新装版 播磨灘物語(1) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 102
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739320

作品紹介・あらすじ

黒田官兵衛。戦国時代末期の異才。牢人の子に生まれながらも、二十二歳にして播州・小寺藩の一番家老になる。だが、「この程度の小天地であくせくして自分は生涯をおわるのか」という倦怠があった。欲のうすい官兵衛だが、「広い世界へ出て、才略ひとつで天下いじりがしてみたい」という気持ちは強かった。

感想・レビュー・書評

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  • 数年前の大河ドラマが頭にあり、いずれ読み返そうと思っていた本作を、三十数年ぶりに再読(初読は単行本)。
    黒田官兵衛の祖先の成り立ちから、随想風に書き起こす司馬節を久しぶりに味わう。
    膨大な史料蒐集と想像力で、稀代の謀略家官兵衛の生涯を綴る著者及び彼の博識に改めて畏敬の念を抱く。
    この巻は、本来は歌詠みにでもなって世を過ごしたかったという官兵衛が、その才能を持て余している前半生が描かれている。

  • 小藩の家老職から乱世を生き抜き、ついには大名となった黒田官兵衛の生涯の物語。
    播州を舞台に官兵衛が生まれるまでの経緯。
    時代の波に流されるように、徐々に騒がしくなっていく世情。
    織田家と関わるきっかけ。
    荒木村重や高山右近との出会いを描いている。

    物語では聡明な少年らしいエピソードが語られる。
    同時に、繊細で傷つきやすい面を抱えているエピソードもある。
    若者らしい傲慢さもあり、藩主を軽んじているような所業も見られる。
    周囲の人間が自分より劣っている馬鹿にしか見えなかったのだろう。
    だが、それを隠し通すほどの思慮はまだこの頃の官兵衛にはない。
    今のように遠く離れた場所でも情報が手に入る時代ではない。
    武将の名を耳にしても、田舎にいては実際はどんな人物なのか正確には掴めない。
    官兵衛は小藩の家老職であり、国許にいればそれなりの扱いを期待できるのかもしれない。
    けれど一歩藩を離れてしまえば、官兵衛など取るに足らない存在だ。
    一方、官兵衛自身は自分の力を信じている。
    試してみたいと思っている。
    自分の思うように生きてみたいと思っている。
    もっと世の中を知りたいと思っている。
    武将としての官兵衛の人生はまだこれからだ。
    第二巻ではどんな活躍が待っているのだろう。
    本領を発揮する官兵衛を早く見てみたい。

  • 黒田官兵衛の生涯を描いた歴史小説。
    来年の大河ドラマの主人公でもある。
    織田信長が中世の時代を否定し、如何に新しい世の中を築こうとしてきたかも記載があり興味深い。

    以下引用~
    ・城下町は最初にたれが形成したのかは微妙だが、織田信長が尾張清州時代か、美濃岐阜時代にそれをやったとみるのが、妥当かもしれない。
    ・後年、官兵衛の子の長政が筑前に封ぜられてここに城を築いたとき、城下の名前を福岡とした。この家系の者がいかに備前福岡を懐かしんでいたかということのあらわれといえるかもしれない。
    ・官兵衛のような田舎の微小な勢力の中にいる者にとってキリシタンの組織ほどありがたいものはない。この南蛮寺(堺)にさえゆけば、日本中の情勢がわかるのである。
    ・これまで、自分の領国の首邑の地名を改称した例というのはきわめてすくない。まして、天下統一の志を露骨に示す地名(岐阜)をつけた例は信長以前になかった。
    ・信長は、近畿で領地さえとらなかった。・・・信長が新たな自領としておさえたのは、商業都市だけである。海外の物資のあつまる堺、北陸米のあつまる近江大津、それに近江草津だけである。そこにかれは代官を置き、流通経済を支配しようとした。

  • 来年の大河ドラマに向け予習して読書中。
    相変わらず司馬さんの本は読みやすい。

  • これを読むと大概の人は官兵衛が好きになってしまうんじゃないだろうか。

    優しい人柄、物事を見通す才智。
    無欲で自分がのしあがろうという気がさらさらなく、
    ただ自らの智略を思う存分発揮してみたいということだけを考える男。

