続 御書物同心日記 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 69
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739559

作品紹介・あらすじ

嫁入り道具の絵巻物を担保に、大名家が古本屋に金を借りてきた。目利きを頼まれた御書物同心の丈太郎は、極彩色の春画にうろたえる。一方、将軍家の書物を管理する御文庫では将軍遺愛の本が紛失した。書名を聞いた途端、丈太郎は驚愕する。そして「事件」は意外な展開をみせた-。江戸情緒あふれる連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 前作も、面白く読んだ。
    御書物方同心なる役があったこと、紅葉山の德川家の御文庫のこと、そこでどんな仕事があったのか、どれも知らなかったことばかりで興味深かった。
    ごく短い短編なのに、古書をめぐる謎とその解決がそれほど不自然でなく展開する手際の良さも、見事だと思った。
    ただ、前作は埃やネズミの糞、紙魚、腐った弁当など、何かこ汚い話が多くて、気分的に嫌になったぶぶんもある。

    で、続編の本作。
    感心するところは前作同様。
    ベテラン作家の安心感がある。
    一方、眼福満腹会の趣向とか、菊尽くしグルメとか、旗本の蔵書を改めた際にふるまわれる昼食とか、グルメ小説になったのかと思わされた。
    作中にも出て来るように、「古本屋には季節はない」。
    しかし、この作では季節も味わうことができる。
    その工夫の一つが、食べ物の描写なのだろう。

    白瀬角一郎や、日本橋の古本屋の小泉喜助一家など、引き続いて登場する人物も多い。
    最後の「蓮実」に出てきた油畑友造は、なかなか面白い人物のようだが、次作にも登場するのかな?

  • 将軍家の蔵書の管理をする書物方同心の日常を描いた物語の続編。
    前作が淡々とした仕事ぶりを中心としていたのに対し、今作では日常の範囲ではありますが、ちょっと変わった出来事を描いていて、少々波風も起きるようです。それに伴って丈太郎も武士っぽくなってます。とはいえ地味で味わい深い物語というのは同じです。
    読み始めると先の展開が読めなくて、という訳ではないのに読み進んでしまいます。本が好きな人、本と関わって生きている人が多く、そういう人を見るのが好きだからなんでしょう。この巻では若干角一郎の出番が少ないですけど、新しく出てくる同僚達もいい人ですね。自分は世話役の敬之助がお気に入り。業務に関して威儀を正すのですが、それがすぐ崩れて地のいい人が顔を出してしまう。好きですね、この人。

  • 御書物方をのどかなどと感じたが、今でこそ空調と機械警備に任せて古文書を管理しているものの、あれを人力でやるならば相当難儀に違いない。無事であってあたりまえながら、一日24時間、永劫に大事を許されない重責であると思い直す。

  • 江戸時代の本、気になりますね。春画ネタも多いようですが!

  • すっかり、その淡々とした世界にはまってしまった『御書物同心日記』。この続編では、「本の虫」丈太郎の意外に剛毅な一面とも出会うことができる。

    事件というほどの事件は相変わらず起こらないが、平凡な日常の中にときどき起こる「波風」は前作にくらべればはるかに大きく、そのぶん丈太郎も文字どおりの「活躍」をみせるのが新鮮。時間の経過とともに角一郎をはじめとする同心仲間との関係もやや密になり、淡彩な日々にもほんのり色づきはじめたようだ。

  • 続、からしか見つからなかったけれど、別に困らない。将軍家の司書を勤めた同心たちの話である。そんな役職があるとは知らなかった。ついでに古本屋の手伝いをしているのが面白い。

  • 初版本

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著者プロフィール

出久根達郎(でくね・たつろう)
1944年、茨城県生まれ。作家。古書店主。中学卒業後、上京し古書店に勤め、73年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら文筆活動を行う。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、翌年『佃島ふたり書房』で直木賞、2015年『短篇集 半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。他に『古本綺譚』『作家の値段』『雑誌倶楽部』『春本を愉しむ』『本があって猫がいる』『隅っこの昭和』『幕末明治 異能の日本人』『桜奉行』『漱石センセと私』など多数。

「2018年 『文庫 本と暮らせば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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