半パン・デイズ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735971

作品紹介・あらすじ

東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。慣れない方言、小学校のヤな奴、気になる女の子、たいせつな人との別れ、そして世の中……。「青春」の扉を開ける前の「みどりの日々」をいきいきと描く、ぼくたちみんなの自叙伝。


小学生のころ、どんな少年だった?
海沿いの町にぼくは越してきた。

少年時代を描く傑作長編

東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。慣れない方言、小学校のヤな奴、気になる女の子、たいせつな人との別れ、そして世の中……。「青春」の扉を開ける前の「みどりの日々」をいきいきと描く、ぼくたちみんなの自叙伝。

感想・レビュー・書評

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  • 1999年初版。著者の描く少年や少女に出会うたびに、自分の子供の頃に立ち返ります。当然、登場人物たちと同じような経験をしているわけではないんですが、懐かしくなります。特に主人公の子供たちと、ほとんど同じ時代を生きてきた私にとっては登場するものに親近感や懐かしさ感じます。著者の本を読み終わると心が、すぅとします。少し泣きました。解説を書いている中場利一さんのおっしゃる通り、重松清さんは優しいなあと思いました。

  • この作品は重松氏の自叙伝的作品です。
    小学生時代のお話。
    切ない青春時代。
    とてもいい作品でした。

    重松氏は私が大好きな岡山県出身と聞いて親しみを持っていましたが、あとがきを読んでわかったうれしいことが一つ。
    実は生まれは私の職場のある大阪市東成区とのこと。
    びっくりしながらも とてもうれしく思いました。
    年齢もそれほど離れていないので、もしかして少しは関係があったかも、、

  • 小学校に上がる前に東京から瀬戸内の小さな町に引っ越してきたヒロシの小学校入学から卒業までを描く。喧嘩、スポーツ、初恋なんかを通してヒロシが成長する姿がいい!親や周りの大人との世界から友人との世界にひろがる様子もうまく描かれている。
    時代は違えど小学生の頃の自分を思い出し、愛しく思った。みんなの自叙伝というのにも頷ける。

  • 学童期の一番繊細だった頃の自分を思い出させる作品。親の話に口出せずじっと聞き耳たてながら心配してた幼い自分がいたこともこの作品に会うまで忘れていた。あれは自分だけの感情ではなかったのだな、と今さら気づく。本当に素晴らしい作品です。

  • 小学生の青春成長物語。
    重松さんと同年代なので、とても懐かしく思いました。
    テレビが白黒からカラーに代わったな。お菓子は食べずにライダーズカード集めてたな。等々
    ヒロシとヨッさん、優子ちゃんとの別れの場面は良かったな。
    チンコばあちゃんは泣けました。

  • 1970年代に小学生時代をおくった作者のパラレルワールドといえる話。令和の今日には味わえないレトロな、昭和的な、回帰的な物語。少年の頃の思いが丁寧に書かれている本。

  • 小学校入学前に両親と父の田舎に引っ越してきたヒロシの小学校卒業までのお話。
    ガキ大将の吉野君とけんかしながらも仲良くなっていきほほえましかった。
    個人的には途中同居していたおばあさんをヒロシがちんこばばあと心の中で呼んでいて、出てくるたびにくすっとなった。

  • 主人公と自分の思考が似過ぎていて、何を考えてるのか手にとるように分かる。それでいて、とてもイラつく笑
    なんでもっと素直になれないんだ、そんなことで悩んでるのはアホだ、などなど
    けど、本人の立場からすると一つ一つが重大なことで毎回真剣に悩んでるんだよな
    そんなことを考えながら楽しく読めました。

  • 重松清は読んでてホッとする。
    東京から親の故郷の瀬戸内へ移り住んだ小学生。田舎での小学1年生から6年生への成長の軌跡を描く。いけ好かない同級生との交流、いまいち折り合いが悪い父親との関係性、上級生になるに連れ増えてくる責任。方言の中にちりばめられている。
    こんな小学校時代っていい。

  • 子供ってこうやって成長していくんだ。
    子供を信じて、あまり手を出しすぎずに、自分で悩みながら成長して欲しいと感じた。
    今の時代、こんな男らしく育つのは難しいかな?でもこうあって欲しい!

