文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.63
  • (400)
  • (465)
  • (1021)
  • (36)
  • (4)
本棚登録 : 4033
レビュー : 289
  • Amazon.co.jp ・本 (1088ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738590

作品紹介・あらすじ

後の始末をお願いします――。京極堂、覚悟を決める。

「愉しかったでしょう。こんなに長い間、楽しませてあげたんですからねえ」。その男はそう言った。蓮台寺温泉裸女殺害犯の嫌疑で逮捕された関口巽と、伊豆韮山の山深く分け入らんとする宗教集団。接点は果たしてあるのか? ようやく乗り出した京極堂が、怒りと哀しみをもって開示する「宴(ゲーム)」の驚愕の真相。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • はああ、楽しかった。
    二周目でやっと全体像がぼんやり掴めた気がする。厚みに圧倒されて尻込みしてたけど、やっぱり読み始めるとするするいく。時間かかるわりに飽きなくて、どうなるのかな?と思ってるうちに支度が終わり、始末も終わる。

    後半の盛り上がりがやはりすごい。真っ暗な韮山山中を一心不乱に登っていく異形の集団。まさに百鬼夜行。それだけでどきどきする。

    一周目もそうだったけど、尾国さんがどうにも悲しくて……仕事で出会った人に情が湧いて匿って、あまつさえ復讐の真似事までして、本当に寂しかったんだろうなと思う。華仙姑を勝たせるためにそりゃあ悪いことしてるしね、可哀想と擁護しすぎるのもいけないんだろうけれど。

    ところで兵吉君はどうなったの?とか加藤さんちは大丈夫?とか山を降りることになった村上一族は?とかその後が気になる点もちらほら。陰摩羅鬼とかで触れられてたっけか?そっちも読んでみようかな…

  • 再読。

    記憶にあるエピソードと微妙に違ってた。脳内捏造をしていた模様。

    逮捕されたかとか関係なく、関口さんに寄り添うことを決めている雪絵さんがステキすぎる。

  • 韮山でお祭り騒ぎ。まさに宴。
    これまでの事件と登場人物が錯綜し、暴れ回り、ひとつにまとまり、収束する。
    これがシリーズ最終巻かと思う程の収まりの良さ。
    京極堂が(榎木津曰くの)三馬鹿を騙さなかったのが知れる場面に、うるっときた。
    「許した女、癒した男、呪った男」ーでは、憑物落としは誰かを祝うのか?

  • ただひたすらに関口が心配 冤罪で捕まったの何回目...
    自分はない、と思っているので憑き物は憑いていないしもう犯人扱いはされなさそうだけれど、自分の根拠がない状態から這い上がるのは大変で、それは作中にある通り日常を反復するしかないらしいけど頑張れ関口。でもよく考えてみたら関口そういうこと考えている時いつもそう考えてる気がするような...と思ったら本人もそう言ってた。まあ頑張ってください。応援してます。


    京極堂のプチ解説で、技術は元々自然と同様利益と不幸を人為的にもたらすものであったため、技術者はそれを扱う者として神秘性を纏っていた。技術者が共同体に入り技術の神秘性が技術者から剥がれ、それが結実したのが妖怪、技術者はただの人間になった。そして人間として差別されるようになったとあった。これがもう うへえ.. て感じ
    理由ってあるところにはあるんですね....
    個々人に原因があるとする現代社会はある意味辛いと思う


    茜さんが煙に巻かれた富士山と石長比売問題私もよく分からなくなったので絡新婦読み返します


    ラスト(くふうん )可愛すぎる いや、私は作中で関口が一番好きなので! いやでもかわいい...




  • 宴の支度で壮大に広げた風呂敷を畳にかかる、塗仏の始末の後半となる本作。ミステリーというよりも冒険小説と呼ぶ方がふさわしい、敵味方入り乱れる「宴」が韮山の地で展開される。

    本作をミステリーというよりも冒険小説というのには2つの理由がある。
    1つには、本作では解くべき謎が明確に提示されるわけではないということだ。確かに「各人が目指す韮山には何があるのか」という大きな謎は存在するものの、物語全体の主題とはなっていない。


    もう1つには本作の黒幕とされる人物が使うことができる能力が、人の記憶を自由に操作することが出来るというものだからだ。


    狭義の謎解きミステリーにおいてはいくつかの「お作法」が暗黙の前提として置かれているが、犯人が記憶を捏造することが可能というのは、そのお作法などから外れてしまっている。とはいえ、ここでいうお作法はあくまで「狭義の謎解きミステリー」向けのものなので、それを理由として本作の価値が下がるわけではない。ただ、純粋な謎解きではなくなったというだけだ。

