文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.92
  • (890)
  • (586)
  • (1040)
  • (20)
  • (8)
本棚登録 : 5315
レビュー : 484
  • Amazon.co.jp ・本 (1408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735353

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 京極堂を主人公とする本シリーズは様々な話が平行で進んでいき、ある瞬間に全てがより合わさり、突然世界の有り様が変わるという構造を持っていることが多いため、あらすじを追うのが非常に難しい。その上ノベルス時代には「本が凶器になる」と言われるほどの大分量のため、読み進めている間に伏線を忘れてしまうということもザラである。一見無駄に思えるような記述も最終的に意味を持ってくることが多いため、本当はメモを取りながら読み進めていくほうがよいぐらいだ。
    本作は「蜘蛛の糸のように張り巡らされた複数の事件が平行に進む」といったテーマもあって京極堂シリーズ(百鬼夜行シリーズ)の特徴が強く出ている上に、これまでの作品で語られた事件や登場人物が参照されているため、よりわかりづらくなっている。なにせ、こちらが前作までを読んだのは10年以上も前である。Wikipediaと解説サイトを横において過去の話を思い出しながらの読書となった。


    本作の主要な事件である「聖ベルナール学院と織作家を舞台にした連続絞殺事件」と「目潰し魔事件」は独立の事件として捉えれば、それほど難しい事件ではない。事実、本作品中でも後者の事件は主人公である京極堂が出陣する前に、警察官である木場が事実上解決してしまう。謎解き役が出てくる作品で、警察が謎を解くというのは極めて例外的なケースであり、謎自体にはそれほど驚きがあるものではないということを端的に示しているといえるだろう。前者の事件にしても、"売春"とか"黒ミサをする組織"といった味付けをのぞいてしまえば、それほど難しい事件ではない。そういう意味において、本作は通常の「謎を解くタイプ」のミステリーではない。

  • 最初、面白かったんだけどなー。
    後半、どんどんよくわらなくなってきてしまった。
    長編大好きだけど、長編すぎて話の流れや人物が自分の頭から抜けてしまった。

  • 京極堂の、シリーズの5作目。

    「あなたが、蜘蛛だったのですね」

    終盤、ホールでの惨劇の後、「あなたが……」との台詞で一旦幕が下ろされた直後、すぐに冒頭に戻って読み返してしまった(苦笑)。
    (同じことした人、たくさんいるはず)

    でも……その時点で読み返してみると、なんだか話が噛み合わない・・・。
    場所がホールではない?
    相手は車イスではない?
    てか、老人でも無さそうだけど??

    ということで、最終章(エピローグ?)まで戻って、ようやく理解。

    そして、そこからさらに冒頭へと繋がるという時系列……。京極夏彦、スゲー。

    ・・・な、1冊(笑)。

    ★4つ、7ポイント半。
    2019.03.12.古。

    ※シリーズ既巻4冊全てに絡むというサービス精神(笑)。
    ・・・既巻から引き継がれたキャラクター多数なのにも関わらず、説明が無ければ探偵と刑事と刑事の後輩くらいしか印象に残ってはいなかったけど(苦笑)。
    ・・・小説家は今回は茅の外かと思いきや、最後に出てきて笑えた。

    ※てか、「うぶめの夏」の事件から1年とちょっとしか経っていないとは……(笑)。

    ※冒頭の蜘蛛の台詞……京極堂の過去の闇仕事に触れているのが気になった。続巻で明かされるのかしら?たのしみ。

    ※……と言いつつ、次は「塗仏の宴」。文庫であっても、いつもの"お弁当箱サイズ" の2冊分。
    ・・・念入りに心の準備がをしなければ、手に取れそうにもないな(苦笑)。

    ※京極作品の文庫版は、分冊形式で売られているバージョンもよく見かけるが、分冊で読む気は全くしない。初めて読んだ京極作品が分冊版でなくて良かったと思う。
    ・・だって、4分割なんぞされた日には、舞台設定の説明だけで1冊とか使われ、次を読む気になれなかっただろうから。

