飛ぶ教室 (講談社文庫)

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本棚登録 : 796
感想 : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739450

作品紹介・あらすじ

忘れない……あの頃の感動を
ナチス・ドイツに屈することなく勇気と感動を送り続けたケストナー。
傑作『飛ぶ教室』が待望の文庫復刻版に。

子どもだって、ときにはずいぶん悲しく、不幸なことだってあるのだ……。20世紀初頭。孤独なジョーニー、頭の切れるマルチン、腕っぷしの強いマチアス、弱虫なウリー、風変わりなゼバスチャン……個性溢れる5人の生徒たちが、寮生活の中で心の成長を遂げる。

みんなわたしたちのまわりにいる少年たちです。5人の生い立ちと性格はそれぞれにちがいますが、正義と友情という点ではみんなひとつに結ばれています。これは血も涙もあるあたたかい物語です。――(本書解説より)

感想・レビュー・書評

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  • 寄宿学校、クリスマスという舞台がなんかよいですよね。

    登場するいろんなタイプの男の子5人の友情。それに重ねるように描かれるかつて同じ寄宿学校で親友だった正義先生と禁煙さんの友情。

    ジャーニーが夜に寝つけずに、自分の将来に想いを馳せる場面がすごく好きです。ジャーニーと仲良しのマルチンは本当にけなげで、まじめで正義感のあるいい子だなぁと思いました。マルチンの家族のお話は切なくて涙がでてきちゃいますが、あたたかいエピソードでした。

    マチウスとウリーのでこぼこコンビもかわいらしかったです。腕っぷしが強くてやさしいマチウスが何気に一番好きです!
    ウリーのことをいつも気にかけていていい子だな、と。そして、臆病と言われていたウリーの勇気に拍手です。

    ゼバスチアンもとても気になる子でした。難しい本を読んでて、理屈っぽく話して、自分の弱いところを隠して、なかなか人に理解されない。人のこと見下した感じでふるまってるけど、優しいところもちゃんとあってなんか憎めない子でした。

    そして、こどもたちを見守る大人2人も素敵でしたね。正義先生も禁煙さんも素晴らしい志の持ち主でした・・・!5人はそんな大人が近くにいて本当によかったなと思いました。

    学校同士の抗争とか、悩みや将来のことなど、少年たちが自分達の世界で立派に戦っていている姿に元気をもらえました。
    心温まる作品でもあり、痛快な作品でもあり、楽しい作品でもあり!でした。
    ケストナーのこどもに対する対等な目線も素敵だなと思いました。

  • 寄宿舎学校の少年5人が体験した、クリスマス前のちょっとした成長物語だけど、添えられた前書き二つが何より素晴らしい。不幸や痛み、悲しみの大きさは大人も子どもも変わらないという事実にそっと寄り添おうとしている。良かれ悪かれ、人はふと故郷を思い出してしまうものであり、だからこそ人はそこで引き裂かれてしまう。故郷というのは喪われてしまうからこそ美しいのであり、だからこそ故郷を喪失した人が新たに帰る場所を見つけることができた時、それに感動せずにはいられないのだと思う。家に帰ろう。今日はみんな、家に帰れるといいね。

  • 長年の積読本、ようやく読了。
    この時季に読めてよかったです。
    ケストナー作品は、読んでいる間はモヤっとすることが多いのですが、おそらくそれは時代的背景によるものであって、読了後はどの作品も根底に流れる真理に感動してしまいます。
    80年以上も前に書かれたこの本が、時代を超えて読み継がれていることにも納得です。
    ディケンズ『クリスマス・キャロル』と併せ、毎年再読したいです。

  • ドイツのギムナジウム(日本でいう小学上級~高校生にあたる生徒が在籍する九年制の学校)を舞台に、少年達の寮生活を描いた小説。

    10代の少年達が未熟ながらも真剣に自分や周囲と向き合い、成長をしていく過程がユーモアを交え描かれており、心地よかった。

    少年たちの成長物語を描く一方で、ギムナジウムの卒業生である「正義先生」や「禁煙さん」といった大人たちの交流や成長をも織り交ぜた構成も、テーマにより深みを与えていると思う。

  • 子どもだってずいぶん悲しく
    不幸なことだってあるのだ...
    子どものなみだはおとなのなみだより
    小さいというものではない
    おとなのなみだより
    重いことだっていくらもあるのだ...

