ヴァイブレータ (講談社文庫 あ 90-1)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735803

感想・レビュー・書評

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  • この小説を読んで「どうしてあたしのことがここに書いてるんだろう」と思った人がいたらしい。

    そんなふうにすべてに共感はできないけれど、主人公の「頭の中の声がうるさい」というのはわかる気がする。
    そして、コンビニで出会う「おかべたかとし」の優しさは、主人公を声から開放して、ほんのひとときでも安心感をもたらしてくれる。
    アルコールと食べ吐きから逃れられない女性ライターが、コンビニで出会った運転手のトラックに乗って、そのまま四日間ついていく、ただそれだけの話なんだけど、なんだか余韻の残る小説だった。

  • 心のヒリヒリ感が痛い

  • 一つの原点回帰。
    男の胎内たるトラックで壊れかけのフリーライターが包まれ、純度を上げていく。
    喰い喰われ溶液のように混ざり合い、上がっていく。
    振動し続けていたノイズが柔らかに消えて。

    行き詰った時、大元に立ち返って調子を取り戻す事がありますが、人としてそうなった時に戻る場所がそこなのかな、と。
    つまりは、ぬくもりが。身を委ねられるものが。

  • 今まで触れたことのない文章で吃驚してしまった。
    これはこれで面白い。
    共感は出来ないが、ああ、どこかで感じたことがある空気だな、と読んでいて懐かしく思う場面が多多あった。
    揺さぶられるほどの衝撃は無いが、頭の体操として読むには十分楽しめる。
    どうしようもなく孤独な作品であった。

  • アルコール依存のライターさんと行きずりの実直なトラック青年運転手との心と肉体の交流。
    読んだ後に旅は距離でなくて道連れと内容だなーと勝手に思ったりしてました。

  • 10年近く前に映画を観て、図書館でふと目にとまったので読んでみました。

    そこまで映像に興味のない私ですが、一回観たきりの映画のシーンを今でもしっかりと思い出せるくらい印象に残っています。

    映画を見ずに読んだら、どうだったんだろう。
    何だか人の頭の中を盗み見してる気分になる
    言葉の綴り方。

  • 私が此処に居る、私が此処に在った。

  • 摂食障害&アルコール依存症のルポライターがコンビニで会った男の長距離トラックに乗り込む。

    『食べたい』『あなたにさわりたい』『この人が優しいのは感情でなく本能』『自分がいいものになった気がした』

    印象に残る言葉がたくさんあった。

    主人公の抱えてる心の闇は、私にはよく分からないけど…。
    しかし、これでもかっていうくらい作者の書く文章にいい意味で疲労を感じたな。

    後から、寺島しのぶ&大森南朋で映画化されてることを知り、イメージが膨らんだ。
    早く映画も見ようっと。

  • 「話す」ことと「言葉」について怒濤のように現れる「女性」のことばで書きつくした、悩み訴えかけてくる小説。構成の意図の記述とかとても良かったけど、しっかりしているが追いつめられている?主人公が冒頭のきっかけだけで、男にすがるようにしていってしまうのが疑問。

  • 約10年前に一度読み、そのあと映画版を見た。
    当時思っていた印象と違う印象を受けた。
    アルコール依存と食べ吐きをするフリーライターの女性と、トラックの運転手の4日間の旅。言ってしまえば行きずりの関係ではあるが、だからこそ共存できる関係というものが見えた。
    今の自分にとっては、難しすぎる話。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。作家。95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙』『ミューズ/コーリング』(共に河出文庫)、『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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