日本国債(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738873

作品紹介・あらすじ

「破局のシナリオ!」
前代未聞の入札失敗。現実をはるかに先取りした迫真の経済ドラマ!

日本国債の未達に始まる大混乱は世界に拡大した。入札価格の不審な書き換え、事故に遭った上司が出入りしていた謎の団体。疑問を抱いた朝倉多希は、日本経済全体を揺るがす計画の存在を知る。官邸をも巻き込んだ破局のシナリオの行方は。その後、現実に起きた危機を予見し、大きな反響を呼んだ経済ドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 『国債』をテーマに分かりやすいストーリー仕立てでストーリーにした作品。国債の発行がそれの返済目的のためなら財政が火の車は当然か!役人が発行したとしても背負うのはの国民、国民の借金なのだから。マーケットの描写も臨場感に溢れ、その中に織りなされる男女の機微もまた乙なもの。504

  • 「JGBマフィアの会」が入札で仕掛ける作戦場面は面白かった。

  • まず、読み物として非常に面白い。

    解説で、児玉清さんがこんなことを書かれています。<blockquote>実は、僕は昔から、ファイナンシャル・スリラーの渇望論者であった。  (日本国債(下):解説 P.349)</blockquote><blockquote>小説の題材としてネタとしてまた舞台として、これほどおいしく面白いところはないのではないか、ということなのだ。  (日本国債(下):解説 P.350)</blockquote>このことに、完全に同意できます。
    幾つかの経済小説を読んで、そのことにはすでに確信を得ています。
    そこで起こること一つ一つが、本当にdramaticなのです。
    実際の現場では、そんなことはないのかもしれません。
    けれど、そこには確固としたrealityが存在しているのです。
    幸田真音氏は、その「おいしい」題材を調理する技に長けています。
    物語の運び方、人物描写、極め方、全てが最高に上手いです。
    読んでいて、次へ次へとぐいぐい引っ張ってくれます。

    そして本書は、専門的な知識をも惜しみなく与えてくれます。
    「国債」と聞いて、ピンと来る人はとても少ないと思います。
    ぼくも、言葉としては知っていても、その実際は見当も付きませんでした。
    しかし、本書の読了後、浅いながらも朧気に分かったような気がします。
    日本という国家にとって、国債が果たしている役割がどれほど重要なものなのか。
    そして、世界経済はどんな状況に置かれているのか。
    そういったものが、直感的に読み取れる作品だと思います。

    表現者としての上手さ。
    specialistとしての知識。
    これらが極めて高度なところで融合されている作家さんだと思います。

    entertainmentとして、経済入門として。
    本書は、どちらの役割も果たしている良書でした。

  • 小説としては、結構無理な設定なような気もするが、本書の価値は、資本市場の中でも地味な存在で一般人の関心も薄い国債市場というものの現場を臨場感を以て描き出し、かつそのいびつな市場構造や日本の財政問題、そしてこれらを放置する政治・行政の不作為についての問題提起をしている点だろう。実際、あとがきで香田さん自身がそうしたことを本書を書いた意図として述べており、本作を発表後、世界中のメディアからの取材が殺到したという。NETで調べたところ、国債シンジケート団は2006年で廃止され、プライマリーディーラー制度が導入されたという事であるから、市場の問題点の一つは解消されたということであろう。しかし、本作が書かれた2000年の時点から12年が経過している現在、国の財政はさらに悪化の一途をたどり、ついに公的債務残高が1000兆円を超えGDP比で2倍以上となっている事態には本当に失望する。変わらないのは、本書で描かれているように政治や行政の無能さということなのか。

  • 小説。日本国債についての解説本ではない。

  • 上巻で大方の場面設定を追え、いよいよ物語が進行する下巻。
    ディーラー融資連合の活躍、事件の真相に向かう過程での様々なプレーヤーたちの思惑や活躍・暗躍ぶりが解明されていきます。
    特にディーラー連合が活躍する、債券先物市場でのバトルは、凄まじい臨場感に没頭してしまいました。
    面白かった。

    本書の上・下巻を振り返ってみると・・・
    情熱・誠実さをもって自らの仕事に取り組むことの美しさ・尊さを実感したこと。
    そして何より、わが国の借金たる日本国債に対する認識・意識が高まったこと。

    様々に学ばせていただいた作品です。

  • いつ起きてもおかしくない危機。借金で借金を返すことをいつまでこの国は続けるのか?具体的な対策を当選しか気にしない政治家に任せても無理だけど、増税でも無理な気がする。この国に未来はあるのか?

  • 国債に頼る日本の財政に疑問を投げかけた2000年の作品。ややストーリーは粗い気もするが、経済の入門書のつもりで読めば楽しめる。それにしてもそれから16年。日本の赤字は増大する一方。。

  • 「無能な政府の財政ビジョンが、国債乱発という安易な手段に頼りすぎ、しかもその国債の発行がいかに不安定な現状に依存しているか。そして、それをじっと我慢して支えてきたわれわれを、いかにないがしろにしてきたか。ここらで一発思い知らせてやるんです」。国債の取り引きを担当するトレーダーたちがこぞって入札をボイコット。この「未達」によって国債市場が暴落し、金利は高騰。株式市場はかつてない値崩れを起こし、日本発の金融恐慌として世界を震撼させる。未達によって命を狙われるトレーダー。未達を起こすことで得をするのはいったい誰か――。

    外資系金融企業で日本国債のトレーダーも経験した著者による経済小説が本書。分刻みで億単位の取り引きを行うディーリングルームの描写が克明で、市場の激しい動きに対応するトレーダーたちの緊迫感がリアルに伝わる。小説はサスペンスの味つけが施されているので謎解きに引き込まれながら読み進むうちに、素人にもおぼろげながら公債発行のメカニズムや売買形態、そして魔物のような金融マーケットの輪郭が見えてくるしくみだ。

    国債という名の借金の先送り。金利の支払いがますます財政悪化を招き、個人や一般企業ならとっくに破綻に追い詰められる状況にもかかわらず、毎年打ち出の小槌が振られ続ける。このツケを払うのはいったい誰なのか。国債売買当事者であるトレーダーたちの強い懸念は、そのまま読者と日本社会への問題提起になっている。(松浦恭子) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

    「破局のシナリオ!」
    前代未聞の入札失敗。現実をはるかに先取りした迫真の経済ドラマ!

    日本国債の未達に始まる大混乱は世界に拡大した。入札価格の不審な書き換え、事故に遭った上司が出入りしていた謎の団体。疑問を抱いた朝倉多希は、日本経済全体を揺るがす計画の存在を知る。官邸をも巻き込んだ破局のシナリオの行方は。その後、現実に起きた危機を予見し、大きな反響を呼んだ経済ドラマ。

  • 上巻に記載

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著者プロフィール

1951年生まれ。米国系投資銀行等で債券ディーラー、外国債券セールスを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家に。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らす作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目される。2014年『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で第33回新田次郎文学賞を受賞。主な著書は『日銀券』『あきんど 絹屋半兵衛』『バイアウト 企業買収』『ランウェイ』『スケープゴート』『この日のために 池田勇人・東京五輪への軌跡』『大暴落 ガラ』『ナナフシ』『天稟(てんぴん)』のほか、『マネー・ハッキング』『Hello, CEO.』『あなたの余命教えます ビッグデータの罠』など、時代に先駆けてITの世界をテーマにした作品も多い。

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