ダレカガナカニイル… (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 585
レビュー : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739498

作品紹介・あらすじ

警備員の西岡は、新興宗教団体を過激な反対運動から護る仕事に就いた。だが着任当夜、監視カメラの目の前で道場が出火、教祖が死を遂げる。それ以来、彼の頭で他人の声がしはじめた。"ここはどこ?あなたはだれ?"と訴える声の正体は何なのか?ミステリー、SF、恋愛小説、すべてを融合した奇跡的傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 井上夢人っぽい?オカルトな一冊。

    勤め先の警備保障会社で不祥事を起こした西岡は、村との衝突が
    起きている新興宗教法人「解放の家」の警備を担当することになる。
    ところが仕事初日に火事が発生し、教祖が焼け死ぬ。
    その日から、西岡の身体に異変が起こる。
    頭の中で誰かの「声」がするのが聞こえるのだ…。

    プロットは面白いと思った。
    突如鳴り響く頭の中の声、繰り返し見る焼かれ死ぬ夢。気が狂ったのかと苦しみ、頭の中の声に反発し、徐々に受け入れ、立場は逆転し。

    でも頭の中にいる女と、「解放の家」の晶子には終始イライラさせられ、
    挙句、愛だのなんだの唐突すぎて失笑…。
    頭の中の声が、当初より記憶がなく、それを取り戻したわけでもないのに、
    犯人捜しに性急な動きを見せるのにも「?」となった。
    だからあたしを殺したのね!?…って、なぜそう動く、と突っ込み。

    意識をとばす「ポワ」自体の非現実性は小説だから気にならないし、
    ある意味リアリティがあって面白いと思ったんだけど、反面、
    現実的であるべき登場人物の行動についていけずあまり入り込めなかった。。
    結局、頭の中の声と、晶子の心情の動きが女の視点からみて不自然なんだと思う。
    期待しちゃってたのでざんねん。

  • タイトル通り、誰かの意識が自分に入っちゃった話。

    ちょっと『寄生獣』みたいだった。
    あまりファンタジーとかSFとかが得意でないので楽しめるか不安だったけど、杞憂だった。
    本の厚みを感じさせない面白さだった。
    この設定でこれだけ面白く書けるのは才能なんだろう。

    一体どういう結末がハッピーエンドなのか判定がつかず、だから物語がどの方向性で進むのかも察知できず、そういった要素もこのミステリ(?)の成功に繋がってる気がする。

    でも、考え得るなかで一番ツライ終わり方だった……。西岡、可哀想すぎる……。

  • 声の正体が分かった時、切ない気持ちになり、もう一回読み返した。
    最初と違った気分で読めた。

  • 厚い、とにかく厚い。文庫で約700ページもある。手に持つとズッシリ(文庫でこんなに暑いのは京極夏彦くらいではなかろうか)。だから正直これ、最後まで読みきれるかなー、と思ったんだけど、その予想はまんまと裏切られたね。とにかくグイグイ惹き込まれ、こんな厚いのにもかかわらず一気に読んでしまった。先が気になってページをめくる手が止まらなかったわ。
    怪しげな宗教、それを追放せんとするちょっと怖い荒くれ集団、宗教団体が火事で消える、残された美人な教祖の娘、他人の意識が入り込んできて1人が2人になる主人公、火事事件の真相を「2人」で追う主人公、などなどこの本にはあらゆるジャンルの面白さが詰まっている。宗教団体の火事事件の真相を追う(ミステリー)、1人の人間の中にもう1人が存在する(SF)、イチャラブ(恋愛)、この本の宣伝文句でもあるが、色んなジャンルが融合されている(解説ではジャンルミックスといっている)。しかもそれぞれのジャンルの良い所をとことん味あわせてくれるのだからお腹いっぱいだ。この事件の犯人は誰なの!? 入り込んできたもう「1人」の意識は誰なの!?、とミステリー要素で引っ張ってくれるし、1人が2人になることで、意識と無意識、心と身体、といったSFチックな要素で興味をそそられる。それだけなく、かわい子ちゃんとの恋愛要素もあるわけだから、読書の様々な欲求を満たしてくれる。これにより長編にも関わらず、飽きずに読むことが出来るだろう。
    主人公と「声」の掛け合いが面白い。最初は反発しあってた仲だが、段々と一体感を見せてきて、シュールな掛け合いを見せてくれる。
    例えば、

    p.182
    トイレで用を足していると〈声〉がまた言った。
    《ねえ、ちょっと訊いてもいい?》
    なんだ。
    《それ—指で持ってると、どういう感じなの?》
    「............」
    はっとして、目を上げた。
    「ばかやろう!」

