アップ・カントリー 上: 兵士の帰還 (講談社文庫 て 11-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (730ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738989

作品紹介・あらすじ

陸軍犯罪捜査部を辞めたポール・ブレナーは、かつての上司カール・ヘルマン大佐に呼び出された。一九六八年、ヴェトナムの戦場でアメリカ軍大尉が中尉を射殺した。目撃者の北ヴェトナム兵を捜す極秘依頼-。当時兵士だったブレナーは、いまふたたびヴェトナムの地を踏む。傑作『将軍の娘』を凌ぐ続編。

感想・レビュー・書評

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  • ポール・ブレナー心の旅路、この小説を一言で称するならばこれに尽きるだろう。
    帯に書かれている『将軍の娘』続編という謳い文句は全く正しくない。今回現れるポール・ブレナーは『将軍の娘』で登場した彼は別人のように精彩を欠く。作者自身がポールの人と為りを忘れているかのようだ。ブレナーがブレナーらしくなるのはマン大佐とのやり取りと最後の最後で権力に屈しない一人の捜査官として不撓不屈の戦いを繰り広げるあたり。これこそ『将軍の娘』で見せた凄腕ブレナーの面目躍如たる活躍なのだ。

    上下巻合わせて1550ページを費やして書かれるこの物語の概要はこのようなものだ。

    アメリカ陸軍基地で起きたキャンベル大尉“将軍の娘”殺害事件を解決したポール・ブレナーはその事件が基で退役し、年金生活を送っていた。そんな彼の元に元上司カール・ヘルマン大佐からある事件の調査の依頼が舞い込む。ヴェトナム戦争中に起きた軍隊内の殺人事件の真相を探ってほしいというのだ。当時殺害の一部始終を見ていたと証言するヴェトナム兵士の手紙が見つかったという知らせがCID―陸軍犯罪捜査部―の元へ入ったというのだった。ブレナーは渋々ながらもこの依頼を受け、かつてヴェトナム戦争で兵士として二度訪れた彼の地へ三度訪れるのだった。

    つまりヴェトナムに訪れ、手紙の主を見つけ出し、真相を暴く、これだけの話に1550ページが費やされる。
    物語の骨子はこの事件だが、実は内容としてはヴェトナム戦争時代の兵士の回想、それもアメリカ側とヴェトナム側双方の苦い思い出がメインなのだ。
    『誓約』でヴェトナム戦争の過ちを大胆に描いたデミルはこの作品を以ってヴェトナム戦争に対して総決算をつけたのだ。だからミステリというよりも冒頭で述べたような回想録というのがこの小説を評するに当たり最適だろう。もちろん冒頭のブレナーをそのままデミルに置き換えれるのは云わずもがなだ。

    (下巻の感想に続く)

  • 舞台はベトナム。戦争で2回の従軍の回想シーンがたっぷりで謎の美女と一緒の今回の旅がなかなか進まない。
    ほぼ何も起こらないまま下巻へ

  • ポール・ブレナーもの。

    ネルソン・デミルの作品の主人公は、“頭がイカレタ”風に描かれることが多いが、この作品もその例に漏れない。CIDの捜査官なのにね。いや、CIDの捜査官だから、イカレテいると言うべき?

    物語は、やっと助走を終えた段階。

  • ポール・ブレナー・シリーズ その後ベトナム戦争にとても興味を持った。

  • 故児玉 清氏が出演されたNHK-ブックレヴュ-の追悼番組で、氏が推薦されていました。偶然撮ってあったDVDを整理していてみました。ぜひ読んでみたいと思ってBook-Offで上巻のみ見つけました。
     主人公のポ-ル・ブレナ-はおそらく自分と近い年齢だと思います。18歳で横須賀の学校へ入学した時、ベトナム戦争真っ只中で横須賀は休暇中の米兵で一杯でした。戦争のにおいが充満していました。その1968年にベトナムで起きたある事件の探偵にブレナ-は現在のベトナムに出かけるはめになり、ハノイにむけ戦跡を通って北上することに。ホ-チミン市で出会ったス-ザンという女性がからんで、話は面白くなります。700ページはけっこう量がありました。

  • 本作品は、ベトナム戦争をテーマにしており、誓約と一見似ていると思ったが、よりエンタテイメントの度合が高まり完成度が増している。なにより、ポール・ブレナーのシリーズに嵌め込んだところが心憎い。あるベトナム人を訪ねるべく訪越したブレナーに対し、執拗に迫るベトナム諜報機関、ホーチミンでの接触の後、北への逃避行のようなミッションを供にする謎の美女。エンタテイメント要素満載で尚且つしっかりとしたペースでものがたりが進行する。秀作。

  • 現在、ベトナムに在住しており、記載の全てが興味深かった。
    今まで何気なく過ごしていたが、色々な箇所に戦争の傷跡を見つけられる。

    そして、ベトナム国民に尊敬の意を持った。


    下巻も楽しみ。

  • この巻だけでも730頁の長編。
    下巻へ期待を寄せ読み続ける。

  • 陸軍犯罪捜査部を辞めたポール・ブレナーは、かつての上司カール・ヘルマン大佐に呼び出された。1968年、ヴェトナムの戦場でアメリカ軍大尉が中尉を射殺した。目撃者の北ヴェトナム兵を捜す極秘依頼――。ヴェトナム従軍兵の見た現在のベトナムという設定がとっても興味深かったです。あんまりベトナム戦争ってどんなものだったか意外と知らないんだあと思いました。

  • 陸軍犯罪捜査部を辞めたポール・ブレナーは、かつての上司カール・ヘルマン大佐に呼び出された。一九六八年、ヴェトナムの戦場でアメリカ軍大尉が中尉を射殺した。目撃者の北ヴェトナム兵を捜す極秘依頼――。当時兵士だったブレナーは、いまふたたびヴェトナムの地を踏む。傑作『将軍の娘』を凌ぐ続編。
    原題:Up country
    (2002年)

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