Pの密室 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 763
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736619

作品紹介・あらすじ

完全な密室で発見された残虐な刺殺体。周囲のぬかるみに足跡も残さず消えた犯人。そして現場の床に整然と敷き詰められた赤い紙の謎。幾重にも重なる奇怪な状況に警察は立ち往生するが、小二の御手洗少年は真相を看破する。表題作ほか名探偵・御手洗潔の幼少期を描いた「鈴蘭事件」収録。ファン垂涎の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 御手洗潔5歳と小学2年の時の事件。幼馴染の橘えり子さんとひょんなことで知り合った石岡君が聞き書きしたというお話二本。御手洗の生い立ち、その人格の基礎となるような出来事などが分かるような内容ながらミステリとしてもきっちり構成された二作。とても面白かった。ただ、石岡君、鈴蘭事件の発表の仕方といい、なんというか関係者に何の了解もなくどんどん書いちゃってるの大丈夫なの……と思ってしまった。御手洗もスウェーデンでびっくりなのでは。まあ、そんな細かいことは気にしないのかな、彼……。
    あと、鈴蘭事件の出だし、里美のボーイフレンド?の刑事との関係にやたらとこだわる石岡君、相当アレでは。君たち、キスとかしたの?とか、もう、セクハラオヤジもいいとこだよ。美人好きで結構生臭いタイプの人間だとは思っていたけど、30近く年下の女の子にそういう話するのはどうなのー……。

    「鈴蘭事件」 御手洗5歳の事件。ミステリの肝としては、昭和30年という時代の状況でわかったのかな。今ミステリけっこう読む読者であれば、結構基礎知識的なところでもある気はした。「龍臥亭事件」のときに津山三十人殺しを知らなかったのもそうだけど、石岡君の設定、ちょっとずれてきてないですか……占星術の時はあんなにホームズを熱く語っていたのに。
    ただ、御手洗の生い立ち、おじさんとの会話、おばさんの考え方、その完全犯罪の成立など考えると、本当にしんみりした。最後、えり子の話をきいて考え込む石岡君に、じーんとした。御手洗に寄りかかっていたけれど、御手洗こそが孤独であり、彼も石岡君と一緒にいることできっと救われていたのだろうと、そう自分を取り戻すきっかけになるといいね、と思った。

    「Pの密室」 なるほど、「P」ね。面白かった。このトリックはいかにも島田荘司という感じもあり、求めている御手洗ものだ!という感動もあった。
    でも、最後の母子のシーンにも、誰かを救おうとすると他の誰かがつらくなる、告発すべきかどうか迷うキヨシ少年にも泣けてしまった。

    今の御手洗潔や、異邦の騎士での彼がどうして生まれたのか、このような人格の持ち主になったのかが良くわかるし、物語としても、「数字錠」を読んだ時のような感動があって、すごくよかった。「占星術」や「斜め屋敷」「暗闇坂」などの、最初のころのすごいトリックの話もいいんだけど、こういう物語性の高いものもとてもいいなと思った。今まで読んだ島田作品の中でも、私の中ではかなり好きな作品だった。

  • 御手洗幼少期の短編/ これに限らずだけど島田荘司はダメだな/ 日本が嫌いで嫌いで仕方がない/ 後半の刑事は憎き日本人のメタファで無能な害にしかならないオッサンをこれでもかと書いている/ ただの基地外だった御手洗はいまや完璧超人だし/ ただ、後編は感動した/

  • これたぶんむかーし読んだことあると思うなー。
    スズランのほうは一見簡単かと思いきや、大人って怖いわー。
    Pのほうはちょっと難しい。
    しかし事情があるにしろダメなもんはダメだろ、って感想。

  • 石岡くんのドジっ子ポジションは愛さずにはいられない( ˘ω˘ )

    と思っていた私ですが、どうやらその認識は少し改めなければいけない時が来たようです。

    石岡くんねェ…女々しすぎ!(今更感)

    自分の娘でもおかしくない年齢の女性の、存在しない男の影に嫉妬するとか、かなり痛いよ!!

