警視の予感 (講談社文庫)

  • 講談社 (2003年11月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784062738842

みんなの感想まとめ

不思議な街グラストンべりを舞台に、心霊現象と人間関係が交錯する物語が展開されます。主人公ダンカン・キンケイドは、部下であり恋人のジェマ・ジェイムズと共に、複雑な感情を抱えながら事件に関わることになりま...

感想・レビュー・書評

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  • ロンドン警視庁警視のダンカン・キンケイドは、部下である巡査部長のジェマ・ジェイムズと実生活でも恋人。息のあったコンビです。しかし、ジェマにはトビー、ダンカンにはキットという息子がおり、二人の恋もなかなか大変。その上、ジェマは昇進を考えるようになり、二人の関係に変化の兆しが。
    一方、ロンドン西方の街グラストンべりでは、ダンカンの従兄弟ジャック・モンフォールに不思議なことが起きていた。この街は、アーサー王伝説の聖地で、霊的なパワーを秘めた不思議な山「トール」があり、その力にさまざまな人が引き寄せられている。妻と子を失ってこの街に帰ってきたジャックは、さびしい毎日の慰めを、英国国教会の女性司祭、ウィニーに得始めていた。そんなある日、ジャックの手は意思とは無関係にラテン語を綴りだす。その文章が意味するものは?不思議の意味を求めるジャックの周りには、いろいろな人が吸い寄せられ、感情が交錯する。そんな時、ウィニーが交通事故に!ウィニーの事故に疑問を抱いたジャックは、助けをダンカンに求め、ダンカンはジェマを誘って週末にグラストンべりに出かける・・・・

    この作品では、不思議の街グラストンべりでジャックに起きる心霊現象(オートライティングというらしい。自動筆記、ですね)は、自明の事として描かれています。イギリス人って、こういうの、好きですものね。そして事件や謎の中心は、ちゃんと現実にあって、そこがこの作品の読みやすさのポイントだと思います。
    だから、心霊物にありがちなどろどろさや怪しげな雰囲気とは一線を画した、明るく健康的な印象。(明るく健康的な殺人事件なんて有る?)(笑)
    事件そのものは割りに単純ですが、物語としては良い線行ってると思いました。登場人物にも絶対的な悪人や怪物はおらず、罪を犯してしまった人にも親近感が持てるし。
    ダンカンとジェマはとってもいいコンビで(お互いの考えが口に出さなくてもわかる、とダンカンが述懐するシーンがあるんですが、なんか日本的。以心伝心ね。)でもこれからどうなるの?という、難しいところ。ダンカンの庇護から離れようとするジェマ、二人の明日はどこにあるのかな〜。
    次回作が楽しみです。

  • シリーズの中でも、異色です。

    何が異色かというと、“オートライティング”が描かれているんですよねぇ。まぁ、イギリスには、オカルトティックな話が色んな所で聞かれるのですが、まさか、このシリーズでオカルト話が出てくるとは・・・。

    長いシリーズの場合、初期の頃からの作風が変わって行って、作者の主義主張の色合いが濃くなっていく頃が少なくありません(個人の意見です)。パトリシア・コーンウェル「検屍官」シリーズなんかが、その典型で、最初の頃が普通の推理小説だったんですが、シリーズが続くにつれて、なんかね、LGBTQ色が強めに出てくるとか、なんか初期の頃ほどは楽しめない内容になってしまいました(個人の意見です)。

    このシリーズが、それと同じ道を歩むのかは、次以降の作品次第ですね。

  • まず、グラストンベリという地域の、不思議な感じ。
    イギリスらしいけれど、どこのこと?と、地図で探してみました。
    キリスト教関係の伝説とかアーサー王とか異教、女神信仰と、さまざまな話が入り混じって存在することが不思議でない場所のようです。
    オートライティング、自分の手が勝手に動いて文章を綴ってしまうという現象が起こるのですが、それがまったく異質なことに思えなような雰囲気をつくっています。


    前半三分の一くらいは、グラストンベリを中心として、何人かの人々が、オートライティングを通じて知り合い、いろいろな関係性が少しずつ見えてくる、事件性の全くない内容です。
    ここまでの登場人物も十人以上と多めで、さまざまな職業、年齢で、何かしら悩みを抱えている様子もみえてきます。

    それぞれの描写が細かく、ひとりひとりについて、誰がいつ何をした、誰に会った、何を話したということが描かれます。
    後半になって、突然あることを振り返ってみて、事件との関係がありそうだと言われるのですが、こちらは、そんな事があったのかな、いつの事?とページを遡って見ることがしばしばありました。

    主人公であろう警視は、どちらかというと傍観者で、事件解決のために何かをしていくという感じではありません。
    管轄が違う場所での事件なので、ちょっとしたアドバイスや誰かの行動を確認することで、犯人を見つける手伝いをしたという感じです。

    第六感でピンと犯人を探すでもない、もう少しほわッと、思いつきとか、そういえばアレはどうだったのだろう?と、どちらかかといえば地道に、事件解決にもっていくというタイプのようです。

    警視と、パートナーであるジェマとの関係が、コレから先、どうなるかが、気になるところですね。

  • 皆さんが書いているように謎解きはイマイチですが、オートライティングという不思議な現象も自然に受け止められるらようなアーサー王伝説が息づく街の雰囲気や、いつものキンケイドとジェマのやり取りにも最初はぎこちなかったのが、最後は大きな変化を迎えたりと、読み応えはありました。謎解きの物足りなさで星3つとしました。

