盤上の敵 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.43
  • (80)
  • (165)
  • (308)
  • (42)
  • (12)
  • 本棚登録 :1224
  • レビュー :168
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735636

作品紹介・あらすじ

我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子が人質にされた。警察とワイドショーのカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム!末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。はたして純一は犯人に王手をかけることができるのか?誰もが驚く北村マジック。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 内容(「BOOK」データベースより)
    我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子が人質にされた。警察とワイドショーのカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム!末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。はたして純一は犯人に王手をかけることができるのか?誰もが驚く北村マジック。

    最後の最後だけを読まる為の叙述ミステリーとは一線を画します。人間ドラマをたっぷり内包した素晴らしい作品です。びっくりもしますが、それまでに至る部分も文句なしに染み入ります。

  • テレビ局勤務の主人公の自宅に、猟銃を持った逃亡犯が立てこもる。犯人との電話で、妻を人質に取っていると聞かされた彼は、警察を頼らず犯人と直接駆け引きし、妻を救おうとする。
    ある女性が過去を回想する。中学時代に出会った同級生から受けた様々な酷い仕打ち……。

    物語は上記二つのエピソードが交互に進む。その二つがまさかこう繋がるとは思いもよらず、ラスト近辺はノンストップで読み進めた。
    トリックに驚いただけではなく、「この世で最も残酷なのは人間だ」と私が常々思っていることが主題の一つになっていることで、忘れられない作品になりそうだ。

  • 叙述トリックものが読みたくて、紹介されていた本作を読みました。
    読みやすくて一気に読めたけど、肝心のトリックより話自体の重さの方が引っかかった感じ。

  • 〇 トータル 
     いじめをテーマにした作品は,自分自身が過去にいじめられた経験もあって,非常に心に残る。しかし,この作品は,どうにも好きになれない。いじめが胸糞悪いという点もある。こういういじめより,どこにでもありそうなささいないじめの方が感情移入ができるというか…。さらに,末永友貴子のキャラクターが好きになれない。話全体が救いがない上に,ラストもなんとも言えない。いっそ,もっと救いがないラストにした方がよかったのではなかと思える。玄人筋の評価が高い作品だが,個人的には好きではない作品。評価も絡め。

    〇 事件の概要
     末永友貴子は,学生時代から自分をいじめていた兵頭三季を殺害してしまう。友貴子の夫,末永純一は,友貴子から兵頭三貴を殺害したことを知らされ,どのように死体を始末するかを考え,友貴子の身をホテルに移し職場であるテレビ局から帰宅すると…自宅が殺人犯,石割強治が自宅に立てこもり,妻と誤解している兵頭三季の死体を人質にしているという。
     末永は,石割と取引きをし,石割を逃がすことに協力し,兵頭の死体を始末すると同時に,石割を毒殺する。

    〇 サプライズ ★★☆☆☆
     石割による末永家の立てこもりについての章と,友貴子による過去のつらい思い出の告白の章が入れ替わりに記述されており,分かりにくくなっているが,人質になっている友貴子だと思われていた人物が,兵頭の死体という点がサプライズ。この部分は叙述トリックというか,あえて詳細を書かないようにし,読者の誤解を促している。確かにこの真相は見抜けにくいが,特にこれといった伏線もなく,明かし方も驚かそうという雰囲気ではないので,サプライズはそれほどでもない。よくできているなと思う感じ。

    〇 熱中度 ★★☆☆☆
     北村薫の作品らしく,人物もきちんと描かれており,文章もしっかりしているのだが,文体があまり肌に合わない。章ごとに視点が変わるのも,物語への没入を阻害する。あまり熱中できなかった。

    〇 キャラクター ★★☆☆☆
     主人公の末永純一,その妻でヒロインの友貴子,兵頭三季,石割強治など人間はしっかり描かれており,キャラクターは立っている。とはいえ,いずれも好みのキャラクターという感じではなく,あまり魅力を感じなかった。

    〇 読後感 ★☆☆☆☆
     読後感はよくない。まえがきに「読んで,傷ついた」というお便りを頂いたと書いているし,作者自ら「物がたいを読んで慰めを得たり,安らかな心を得たいという方には,このお話は不向きです」と書いているし,解説も同様の記載がある。物語の途中の兵頭三季によるいじめの描写は胸糞わるいし,最後は,純一が石割を殺害するわけだ。人間が描けているだけに,妙に印象に残ってしまい,読後感の悪さが残る。

    〇 インパクト ★★★★☆
     兵頭三季の胸糞わるくなるいじめシーンや,どうにも好きになれない友貴子の内面描写,たてこもり事件をテレビ中継するというストーリーなど,インパクトは十分。忘れにくい作品である。

    〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
     直木賞作家である北村薫の代表作の一つ。北村薫ファンが好きな作風ではないだろうが,手に入りにくくはない。古本屋でもたくさんおいてある。希少価値はない。