    僕は歴史小説を読むときは高揚感とか一種の痛快さを求めてしまうのだが、
    この小説にはそうした要素は少ない。

    しかし、官兵衛の生き方になにか美しいものを見せてもらったような静かな感動があった。

  • 司馬先生が描く、黒田官兵衛。といいつつしばらくは官兵衛の祖父や親父どのの話です。目薬で財をなすところなどは興味深い(そんなに売れるのか)。官兵衛については、頭の良さと野心の無さが戦国時代として異質な存在になっていたという点をていねいに(多少、のらりくらりと)描いていて、のんびりと読みました。この後、織田と毛利の狭間で激動していくのでありますな。大河も観てるので、続きも比べつつ読みます。

  • 2014大河ドラマに向けての予習。
    先に読んだ吉川英治著『黒田如水』とは、大筋が共通している他は異なる場面が目立ちます。

    『播磨灘物語』で特に目立つのは「黒田官兵衛」がキリシタンとして描かれている部分。黒田官兵衛自身が様々な人間関係の中で歴史を作り上げていくのですが、その節々にキリシタンである事が重要なポイントとなります。
    黒田官兵衛が生涯一夫一妻を貫いたのも、荒木村重が最後まで自刃せず生き逃れようとしたのも、キリスト教の教えに従ったからだという解釈に基づきます。

    この辺りは大河ドラマでは描きにくいのではないかな?八重の桜でも極力宗教色を排除しようとしたようですし。黒田官兵衛のキャストを見ても、官兵衛との色恋沙汰を匂わせる女性キャストが数人用意されているようですし。とはいえ、八重の桜しかり、黒田官兵衛しかり、キリスト教である事をぼかしてしまっては根幹が描けないと思うのですが。

    それにしても『播磨灘物語』を読めば読む程、黒田官兵衛は豊臣秀吉抜きでは語れないという事がわかります。黒田官兵衛を知るには、豊臣秀吉を知らねばならないのでしょう。豊臣秀吉を知るという事は、織田信長や徳川家康を知る事にも繋がります。

    色々と読書欲を誘発される作品です。

  • 今年の年末年始用に購入。NHKの官兵衛の前に読み切る予定。官兵衛の祖先、近江の佐々木源氏までさかのぼり、話が始まる。長い助走から、始めるところが、司馬遼太郎らしい。面白いところはこれからか。

  • 元々如水のことが好きであり、先祖が黒田藩と聞いており起源を知るうえで大変参考になった。如水の人間性に惹かれた

  • 兵庫県が舞台ということもあり、知ってる地名があちこちに出てきます。
    ある時は主君の手紙を携えた使者が、またある時は戦場へ向かう侍達が、この地を駆け巡ったと思うと、見慣れた山や川への思いも変わってくるから不思議です。
    歴史小説はちょっと苦手でしたが、主人公が組織の中で悩む姿や、同志に救われ、気持ちを奮い立たせる姿には、共感させられるところが多かったです。
    全巻を通した感想になりますが、何よりも、最後まで「気高さ」を失わなかった官兵衛が、僕は好きです。

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著者プロフィール

司馬遼太郎は、1923年、大阪市生まれの日本の歴史小説家・エッセイストである。故人。
本名、福田 定一(ふくだ ていいち)。大阪府大阪市生まれ。筆名の由来は「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(故に太郎)」から来ている。
特に歴史小説の大家として知られ、代表作は「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」「燃えよ剣」「新撰組血風録」「菜の花の沖」「花神」「世に棲む日日」「梟の城」「関が原」「功名が辻」「国盗り物語」「街道をゆく」「十一番目の志士」「城をとる話」「風神の門」「二十一世紀に生きる君たちへ」他多数。その多くが大河ドラマ化、テレビドラマ化、映画化、コミック化などの形でマルチメディア展開されている。

司馬遼太郎は産経新聞社記者として在職中の1960年に、『梟の城』で直木賞を受賞。
1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
戦国・幕末・明治を扱った作品が多い。
1996年2月に72歳で逝去。
2001年には、東大阪市の自宅隣に司馬遼太郎記念館が開館。

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