シェエラザード(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736091

作品紹介・あらすじ

昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていく-。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 戦時中に人道支援で運行していた船がアメリカの攻撃によって沈んでしまったことがありました。だんだん記憶が薄れていくほど時間がたったころ、台湾の実業家がこの船を引き上げる話を主人公に持ってきます。

    一気に読めるくらいなかなか面白い作品です。戦争のこともありますが、金塊というお宝のこともあるの、エンターテイメント性もありどんどん引き込まれていく幹事でした。

  • 面白い。
    現代と敗戦が色濃くなって来た第二次世界大戦末期とを巧みに交差させ登場人物の苦悩と背景を描いて物語りを紡ぐ。
    戦時の描写は内容的にも表現にしても読み辛いのだが、それを踏まえてのストーリーであることを理解して、ここはひとつ修行として読んだ。この上巻では、まだやっと登場人物が出揃って謎が謎を呼んでいる段階ではあるのだが、下巻への期待は、空気をパンパンに吹き込んだ風船のごとく膨らんでいる。
    エンターテイメント作品としては十二分なスケールを持ち備えているように思うのだが映画化されてないの?

  • 一気に読めました。終戦直前の昭和20年4月、人道支援の目的で運航していたはずの日本の豪華客船、弥勒丸が日本への帰路途上で米国の潜水艦に沈没させられてしまいます。軍艦に間違えられたのか、それとも意図的な沈没だったのか。時代は過ぎこの事件の記憶も薄くなってくるなかで、ある台湾人実業家が弥勒丸引き上げ話を主人公に持ちかけてくる、というようなストーリーです。これは昭和20年4月に実際におこった「阿波丸事件」がベースになっているのですが、本書を読み進めながら犠牲者の方々に対してご冥福を祈りさせてもらいました。

  • 引き込まれて一気に読了。
    もともと浅田さんの地下鉄に乗っては好きだったが、
    こちらはファンタジー(?)要素が無い分、より入り込めた。
    終盤の独白のあたりで真相が読めて、久々にゾクゾクと鳥肌が。
    過去〜現在を絡めるのがほんとにうまい。
    それに尽きる。
    逆に過去の方々(読み終えたばかりだから敬意が抜けない)の心情が深過ぎて現在の2人がうっすく感じるけど、聞き手&繋ぎ手として必要だからなぁ。
    序盤は戦時中の話が複雑に絡んで小難しく感じるかもだけど、読み進めれば、読ませる力がほんとすごいから。
    どうしても比喩表現から男のロマンっぽくされそうだけど、そんな一言では終われない良さがある。
    ラスト、物語の終わりで終わるとイマイチだったと思うけど、そのあとの数ページが余韻残しててよかったー。

  • 終戦間近に客船の弥勒丸に白羽の矢が立った。その命令は緑十字を旗印として捕虜に救援物資を運ぶこと。日米間の協定で安全航行を保障されているが、米軍から4発の魚雷により2000人以上の乗船者の殆どが死亡し、救助されたのはたった1名だった。物資運搬以外にも金塊の運搬をするという第二の命令を受けていた可能性がある弥勒丸。現代に弥勒丸の引き揚げに、国、ヤクザ、元軍人の思惑が交差する超大作。魅力的な登場人物の久光律子。その美しい外観を呈する弥勒丸と雰囲気が重なる。彼女達の運命と戦時中の悲哀を大いに堪能しよう。

  • 次の日日本に帰るから、絶対に夜ふかしできないのに、面白すぎて下巻まで一気読みした記憶がある。泣かせるんだよね〜。みんないい人で。ラストにびっくりして声上げました。
    浅田次郎の中で1番面白かった。

  • 浅田次郎の代表作に推す人も多いのですが、私には少し。。。
    一つには読んだ条件が悪かったこともあります。なにせ米国出張先で、時差ぼけに悩まされながらでしたから。何となく目が上滑りすると言うか、読み返したら記憶に無い部分が所々にあります。しかし、それにしてもやや冗長な感じは否めません。
    そういえば、私が最初に読んだ浅田作品は「日輪の遺産」で、これも第2次大戦ものでした。しかも感想は良く似たような感じです。どうも浅田さんのこの領域とは相性が悪いみたいですね。むしろ帚木さんが書いたら、かなり受けるのでしょうけど。
    とは言え、悪い作品とは言いません。それなりに面白い内容だと思います。ただ、私との相性が悪いのだと思います。

  • 終戦間際、軍の徴用船として捕虜の食糧を運んでいた弥勒丸が、台湾海峡で誤爆により沈められた。
    弥勒丸のサルベージを巡り、3人の男女が、謎の中国人に難題を投げかけられる。

    感想は下巻で。

  • 小説の舞台も興味深いし、話の進め方もすごく好き!だけど、恋愛的要素は邪魔かも。。。個人的な好みだから、言ってもしょうがないのだが。

  • 単行本で読みました。面白かったです。筆力を感じました。ただ、女性の書き方がちょっと苦手です。大げさで芝居がかった男の考えた女って感じで読んでいてムズムズしました。女性作家の書いた男を男の人が読むと同じように感じるのでしょうか?「こんな男いねーよ」とかね。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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