嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 13144
感想 : 940
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736695

作品紹介・あらすじ

バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に向かっている。だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってきた。彼女には殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。ところが…。人間の悲哀を描く新しい形のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 加賀恭一郎シリーズの短編集。
    5つの物語に綴られているのは「人間の悲哀」
    謎に驚かされつつもどこかやり切れない。
    それぞれ哀しい思いを感じる作品でした。
    自分的には「冷たい灼熱」「狂った計算」が印象に残ったかな。
    最後の「友の助言」は、読んだ後背筋が凍る思いなりました。

  • 加賀恭一郎シリーズ第6弾。
    短編集とあって、一冊で様々なストーリーが見れて良かった反面、登場人物のバックボーンや犯行動機などが浅い印象が否めない。
    ただし、事件ごとの加賀の伏線回収はやはりお見事!

  • 加賀刑事シリーズ第6作
    膝の故障が原因で、引退した元バレーダンサーの転落死を捜査する「嘘をもうひとつだけ」 子供を車の中に置き去りにして、パチンコに嵌まってしまう事件の「冷たい灼熱」 娘と、2人暮らしの家で、母親の恋人が殺されていた事件の「第二の希望」 不倫相手と共謀して、夫を殺そうとする「狂った計算」 加賀恭一郎と会う約束の日に、交通事故を起こした、大学時代の友人の事故の謎を解く「友の助言」 の5篇からなる短編集。
    相変わらず、周到な罠を仕掛け、ジリジリと、犯人を追い詰めて行く所は、見事。短編ならではの、サクサク感がいい。
    本書は、2000年4月、単行本として刊行されました。とある通り、《寿退社》や《行かず後家》等、今や、死語となっている言葉が出てくるのが、可笑しい。

  • 【感想】
    タイトル通り、容疑者が様々な嘘を用いて事件を攪乱させ、刑事・加賀恭一郎もまた嘘を用いて事件解決に努める。
    本シリーズのどの作品にも共通しているが、悲哀がただようというか、どれもこれも救いようがないストーリーばかり・・・
    確かにとても面白いけど、読んでいてやっぱり疲れる(笑)

    事件に関係する人々の、色んな「嘘」にまつわるエピソード。
    元バレリーナの演出家のストーリーである「嘘をもう一つだけ」、
    妻を亡くして子どもも行方不明になった男性を描いた「冷たい灼熱」、
    オリンピックを共に目指す親子を描いた「第二の希望」
    モラハラ夫と不倫妻の三角関係の話を描いた「狂った計算」、
    加賀の友人である登場人物の事故に関する「友の助言」などなど。

    どれも面白かったが、特に「冷たい灼熱」と「狂った計算」のドンデン返しが凄まじすぎて面白かった。
    特に「狂った計算」に関しては、短編で完了するレベルではない、濃密さが詰まった作品だったと思う!!

    次は「新参者」を読もうと思います。


    【あらすじ】
    東野圭吾はミステリーをさらに掘り下げた!
    正直に生きていきたいと望んでいたのに、落とし穴にはまりこみ、思わぬ過ちを犯してしまった人間たち。
    そして、それを隠すために、さらに新しい秘密を抱えこむ。
    加賀恭一郎シリーズ

    バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。
    事件は自殺で処理の方向に向かっている。
    だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってきた。
    彼女には殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。
    ところが…。人間の悲哀を描く新しい形のミステリー。


    【引用】
    p49
    ・「嘘をもう一つだけ」一節
    加賀の物言いは穏やかだが、その言葉は美千代の心に突き刺さった。
    この刑事がこれまでに発した台詞を彼女は思い出していた。
    何もかもがすべて、この罠に誘導するための布石だったのだ。

    「あなたの目的は」美千代は震える声で言った。「プランターに触ったと、あたしにいわせることだったのね。」
    「あなたの犯行は見事でした。いたずらに策を弄さず、極力嘘を少なくしようと工夫しておられた。あなたを追い詰めるためには、何とかもう一つあなたに嘘をつかせる必要があったのです。」


    p185
    ・「狂った計算」一節
    結婚すれば相手のことを好きになるかもしれない、そういう形の恋愛だってあってもいいはずだ。
    奈央子はそんなふうに自分を納得させることにした。
    時間が経てば、結婚してよかったと思う日が来るはずだ。

    だが隆昌と一緒に暮らし始めて間もなく、彼女は自分の選択が間違っていたことに気づいた。
    妻にしたということで安心したのか、隆昌は途端に横暴さを剥き出しにし始めたのだ。
    隆雅は奈央子のことを、自分の性欲を満たし、自分のためだけに働く人形にしておきたかったようだ。


    p213
    ・「狂った計算」一節
    この計画は、順調に進んだかのように思えました。
    ところが、全く予期せぬことが起こった。
    なんと、Bに化けたCが事故で死んでしまった。
    Aは途方に暮れたことでしょう。
    しかし、一つだけ幸運なことがあった。死体の身元が判別しにくい状態にあったのです。
    Aは最後の大勝負に出ました。つまり、死体はBであると証言し、そのままCの死体をBとして火葬したのです。

