- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062735292
作品紹介・あらすじ
朝廷の大軍を退けた蝦夷たちの前に、智将・坂上田村麻呂が立ちはだかる。威信を懸けた朝廷の逆襲がはじまった。信に足る武人・田村麻呂の出現で、阿弓流為は、民のため命を捨てる覚悟を決めた。北の大地に将たちが一人、また一人と果てていく。蝦夷の心を守り戦い抜いた古代の英雄を、圧倒的迫力で描く歴史巨編。
感想・レビュー・書評
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下巻。
いよいよ坂上田村麻呂が登場。阿弖流為率いる蝦夷軍との裏の裏をかく攻防戦。
終盤からはずっと泣きっぱなし。涙なしには読めませんでした。己の尊厳をかけて戦う蝦夷たちの生き様、しかと見届けました。そして、蝦夷を獣などではなく一人一人の人間として敬い、対等に戦った田村麻呂にも心を打たれた。
阿弖流為たちが命を賭けて守った東北の地に行ってみたくなりました。
原作を読んだ後に宝塚版を再視聴しましたが、オリジナルキャラが出てきたり、多少のキャラ改変や脚色はあったけど、ほぼ原作に忠実な流れで、上下巻を2時間ほどに上手にまとめてあるなぁと思いました。田村麻呂と阿弖流為が都で初対面っていう設定なのはちょっと残念だったけど。
宝塚版もおすすめです!!
2021年6月11日・再読詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
熱いストーリー
小説の構成も、戦闘に次ぐ戦闘、それ以外の描写を削ぐことで最後のアテルイの決断に共感しやすい
田村麻呂はもう少し手強くても良かったのでは
⭐️4です -
本書の舞台である平安京遷都前の東北地方について、数十年前に読んだ教科書には確か「坂上田村麻呂が初代 征夷大将軍として東北を平定」のようにすごくあっさりとだけ記述されていたような記憶があります。
途中まで面白いように策が的中し無敵とも思える蝦夷軍が何故、どのように敗れてしまったのかと思いながら読み進めましたが、このように描いてくれた高橋氏に感謝すら覚えるほどの素晴らしい結末でした。
本書を読んでいなければ生涯知ることがなかった可能性もある蝦夷の歴史は、非常に誇り高く、有能で、かつ魅力的な男たちの物語です。
陸奥三部作を読んで東北地方に対するイメージがすっかり変わりました。まだ平泉に一度訪れただけですが、蝦夷の英雄たちに想いを馳せながら、ゆっくり旅してみたいです。 -
ぜひ他の人にも勧めたい作品。戦国ものの小説や冒険ものの少年マンガにあまり興味を持たない私がこんなに入り込み、泣いてしまうとは。。坂上田村麻呂に関しては、日本史の授業で習った「征夷大将軍で東北(蝦夷)を平定した」としか記憶がなく、蝦夷に関しては蛮族とされ不遇されていたとしか知識がなかった。こんな攻防が繰り広げられていたとは…。いろいろ書くとネタバレしそうなので、抑えておくが、この熱い男たちの話を多くの人たちに読んでもらいたい!次は「風の陣」を読みます。
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人間として扱われず獣としか見られなかった蝦夷たちの、朝廷との22年の闘いを描いている。
蝦夷の中心となったアテルイを筆頭に、
賢く、力強く、優しい蝦夷の武将たちが魅力的だった。
22年の戦は気が遠くなるほど長い。
読んでいる方も参ってしまうほど。
まだやるのか、という思いを蝦夷も朝廷ももっていたと思う。
そんななかで最後にアテルイたちが選んだ戦術は、予想を遥かに超えるものだった。
取実、たけひこ、いさしこの最期はとにかく壮絶。アテルイ、モレ、飛良手の最期は涙なくして読めない。(私は飛良手推しです。)
ただ、同じ人間として認め合い、家族や友達と故郷で静かに暮らしたかっただけ。それすら叶わなかったことがやるせない。
どこまでが史実でどこからがフィクションなのかは分からないが、蝦夷の存在を知ることができ、よかった。 -
「星のその最期のときが一番美しい」「どんなに大きく、どんなに輝いている星よりも光を発して消える」
「俺は星のように死にたい」と母礼が言うと、阿弓流為は「田村麻呂ほどの相手なれば俺も流れ星となって果ててもいい。俺はあの男が好きだ」「向こうもそう思っていよう」と母礼が言った。 -
日本史の上では単なる反逆者として扱われているアテルイ。
しかし、その蝦夷であることの誇りや、その思いは読者の心を打ちます。
戦略的な事柄が多く出てきて分かりにくいとお思いになる方もいるとは思います(そのために星4つにしなければならないのが残念)が、それを考慮しても、胸が熱くなること間違いなし!
泣けます! -
読んで良かった。
アテルイとモレを知らずに死ななくて良かった。
魂揺さぶられる。 -
上巻はつまらなかったけれど、下巻は良かったです。
変な男女間のラブ要素は一切なく、男として蝦夷としての戦いと死にざまが素晴らしかった!
自分の名誉ではなく、蝦夷の名誉と将来のために生きた阿弖流為くんと母礼さんの物語を読んで、次に京都の清水寺に行ったときは彼らの慰霊碑に手を合わせて来ようと思いました。
坂上田村麻呂さんはダメな巨大組織にある良心的な部長みたいな感じで、彼の苦しみのほうが現代社会では理解しやすいかもしれない。
なので、ラストにちゃんと行動で示す田村麻呂さんの武士らしさにリアルな悲哀を感じ、最後まで涙しました。
次に読むときは上巻は無視して下巻だけ読もうかな(笑)
途中で脱落しそうになった方は、この上巻との落差も楽しいので頑張って下巻まで進んでください!(笑) -
宿敵
血闘
黙示
火怨
第14回吉川英治文学賞
著者:高橋克彦(1947-、釜石市、小説家)
解説:北上次郎(目黒考二)(1946-、東京都、文芸評論家)