文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 481
  • Amazon.co.jp ・本 (1408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735353

作品紹介・あらすじ

当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな-二つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。房総の富豪、織作家創設の女学校に拠る美貌の堕天使と、血塗られた鑿をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らされた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か?シリーズ第五弾。

感想・レビュー・書評

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  • ★5.0
    再読。「あなたが…蜘蛛だったのですね」、何度読んでも巻頭と巻末のこのセリフにゾクゾクしてしまう。そして巻末に辿り着いた後に、また巻頭の数ページを読み返してしまう。目潰し魔と視線恐怖症、絞殺魔と女学校の闇、夜這いと売買春等、出てくるテーマは多岐に渡るものの、その全てが必要不可欠でひとつでも欠けると歪になる。それは作品全体にも言えることで、中心となる犯人=蜘蛛の姿が見えないながらも、骨組=張り巡らされた巣が強固で不在感は抱かせない。彼女の笑顔があまりに悲しくあまりに辛く、ただただ居た堪れない。

  • やばいっ!!面白かった~
    「姑獲鳥の夏」から「魍魎の匣」「狂骨の夢」「鉄鼠の檻」と京極夏彦、「百鬼夜行シリーズ」を、順を追って読み進めてきた。
    毎回、驚きと感動と達成感の様なものを得てきたが、「絡新婦の理」でなぜか何かを落とされたような気持になった。そう、憑き物が落ちたという感じ。すっきりしたのだ。

    「あなたが・・・蜘蛛だったのですね」
    冒頭の、漆黒の男、京極堂こと中禅寺秋彦と桜色の女、絡新婦とのやりとりのシーンで既に胸が高鳴った。ドキドキというのかワクワクというのか、ゾクゾクというのか・・・
    そしてそれは、ラストまで裏切られることはなかった。
    全てを読み終えた直後、再度その冒頭のシーンを読み返した。
    満開の桜の木々のもとで繰り広げられる漆黒の男と桜色の女の言葉達は、艶やかな意味を持ち深く深く胸に響き渡る。

    昨夜読み終えたばかりなのに、すぐにもう一度読み返したい気持ちにもなる。。。

  • なんかもうなんだろうという作品群。難しすぎるのと読解力がなさすぎて的外れの事しか書いてないかも知れないけど、メモ代わりに。

    びっくりしたのが、石長比売の話と、あと、いろんな価値が世間に併存しているのは当然で、1つになった戦争の時が異常だと凄い強調されてたこと。特に、雄々しいとかは戦争に疑問なく行かせて死なせる為と繰り返し京極堂が言ってておぅ....と思った。

    最後に関口が、(自分の遺伝子がひとり歩きして別個の人格を生すのが漠然として怖い)と言ってたが、
    これでなんかもういろんな価値が並存するのは変でもなんでもないんだ、自分の子孫がどうとか由来がどうとかじゃなくて、過去の慣習は過去で、今はどう考えてもいいんだ、と救われた気がした。今までの人たちが色々囚われすぎだったからなおさら。 葵みたいに女性復権とか考える必要ないからか!この人! 考えると自分もこんな世間の呪いにかかってたのか...とか色々考えなきゃいけないし!!

    2019/8/13 読了

  • 一番分厚い文庫本らしい本作を、圧倒的重厚感とともに読了しました。会話文主体でサクサク読めるとはいえ、それでもさすがに結構時間かかったす。登場人物がごっちゃになってくるっていうきらいはあったけど(美人姉妹なんか特に、誰が誰だか…)、それでもさすがに長い物語の中では、それなりの輪郭が掴めるようにはなったし、そんなに大きな問題ではなかった。色んな要素が絡み合いながら、最終的に中心に居座る蜘蛛に収斂していく展開は、ドキドキスリリングなものでした。京極堂が半分以上読み進むまで出てこなかったり、関口が最後の50ページくらいしか出なかったりっていう、違う意味での驚きもあり。女郎を題材に繰り広げられるフェミニスト論も興味深かったです。

  • 長いッ!長すぎるぞ!また引用が榎木津の台詞だし!

    今回は基督教系の女学校の呪いと、目潰し魔と首締め魔という二人の凶悪連続殺人犯、富豪織作家の謎と、男性主義と女権拡張論、蜘蛛の巣の如く張り巡らされた罠。巣の中心にいるのは誰だ…?
    キーワードは理と偶然と必然?