    ドイツがナチス政権をとるようになるほんの少し前の頃のこと。
    寄宿学校で寮生活をおくる五人の少年たちの友情は、熱く勇猛果敢で
    五人の少年たちはそれぞれ個々に孤独や貧しさや弱さを抱えていながらも
    決して屈しない。その健気さがなんとも愛しくて涙ぐましくも
    とても微笑ましいお話でした。

    中ほどで正義先生が二十年前の昔話を少年たちに語る場面が好きです。
    正義先生と禁煙さん。素敵なおとなたちです。

    著者・エーリッヒ・ケストナーさんがこのお話を描くことになった経緯から
    この物語が始まる冒頭のまえがきと、無事に書き終えた後のあとがきでとで
    もうひとつの別の物語も楽しめました。
    こちらもとても好きです。

    そしてさらに訳者さんによる解説もたいへん興味深く読みました。

    これから読んでみようと思われる方がいらっしゃいましたら
    ぜひともクリスマスシーズンにお楽しみください♪

  • 久しぶりに読みたくなって読んでみた。

    ケストナーの『ふたりのロッテ』が大好きで大好きで、
    少なくとも68回以上は読んでいる
    (盛ることなく、なんとか何らかの方法で
    リアルな数字を出してみた、みたい!)わたくし、

    家政婦レージの言葉を借りれば、
    「ロッテお嬢さんがあんまり好きなもんで!」ですよ。

    『ふたりのロッテ』が女の子向けっぽくて照れくさいなら、
    男の子は『飛ぶ教室』を読むが良いさ!

    舞台はある寄宿舎。
    小説家志望のジョーニー、
    正義感が強く、学年一の秀才マルチン、
    ボクサーになるのが夢のマチアス、
    弱虫なのが悩みのウリー、
    皮肉屋で風変わりなゼバスチャン、

    ちなみに教室が飛んでいく話ではなく、

    学校のクリスマスにジョーニーが作った
    『飛ぶ教室』と言う劇を五人が演じることからこの題名に
    なっているのです。

    皆の憧れ、舎監の正義先生、
    学校の近くに住む、頼れる禁煙さん、
    真面目なようで愉快な先生…

    今回久しぶりに読んで、
    ウリーの悲しみに寄り添えるようになった自分がいた。

    「泣くこと厳禁、泣くこと厳禁」と
    頑張るマルチンにのこのこ近付いて、
    「何より一番大事なのは物じゃない!」なんて言う
    恥知らずにはなりたくない!

    どうしてもお金が必要なことってあるんだから。

    正義先生とマルチンの大事な九柱戯場のシーン、
    あたりの木々にも聞こえないように正義先生が…
    のところで、いくらでも泣いちゃってください。

    ただ、我らがマルチンは「よよ」とは泣かないのよ。

    その他、ここちょっと…と私的に翻訳が気になる箇所があり、
    急遽岩波版を取り寄せて読んでいるところ!

  • 図書館で借りて読了。
    表紙が違ったので古い版だと思いますが、講談社文庫ではあったので多分同じ訳者かと。
    ソロモンの偽証のエピグラム引用で気になって読んだのですが、まさか引用部分が作者の呟き的な部分だとは夢にも思いませんでした。
    それと多分、なにかの漫画と混同していて読む前はSF的な話だと思い込んでいたのですが全然違いましたね…。
    寄宿学校の生徒たちの生活が生き生きと描かれていて、読む前のイメージとは全然違う楽しさがありました。
    メインの5人の生徒たちがそれぞれに悩みを抱えながら、どこかに救いや助言を得て日々を過ごしていくさまは、まるで身近な友人の成長のように微笑ましい気持ちになったり。
    でも更に強い感慨を覚えたのは、若い頃に自然と離れ離れになってしまった正義先生と禁煙さんが子供たちの助けで再会を果たした事でした。
    人生の中でうんと大切な相手であっても一緒にいられない状況になることと言うのはあるものです。それはいつか修復されることもあれば叶わず終わる事もあるのかもしれない。
    今の様にSNSも無い時代に、片方が再会を願う近さにいたこともあったとはいえ、子どもたちが二人を慕うからこその助力はじんわり沁みました。
    ケストナー作の本は子供時代に他にも読んでいたと思うのですが、この機会に読み返してみたいと思います。

