GO (講談社文庫 か 84-1)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736831

作品紹介・あらすじ

僕は何者?日本で生まれ、日本で育ったけれど、僕は"在日"と呼ばれる。元ボクサーのオヤジに鍛えられ、これまで喧嘩二十三戦無敗。ある日僕は恋に落ちた。彼女はムチャクチャ可愛らしい"日本人"だった-。軽快なテンポとさわやかな筆致で差別や国境を一蹴する、感動の青春恋愛小説。直木賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 韓国籍を持つ《在日韓国人》を父に持ち
    日本で生まれ日本で育った僕・杉原。
    父親にボクシングを習い、喧嘩は負けなし。
    朝鮮学校を卒業後、広い世界を見るために普通の高校に進学する。

    国籍・国境・人種
    それに伴う差別

    そういったものに人生を阻害されてきた人達の物語。

    ---------------------------------

    杉原の真っ直ぐで若々しい語りが爽快に心に響く。
    日本人の女の子・桜井に恋をするのだが、また彼女が型にはまらない天真爛漫さでめっちゃ可愛い。
    音楽や映画など彼らなりの「カッコいいもの」を探しながら、仲がどんどん深まっていく。


    しかし彼らの間にも差別は入り込む。

    行きたいところに行けない
    犯罪者予備軍として警察の監視下に置かれ
    まともな職業につけない

    日本で生まれ、日本で育ったのに
    「血が汚い」ってなんだ?
    僕は、一体何者?

    そのような感情を味あわずに
    普通に日本人として生きる私にはガツンとくる語りであった。
    それにしても杉原の一本気な生き方は
    男でも惚れる清々しさだ。

    唯一の日本人の友人・加藤のセリフが好き

    「俺、お前みたいにてめえの足でしっかり立てるようになって、お前とタメ張れるようになるまで、お前と会わないと決めたんだ。

    何かを見つけねぇとな、必死によ。
    コレで結構大変なんだぜ、日本人でいる事も」


    ストーリーが閉塞していく中で
    終盤に向かうにつれ
    徐々にスピード感を持って希望のあるラストへと向かう

    そうだ。
    私達は何かに属してはいるけれど
    そんなことは一切抜きにして
    その人自身を見ることの大切さを知っている。
    悲しい歴史は過去のものとして
    現在と切り離して考えることができる世代。

    僕を縛るものから自由になるために
    体を鍛えて強くなる
    勉強して賢くなる

    「いつか、俺が国境線を消してやるよ」

  • 2023年記念すべき1冊目。

    終盤は泣きながら読んでた。
    明確な感動ポイントはわからんが、自然に泣けた。

    主人公と父がボクシングをするシーンの中で、「手を伸ばして描いた円の中が自分の領域で、いかにリスクを負ってそこから出てパンチを出せるかがボクシングだ」的なことを言うシーンが印象に残っている。
    自分は円の中でひたすら頑張ることはできるけど、そこから出て行かないとなぁと思いました。Go!

  • 単なる人種差別ではなく、アイデンティティの曖昧さにも関わる問題。
    読むの何度目だろう。毎回引き込まれるし発見がある。

  • もっと軽い感じかと予想してたが、意外と読み応えあり。
    彼女の心情をもっと描いてくれるとよかったかも。恋愛部分が物足りず。

  • 「在日という人種偏見を題材に、日本の悪しき文化に訴えかける名作」

    在日朝鮮人の「僕」の語り口調で物語が進むユーモア溢れる物語。
    国籍という障壁によって「普通の人間として受け入れてもらえない」、「差別されて生きていくしかない」日本の悪しき文化が、学生のリアルな生活を通じて描かれていました。

    「友達と遊ぶ」、「恋人と付き合う」という普通のことすら、「国籍」という壁で誤解を招き人のすれ違いを生じさせてしまう。日本人は何かと区分して、偏見持って人を判断する傾向があると気付かされました。
    それでもどう区分しようとも、その人はその人で、その人だからこそ友達や恋人に好かれるのだと思うし、自分自身はフラットな視線でその一人一人と向き合えるそんな人になりたいなと感じました!
    改めて人種差別について考えさせられる名作。

  • 日本で育った韓国人の青年の青春物語。
    この小説を読むと「在日」って言葉を使用したくなくなります。
    日本人の中にも差別の心があると思うので、そういうものを少しでも早く無くしていくことができればと思いました。

  • 4.6
    面白い。カッコイイ!!!!
    主人公の、自分を生きる、真っ直ぐに自分をやってる所が
    カッコよすぎる。

    子供って、やっぱキラキラしてるね。

    群れないって選択、数が多ければ多いほど影響力をます。
    それをどこがでぶつかって気付くはず。
    父親のように、生きるのだろうか。一匹狼はしんどい。
    でも父親が何よりも、自分を生きることをしている。
    1番カッコよかった。
    そうやってニカッて笑ってれば、
    それでいい。

    ぁぁカッコイイ。

  • 多分昔に読んだのに、内容まったく覚えてなかった、、。

    人を定義してるものって何なんだろ、て改めて考えさせられた。
    頭で考えたところで答えなんて見つからず。


    著者の知識の深さに感動

    物語の中にでてくる、本、音楽、
    探ってみようと思いました。

    言葉の言い回しも好きで、ブックイヤーだらけ。

  • 僕を読書の世界へ引きずり込んだ一冊。
    中学生の時に初めて読んで、重いテーマを抱えながらもそれに全力にぶつかっていく主人公がとにかくかっこ良かった。
    広い世界を見ろよ。

    今でも読んでは勇気付けられる人生のバイブルです。

  • 「広い世界が見たい。」そんな思いを抱えて在日韓国人として生きる杉原と、日本人桜井の物語。

    中3のときこの話の映画版を見て、ものすごい衝撃を受けました。広い世界を見なくちゃ!私はまだ狭い世界から出ていない!と。

    私は腕っ節は全然強くないけど(ていうか体当たりな喧嘩もするつもりもないけど)、
    国籍なんかに縛られない、俺は俺だ、っていう杉原の生き様は、23になった今読んでもかっこいいし、私もそんな気概を持っていたいなと思いました。

    おそらく聖書の次に、私の生き方に影響を与えた一冊。

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著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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