    各節前に時折挟み込まれる物語は、事件の核心にまつわるものなのだが、それが終盤にフラッシュバックの如く目の前に閃く。これはもはや伏線じゃなくて演出だ。小説としてはすごいことなのではないかと思う。
    普通の小説は、匂わせて思い出させることが多い気がする。でも百鬼夜行シリーズの伏線は匂わせない。閃かせる。それこそ、榎木津の不思議な力のように、数百頁も前のどこかで読んだその光景が燐くように目の前に鮮烈に浮かび上がる。
    京極堂が謎を解き明かすとき、私達はその情景をもう見ているのだ。

    最近百鬼夜行シリーズを貪るように読んでいるのだけれど、どの小説も読むのにすごい時間かかるのに、読み終わったあとその「フラッシュバックのもと」を探しに行かなければならなくて、それがとても楽しいから困る。

  • 終了日:2012・1・3、とにかくね、なんかね、前の4作に比べるとどうも、やわらかかったな…
    女権関連の話はとんでもなく心に痛いトピックだったけど(北米大学系リベラル高等教育の影響大アリ)。
    でも、なんか、あの桜色がスゴく強くて。
    解説もザッと読んだけど、やっぱり集大成というか、色々合わせたって感じ。ただ、もう前の4作の細かい内容とか忘れまくってるから困った。「狂骨の夢」と「鉄鼠の檻」がね、なんていうか、難解すぎた。姑獲鳥は2度ほど読んでるし、魍魎はアニメがあったし。この二つは大体覚えてる。
    でもそれでも、やっぱりすごかった。
    狂骨と鉄鼠に比べたら、読みやすかったのかな。
    なんていうか、事件は十分悲惨だし、つらいんだけど、なんだかやわらかかった。織作の女たちが揃って近寄りがたい感じがしたからかな。

    次女が黒幕だってのは私には珍しく早い段階でわかった。
    だって、読んでて生理的に辛いじゃない、茜さんって。
    葵さんの両性具有の下りはもちょっと活かせたのでは?と思ってしまった。
    とにかく最初は葵さんの論争が読んでて滅入ったけど、最後の最後の方ですっごい葵さんに興味を持った。もっと彼女の話が聞きたかった。
    でも碧が一番辛かったかな、読んでて。若い娘はそこまでいくか。
    一番哀れだったのは碧かも。
    真佐子さんも恐ろしかったけど。
    誰彼もが悲しかったけど、どうも女性の成せる技なのか、まあそこはやっぱり織作の神秘性か、悲しい、辛い、恐ろしいんだけども、なにか口当たりが桜色で霞がかかってた。

    杉浦も辛いけど、最後に美江さんが潔くてカッコ良かった。
    だからこの二人はまだせめて救いがあったのか。

    榎さんは珍しくしっかりしてた気がする。マスオロカはいい子だなぁ…
    青木ちゃんが好きである。愚直な青年はかっこいいよ!
    木場の旦那は相変わらずだけどかっこいいとこ見せてたじゃない!
    マチコサンはかなり胆の据わった人だなぁ。癒しの珍獣。
    いさま屋が好きすぎてどうにかなる。
    敦っちゃんと関くんと鳥ちゃんもちゃんと出て来てくれてうれしかったー!

    柴田の養子がこんな形でからんで来るとは。というか、過去の事件があちこちで入り込んできて困った。そんな細かいこと覚えてないよう!!と困った。

    京極堂は相変わらずだったなぁ…かっこよすぎるだろ…

    結論:放浪癖があったっていいじゃないか、いさま屋の嫁になりたい。

  •  百鬼夜行-陽が今年の3月に発売されることを知り、読み返してから読みたいと思い順番に読み始めました。たぶん4回目くらいになります。何度読んでも程よく忘れてしまっているのでとても面白いです。この作品は大好きな関口くんはほとんどでないのですが、それでも面白いことには変わりませんでした。
     ラストはポッカリ喪失感が生まれる結末でした。死んだ人たちは、みんな、死んで欲しくなかった人ばかりでした。真犯人の気持ちを一生懸命想像してみました。でも、ぜんぜん想像できませんでした。
     犯人は他の道を選べなかったのか?これは私個人の考えですが、選べなかったのではなく、すべて自分で選んでいたと思います。だから私はこの犯人に好感を持つことがまったくできませんでした。
     次回作、この犯人が死ぬことを知っています。とても残酷な方法で殺されます。「悪」だから死ぬ、そんな単純な式にしたくないけど、私は少しも憐れに思うことができません・・・。

  • やたらと分厚い本ですが、張りまくられた伏線をきれいに回収して、「あなたが蜘蛛だったのですね」のラストまで徹夜で一気に読んでしまいました。
    個人的には京極堂シリーズの中で最高傑作だと思います。

  • 最後まで読んで、スムーズに最初のページに戻る。
    はあ〜凄いなあ...としか出てこない。圧巻。
    年末年始にじっくり読めて良かった。
    鉄鼠から大分空いてしまった。

  • 姑獲鳥で驚愕して魍魎で確信して本作はそれらを超えて、読み終えたらもうすごいのひとこと。このひとやっぱりすごい。。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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