文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (994ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738385

作品紹介・あらすじ

宴の支度は整いました――。京極堂、挑発される。

「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。「知り――たいです」。答えた男女は己を失い、昏(くら)き界(さかい)へと連れ去られた。非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。敗戦後、簇出(そうしゅつ)した東洋風の胡乱(うろん)な集団6つ。15年を経て宴の支度は整い、京極堂を誘い出す計は成る。シリーズ第6弾。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和13年伊豆韮山の山村の集落で起きたと思われる村ごと殺人事件。その昔の姿を失った戸人村。
    各章ごとに、記憶を操作されたと思われる人達が、怪しげな集団に導かれながら、その場所にたどり着いて行く、と予測しています。

    ぬっぺっぽう
    今回の主軸となると思われる、伊豆韮山にかつて存在したらしい“戸人村”。戦前、駐在したという元警察官、郷土史家と巻き込まれる関口は、地図にもない村へ。そうそうと、トラブルに巻き込まれる関口。
    うわん
    静岡沼津の海辺。自殺志願の男を助ける一柳朱美。
    言動の定まらぬ男に「成仙道」という新興宗教が、
    見えてくる。
    ひょううすべ
    祖父との思い出が揺らぐ麻美子。その記憶に不信を抱き始める。彼女は、華仙姑処女という占い師に心酔していた。
    わいら
    中禅寺敦子が、韓流気道会の記事を書いた事から、襲撃を受ける。その時、華仙姑処女と名乗る、佐伯布由と関わる。
    しょうけら
    木場修太郎登場。京極堂の庚申講の蘊蓄がね!
    私もね、庚申はわかるけど。それ以上は、深掘りされますとね、読書が進まないので、わかったふりで。
    潜在意識を操作された女性。
    おとろし
    なんと織作家生き残りの茜さん登場。財産の処分を織作伊兵衛の弟、羽田隆三へ頼む事に。羽田は、丹後出身、徐福の子孫だという。そこで徐福研究会を立ち上げていた。そして、風水師興安丸にコンサルを頼んでいた。この羽田の秘書津村は、研師の息子で、戸人村と関わりがある。

    まだ、宴が始まってないから、忘れてしまいそうで、心配です。
    記憶というものの不安定さ、不確実さが混迷を深めていき、数々の怪しげな組織が徐々に韮山に向かう。

    • おびのりさん
      反射炉あるよね。
      お土産は、フクヤのロールケーキで。
      反射炉あるよね。
      お土産は、フクヤのロールケーキで。
      2023/11/23
    • 土瓶さん
      この男は人を呑む。

      関口は巻き込まれ上手だよね。
      この男は人を呑む。

      関口は巻き込まれ上手だよね。
      2023/11/23
    • みんみんさん
      中禅寺が関口のこと「友人です」って言った時は泣きそうになった。゚(゚´Д`゚)゚。
      中禅寺が関口のこと「友人です」って言った時は泣きそうになった。゚(゚´Д`゚)゚。
      2023/11/23
  • すごい長旅に出る覚悟で挑んだ一冊。

    読んでも減らない。でもやっぱり面白い。

    これから何が待ち受けているのか、長旅への荷造りのような感覚で楽しかった。

    存在したはずの村の消失という不可解な案件から始まり、いつだって危ういイメージの関口さんが今回は本当に危うい。
    大丈夫だろうか。

    そして懐かしの朱美さんが目にした怪しい術。

    謎のハンチング帽薬売りの尾国はかなり不気味で手強そう。

    待ち侘びていた榎木津さん、木場さんも登場してうれしい。
    そして絡新婦のあの女性がまさか…。

    この先を知りたい。それしか言葉が出ないから下巻へ。

  • これからどんな宴が始まるのか、期待せずにはいられない。
    騙す側、騙される側全てが怪しく感じる、怪しい人物こそ怪しくないと感じるのだ。
    操られているのか、本当に偶然なのかも判断できないまま謎が積み上がっていった本作。
    「宴の始末」を読むのも勇足になってしまいそうだ。

    ちなみに講談社文庫のオリジナルしおりが上下巻で繋がるのも、嬉しいポイント。

  • 今作は6つの妖怪を絡めた連作短編集のような感じで全ての短編の謎が絡み合ってるのか関係あるのかわからないまま終わっていくのにめちゃくちゃ面白い!今作でばら撒きまくってる伏線やら謎やらが続編で綺麗に解決していくと思うと早く読みたくて仕方なくなる。

    前作でてなかった?でてた??関口さんが前作出ていない鬱憤を晴らすほどの怒涛の目立ちっぷり!!

    ムズイ!前作は雑学少なめやったけど今作は雑学が深めで理解するのがけっこうムズイ!でもその分没入感は半端ない!

    主題とは関係ないかもしれないけども記憶は忘れて消えてしまうのではなく思い出せなくなるだけみたいなことを書いてるけど読んだそばから内容を忘れてる自分も内容が消えてるんじゃなくて思い出せないだけで残ってると思えばこれからもっと本を読むモチベーションになるような気がする

    いろんな聞いたことない妖怪たちの饗宴
    ★★★★★
    主要キャラ全部出しのまさに宴の支度
    ★★★★★
    宴の始末でどうなっていくのかさっぱり予想不可              ★★★★★

  • 京極堂を読み返している、と友人に話したとき。「塗仏は関口くんが酷い目にあうやつだよね」と言われたのだが、記憶が抜け落ちすぎていて曖昧な笑顔しか返せなかったのが悔やまれる……。このシリーズは間違いなく関口くんが酷い目にあうやつでした。
    これでもか、というくらい怪しい団体が次々と目の前に躍り出てくる。明らかにインチキ臭いものも、次の章では視点が移って印象ががらりと変化していく。章を越えて出てくる共通の人名が脳に引っかかって、何度もページを行き来してしまった。このひたすらに踊らされてる感じは読んでてゾクゾクしてくる。
    関口くんと木場修以外の視点者である3人の女性。それぞれ性格も思考経路も違うのだが、理性的だったりと、通ずる面もあってニュアンスが重なるところも。朱美に敦子に茜、全員「あ」からはじまる名前なのは偶然か。茜は………そうかあ、そうなるのかあ、としんみりとして支度を閉じた。

  • オールスターと聞いていただけあって、聞いたこともない6つの妖怪にちなんだ6つの短編には懐かしいあの人やこの人が。

    短編はそれぞれ少しずつ絡み合ってとっ散らかって、どう始末されるのか、後編の「宴の始末」が楽しみ過ぎます。

    ラストは衝撃的過ぎて今もショックが覚めやらないです。京極堂早く!!

  • 村がなくなったというキャッチーな導入の後、とんでもなく広がります。
    宗教というかマルチというか怪しげな団体とそのトップが例の村にどう繋がるのか。関口くんとあっちゃんは大丈夫なのか。気になりすぎます。
    宴の支度での最終章、前回のラスボスが出たときは興奮しましたが、まさかのオチでした。

  • 久しぶりの京極夏彦。
    相変わらずの「弁当箱」な上に上下巻組。しかも語部の視点が二転三転四転五転・・・時間がかかることこの上無し。かつ、仕事の忙しさも相まって、年末に読み始めた本作を読み終えたのが3月になってしまう始末。

    物語はまだまだ序盤という感じで、感想もへったくれも無いところではあるが、とりあえず・・・

    謎の薬売りの正体と目的
    謎の祈祷師?(伊豆の山中で織作茜が出会った男)
    謎の宗教団体
    謎の村
    関口くんの境遇

    ・・・やっぱり謎だらけ。

    ※前作を読んだ際にも思ったのだが、これだけ分厚い作品を5作も6作も重ねておいて、作中では一年とちょっとしか経過していないということに驚き。

    ※かつ、どうやらそれらのエピソードもなにやら繋がりがあるようなないような・・・

    ★4つ、7ポイント半。
    2022.03.14.古。

    ※今は下巻を読んでいる最中なのだが・・・(4分の1時点)なんだか「木場修」が死んでしまったかのような描写が散見している。レギュラーキャラなのでは?
    心がざわつく。

  • コロナの影響で家時間が長くなるので、超長編の小説が読みたいと思って気付いたのが京極さん。このシリーズは順番に読んでいて、この前読んだのが記憶にないくらい前なので端々に出てくる過去の物語を振り返る場面が、まあわからないこと。今度読みなおさなければ。
    本編は、いつもの京極さんの文章というか、妖怪や言葉についての講釈がまあ長いこと入っていまして、うっかり読み飛ばしたくなるんだけど、これが結構物語のキモになってきたりするので、そういったこともできず。
    一番のミスは宴の支度で話しが完了するつもりで最後まで読んでいたこと。終わりそうにないなぁと思ったのに読み終えるまでミスに気づきませんでした。
    しかも、宴の始末が手元に無い。。。はよBOOKOFFで買わねば。

  •  もう何度も何度も読みました。関口くんが大好きになるきっかけになった作品です。
     読了したときの率直の感想は「疲れた・・・。」です。
     とにかく疲れました。楽しかったですが、ぐったりです。 関口くんのことが心配でしたが、思ったよりいつも通りな感じがしました。細かな内容をかなり忘れていたので、面白かったです。
     茜さん、殺されたのは哀れだとは思いました。でも、それでも、前作を読んでいたからどうしても嫌だなこの人、と思ってしまいました。
     それにしても相変わらすこの作品の登場人物は魅力的な人ばかりです。十人十色という言葉のとおり、人の考え方はさまざまで、自分にとってなんでもないことが人にとっては違っていることがある。京極堂の話を聞くたびにそれを尊重することの大切さを認識します。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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