ダレカガナカニイル… (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 763
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739498

作品紹介・あらすじ

警備員の西岡は、新興宗教団体を過激な反対運動から護る仕事に就いた。だが着任当夜、監視カメラの目の前で道場が出火、教祖が死を遂げる。それ以来、彼の頭で他人の声がしはじめた。"ここはどこ?あなたはだれ?"と訴える声の正体は何なのか?ミステリー、SF、恋愛小説、すべてを融合した奇跡的傑作。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと表紙から、ホラーかと思いきや、これは切ないです。

  • タイトル通り、誰かの意識が自分に入っちゃった話。

    ちょっと『寄生獣』みたいだった。
    あまりファンタジーとかSFとかが得意でないので楽しめるか不安だったけど、杞憂だった。
    本の厚みを感じさせない面白さだった。
    この設定でこれだけ面白く書けるのは才能なんだろう。

    一体どういう結末がハッピーエンドなのか判定がつかず、だから物語がどの方向性で進むのかも察知できず、そういった要素もこのミステリ(?)の成功に繋がってる気がする。

    でも、考え得るなかで一番ツライ終わり方だった……。西岡、可哀想すぎる……。

  • 確かに多様な見せ方を持つストーリーではある。
    が、長さの割に見せ場が少ないような。
    とはいえなんとなく読み進めて気づいたら終盤、という辺りストーリーテリングにはまったのかもしれない。


    以下ネタバレ

    未来の晶子が死ぬ直前渾身のポアにて魂だけに。
    うっかり過去に飛んで、過去の西村に乗り移っちゃったぞ☆
    本人もポアで忘れちゃったけど、頭の中にいたのは、過去からの晶子だったぁ!

  • スピリチュアルな言葉や展開についていけず、読んではやめ、読んではやめを繰り返しようやく読み終わった。

    ヒロインを好きになれるかどうかがポイントだと思う。
    私は好きになれなかった。

    あざとい面やしたたかな面が見え隠れして、魅力的というより危ない女性に傾いた。

    終盤まで男の候補がでてこないことから、夢の男は多分、主人公なんだろうなぁとは思ったが、その過程までは予想できなかった。
    切ないラストで終わるのだが、やっぱり晶子への警戒心は解けず、消化不良。

  • 徳山さんが亡くなったニュース見て、もう10何年も前に読んだ本の再読。当時自分が若かったこともあって、なんて熱い愛が故の行動か…!とか思ってたけど、この年になって読むと全然印象違ったな~。ミステリーとしては好きだけど…、昔ほどの衝撃はなかったかも。

  • 同じことを繰り返す文章が多くて無駄に長かった。
    精神科医とのくだりは省いて
    夢の部分も2度目からは簡潔に
    もっと短い話にしたら良かったのに。
    そうしたらラストがもっといきてくるのにな。

    • フォレストさん
      精神科医のくだりは、教祖を燃やした犯人は精神科医だとミスリードさせるための仕掛けだったのかなと。
      冗長に見えますけど、男が誰だったのかを推理...
      精神科医のくだりは、教祖を燃やした犯人は精神科医だとミスリードさせるための仕掛けだったのかなと。
      冗長に見えますけど、男が誰だったのかを推理する上ではあのシーンは上手かったかと僕は思いましたよ。
      でも、無いなら無いでもっとスリムになって読みやすかったとも思います。
      2020/07/23
  • 声の正体が分かった時、切ない気持ちになり、もう一回読み返した。
    最初と違った気分で読めた。

  • 厚い、とにかく厚い。文庫で約700ページもある。手に持つとズッシリ(文庫でこんなに暑いのは京極夏彦くらいではなかろうか)。だから正直これ、最後まで読みきれるかなー、と思ったんだけど、その予想はまんまと裏切られたね。とにかくグイグイ惹き込まれ、こんな厚いのにもかかわらず一気に読んでしまった。先が気になってページをめくる手が止まらなかったわ。
    怪しげな宗教、それを追放せんとするちょっと怖い荒くれ集団、宗教団体が火事で消える、残された美人な教祖の娘、他人の意識が入り込んできて1人が2人になる主人公、火事事件の真相を「2人」で追う主人公、などなどこの本にはあらゆるジャンルの面白さが詰まっている。宗教団体の火事事件の真相を追う(ミステリー)、1人の人間の中にもう1人が存在する(SF)、イチャラブ(恋愛)、この本の宣伝文句でもあるが、色んなジャンルが融合されている(解説ではジャンルミックスといっている)。しかもそれぞれのジャンルの良い所をとことん味あわせてくれるのだからお腹いっぱいだ。この事件の犯人は誰なの!? 入り込んできたもう「1人」の意識は誰なの!?、とミステリー要素で引っ張ってくれるし、1人が2人になることで、意識と無意識、心と身体、といったSFチックな要素で興味をそそられる。それだけなく、かわい子ちゃんとの恋愛要素もあるわけだから、読書の様々な欲求を満たしてくれる。これにより長編にも関わらず、飽きずに読むことが出来るだろう。
    主人公と「声」の掛け合いが面白い。最初は反発しあってた仲だが、段々と一体感を見せてきて、シュールな掛け合いを見せてくれる。
    例えば、

    p.182
    トイレで用を足していると〈声〉がまた言った。
    《ねえ、ちょっと訊いてもいい?》
    なんだ。
    《それ—指で持ってると、どういう感じなの?》
    「............」
    はっとして、目を上げた。
    「ばかやろう!」

    といった具合に、思わずクスッとしてしまうやり取りがいくつもある。ちなみに、「声」がどんな音色であるかの描写がないので、自分なりに色々変換して、脳内再生して遊んでみるのもいいかもしれない。
    あなたは、この小説のジャンルを、「ミステリー」色が強い作品と捉えるか、それとも「SF」色が強い作品と捉えるか、かたや「恋愛もの」小説と捉えるか、いや「どれにも属さない」、いやいや「全部融合している」と捉えるか、これもまた人によって違うだろう。
    とにかく長いし、内容も宗教、意識と無意識、心と身体、といった精神世界に踏み込んでいるためやや難解である。クセが強い作品のため、万人におすすめできるわけではないが、それでもこの長さを一気に読ませる著者の手腕は見事だ。厚いし重いしかさばるので、持ち歩いて空いた時間にちょくちょく読むよりは、自宅や図書館あるいはカフェなどで、じっくり腰を据えて読むのがオススメだ。

  • 今回もアタリ作品。

    読んでいる間中の違和感、結末まで読んでようやく解消。
    今作は騙されたというより綺麗な形で腑に落ちた。


    まだまだ、他の作品をむさぼるように読みたい。

  • 宗教というものも、こんなふうに爽やかで優しいものだったら皆に毛嫌いされる事もないんだろうに。しかしかわいい女の子というだけでずいぶん感じ方がかわる。ただしイケメンに限るというやつか・・・

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著者プロフィール

昭和25年生まれ。昭和57年に徳山諄一との岡嶋二人名義で第28回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。平成4年に『ダレカガナカニイル……』(新潮社)で再デビューした。代表作に『ラバー・ソウル』(講談社)など。

「2020年 『平成ストライク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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