる…
    というくらいしか書きようが無い。

    序盤で物語に隠された仕掛けに
    なんとか当たりをつけて読み
    どうにか当たったけど、そこから
    更に驚きがあった。
    (展開が動くたび、頭の中でハサミの
     金属がぶつかる音がする)

    シニカル、ドライ、淡々と進む空気感が殺人鬼が主人公の話に合う。
    ユーモアも少しだけ。
    主人公は毎週のように自殺をしては生き延びていて、次の週の予定を決めた後にも必ず自殺をしていた場面が特に怖かった。

    「何も感じない人」が出てくる。
    奇妙さを奇妙と感じてるうちはまだ良いのかも?とか、それは固定観念でしか無いのか?感度をすり減らさないとどうにもならない生活を続けたら自分も度合いは違えど痛みを感じないことが増えたり。
    本を読んで「痛そう」と思わなくなってきている感覚の鈍さを指摘されたような感覚
    「虐殺器官」の痛みを感じない兵士達を
    思い出す。

    「どんでん返し」はやはり凄かった。
    いっそハサミで記憶を切り取ってもらって、もう一度読みたいくらい。

    余談:昼飯に「ミートパイ風のパン」を買って食べました。
    ※作中にミートパイが登場する。
    (って、無意識に選択を操作されてるし、
    感覚が鈍り過ぎてる…不謹慎だ!っていう感覚もなんだか考えを止めてるような…堂々巡りだ…)

  • どんでん返しがあるというのは、知っていたので注意深く読み進めていったつもりでしたが、

    表紙、内容、タイトル...

    素直にヤラれました。


    好みはあるかもしれないですが読了後は、なんとなく手品を見せられたような感覚。

  • すっかり騙されました。
    連続殺人鬼視点の、猟奇殺人への渇望や思考などの類の描写が多いタイプの話で終わるのかなと。
    実際ハサミ男の頭の中には「医師」なるもう1人の幻覚がいて、自身は毎週自殺を試みるなど、普通の感覚とは違っていて、そこもまたならではで、興味深いと思いました。
    が、後半にさしかかるにつれ、自分は言葉のトリックにすっかり騙されている事に気付いてきます。
    後半はもう一気読みです。
    止まりませんでした。
    どんでん返しのミステリーの中では、私の中でお勧め度2位に君臨した作品です。
    (1位は「十角館の殺人」なので。)

  • 大学時代に友人からおもしろいよと薦められた本。
    ずっと気になりながら、かれこれ10年、ようやく読みました。(ごめん、友人…)

    殺害した少女の首にハサミを突き立てる…というショッキングな事件によって世間に名を知られた"ハサミ男"。
    3人目の犠牲者を選び出し、綿密な事前調査の上、いよいよ手にかけようとした矢先、彼女の死体を発見します。
    その首には銀色に光るハサミが…。
    誰が何の目的で、自分が殺すはずだった少女を自分の真似をして殺したのか…ハサミ男は自身の模倣犯を追いはじめるのです。

    表では出版社のアルバイトとして黙々と仕事をこなし、週末には繰り返し自殺を図っては失敗、時折現れる自身の別人格とのハードボイルドな対話…描かれる殺人犯の日常に引き込まれました。
    殺人事件発生後は、ハサミ男、警察サイド双方の視点で物語が進んでいき…そして、突如として「!?」という瞬間が訪れるのです。
    「あれ、どこから騙されてた…?」と思い返すのももどかしく、少しの混乱と静かな興奮がごちゃまぜなりながら読み進め、不穏な空気を残したクライマックスに「参りました…」と思いながらページを閉じました。

    なんだかもう一度読み返したとしても、やっぱりどこかで騙されちゃう気がするなぁ…

  • 「ハサミ男」
    自殺願望と殺人願望を持つサイコキラーのお話。


    ハサミ男という奇妙なタイトルから、殺人鬼の話であろうと容易に推測できる本作。プロットは「一人称」から始まる章と「三人称」から始まる章の組み合わせになっています。


    「一人称」の“私”は、自殺願望と殺人願望を持つ通称ハサミ男であり、ターゲットをいざ殺そうとしたある日、何者かにターゲットを殺されてしまう。先を越されたハサミ男は、殺人者から一転第一発見者として警察と遭遇する。ハサミ男は、当惑する。誰が、私より先に殺人を実行したのか。どうやって私と同じ犯行を行ったのか。そして、何故私の犯行を模倣したのか。ハサミ男は、いつも世話になっている医師に諭され、行動を開始する。サイコキラーがキラーを追う日々が始まる。