    といった具合に、思わずクスッとしてしまうやり取りがいくつもある。ちなみに、「声」がどんな音色であるかの描写がないので、自分なりに色々変換して、脳内再生して遊んでみるのもいいかもしれない。
    あなたは、この小説のジャンルを、「ミステリー」色が強い作品と捉えるか、それとも「SF」色が強い作品と捉えるか、かたや「恋愛もの」小説と捉えるか、いや「どれにも属さない」、いやいや「全部融合している」と捉えるか、これもまた人によって違うだろう。
    とにかく長いし、内容も宗教、意識と無意識、心と身体、といった精神世界に踏み込んでいるためやや難解である。クセが強い作品のため、万人におすすめできるわけではないが、それでもこの長さを一気に読ませる著者の手腕は見事だ。厚いし重いしかさばるので、持ち歩いて空いた時間にちょくちょく読むよりは、自宅や図書館あるいはカフェなどで、じっくり腰を据えて読むのがオススメだ。

  • 今回もアタリ作品。

    読んでいる間中の違和感、結末まで読んでようやく解消。
    今作は騙されたというより綺麗な形で腑に落ちた。


    まだまだ、他の作品をむさぼるように読みたい。

  • 宗教というものも、こんなふうに爽やかで優しいものだったら皆に毛嫌いされる事もないんだろうに。しかしかわいい女の子というだけでずいぶん感じ方がかわる。ただしイケメンに限るというやつか・・・

  • 井上夢人さん、ソロ再デビュー作。
    新興宗教や宗教用語が頻繁に出てくるので、某宗教団体が頭にちらついてしまった。
    ただし、あの事件前に書かれたものだというのがなんとも凄い。
    読み始めたら止まらなくなって、一気読みしてしまいました。
    哀しさを残すラストではあるものの、どんでん返しはお見事。
    予想外でした。
    人としてどうかと思うようなところもある主人公でしたが、主人公と<声>のやり取りにクスリとさせられるところもあって面白かったです。
    主人公のように、ある日突然頭の中に誰かが舞い込んできたら嫌だろうな。

  • SF色が強い本書ですが、ある制約条件下で起きた謎を解決するお話なので、ミステリーとして十分に楽しめる作品だと思います。監視カメラのトリックから真犯人を突き止める辺りはなかなか読み応えがありました。
    180度方向転換したようなオチは驚きましたが、何か丸めこまれたような感じでスッキリしませんでした。

  • 岡嶋二人解散後のソロデビュー作。

    面白かったんだけど、長かったよ。

    すごい時間かかった。

  • 凄い面白いというわけではないが、妙な牽引力に引っ張られて最後まで読まされてしまう。
    どきどきわくわくさせられるというより、手が空いたときについつい手にとってしまうそんな魅力がある。絶品の高級フランス料理というよりついつい箸が進んでしまう沢庵のような読み心地があると言っては変だろうか。
    西岡の心に入ってきたのはいったい誰であったのか。予想することはそれほど難しいことではない。ラストのオチは完全に予想が当たっていたわけではないが、集中して読んでいればいくつかの候補の一つにはなっているだろう。その部分の驚きというより、本当の真実はどこにあるのであろうか。そう弱弱しく聞いてくるような不可思議さが楽しかったり。
    インパクトというより面白い知恵の輪を渡されるような吸引力がある本書はもう少し短くてもいいような気もするがお勧めだなと思った。

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著者プロフィール

1950年生まれ。1982年、岡嶋二人として『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞。1986年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞、1989年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞後、同年にコンビを解消。1992年『ダレカガナカニイル…』でソロとして再デビュー。近著に『ラバー・ソウル』『the SIX』など。

「2015年 『激動 東京五輪1964』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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