    「犯行可能なのは土曜日だけだ。しかも、君が家を出た後、生きているご主人の姿を第三者に見せなきゃならない。」
    「あたしが家を出た後は、あの人きっとすぐに福井へ行くわ。殺すチャンスなんて、ないんじゃないかしら?」
    「だから」中瀬は声を低くして言った。
    「実際には、君が出かける前に、犯行を終えておこうと思う。」


    p217
    ・「狂った計算」の一節
    「刑事さんの想像とは違っていたでしょう?」
    「計算違いだったんです。何もかも。」そういいながら、彼女は視線を落とした。
    ベッドの中の棺に眠っていたのは、坂上隆昌ではなく中瀬幸伸の死体だった。


    p245
    ・「友の助言」の一節
    加賀は一旦手帳を閉じ、何かに失望したように頭を垂れた。
    しばらくそうした後、椅子をずらし、ベッドに近づいてきた。
    次に上げた表情には、何かを訴えるような切なさがあり、萩原はどきりとした。
    「なぁ、萩原。本当のことをいってくれ。おまえは何かを飲んだはずなんだ。もし忘れているなら、思い出すよう努力をしてくれ。」


    p260
    「未必の故意だ。犯人はその犯行がうまくいくことを望んでいるが、仮にそうならなくても仕方がない。そういう種類の犯行だった。」

  • 加賀さんシリーズということで手に取ってみたけれど、短編集でした。
    短編なもので展開が早く、すでに発生した殺人(未遂)事件に、加賀さんがあっという間に核心に迫っていく。
    加害者は身近な人を殺め、自分をかばうために嘘をつく。
    誰が加害者かは最初からほぼわかっているので、どういう嘘をついていて、加賀さんがどういう風に暴くのかに主眼があった。

    加賀さんは徹底した聞き込みと裏付け調査をもって、嘘をどんどん暴く。
    人を殺したのは当然悪い、嘘つくのも悪い、もちろんそうなんだけれど、暴かれていく最中のぞっと血の気の引く感じが、やけに身に迫ってきて。
    加賀さんって…、犯人側からすると、恐怖でしょうね^^;
    ねちこい、ねちこい、超ねちこい(笑)

    「卑劣とはいわんが、悲しい商売だな」
    交通事故に遭った加賀の友人。
    加賀さんに、妻に睡眠薬をのまされたのではないかという推理をつきつけられ、そんな台詞を加賀に吐く。

    そういわれても、たとえ誰にも感謝されなくても、真実を突き止めるのが、警察官たるこの人の性なんだな。
    そして、平然と、時に虚勢を張りながらも嘘をつく女性たち。
    女性って怖い、とも思った。

  • シリーズ物だったから買った一冊。

    シリーズ6作目
    前回、前々回と答えは自分で推理してのタイプが続いていたので、今回もそうかな?と思ったら、今回は短編集だった。

    あまり好きでない短編集だが、この本は結構楽しめた。

    どの話も刑事がジワジワと容疑者をせめている。
    その様子が、正論や理詰めでせめられている様子に似ている。
    そうゆう所が面白い所でもあるんだろうが、自分にはこのシリーズがあまりはまらない原因の一つだと思う。

    なんだかんだ言ってもどの話も犯人がわかって事件解決に向かっている。
    よかったんじゃないかと思った小説でした。

  • 加賀シリーズ⑥

    短編最後の一作に加賀さんの人情深さがふわふわしていて、ほっとした

    緻密な捜査、的確な判断…当然必要な事だが、犯人の背景を垣間見たとき、加賀さんが担当だったことをちょっと恨みたくなる

  • 嘘をもうひとつだけ、という題名に惹かれて読んでみました。
    短編集で、犯人を推理しながら読むというものではなく、
    どうしてこんな嘘をつかなければならなくなったのかという感情の物語でした。
    嘘で守れるものはないなと感じました。

  • 嘘にまつわる短編5話…どれも良かったんですが3話目の「第二の希望」は、私的にイヤミスかな?で、それが一番印象的でした。加賀恭一郎シリーズ初の短編集でしたが加賀絡み度が高くとても良かったです。あっという間の読了でした♫

  • 短編小説集。
    最後のストーリー以外は犯人目線のストーリー。

    これはどれも犯人目線だなって分かったあとでも、「私が犯人」感があまり見えなくて最後までドキドキだった。

    最後から2つ目のお話の主人公、ポロっと出た一言から全てが始まって、あんな結末になってしまって、なんとも言えない悲しい気持ちになって、少しやるせなくなってしまった

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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