    感想は、とても面白い。それに尽きます。叙述トリックと言えば、まずはコレ!と言われる理由がよく分かる小説で、伏線と仕組みが良いので、ころっと騙されることができる。叙述トリックの小説を結構読んでいる人だと薄々勘づくことが出来ると思いますが、勘付いたとしても面白さは落ちないですね。他の点については、触れるとどうしてもネタバレになってしまうので、是非読んで下さいとしか言えません。


    全体的に満足ですけど、最後の締めがもうちょっと固まっていれば尚良かったかなと思います。しかし、ハサミ男という狂気に満ちながらも死を所望している特質な性質を考えると、あの結末の方が後味が悪くて良かったかなとも思います。


    お勧めの一冊であるのは間違いないですね。

  • 多重人格者、犯罪心理分析官、刑事達、それぞれの場面で様々な登場人物が一人称で登場する。真犯人「ハサミ男」は誰なのか?作者により何重にも張り巡らされたトリック、果たして私は謎を読み解くことができたのだろうか。読み終わった今でも、まだ作者に騙されている感じがしてならない。

  • H29.8.29 読了。

    ・始めはなかなか話が進展せず、本の半分ぐらいまでは読むことをあきらめかけたが、我慢して読んだ先に真相が書かれておりそこからは一気読みでした。後半は面白かった。

  • 脳天にハサミが突き刺さるほどの衝撃。二度目の読了ながら、忘れていたこの感覚。
    未読かつネタバレを食らっていない幸せものは、今すぐ読むことをオススメします。

    ぬけぬけと大掛かりなトリックをぶち込みながら、それすら踏み台にした、完全無欠のミスリード。本格ミステリ界の名作として名高い理由は、これに尽きる。

    紙をなだらかに切るように、スーッと状況説明が入ってくる文体。非常に明快で、腑に落ちるあの大円団は、じつは物凄いことをやってのけている。

    しかもハッピーエンド!?というはなれわざ。
    語り継がれる古典として、必ず後世に残るであろう。

  • 天神・天狼院書店の店員からおススメされて購入、読了。
    ジャンルとして「古典」に分類されるらしく、そういった意味でも興味を持った一冊。
    昔プレステのクロックタワーににハマっていた私、最初は一気にシザーマンのあのビジュアルが浮かびました(笑)
    無知でごめんなさい…

    いやー、この本かなり面白い!!
    先の展開が気になって一気読みでした。

    まず、設定が凄く良いです!
    美少女を殺害し、ハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。
    しかし、三番目のターゲットを狙う途中、自分の手口を真似て殺されたその彼女の死体を発見することになる。
    その模倣犯を、逆に「ハサミ男」が探すという展開。
    書店員さんにあらすじを教えてもらった時点から、だいぶ気持ちを持って行かれてました(笑)

    この小説の面白さは、何と言っても壮大に張り巡らされたミスリードの仕掛け。
    感の鈍い私は、100%何の疑いもなくキレイに騙されました(*´∀`*)
    ん?ん??んんー!!??ってなって、何度もページをめくり直しました。
    いやぁ、既にここから仕掛けが…ってトコロから始まってますね。
    完全にしてヤラれ、めっちゃ爽快でした( ´∀`)
    コレ、みんな気付くのでしょうかね?

    また、作品に深みを与えているのが細かく描かれている「ハサミ男」の心理描写です。
    ハサミ男の思考、行動に至るまでの流れがとても細かく書かれていて、その精神異常っぷりにゾクゾクします…
    でも本当にこんな感じなのかな?と思わせる妙なリアリティーもあり、そこは作者の筆力でしょうか。

    あと、オチが分かった後にもう一度読み返すと分かるのですが、非常に巧みでフェアな文章で書かれています。
    矛盾する点が全く無いので、すごく納得感がありますね。
    私のような人間には悔しさ倍増ですがm(_ _)m

    最後の終わり方もなかなか良い味出してます。
    浦沢直樹さんの「モンスター」を思い出したのは私だけでしょうか(笑)

    きみの名前はなんていうの?

    <印象に残った言葉>
    ・ファストフードのコーヒーは濃すぎるし、ファミリーレストランのコーヒーは薄すぎる。これが外食産業の第一法則である。(P40)

    ・もうひとつ、わたしにはとても見慣れたものがあった。ハサミだ。ハサミ男の象徴、テレビや雑誌がセンセーショナルに報道したあのハサミだった。樽宮由紀子の首には、遠い街灯の光に鈍く輝く銀色のハサミが突き立っていた。(P85)

    ・その声を聞いて、わたしは男が誰か思い出した。(P403)

    ・とても頭のよさそうな子だった。「きみ、名前はなんていうの?」と、わたしは訊ねた。(P502)

    <内容(「BOOK」データベースより)>
    美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2016年 『子どもの王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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