  • さすがとしか言いようのない。
    チェスのキングとクイーンに見立てて、二人の夫婦が交互に語るという斬新な書き口から、だんだんと真実が見えてくるというミステリー。
    ただし、前書きにもあるようにこの小説は万人にはうけない。読み進めていくうちに悲しみや怒り、生々しく身の毛もよだつ恐ろしさを多々感じた。この重さを耐えられる状態で無ければ読まないほうがいいと思う。

  • 読み終わってかなり時間がたってからのレビューだが,細部はともかく終盤でのジェットコースターのような伏線巻取りと展開,トリックで,読後感の悪さよりも圧倒された感が記憶に残る作品.
    普段の北村作品を読んでいるかどうかで印象もずいぶん変わると思うし,冒頭のメッセージは北村ファンには必要な一文だと思う.
    前向きで魅力的な北村ヒロイン作品もよいのだが,つらく重いこの作品も北村さんの美しい文章とのコントラストがなんとも印象的.
    また再読して伏線とトリックをかみしめたい.

  • 北村薫は覆面作家シリーズ以来なんだが、覆面作家シリーズのようなふわふわほのぼの路線を期待して読むとえらいめにあう。
    ノベルズ版のまえがきにはこう書いてある。

    「あらかじめ、お断りしておきたいのです。今、物語によって慰みを得たり、安らかな心を得たいという方には、このお話は不向きです――と」

    で読んでみるとまさにその通り。弱ってる時には読まない方がよい本。

    時系列に沿って話がすすむ部分と、登場人物(複数)による独白や回想の部分が混ざっており、最初はよくわからないまま作品の世界に入っていくことになるのだが、読み進めていくうちにはっきりとわかってくる。
    ただそのはっきり現れてくる世界が、良いものかというと、弱っている時には勘弁してよ、という世界ではあるのだが。
    タイトルの「盤上」というのがチェスだということは、表紙を見ればわかるし、目次をみてもわかる。
    誰と誰の戦いなのかは読み進めていくうちに明らかにされていく。

    普段は本は通勤の電車の中でしか読まないのだが、続きが気になったので、家でも結構読んだ。
    そのくらい面白かった。
    でもねえ、読後感がねえ…

    弱っている人には★1つ。元気な人には★4つくらいで。

  • あるテレビ関係者の家庭に、猟銃を持った殺人者が立てこもり、主人公の妻が人質にされた、それを何とかしようという話。
    章立てとかはチェスに見立てられているが、内容は直接関係なく、主人公の機転や行動をチェス上のシーンとリンクさせている程度。
    後半に「騙された!」と思うところがあり、それを整理できたと思ったらまた騙される、それが何箇所もある面白い作品だと思う、最後のほうは書いてあることが何も信じられず、著者の思う壺だったと思う。
    進行中の内容と関係者の回想等が交互に出ており、上記の騙しの伏線がいい感じに構成されていたように思う。
    残虐な内容が前面に出ており、前書きに書いてあるが人によっては確かに受け入れ難いかも、俺もGW最終日に読むものとしてはちょっと選択ミスだったかも…
    けど話に入り込めば比較的すらすら読み進めていけるようなものだった。

    上記のように、前書きで残虐な内容が多く人によっては悪い評価になることが書かれており、特に女性から胸糞悪くなるといった評価が多いことも書かれている。
    けど個人的には、男からしてもゾッとするような内容だった、けど実際に起こりえないことではなく、だからこそ見入ってしまう内容でもあると思った。
    注意されているように、心を休めたいという人には向かないと思うけどねぇ。

    個人的に気になった内容、主人公の妻に関する回想の中の言葉。
    「心があるっていうのは、自分のだけじゃなくて、外の人の気持ちも、想像するためだと思うんです。」
    俺個人の考えはちょっと違うけど、こーゆー小難しいことを考える人であることを考慮すると、時々ある夫(=主人公)との何気ないやり取りも色々思考を巡らせてるのかな、と思わされた。

  • 2018年28冊目。
    北村薫作品は初めてだったので特に先入観なく読めた。
    設定的にはよくあるパート形式だったけど、妻パートが色んな意味で精神的にキツイ。
    トリックは「なるほど、よく思いついたなー」と感心したけどそこまでの感激はなかった。
    うん、たぶん妻のキャラクターが好きじゃないからだ(;^ω^)

  • 北村薫お初!内容の重さは個人的には程よいけど、トイレに連れてかれる場面は目を覆いたくなるくらい暴力的だった。悪側のクイーンの圧倒的狂気。なんで?という理由もない。民族戦争とか狩られる−狩る存在の理由なき実態を引合に、日常が悲劇的な非日常に変貌する流れはゾッとするものがあった。
    物語性に目が行きがちだけど、本格ミステリーとしてはあれ?ってうまい具合に騙されました。伏線の張りっぷりはあからさまだけど、なんでこんなことしてんだろうって種明かしまでわかんなかった。途中から悪クイーン登場の時点で閃く人は閃くのかな。

全168件中 1 - 10件を表示

盤上の敵 (講談社文庫)のその他の作品

盤上の敵 単行本 盤上の敵 北村薫

北村薫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

盤上の敵 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする