文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.59
  • (323)
  • (543)
  • (1068)
  • (36)
  • (0)
本棚登録 : 4239
レビュー : 292
  • Amazon.co.jp ・本 (994ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738385

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 京極夏彦の百鬼夜行シリーズ第6,7弾は、「宴の支度」と「宴の始末」の全2巻で構成。総計2000頁を超える分厚さはシリーズ屈指です。

    そんな分厚さに比例するように、本作はとにかく登場人物が多いですね。特に、これまでの作品に登場した人物がちょこちょこ現れてきますが、年に1冊のペースで本シリーズを読む身からすると、「あれ?この人誰だっけ?」となるシーンが多かったです…まあ、過去のエピソードが直接本作の核心に絡む出来事はないので、あまり気にしなくてもよいところですが。
    登場人物の多さに加えて、場面の多さ、展開の切り替えの多さも目に付くところ。そのため、途中から、どの人物がどの場面に出ていたのか失念してしまうことも(笑)

    そんな混乱のなかで読み進めた本作。京極堂と榎木津が登場するシーンで安心してしまうのは、掴み難い物語のなかで、この二人ならば、確かなことを教えてくれると期待するからでしょう。しかし、榎木津は毎度おいしいキャラですねぇ。このシリーズで一番好きなキャラクターかも。本作では終盤、彼は京極堂の腰をあげさせる役目を担うわけですが、あのシーンの高揚感は素晴らしいものがあるかと。そして、そこからラストまで一気に突っ走る疾走感もこれまでの作品と同様、眼を見張るものがあるのです。

    ただ、本作で少し残念というか、拍子抜けだったのが、明かされた事実がなんともしょうもないことだったこと。手の込んだ大掛かりな仕掛けを黒幕は施していますが、なんというか、ただの暇人か!と突っ込みたくなるような気持ちに…(もちろん恐ろしい内容ではあるのですが)。さらに、黒幕はそのまま姿をくらませる始末。続巻以降で解決されるのかな?

    妖怪は上澄みであることの説明を踏まえると、結局、本作で登場する宗教家や占い師、気功師などは、すべて同じ根を持つ、名前を異とする妖怪であったわけで、そんな妖怪のひとつとされる塗仏が、紐解いてみても結局よく解らず、肩透かしを喰らう妖怪であるように、本作も謎を解き明かしたところで、拍子抜けしてしまう類いの作品なのかもしれません。

  • これまでのシリーズの登場人物が総出演。妖怪もいろいろな種類が出てくる。連作短編のような構成で一つ一つのエピソードは面白い。宴の始末でどんな結末が待っているのか。

  • 宴の支度は整いました――。京極堂、挑発される。

    「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。「知り――たいです」。答えた男女は己を失い、昏(くら)き界(さかい)へと連れ去られた。非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。敗戦後、簇出(そうしゅつ)した東洋風の胡乱(うろん)な集団6つ。15年を経て宴の支度は整い、京極堂を誘い出す計は成る。シリーズ第6弾。

    帯から京極堂を誘いだすのはわかったが、なぜ15年なのか全くわからない。
    ここまで来るとシリーズは全てを通して一つの物語を作るのだと理解できる。単行本はあくまで一編の話に過ぎないのではないだろうか。
    とにかくわからないことだらけだ。

  • 過去の既読本

  • 宴という壮大なゲーム、嫌がらせのはじまり。

    それぞれで一作品書けそうな事件が、どこかでつながりながら同時多発する。

    乙女の占いとか、知らないうちに勝手に自殺しちゃうとか、不思議な団体もたくさん出てきて、これまでの事件とは違い、全体が掴みづらい。

    それに加え、これまでの物語に出てきた人物も関係しており、何か因果を考えずにはいられない。絡新婦ですら、パズルのピースになってしまった。

    それにしても、関口が可哀そう。。

  • 再読。

  • 伊豆の小さな山荘が消失した。
    当時の新聞記事には村人全員が殺戮されたという記事が掲載されていた、続報はない。
    しかも、山荘があったとされた場所には全く別の村が存在していた。
    その後、関口巽は正気を半ば失った状態で女性殺害の容疑で逮捕される。
    伊豆に引っ越した佐田朱美は、何度も自殺未遂を繰り返す男を助ける。その男は何故自分が自殺するのか、その理由に心当たりが無いと言う。
    その男の周りにある宗教団体の影がちらつく。
    怪しげな気を使うと言う道場を取材した中禅寺敦子は、敦子の書いた記事に怒った道場のゴロツキに暴行を加えられてしまう。しかし、それを救ったのは、鳥口が追いかける極悪の占い師の女だった。
    生活を四六時中観察されているという女性の相談を受けた木場修太郎。彼女の元には毎週必ず、その女性のとった行動が事細かに記されている手紙が届く。彼女の部屋には人が隠れられるスペースや、覗き穴さえも無かった。その真相を探るべく、木場彼女の通う新興宗教のような集会について調査する。
    蜘蛛の巣屋敷を売却した織作茜は、織作家に伝わる二体の木像を奉るため、伊豆に向かう。そこで出会った郷土史家は、関口とともに消失した村へ乗り込んだ男と同一人物だった。

    次巻・宴の始末へ続く。

  • 後催眠。本末転倒。裏の裏。ひょうすべ=ぬらりひょん=塗仏。

  • 妖怪話しんどい

  • 当時購入したノベルス版を一頁も読むことなく手放して早十数年。百鬼夜行シリーズ唯一の未読作品であり、その前半部たる『宴の支度』を漸く読み終えたところだ。所謂連作短編(文量的には連作中編と呼ぶべきか)の体裁を成している本作において個々の作品を論じることはさほど意味が無い気もするが、どれか一編を選ぶなら京極作品にしては珍しい叙述テイストの「ひょうすべ」だろうか。6つの中編は短い〈4〉を含む最終話を除いて凡て3節に分かれ、韻を踏むかの如く冒頭と末尾が反復を繰り返す。終わらぬ悪夢。関口の悲劇を京極堂は如何に祓う?

全292件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)のその他の作品

京極夏彦の作品

ツイートする