  • 小学1年生から6年生までの成長を描いていた
    自分の小学生時代と照らし合わせれて面白かった

  • ・10年ぶりくらいに再読。
    ・「みんなの自叙伝」という謳い文句に偽りなし。「こんなことあった」と思わせるエピソードの連続。
    ・特に上田君のエピソードが最高。僕の小学生の頃にも上田君みたいな友達はいたし、自分も上田君的なところはあった。
    ・改めて読んで気付いたけど、この作品はたぶん1975年の春で終わってる。『赤ヘル1975』はこの直後の時代が舞台で、テーマ的に通じる部分も有る。

  • 広島の方言と共に成長する少年が可愛い。

  • 70.80年代に小学校時代を送った世代には、読んでてなんとも懐かしい。
    そうそう、こんな感じだったよね。
    瀬戸内の田舎に引っ越してきた少年の成長物語。
    馴染みのある方言が心地よかった

  • 小学一年生のヒロシは東京から父の故郷である瀬戸内に引っ越してきた。

    慣れない田舎生活に戸惑いながらも、友達や両親、父の兄であるヤスおじさんやヤスおじさんの会社の人たちとたくさんの時間を過ごすうちに、気づいたらいつのまにかこの小さな町がヒロシのふるさとになっていた。
    一人っ子で内気なヒロシが少しずつ逞しくなっていく、小学校で過ごした6年間の日々を、9つの章で描いた物語。

    とても重松清さんらしい一冊。
    少年たちの心の小さな機微を描き出すのがとても上手い。大きな事件があるわけでもないんだけど、それがまたリアルなんだよね。ヒロシの友達の変遷も見所。小学校って、いつのまにか一緒に遊ぶ友達って変わっていたりする。
    ガキ大将ヨッさんといつの間にか良いコンビになっているところも好きだな。あと、ヒロシが初めて方言を思わず使って叫んだシーンも印象的。
    (私は生まれも育ちも東京だから分からないけど、方言ってそこに住んで何年か経てば染み込んでしまうものなのかな?私はどこにいっても標準語以外使えない気がする)

    後書きを読んだら、こちらの本、重松清さんの少年時代も所々入れ込んでいるみたい。時代も合わせているよう。

    ヒロシ少年が大人になったストーリーもいつか読んでみたいものだ。

  • 解説を書いている中場利一の言葉を
    お借りするなら、

    「どいつもこいつも愛すべき人たちだし、
    その他の登場人物全員に血がかよっているから
    全員の顔も違う、目線も違う」

    とても納得がいく。

    はたして小学生の子どもに
    ここまで細やかな思索や思慮があるかは
    不明だが、リアルな感じがした。

    残念なのは、
    私が妹尾河童の『少年H』の次に読んでしまったので、
    世界観がごちゃごちゃになってしまった。
    ただ、これは私の問題ではあるが。

  • 面白かった。
    重松清と、懐かしい思い出を共有したような気分。

  • 「彼は僕たちと同じ教室で、違う時間を過ごしていた」

  • 半ズボンで過ごした日々、つまり小学生時代の6年間を少年ヒロシの視点から綴った小説。東京から海の近くの地方都市(方言から岡山と想像される)に親の都合で転居したヒロシが、トーキョーとあだ名される奴からしだいに地元のヒロシになっていく9つの過程が描かれている。横暴ゆえに嫌っていた吉野が、いつしかライバルになり、いつしか親友になり、共に甘酸っぱいまだ青にならない緑色の青春を経験する。小学生男子はこんな生きものだった。ちょっと難点があるとすると、小学低学年のヒロシが賢すぎるところか。

