少子 (講談社文庫 さ 66-3)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739092

感想・レビュー・書評

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  • *このままいくと西暦三五〇〇年には日本の人口約一人。この社会の大問題に、多少の罪悪感はあるものの、「別にほしくないから」「痛いから」「生活を変えたくないから」「面倒くさいから」と言ってはまずいでしょうか。誰も口にしなかった本音で「出産・結婚・女の人生」と「少子化」の核心に迫る、傑作エッセイ*

    なんとコレ、2000年刊行なんですと!今から18年も前ー!!
    その頃から全くブレない酒井さん、大好きです♡
    巻頭の、”「赤ちゃんが欲しいなぁ」などと思ったことが、一度もありませんでした。”から飛ばす飛ばす。子持ち国との戦い、男性の妊娠代行、などなど、ユーモア溢れる毒もたっぷり。とにかく痛快です!

  • もう今から15年以上も前に、同じような考えをもった女性が居たのだなと、感激。
    産みたくない理由は、自分の考えとシンクロするものが多く、その漠然とした考えを著者が勢いのある言葉でズバズバと書いていて、非常に面白かった!
    著者なりの少子化対策の案として子育ての機械化(!)、女性に教育を与えない、男性でも妊娠、出産可能な化学の発達...などジョークとはしても思い切った考えも面白い。
    ま、産みたい人が産めばいいよね!って感じで、この本を読んだからと言って産みたくは全くなりませんでしたね(笑)

  • 「負け犬の遠吠え」で話題になった著者の、「負け犬」より前に発表した作品。「負け犬」より、もうちょっと「結婚しない」「子どもを生まない」理由に力を入れて解説し、それゆえにまわりくどいところもあるけれども、言っていることはすごく率直で正直でストレート。


    「なぜ子どもを生まないのか?」といった問いに、「痛いから」「面倒くさいから」「シャクだから」「男が情けないから」等々の理由をあげて論じるところが、はっきりいって「ステキ」としかいえません。少子化が女側だけの問題ではないことに、そろそろ少子化対策担当者たちは気づいてほしいところだけど、そのあたり、どういう状況なんだろうか。


    老人介護については、介護保険制度もできたけど、育児にも、どこか(または誰か)に一部委託するといった制度があってもいいんじゃない?という意見は、笑いながらもしみじみ共感できた。なぜ育児は生みの母親が世話しなきゃだめなの? メイドとかシッターとかを使って、作業の一部分でもアウトソーシングできたらどんなにラクだろう。はっきりいって、働いてれば、女である自分でさえも「…ヨメがほしい」と思うぐらいなのだ。もちろん、「ヨメ」は専業主婦のこと。つまり、掃除洗濯アイロンかけ料理、と、そういうことをやってくれる人がいればいいのになあ、と思うことがちょくちょくあるのだ。下衆の勘ぐりじゃないけど、老人介護にはサポートがあるのは、政治家やら官僚やらが、老いゆく自分の将来がかかっているからじゃないかと思ってしまう。


    それから、「ボランティアをやるときでも、『偉いねえ』とほめられたいとか、『ありがとう』と感謝されたいという欲求を、人はどこかで抱いてしまうものなのではないか」という部分も、ものすごく納得した。仕事柄、整体やヘルパーといった仕事に従事している人に仕事の醍醐味を聞く機会が多いのだが、そのたび、「ありがとう、といわれるのが一番嬉しい」と、ほとんど全員が口そろえて言うのだ。「ありがとう」と言われるってことは、自分のやったことに反応があるということなわけで、いかにそういう反応がモチベーションに影響してるかってことじゃなかろうか。


    保育園を増やすのも結構だし、男性が育児休暇を取りやすくするのもいい。でもさ、正直なところ、子どもを生もうと積極的に思わないのは、こういうことだよ。と、えらい方々に言いたいのだった。

  • 実におもしろく読めましたなぁ!