  •  『絡新婦の理』が静なら、こっちは動。
     占い師、霊感少年、気功道場、漢方薬局、風水経営指南、自己啓発講習、私設研究団体、新興宗教と怪しい面々が、住民の消えた「へびと村」を目指して、狂騒を繰り広げ、ついに乱闘騒ぎになっていく。霊感少年は京極堂に「出てくるな」という伝言を寄越す。
     京極堂が動かないのは、これが彼と関わりのある事件、旧陸軍研究所にかかわった事件だからである。そんな京極堂をプッシュするのは、その特殊な能力によって真相に到達している探偵・榎木津である。結局、京極堂も「へびと村」に乗り込んでいくのだが、今回、ケンカも強い榎木津の活躍は著しいので、榎木津ファンは喝采されよ。
     キーワードは本末転倒。塗仏はじめ「宴の支度」でタイトルに挙げられた妖怪は、名称と図像しか残っておらず、その内実がわからないものばかりである。

  •  事件らしい事件が起こっているのかも分からず、物語は収縮して行き、最後は京極堂の語りで閉じられる。だが、首謀者である堂島に制裁を加えられるでもなくてすっきりとはしない。綺麗にたたんでいるが、こんなに風呂敷をでかくしなくても良かったのにとは思う。長すぎて、考えることを止める効果のある催眠にかかっているようだった。
     関口は、刑事になじられるだけなじられて、最後まで出てこないという、らしいと言えばらしい展開。普通になって戻って来れるのだろうか。そこが心配。
     刑事部屋や村で、ずっと堂島が見ていたのだが、堂島は刑事たちに対しても効きの早い催眠術を使えるのだろうか。ある意味、無敵の存在だ。会いたくはない。この先にも出ては来ないだろう。一回限りのボスと見た。
     記憶から消えると歴史から存在しなくなる。正しいのは何なのだろうか。記憶なんて曖昧なものだが、体は存在している。それだけで良いのかも。
     塗仏の宴とは何だったのだろうか。塗仏がよく分からないので、何もわかってない奴らの宴なのか。妖怪研究家の多田克己は、塗仏は目が出ていて尻尾があるから、目出度いとかけているのかもと書いてあったので、洒落なのかもしれない。佐伯家の面々の名称も洒落だったし。或いは、塗仏の絵は仏壇の前でふざけている人でもあり、仏壇で目出度いというのも不謹慎を表していて、人でゲームをする堂島のことになるのかな。無理矢理な気もする考えだけど。
     結局は不老不死を探す過程で消された家族が、インチキ商売をやって競わされていたという話。長いだけあって読んだままに終わったのでそこはスッキリしている。

  • 京極さんの最高傑作は「魍魎の匣」だと思っているが、一番調子に乗っていたのは、この本が出たころじゃないのかなという気がする。
    何しろ次はもっと、もっと、と期待させるシリーズだし、作者もそれに応えるべく、内容も本の分厚さも際限なく膨らんでいった。
    大風呂敷もここまで広げたか、と感嘆するしかない。
    さすがに広げすぎて、たたみ切るのに苦労したか。
    ミステリー的要素がやや弱く感じるから始末のつけ方に不満も残る。
    それでも面白い。
    これだけのストーリーテラー、文章の使い手はちょっと他にはいないなあ。
    センテンスが突き刺さる。
    中禅寺の奥さんが、すっくと立ち、「猫も連れて行きます」
    こういうところがたまらん。

  • 長すぎて手に取れなかった大好きなシリーズ。
    電子書籍でようやっと。
    長すぎるから読むのも時間かかるかと思いきや、
    久々の京極ワールドにどっぷりはまってしまい、
    一気読み。


    どうやって韮山に収束するのか
    不安になった宴の支度。
    見事に1箇所に集まってきた宴の始末。

    とりあえずわたしの大好きな木場さんが
    生きてて泣きそうになった。
    ほんとうによかった、、、、
    関口さんをもっとちゃんと救ってあげてほしかったけど笑
    京極堂の心の中が少しわかった気がした

  • 京極堂がこれまで解決してきた事件の関係者や佐伯家、村上家、旧日本陸軍と人物相関図がごちゃごちゃしている。
    旧日本陸軍の堂島大佐と今は亡き山辺が本事件の発端。
    恒例の京極堂の憑き物落としが、尾国を落とす所までは威厳がありいつも通り「落ちた」感触があった。
    ただ、堂島が出てきてから空気が変わったように感じた。
    堂島の行いに理解はできないし人として間違ってると思ったが、京極堂の言葉をもってしても堂島を否定しきれず改心させることができなかった。
    今後の堂島と京極堂の対決が楽しみ。

    本編の事件(?)については、催眠術が事件関係者に的確に効いているためか、構図は壮大だが謎解き感はしなかった。読んでいくなかで明かされる事実を受けて、「なるほど」と感じた。

全289件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫)のその他の作品

京極夏彦の作品

文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする