子産(上) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738729

作品紹介・あらすじ

孔子に敬仰された最高の知識人の生涯
吉川英治文学賞受賞

信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の2大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国(しこく)と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。2代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。

感想・レビュー・書評

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  • 天才の季節
    汋陵の戦い
    鄢陵の戦い
    軍師の明暗
    弑逆
    司馬の職
    暗殺
    乱流
    永訣の朝

    第35回吉川英治文学賞
    著者:宮城谷昌光(1945-、蒲郡市、小説家)

  • <上下巻を通してのレビュー>

    信義なき世をいかに生きるか――春秋時代、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。
    二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。


    読んでいるうちに、子産の考えや行動がじんわりと心に浸みてくる一冊です。
    当時最高の知識人であった子産は、礼を重んじ不毛な権力争いには加わらず、一歩ひくことで最善の結果を出したような人物に思えます。
    子産を信頼し続けた鄭の簡公や、子産を宰相に推薦して信じ続けた子皮などの様々な人々の援護や理解があってこそ、子産の改革が成功したのでしょうね。
    紀元前536年、中国史上初めて成文法を制定したのはまさしく子産です。成文法の制定については様々な批判等もあり、礼と徳の人である子産が成文法を制定したことに違和感を覚えますが、流れ行く時代の中で国を治めてゆくにはどこかの時点で成文法は必要だったはずであり、施政者も移り変わってゆくことが明白である以上、子産の考えはここに落ちついたのだと感じます。

    孔子サマに大絶賛された子産ですが、この本だけでは全貌を把握することは難しい・・・・・

  • 春秋時代の中期、大国である晋と楚に挟まれた鄭の国の武将、子国とその子、子産の親子二代を描いた物語。孔子が生まれる以前の時代で儒教なき時代であるが、礼や徳の重要性が、礼や徳を持たない国や君主はやがて滅びるという形で繰り返し説かれていた。上巻では、子産は幼少〜青年時代にあり、天才の片鱗を窺わせており、父の子国を軸に春秋時代中期の君主と臣下の関係や鄭を取り巻く諸国間の情勢が入念に描かれている。

  • 再読。
    下巻まで読了。

    春秋時代の鄭の執政・子産の生涯を描く歴史小説。
    同作者による、少し前の世代の晋を描いた小説(『重耳』『沙中の回廊』)、また、同時代の斉を描いた小説(『晏子』)に続けて読んだからか、初読のときよりも少しだけ登場人物たちに近づいて読むことができた気がする。

  • 春秋時代の小国鄭の宰相である子産を主人公に置く小説だが、上巻では父の子国の視点でずっと描かれている。子産は幼少期から博覧強記と政治・外交の文脈を読むのに長け、武術にも通じた文武両道の天才少年として描かれるが、正確な未来予測を父に伝えるのみで功績は描かれていない。

    全体としては、北の大国晋と南の強国楚に挟まれた鄭がそれぞれの間をひっきりなしに行ったり来たりする情景が、鄭の司馬で軍事を司る子国の視点で描かれている。子産の前史ということもあるが、淡々と話が進んでいく。

  • 感想、レビューは下巻にて。

  • 宮城谷昌光「子産」を再読したのですが、
    昔に比べて読みづらかったです。
    諸葛孔明が理想とした人物なので「子産」の生きていく姿は大好きなのですが
    上巻の時代背景の説明部分がなかなか進まず苦労しました。

    人物像としては感動するのですが「物語」としてはちょっと淡泊かと。
    「孟嘗君」「太公望」「楽毅」が面白いからそれと比べると、という事ですが。

    昔読んだ本を再読しているのに、
    その時の本人の状況によって感じ方が変わるものですね。

  • <blockquote>吉川英治文学賞を受賞した珠玉の歴史叙事詩信義なき世をいかに生きるか――孔子に敬仰された賢相・子 と武にすぐれたその父・子国の父子二代にわたる勇気と徳の生涯を辿る、長大なスケールの中国大河巨編 </blockquote>

    後半、子産が出てくるあたりで俄然、面白くなってきた。
    下巻が楽しみ

  • 大国に翻弄される鄭国。そこで奮闘する子国・子産親子の物語。小国の悲哀が感じられますね。武門の子国、その子が子産というのも面白いです。続いて下巻へ。

  • [ 内容 ]
    <上>
    信義なき世をいかに生きるか―春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。
    戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。
    二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
    吉川英治文学賞受賞作。

    <下>
    謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。
    三年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。
    時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編。

    [ 目次 ]
    <上>


    <下>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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