ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫 あ 92-1)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738804

作品紹介・あらすじ

タニアを見かけませんか。僕の彼女でモデルなんですけど、ひどい夢遊病で。ダブエストンだかダブストンだかに探しにきたんです。迷い込むと一生出られない土地なんで心配で。王様?幽霊船?見ないなあ。じゃ急いでるんでお先に。推理作家協会賞受賞作家の原点。メフィスト賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 1998年。第8回。
    ファンタジー。何故にメフィストに応募したのだろ、新潮ファンタジーノベルって感じだけど。
    子供の頃から穴掘りが好きで考古学者になったケン。夢遊病の恋人タニアを探して、ダブエストンまで。なんで(エ)なのかというと、人によって言い方が違うから。地図にもない島?で、ここでは人々(てか生き物)は道に迷ってばかりいる。
    半魚人だの、しゃべるツバメだの、ファンタジーぽいのと会っていく。
    ファンタジー好きだから、楽しんで読めたけど、オチがよくわからん。

  • ダブ(エ)ストンという摩訶不思議な場所を舞台にした冒険物語。夢遊病で失踪した恋人を探しにダブ(エ)ストンにやってきた主人公。名前さえ曖昧な場所はとらえどころがなく、行く当てない創作を続けていくのです。
    訳が分からない展開に翻弄されます。けれど不思議と不快感はなく、読み終えると同時になぜか心が温かくなる物語です。

  • 恋人を探して謎の土地ダブエストンにたどり着いたケン。その地では誰もが道に迷っていた。ある程度の謎は解明されるが、謎は謎のままにしておいた方が味があるのだろう。良さがよく分かりませんでした。

  • 『きっと人間はプロセスの動物なのだ。プロセスに生きているのだ。目標や成果は道ばたに生えている雑草となんら変わりがないのだ。』

    第8回メフィスト賞。メフィスト賞でファンタジーは珍しいけど、安部公房の『砂の女』を彷彿させる作品。

    深く考えすぎないで読むくらいがちょうどよいのかな。面白かった。

  • "ダブ(エ)ストン街道 "浅暮三文著 講談社文庫(2003/10発売)
    (1998/08発売 講談社の文庫版。解説:石田衣良。)

    ・・・第8回メフィスト賞受賞作。ひどい夢遊病でいなくなってしまった恋人のタニア。
    タニアの消息を追って主人公がたどり着いたのは迷い込むと出られない”ダブ(エ)ストン街道”であった。

    ・・・メフィスト賞受賞作、というよりは新潮の日本ファンタジーノベル大賞受賞みたいな作品。
    郵便屋、海賊船、王様など比較的コミカルな雰囲気。

  • 夢遊病のためにどこかよく分からない場所に行ってしまった恋人タニヤを探して旅立った考古学者ケン。乗っていた船が難破して辿り着いたのは、目的地ダブ(エ)ストンだった。地下鉄を運行する親子や人食い熊、郵便配達人など、様々な人や人じゃないものと出会いながら旅を続け、やがて自己の本質に思い至る。

    ダブ(エ)ストンとは架空の場所で、なぜ(エ)なのかというとそこにいる人々が各々違う発音をする為だ。それで(現実の)書店では(エ)を発音するかどうかで混乱したという。本当なら面白いエピソードだ。勿論本編も面白い。カテゴリとしてはファンタジーよりも冒険小説だと思う。ダブ(エ)ストンの環境は厳しく、生きていくだけでもかなり大変なのだが、悲壮感は全くない。人々は心ならずも迷ってしまうのだが、迷い続けることを是として受け入れているので、楽しそうにも思える。まあ迷うの実際楽しいし(実体験)。ラストでケンはタニヤに会えたのかどうかは分からない。でも会えたと信じたい。そして今度は二人で楽しく迷い続けるのだろう。

  • メフィスト賞受賞作だけどミステリではない異色作。

    夢遊病である日突然いなくなってしまった恋人のタニヤを追って、謎の島ダブ(エ)ストンへ向かったケン。
    ダブ(エ)ストンでは誰もかれもが道に迷っている。
    幽霊や王様、人食い熊や半魚人なども道に迷っている。
    ケンは郵便屋のアップルと出会い、ともに旅をする。

    不思議の国のアリスみたいな雰囲気もあり、正直かなりとらえどころのない作品。読み終わるまでにけっこうな時間かかってしまった。。

    でもラスト近くで繰り返される「たどり着くことではなく目的地をめざしてさまよい続けることが楽しいのだ」という感覚はわかる気がする。
    あまりに心もとなくてどうしても「それでいいのか?」と思ってしまうけど、人生とはまあいつまでもどこまでも何かを追い求めながら果てしなく歩き続けていくようなものかもしれない。

  •  非常に面白かった。ミステリではないが。こういう味もあるのかと思った。
     ちょっとじんとくるし。
     どうだろう、ネタバレかな。一応反転。
     サンタクロースのところとアップルが死ぬところ。アップルがアベルだってのはまあ予想がついてたけど。あそこで死ぬとはね。
     二人の幽霊が結局どうなったのかが気になるな。最後までタニヤと会えなかったのもいい味になってる。
     書くべきところと書く必要のないところの選別がうまい作者じゃないだろうか。

    03.01.01

  • 「不思議の国のダブ(エ)ストン」
    これはぐるぐる目が眩む。
    夢遊病の恋人を探し、
    とある国に来てしまう。
    パドルをもたず、
    たくさんの人に出会い、
    さまざまな場所へ行く。
    この世界観に溺れそうになる。
    独特というか奇妙……。
    異国とはこういうものか。
    解説石田衣良。

  •  行方不明になってしまった恋人を探す男の話。
     一見ありがちな設定に見えるがその内容はとても不思議。一言で言うとテーマは「迷うこと」。その世界は何もかもがあやふやで、確実なものが何一つ無い。なにしろ舞台になる土地の名前でさえ「ダブストンだかダブエストンだかという所」とはっきりしていないのだ。

     そしてダブ(エ)ストンに迷い込んだ者は二度と脱出することは出来ない。そんな謎の土地で恋人を探し続ける主人公。永遠にさ迷い続ける人々。

     絶望的なまでに異様な状況なのに、その世界は何故か居心地がいい。キャラたちも実にあっけらかんとして楽しそうだ。

     何かを探し続けたり、求め続けたり、そんな状況が永遠に続くのも悪くないのかな、と思う。奇妙なユーモアに溢れたファンタジー。

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著者プロフィール

1959年兵庫県生まれ。関西大学卒業後、コピーライターを経て、98年『ダブ(エ)ストン街道』で第8回メフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『石の中の蜘蛛』で第56回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。

「2022年 『我が尻よ、高らかに謳え、愛の唄を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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