    御手洗が日本にいた頃は、石岡くんにこれでもかとどSな愛のムチを言葉で振るっていたからこのウジウジ感は許せてたんだなァ。
    「そこまで言わんでもええやん御手洗様…」
    と読者を誘導する御手洗様は、本当に石岡くんのガーディアンであると思いました(作文)。

    事件そのものは小粒感です()。
    まあ解決する御手洗様がちんまい頃のお話ですから仕方ありませんね←

    個人的には鈴蘭事件のトリックの方が文学的で好きかなー。Pはね、もうモロに理数系だからね、本能が受け付けないよね←←


    【鈴蘭事件】
    御手洗潔くんが、同じ幼稚園に通う女の子のお父さんの事故死について調べるお話。
    どうして女の子のお父さんとお母さんのお店の床には、透明なグラスばっかりが割られて破片が散らばっていたのかな?

    【Pの密室】
    御手洗潔くんが、同じ小学校に通う女の子と一緒に、有名な画家の先生の心中事件について調べるお話。
    どうして死体の下に敷き詰められていた絵は、血と絵の具で真っ赤に塗られていたのかな?

  • 完全な密室で発見された残虐な刺殺体。周囲のぬかるみに足跡も残さず消えた犯人。そして現場の床に整然と敷き詰められた赤い紙の謎。幾重にも重なる奇怪な状況に警察は立ち往生するが、小二の御手洗少年は真相を看破する。表題作ほか名探偵・御手洗潔の幼少期を描いた「鈴蘭事件」収録。ファン垂涎の一冊。

  • 鈴蘭事件はコメディ。Pの密室は苦しい。
    トリックはまあまあだけど、話としては没個性。

  • キヨシ君幼少時代。こんな頃から天才だったんだなぁ。そして天才故の憂いがすでに。中編2つ、どちらも面白く、切なく読めた。特に「Pの密室」。貧しさが犯罪につながる背景。「鈴蘭事件」は、ラストの理事長への疑惑がうがち過ぎでは、と。完全犯罪とか未必の故意まで言及できるほどの伏線が足りないと思った。石岡君好きだけど、里美に男の影!?で動揺されるのが嫌。里美はいい加減面倒くさいなこのおっさん!と思わないのか(笑)。それと石岡君まで語尾伸ばすのも不快。と、本編に関係ないところでイラついてしまった。

    解説にざっと御手洗さんの経歴が紹介されているのがありがたい。この中で、「御手洗が脳の研究をしているのは石岡の治療のためという説」ということが書かれていたのが、興味惹かれた。石岡君はそもそも脳に障害残ってるんです??頭弱い人だとは思っていたけど。そしてこの説が真実だとすると本当に御手洗さんは石岡君を大事に思っているなぁ…と。

  • 『鈴蘭事件』幼稚園児の探偵。バー・ベルの店主が死んだ日、店の床いっぱいにグラスの破片。店の娘が調達していたすずらんは消えた。頭が回りすぎる御手洗少年の、幼すぎることへのもどかしさが苦しい。
    『Pの密室』小学生の探偵。絵画コンクール審査員の死、140点から136点に減った募集数、血塗られた絵画、ピタゴラスの定理。視点を回しながらの語りは作品に必要な要素だったのかもしらんけど、冗長さが否めなかったかなあ。あと被害者の人柄の不愉快さ、加害者の境遇の悲惨さも相まってあまりいい気分にならないはなし。

  • 御手洗潔シリーズ、12作目。中編集。

    御手洗が子供だったころのお話が2編。子供じみた話になるかと思いきや、これが結構な本格モノ。キヨシ少年がまるでコナン君でした。いや、コナン君は実質高校生だから、キヨシ少年の方が凄いのか、、、。御手洗が女性嫌いになった経緯なども窺い知れ、ミステリとしても、シリーズファンとしてもなかなか楽しめた一冊だった。

  • 御手洗少年の事件簿。
    御手洗が好きな人には嬉しい1冊。
    石岡君が楽しんでてなにより。
    Pの密室はどうにか救われて欲しいと思うが時既に遅し。
    刑事さんと同じ心境で読み終えた。

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著者プロフィール

1948年広島生まれ。武蔵野美術大学卒。『占星術殺人事件』での衝撃的なデビューから現在まで日本ミステリー界の旗手として傑作を多数刊行。同時に新人の発掘にも力を尽くしている。現在その読者は世界に広がる。

「2020年 『改訂完全版 毒を売る女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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