  • 警視キンケイド・シリーズの第七作。

    またイギリスで行ってみたい場所が増えた。
    グラストンベリー、アーサー王伝説の地にして、
    異世界の入り口、パワースポットらしい。

    その舞台設定のためか、
    オートライディングという奇妙な現象も、
    うさんくさくないというか、現実味がある。
    さりげない描写のせいか、
    警視の従兄弟という絶妙な設定のせいかもしれない。

    その従兄弟と恋人の女性司祭、
    恋人の弟、父親を明かさない若い妊婦、
    妊婦を保護するカフェのオーナー、タイル職人と
    オートライティングをとりまく人間関係は、
    激しく衝突はしないものの、
    なぜか緊迫していき、
    その中で誰が殺されるのだろうかと、前がは盛り上がる。

    動機が過去の殺人だったのは、
    ありがちで残念だったが、
    子供の父親を誰なのか、オートライティングは何を告げたいのか、
    いろいろな謎が重なり合って面白かった。

    一方、キンケイドとジェマの私生活も盛りだくさんだった。
    ジェマはキャリアのためにキンケイドの下を離れ昇進し、
    キンケイドは週末を息子のキットと過ごしながら、
    戸籍上の父親とカナダに行ってしまうのではないかと
    心配している。
    そんな中、ジェマが妊娠。
    毎回、何かがあって落ち着かない。

  • ようやく読み終わりました。夏休み、何かといろいろあり集中できませんでした。読書の秋に期待。 私は好きでした。前半は事件もなくすぎて行きました。個人的にはこのままでも良かったのですが、やっぱり事件は起こってしまうんですね。時を超えてのメッセージの伝達、オートライティングの不思議さも新鮮でした。グラストンベリに魅せられました。

  • アーサー王伝説の聖地として有名なグラストンベリ。そこに住む建築士のジャックは、ある時、ラテン語の難解な文章を知らぬ間に書き綴っている自分に気づく。これは遠い過去からのメッセージなのか? 何百年も昔の修道士らしき、その人物が語るメッセージの謎解きのためにメンバーが集まるが、そのうちの一人が車にはねられ、殺されそうになる。ジャックの頼みで、従兄弟であるキンケイド警視は、休暇を利用してグラストンベリを訪れるが、まさに、 その時に殺人が起こってしまい・・・。◆シリーズ七作目は、前作までと趣がかなり異なり、半ば超常現象めいたエピソードが現実の殺人事件に絡んできます。以前のイギリス旅行の際、このグラストンベリの町を列車の車窓から眺めましたが、至る所に教会の尖塔が建っていて、いかにも「聖地」というイメージでした。その古の土地が孕む、不思議な力を感じさせるような物語は、オカルトめいた雰囲気に戸惑いながらも、一気に読み終えてしまいました。そして、別の道を行こうとするジェマと警視との関係も、さらに見逃せません(><)

  • 警視キンケイド・シリーズ第7作。

    キンケイドの従弟ジャックが、自動書記(無意識のうちに手が勝手に字を書く)という不可思議な現象を体験。綴られていたのは約1000年前に生きていた修道士からのメッセージだった……。

    前作までとは異なり、まるでファンタジーのような雰囲気が漂う作品だ。アーサー王伝説とも深い縁があるグラストンベリの町の様子が巧みに描かれていて、独特な世界観に浸ることができた。

  •  警視シリーズ。ジェマが、警視補になっちゃってコンビ解消か?って微妙にあやうい二人。が、キンケイドはちっとも気付いてないんだけどね。こーいう状況になると、男は鈍いよなぁ。
     ともあれ、ちょっとオカルト風味の新刊でした。
     面白いんだけどねぇ。推理小説でオカルトってことに日頃疑問を持ってるので…。ま、かまいはしないんだけど(苦笑)

  • 今回の舞台は(わたしは知らなかったけれど)、アーサー王伝説ゆかりの地で、スピリチュアルなスポットとしても有名というグランストンベリという土地。その舞台に似合って、何者かがのりうつって人に文章をかかせるっていう自動筆記なんて現象が起きたり、ちょっとオカルトめいた設定。そうした超常現象が、だれかのしわざだったとかミステリにつながるのかと最初思っていたら、結局、現実に起きたこととして話がまとまってしまうので、変な感じはしたけれど、嫌というわけでもなく読めた。イギリスの魅力があふれるようなシリーズだけれど、こういうミステリアスでオカルトっぽいちょっと暗い部分も、確かにイギリスにあるなーと思ったり。主人公キンケイド警視がなっかなか登場しなくて、出てこないのかと心配(笑)もしたけれど、出てきて(当然だ)ちゃんとジェマとの関係にも進展があって。オカルトっぽい暗い雰囲気のなかで、ふたりが散歩したりパブに行ったりすると、読んでいてなんかほっとしたり。ふたりの関係はいよいよ大詰め(?)のようなので続きが気になるー。

  • ?

  • シリーズ7作目。これまでと趣が違う。主役は英国・グラストンベリというミステリアスな町そのものといった感じ。

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著者プロフィール

【翻訳】西田佳子
名古屋市生まれ。東京外国語大学英米語学科卒業。翻訳家・大学非常勤講師。訳書に『わたしはマララ』(金原瑞人氏との共訳)『マララが見た世界』『ぼくがスカートをはく日』『赤毛のアン』『小公子セドリック』『警視の慟哭』(ダンカン・キンケイド警視シリーズ)など。

「2024年 『ユードラ・ハニーセットのすばらしき世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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