    初めは、このタイトルと、酒井さんが結婚・出産されていないというところから見て、たまにある経産婦に対しての「結婚、出産したからっていい気になるな」的な話かと思ってましたが、全然そうではありませんでした。
    日本の少子化について語ったエッセイです。

    「このままいくと西暦3500年には、日本の人口は約一人」なんだそうですよ。
    一人か…。
    少子化が進んでいるその「理由」を、自分自身のことも含めて書いてあり、その後「対策」として「こうしたら出生率上がるんじゃない?」ということが書いてある。
    それがまた極論なんだけど…(笑)
    最初は、「痛いから」とか「うらやましくないから」とか、子供を産んだ経験のある身としては「な、なんだよぅ」と思ってしまいたくなるような話もありましたが、それ以上に「なるほど〜」とか「わかるわかる!」と思うような内容がたくさん。
    特に「シャクだから」の章が「そうだそうだ!」と拳をつきあげたくなるような内容でした。
    時々出てくるグラフについている酒井さんのコメントにクスリとさせられました。
    それにしても丙午の時って、本当に出生率がガクーッと下がってるんですね。
    時がたったらまた読み返して「そうだそうだ!」という気分になりたいような、そんな本でした。

  • 私は現在妊娠中なのですが、「少子」は妊娠が判明するちょっと前に読みました。
    数ヶ月前なので、ちょっと内容が曖昧なのですがとても面白かったです。
    私の場合はたまたま子供が欲しかったです。昔から。
    思うには、著者の酒井順子さんは自己中心的で、自己愛が強すぎるなどと言われていますけど、本当に自己愛が強いのは「子供が欲しい人」のような気がします。
    私が子供を欲しいと思う理由のひとつに、自分のことを愛しているから、自分の子供は可愛いに違いないと微塵も疑わず思えることがあります。自分のことを愛していないならば子供は欲しくなかったと思います(そういう時期もしばらくありました)。
    子供がいらない人は無理して産まなくてもいいと思います。もし本当に子供を愛せなかったら悲劇です。少子化で人口が減ったからと言ってそんな未来のことを思い煩う必要はないと思います。

    ちなみに私の妹は子供は間違って出来たとしても絶対にいらないといっていますが、その気持ちもよく分かります。「少子」で説明されているとおりです。

    (アマゾンに書いたレビューをそのまま載せました)。

  • 爆笑した。少子化にまつわるおふざけエッセイ。いや、半ば真面目かもしれませんが…。九州女子のわたしからすると、リベラルな家庭に育ったサカジュンがうらやましくもある。サカジュンのアラサー時代のエッセイはノリに乗っていてすごい。今の丸くなった彼女の筆も好きよ!

  • いろいろ言ってるけどとにかく生みたくないんだな。
    私もだけど。

  • これはなんともトンがった少子化論な気がする。
    最新の酒井さんの著作にあるいろいろ通り越した感じ、結構乾いた笑いみたいなものはまだなくて、まだ産めるけど。。。という、なんというかこう煩悶のようなものを感じさせる文章だった。
    母親になった友人のおばちゃん化にひいてしまうあたりとか、なんとなく男性としても共感できるところもあり。
    男汁が全体的に足りないのでしょうか。うむむ。

  • 読むの二度目ですけれども、楽しめましたね。てか、この頃のサカジュン、まだ三十代ということもあって文章が若い…ものすげくトゲトゲしている感じがあるのであって、最近の、四十代後半になったサカジュンの文章を読んでいる身としては非常に違和感というか、勢いあんなぁ…という感じ。

    まあ、未婚の女子が出産したくない理由などが列挙してありますけれども、まあ、男のボキでもわからんでもないなー、という感じでありますね。ってか、サカジュンってなんというか男性的な感性をお持ちですよね!

    とこの本を読んで思いました…。この本の初版は2003年頃ですけれども、あの頃と比べて今は…さらに少子化、サカジュンの予想通りになっています…。今後、日本はどうなるのか!? まあ、このまま順調に少子化が進んで人口減少に繋がるのでせうね…。それで誰が困るのか!? まあ、困る人はいらっしゃるんでしょうけれども、このままなんとなーく少子になる流れは止められないでしょう…さよなラーメン。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 出産・育児・少子化などに関するエッセイ。

    Q.「なぜ、子どもを産まないのか?」
    A.「痛いから」「子育てしたくないから」「育てられるだけの環境にないから」etc
    改めて少子高齢化について、ある意味、女性の義務を果たしていない側の本音を痛烈に書いている。
    同じ未婚として、共感できるところがいっぱいあって面白かった。

    国が本気で少子化を止めたいならば、やはりもっと「産みたい」と思えるような環境整備をしてほしい。
    で、このご時勢だから産みたい人が産めばいいんじゃないかと。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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