  • 子供の頃に読んだ時と大人になってから読んだ時とやっぱり印象が違いますね。もちろん子供にも読んでもらって、道しるべにしてもらいたい本であることには変りないけど、ぜひ大人にも読んでもらいたい作品。というか教育関係者は、これを読ん教師と生徒との関係とかにどんな感想を持つのかな?ただの理想論として片付けてしまうのかな。それだと何だか悲しいですね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「日本全体に言えることでしょうけど」
      悲しいね、、、
      「日本全体に言えることでしょうけど」
      悲しいね、、、
      2013/02/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      内田センセの「教育について思うこと」が面白かったのでアドレス貼っておきます
      http://blog.tatsuru.com/2013/01/...
      内田センセの「教育について思うこと」が面白かったのでアドレス貼っておきます
      http://blog.tatsuru.com/2013/01/29_0925.php
      2013/02/01
    • いりあさん
      >nyancomaruさん
      ありがとうございます。この方は保守派でしたっけ?教育論については立場が変わったんですよね、たしか。
      さまざまな人...
      >nyancomaruさん
      ありがとうございます。この方は保守派でしたっけ?教育論については立場が変わったんですよね、たしか。
      さまざまな人の批評を読んだり、聞いたりしていると結局は主観的な話になってしまったり、物事を一面からしか見てなかったりと,色々難しいなと感じます。
      物事を多角的に把握できる人が最終的には生き残るんでしょうけどw
      2013/02/01
  • 子どもだって、ときにはずいぶん悲しく、不幸なことだってあるのだ…。20世紀初頭。孤独なジョーニー、頭の切れるマルチン、腕っぷしの強いマチアス、弱虫なウリー、風変わりなゼバスチャン…個性溢れる五人の生徒たちが、寮生活の中で心の成長を遂げる。全世界が涙したケストナーの最高傑作。
    以上引用。

    P219「先生はしばらく待つことにしました。はやまってなぐさめの言葉をかけてはならないことを、先生は知っていたからです。やがて先生はハンカチをとりだすと、少年をひきよせ、その顔をぬぐってやりました。…」
    魅力的な登場人物がたくさん。特に、マルチンに感情移入した。

  •  時代は二十世紀初頭、ドイツの寄宿学校で暮らす五人の少年の成長を描いた、クリスマスの物語。ちなみに寄宿学校とは、住み込みの学校のようなものです。両親から離れ、学校で仲間と寝食を共にしながら勉強をする。規律も厳しく、そうした生活をしたことのない私は「大変そうだなあ」なんて思うのですが、でも物語の中の彼らは生き生きとして、楽しそう。それはきっと、彼らを支えてくれている先生や、周りの大人がいてくれるから。

     登場人物は、クラスで成績が一番の優等生ながら、仲間を助けるためなら規則を破って学校の外へ出ることもいとわない、勇気ある少年のマルチン・ターラー。マルチンの親友で、幼い頃に両親に捨てられたせいか、どこか大人びている少年、ジョーニー・トロッツ。食いしん坊だけどお腹が満たされると本気を出す? マチアス・ゼルプマン。弱虫な自分を変えたい小柄な少年、ウリー・ジンメルン。交渉上手で変わり者のゼバスチャン。
     そして彼らを見守り時に手をさしのべる二人の大人。正義先生と呼ばれて生徒たちに愛されている、ヨハン・ベク先生。名前のわりに愛煙家の、お茶目な禁煙さん。

     ちなみに、「飛ぶ教室」ってなんだ? と思われるかもしれませんが、これは少年たちが学校のクリスマス会で行う予定の劇のタイトル。生徒と先生が飛行機で旅をしながら、世界各地で授業をする、という不思議なお話。
     この本のタイトルを「飛ぶ教室」にしたのは、人生の大事なことを学べるのは学校の教室の中だけではなくて、どこにいても学べることはたくさんあるんだよ、という作者のメッセージなのかもしれませんね。

     意外かもしれませんが、この作品、ハリーポッターが好きな人にもおすすめしたいかも。ファンタジー小説ではないし、魔法も出てこないけれど、寄宿学校の雰囲気が、ホグワーツ魔法学校にどこか似ています。あちらも住み込みの学校ですしね。
     「飛ぶ教室」の寄宿学校は、決まった時間にしか外出できません。少年たちはやむを得ずその規則を破ることになるのですが、それを見張っていて先生に告げ口しにいく、嫌味な生徒がいましてね。なんというか、規則を破ったグリフィンドールは五点減点、でもその勇気に十点! という、あの感じ。

     巻末の解説によりますと、この本が刊行されたのは1933年とのこと。これは第一次世界大戦と第二次世界大戦の間、ヒットラー率いるナチス党がドイツで政権をとった年だそうです。
     当時のドイツの人々はきっと、明日のことすら見通せず、大きな不安を抱えながら暮らしていたはず。そんな中、政府の検閲をくぐり抜けて刊行されたこの本は、どれだけ多くの子供たちに優しさと勇気を与えたことでしょう。
     状況は当時とは違うものの、暗いニュースが後を絶たず、不安になるのは今の時代も同じ。この作品はそんなあなたの心を、優しく温めてくれることでしょう。

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