A2Z (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2991
レビュー : 389
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736237

感想・レビュー・書評

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  • 誰かを好きになるのに
    きっと理由なんかないと思う。
    “会いたい順位が1番の人”より
    “失いたくない順位が1番の人”と
    恋愛して結婚したい。

    そんなことを考えてしまうお話。

  • なんてかっこいい本だろう!!って思った。

    バリバリ働くキャリアウーマンで、結婚もしてて
    だけど夫婦はいまでも仕事上のライバルで。

    お互いの浮気?というか恋愛は2人が互いに大切な存在だと気づくためのスパイスのようなものだったというのが個人的な解釈。

    『女友達が落ち込んだ時に必要なのは、
    一緒に泣いてくれる相手じゃない。

    乾いた笑いとおいしいお酒を提供してくれる女友達だ。』

    そんな大人になりたいものだ。

  • ストーリーの骨子がすごく大胆なのに、それをなんでもない風に、さも普通のことのようにさらりと語られる。

    だからこそ、自分は主人公と恋愛の状況も立場も全くもって異なるのに、彼女を通して語られるさまざまな感情描写は、まるで自分も体験したことがあるかのように感じるのかもしれない。

    すごく好きで何度も読み返した箇所はこちら。

    「寂しさは恋を容易にするよ。そこに付け込まれてないだろうね」
    「少しだけつけ込まれているかもしれません」

    そして主人公はこう考える。
    「そうだ、口惜しいけど、私は、やはり寂しかった。その寂しい気持が、私に力を与えたような気がする。でも、それは、寂しかったから誰かを求めた、というのとは違う。寂しいなんて、いかにも、か細い感情だけれど、その瞬間は違ってた。ありったけの温かさや笑いや情熱を吸い込むための空洞を作ってくれた。」


    きっと、この先もなんども読み返すことと思います。恋に落ちてしまったとき、恋に落ちそうな自分を食い止めたいとき、恋する気持ちが懐かしくなってしまったとき。

  • 恋愛てきっと、始めることよりも続けることの方がずっと大変。
    非日常な恋愛が日常になるとき、壊れてしまうような関係の方がきっと刺激的で儚い。
    けど、成生との恋よりも一浩との生活の方が羨ましいと思うのは、そっちの方が貴重でリアルで失えないものだから。
    ことばに出来ない部分を小説にしてくれたような恋愛小説。読みやすくてとてもよかった。

  • 「たった二十六文字で、関係のすべてを描ける言語がある」

    温めたい理想もヒヤリとする現実もリアルに落とし込まれた一冊です。セクシーで知的、ユーモアと遊び心に溢れた大人の恋愛小説。

    仕事ができ、大切なものをちゃんと大切にできる、困難を前にしても背伸びしたり無理したりするようなことはなく、けれどしっかり前を向くことのできる主人公がこの本の最大の魅力だと思います。
    不倫、浮気、結婚……恋愛のなかで絶対的に定められていたり、あるいは雰囲気で「良い」「ダメ」と決めつけられがちな「恋愛のルール」のようなものが世間には確かにあります。それを認めた上で、けれど結局のところ、世間がどうだと定めたところで恋は人と人がするもので、その関係性の中で育まれ得る様々な愛や恋の形を、文中に登場するAからZまでのアルファベットが主人公を通して読者に伝えてくれます。

    不倫や浮気をテーマにする物語にも関わらず読了後に物語全体に対して明るい印象を抱くことができるのは、山田詠美さんの軽やかで巧みな文体のためだけではなく、主人公を初めとする登場人物たちの、他人に流されることはなく自分の中の軸や生き様を貫き通す力強さにあると思います。

    何度よみかえしても面白いです。

  • 2018/8/26
    主人公の夏美とその夫の一浩の夫婦生活の話かと思いきや、2人とも浮気してるし、それを容認しながら話が進んでいくので、違った視点から考えながら読んでいった方がいいと思いました。
    簡単に言うと、恋と愛の違いなのかなーとも思ったりしましたが、この独特の世界観での設定はとても面白いと思います。
    妻としての夏美と恋人としての夏美の気持ちの面での描写の違いとか細かく描かれています。一浩サイドの描写は、主人公が夏美なのでほとんどありません。
    夏美の浮気相手の成生も、浮気していることを自覚しながら、それでもなお夏美と付き合おうとするし、もうめちゃくちゃだなあという感じです。でも、はたから見たらめちゃくちゃでドロドロな状態を全く感じさせない文の書き方がされているところが読み終わって何だか不思議に感じた部分でした。

  • 恋に溺れて馬鹿になっている姿が、幸せそうなのにずっと切なさが付き纏っていて、読みながらなんだかずっと悲しくて泣きそうだった。なんなんだろう。

  • 仕事、夫婦、恋人と自分との関係をこんなふうに書いた小説があったなんて。夫に恋人がいても身についてしまっている夫婦間の小さな気遣い。自分がいかに現状の関係の上で傲慢か気づかされた。世間的にどうのではなくあくまでも二人の関係を気づいている主人公夫婦は素敵だった。山田詠美の良さがこの年にしてやっとわかった作品だった。

  • 結婚は契約である。
    でも、関係を表すなかで"夫婦"というものは、必ずある。
    不倫が善か悪か、という話ではなく、夫婦について考えたいときに読みたくなる一冊。

  • 友人みたいな夫婦がお互い離婚し合い戻って来る物語。
    恋愛の身勝手さや、大人の大人になりきれない感が描かれている。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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