  • シリーズ第五作。巷を賑わす連続殺人鬼とお嬢様学校に伝わる黒魔術の謎が交錯する構図の複雑さはこれまでのシリーズ随一で、読むのに少しでも間を空けると置いていかれるので、難儀な作品だった。結末を冒頭に持ってくる巧妙な演出のおかげで、最終頁まで物語の緊張感が持続していて読み応えはあったが、それぞれの事件や謎の真相が尻すぼみ(【駒】である以上仕方ないのか)だったり、最後に『実はこういう血縁関係だったのだ!』と畳み掛けてくるのは少々興醒め。物語のプロットが複雑過ぎる所為でどこか煙に巻かれた印象も残る。再読必須な作品。

  • 京極堂5作目
    京極堂の動きまで読まれていることが、織り込み済みの中、2つの事件は進んでいる。
    房総の富豪、織作家創設の女学院に拠る堕天使。連続する絞殺魔と目潰し魔。八方に張り巡らされた蜘蛛の巣は木場修らを幻惑し搦め捕る。
    中心に位置するのは誰か?

    まず、開幕当初が犯人の宣告であることが驚きだ。そう言うことかと読後に最終ページから戻ることになった。
    初見では犯人を推理するヒントを探していたが、よみだすにつれ、全く気にならなくなった。途中のあることから蜘蛛はわかるでしょう。それよりも全体的に匣と似ていることが気になった。ただ蜘蛛の巣というだけあって作りが違うためどう繋がるのかが、よめなかった。
    蜘蛛、視線、女がからんで以前のシリーズも事件に絡んでいることがつらい。
    死亡人数は多く、凄惨な事件だったが、読後は清々しく感じられた。なんだ、恋愛小説かとも思った。
    女性が中心のシリーズは切ない話しが多い。男性は事細かく描かれるが女性はそうではない。そのためその人なりの読者の考えがあるのだろうが、女性たちは印象に残る。
    また、5作目ともなると、以前のシリーズからの登場人物が出続けることはあるが、最初は読みにくい。
    ただ、シリーズではここまでの最高傑作と言えるかもしれない。そして、未だ蜘蛛の意図が自分の考えるものと同じなのかわからない。

  • 解説も含めると、文庫本で約1400Pという分量ですが、主人公の京極堂が(正式に)登場するのが830Pでやっと・・
    ここまでは木場と榎木津が活躍してくれます。
    それにしても、殺しのきっかけが化粧の香って、そんなのがきっかけになるなら殺害される方もこんな数では済まないでしょうね。
    また、女系家族の維持だとか男女平等だとか男根主義だとか両性具有だとかいろいろと出てきますが、単なる京極堂の雑学披瀝で終わっている気がします。
    そして、いつものことですが、京極堂が登場してある程度事の真相が明らかになり、さらに犯行が起こりえることも予想しているのに、止められない、ではなく止めない(止める気がない)としか思えないワンパターン展開にはうんざりです。
    最近、土方歳三を主人公にした小説を出したようですが、作者の路線変更(?)は正解ですね!

  • 物語が複雑でしたが、とても好きです。伏線すべて回収すると気持ちいい! ってなりました。

  • よくもこんなに複雑な事件を思いつくなあとただただ驚嘆。
    犯行動機について腑に落ちない点が多々あり、以前はそれほど本作への個人的評価は高くなかったが、「たまにはね」というサイトの解説記事を読んで評価が一変した。
    本作を読み終えて引っかかりを感じている人は一度見てみては。

  • 付箋だらけになってしまった。
    再々読してしまうかも、シリーズにまた手をだしてしまうかも。

  • 職場で昼休みに読書してたら「辞書なんて読むの?!」と突っ込まれたほど分厚かった。
    本屋で全シリーズが並んでるのを見たが、1作目と比べるとかなり厚みが増している。

    肝心の中身は、前作までに比べると非常に分かりづらかった。点と点の間が離れすぎていたせいだと思うが。
    宗教的なもの、怪異から少し離れて、現実的な話だったなとも思う。
    当時の時代が背景にあり、世代交代の影響下に上手く乗ってしまった事件のように思った。

    しかし毎回毎回、複雑なストーリーを考え出せるものだ。
    その代わり漫画化はし易そうだ。

全484件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)のその他の作品

京極夏彦の作品

ツイートする