将棋の子 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1489
感想 : 176
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062737388

作品紹介・あらすじ

奨励会…。そこは将棋の天才少年たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る"トラの穴"だ。しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。途方もない挫折の先に待ちかまえている厳しく非情な生活を、優しく温かく見守る感動の一冊。第23回講談社ノンフィクション賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 私、将棋はルールを知ってる程度でほとんどの人に負けるレベルだと思います。

    「聖の青春」の著者、大崎善生さんの2作目。講談社ノンフィクション賞受賞作です。

    将棋の世界では三段と四段では天国と地獄ほどの違いがあるようで、三段は奨励会というプロへの登竜門、四段からはプロとなります。

    奨励会には26歳までに四段になれなければ退会という決まりがあり、生活の全てを将棋に捧げてきた青年たちにとってはあまりにも辛い現実です。

    この本では1人の奨励会員を軸にその他の夢破れ退会した奨励会員たちのセカンドキャリアを描いています。

    この本を読まなければ知り得なかった世界。将棋好きの人にもそうでない人にもオススメです!

  • すごい。将棋の世界はこんなに厳しいものだったのか。将棋なんて小さい頃友達のお父さんとした詰め将棋と「3月のライオン」ぐらいしか知らないけど。将棋の世界には「天才児」がわらわらといる。大人でも勝てないような、奨励会でもごぼう抜きして段を取るような天才児たち。そんな彼らにも四段の壁は厚い。天才天才と崇められてきた神童たちが高校にも行かず生活のすべてを注ぎ込んで尚突破できない四段の壁。そんな壁に阻まれて奨励会を大会したものたちのその後の人生を追ったノンフィクション。成田英二という著者と縁のある元天才児を主人公に据えて、棋界の厳しさ、敗れた者人生で何を得たのかが描かれている。成田さんが失ったものは人生のほぼすべて。しかしなんと大きなものを得たのかと胸が熱くなった。

  • 夢を目指し、叶った者、挫折した者、挫折して新たな夢を掴んだ者達。
    辿りつけずとも、その過程に意味はある。

  • 連盟職員として奨励会員の悲喜劇を間近に見てきた著者が、棋士になれなかった者たちのその後までを追ったノンフィクション。
    著者が子供の頃から折にふれて見知ってきた元奨励会二段の成田を主役に据え、羽生らが席巻する昭和末期の同時代を共有した何名かを脇役に置く。将棋の世界に再び寄り添う者、別の業界や新天地に飛び込む者、文無しへ転落する者、十人十色のあまりに早い第二の人生を群像的に捉える。

    とても気に入ったところとしては、高みに昇るための鍵について、才能や努力を超えたところにある偶然を推していること。ともすればむしろ酷なことだと思う。
    あまり気に入らなかったところとしては、300ページにわたって将棋は厳しい世界と言い募りつつ、最後になってそこから得られるものとか、将棋は何も奪わない優しいものなどと、急に反転しだすこと。願望混じりなのかもしれないが。

  • 三段リーグを勝ち抜いてプロに上がることができるのは半年に2人だけ。26歳という年齢制限があり、それを超えてしまうと彼らはただの人になってしまう。いや、全てを失うのだ。今と違って、プロを目指すなら将棋一本、高校や大学には行かなかった時代だ。将棋だけをやっていた中卒の26歳が、夢破れて何も持たずに社会という未知の大海原にぽいっと放り出される。
    将棋会館に勤めていた筆者が、プロを諦めて全く違う人生を歩んでいた成田英二に再会する話を中心に、夢破れた元奨励会員の姿にフォーカスする。プロの華々しい姿の裏に隠れた、将棋に本気で向き合った彼らの壮絶な物語。

  • 将棋のことはさっぱり分からんが、ノンフィクションを読んで久しぶりに心揺さぶられた。
    年齢制限がある奨励会の仕組みはもちろん、プロ棋士を目指して競争の日々を送る青年たちとその後を描いた内容。
    初めて知ることばかりだった。将棋しか知らない青年たちが年齢という壁に突き当たる。勝負は勝ち負けの非情な世界。敗れた者たちは奨励会を止めていく。立ち去らねばならない。ある日突然、社会に放り出される。学歴も資格もなく、働いたことすらない彼らに待ち受ける苦難や挫折。非情な現実のなかそれでも生きていけるのは、奨励会での日々が青春のなか何かを信じ、「名人」という神に限りなき近い場を目指して、何かを賭けて、無我夢中に、一心不乱に、頂きに駆け上がっていこうとした。その記憶があるから。奨励会での厳しい競争の日々がその後の彼らの生きる営みを支えている。読みつつ胸に迫るものがあった。

    - 将棋は厳しくない。本当は優しいものなのである。もちろん制度は厳しくて、そして競争は激しい。しかし、結局のところ将棋は人間に何かを与え続けるだけで決して何も奪いはしない。-

    奨励会を去った青年たちの物語を読み終えると、本の終わりこの文章と出会う。これは決して将棋の世界だけではないだろう。勝負の世界はどれも優しい。
    その事実に深く感銘した。

  • 三段リーグを抜けてプロになれるかどうかで大きく人生が変わっていく厳しい世界がまざまざと記されていた

    羽生や藤井といったニュースで見る一握りの天才に隠れて、多くの天才たちがいること、そこに厳しさだけでなく優しさも確かにあることが感じられた

  • 強烈な一冊。
    ニワカの観る将レベルだけどひきこまれました。奨励会の厳しさを感じる一方、セカンドキャリア(?)への配慮や対応も必要ではないかなー、時代的にもね、なんて思いながら。

    2022年70冊目。

  • 奨励会の仕組みについては多少知っていたが、20を過ぎて挫折していった若者たちのことについて、深く思いを馳せたことはなかった。
    筆者の最後の主張・問題提起については共感できるものではなかったが(時代の流れ?)、退会していった者達のその後の人生と、その後彼らがどう将棋に向き合っているのかは、とても胸を打たれるものだった。
    自分は将棋ファンというほどではないが、恐らくは将棋ファンは知っておくべき内容であり、必読と言って良いでしょう。

  • うー最高、何回も心が震えた…将棋を通して色んな人の人生を覗かせてもらった。将棋の世界かっこいい。人が生きるのって美しい…

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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