  • 最近、私が買った本を娘が先に読むことがチョクチョクあります。
    この本もそう。受験勉強から逃避したい娘が半日で読みきってしまいました。
    読後の彼女の感想は「さわやかな青春小説、違った。。。みどりの日だった。」とのこと。確かにね。
    舞台は多分、広島県福山市。時代は大阪万博の頃。
    私にとって、近い場所、近い時代の小説です。今はあまり聞かなくなった方言(広島弁)も随所に出てきます。
    主人公のヒロシやライバルでガキ大将のヨッさん。運送屋の社長のおじさんと娘の優子ちゃん、社員のシュンペイ。みんなが色んな悩みを持ちながら生き生きと描かれています。
    なんだかとても懐かしい。そして爽やか。そんな読後感の小説でした

  • 小学校の頃の思い出の本!

  • 重松作品らしさがまた存分に出ている内容。自分も小学生時代にこんなことがあったなと懐かしくなるような作品。

  • 同年代の作者なので何となく1970年代の雰囲気を感じて懐かしかった。

  •   「君は心優しきエゴイストなり」。

     ある小説の台詞が想起される小学生たちの物語。そして、小学生であるがゆえに、そのエゴイズムは無邪気さ、無垢さに彩られる。

     東京から田舎に越してきた小学生ヒロシが出会う数々の出来事。それはカルチャーショックから始まり、日常の風景へと転化していく。
     そこで繰り広げられる少年たちの無垢なるエゴイズムは時に人を傷つけ、あるいは自分が傷ついていく。そんな青春未達の物語である。

  • 小学生の成長がみれてとれる。
    引っ越してきた時はどうなるのだろうとか、読んでて不安になったけど結局最後は良い友達と良い時間を過ごせたように思う。
    ずっと青春のように思うけどヒロシが言ってたようにみどりなのかも。
    不安だらけだったけどやっぱり住めば都だったのだろう。

  • 東京から、田舎に越してきた小学生が主人公のストーリー。いくつものテーマがあるが、一貫しているのは小学生の頃に起きたあの頃のアレコレ。何故か自分自身にも当てはまるであろうエピソードがいくつも盛り込まれているように感じるのが重松清の素晴らしいところかも。
    ・身体障害者の友達
    ・近づきにくいチンコばばあ
    ・父親たちの世界

    小学生→中学生になる瞬間、
    少しずつ見えてくるものが一気に増えてくる時期のあのころの感情が湧き上がる。やはりこの人の作品はとても好きです。

  • 矢沢ヒロシ少年記(小1-小6)
    父親の体調不良によって、父方の瀬戸内地方に、東京から引っ越してきた。

    ○⑧アマリリス
    少年の不文律。破らない・破れない決め事。
    他人から決められたものではなく、
    自分のために、自分が守り続ける、決め事。

    これが、やさしさ・他への思いやり・自身への強さ
    これを自分で見つけ、大切にして欲しい。
    悩みながら、これを守り。
    自分・みんなを守るため、必要な時に思いを爆発させ、伝える。
    ヒロシは、紛れもなく、つよく・やさしい男です。

    ○⑨みどりの日々
    恋愛・理想・友情。が、懐かしく、うらやましい
    吉野とヒロシは「青春:青の前のみどり」と言うけれど
    私は、これぞ「青春」じゃと思います。
    3人の息子にも、こんな道のど真ん中を通って来て欲しい。

    -----------------
    ・①スメバミヤコ
    ・②ともだち
    ・③あさがお
    ・④二十日草
    ・⑤しゃぼんだま
    ・⑥ライバル
    ・⑦世の中
    ○⑧アマリリス
    ○⑨みどりの日々

  • 僕がある日田舎に引っ越してきてから、小学校の入学から卒業までを描いた話。都会っ子の主人公や母親が章を進めるごとに方言が自然になってくる。それに伴い回りの登場人物たちとの距離感が縮まっていく感じが上手く出ていた。
    タイトルの妙というか、まさに半パン・デイズ、とてもいい。

  • 40/186

  • 2009

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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