つるつるの壺 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 583
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062747509

作品紹介・あらすじ

妄想に近いたわごと。言葉になりかける寸前でぐずぐずになってしまう想い。ワードプロセッサーの中でのたうち回る私の思念が現実を侵食する。やめてくれないか。そういうことは。と思ったけれども、それでもほつほつ続けるうち私自身が因果そのものとなり果て…。町田節爆発、クールでキュートなエッセー。

感想・レビュー・書評

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  • **

  • なんかこの人の割にパンチが足りない。

  • ん~…

  • 歌うように物語をつづる。芥川賞作家。町田康がつづるエッセイ集です。こういう本よりもビジネス書を読んだほうがすぐに役に立つと思いますがすぐに役立つものはすぐに役立たなくなります。視点を変えたい方はぜひ。

    すでにこのときから『町田節』と呼ばれる独特の文体で語られる筆者のエッセイは笑いのツボからその視点にまつわるところまで、自分の感覚に重大な影響を与えてくれました。確か、この本を読んだのは大学時代~漂白の時期を送っていたころだと記憶せられますが、今回この本を再読して、当時の気持ちを思い出して、『もう二度とこんな時期には帰りたくない!』というのと『いざ、戻ったところでこういう精神があれば何とか乗り越えられるんじゃないのか?』 というなんとも複雑な気持ちがない交ぜになっています。

    どうも筆者はこのエッセイが書かれた時期に結婚をしているのですが、彼らはどのようにして『夫婦となりしか?』ということがあまり語れている文献が無いので、彼ら夫婦の紡ぐ『物語』というのはオリジナリティー溢れるものだろうなということを、この本を読みながら勝手に想像してしまいました。

    一番僕が読んでいて『おっ?』と思った箇所は『人間の屑と聖書』と銘打たれたとある場所で行われた講演を文字に起したもので、筆者が室内警備の夜間仕事をやっていたときのことがつづられていて、詳しいことは書きませんが、彼の語っている同僚の様子が、昔、某所で経験したまったく同じ施設警備の職種に集ってきた人間たちと同じ人たちだということに、ウーン、と考え込まざるを得ませんでした。

    そして、その続きである「勝者の傲慢、敗者の堕落」という箇所で、つづられているロックに対する彼の見方が本当に鋭く、現在読んでもまったく古びていないな、という驚きがありました。ほかにも、彼のつづる『日常』は本当に独特の世界観でつづられていて、この本を読んでもビジネスなどにはまったく役には経たないと思いますが、こういう本の中にこそ、むしろ『喜び』や『救い』があるのだと、確信を持っていえることが現在ではできます。

  • だけど、他人の本、無理やりほめてるんじゃないよな?町田サン、
    っていう疑念が・・・

  • 町田康作品、3作目を読了。
    この前に読んだ『へらへらぼっちゃん』よりはやや劣るが、毎回町田節には楽しませてもらっている。

    ただし、読んだ3作共通して内容をほぼ覚えていない。読んだ瞬間からポロポロと内容が抜け落ちていく、そんな感覚。
    笑えて朽ちて、結局何も残らない。そんな無益な本です。でも何故かクセになる、そんな町田康の作品、好き。
    あ、酒の肴に丁度良し!

  • 『そしてたぶん自分は、今日も涙で明日も涙。明後日涙で、明明後日うすら笑い。その後のことはようわからん。』

    『拙宅にも猫が二匹いて…、ー 思い切って申し上げると、私としては、これを、匹、と言いたくないのであって、じゃあなんなんだ、と言われても困るのだけれども、うーん。困った。じゃあ、本当の本当の本当の事を言うと、恥を申し上げるようだけれども、言いますと、「私はこれを二人と言いたい」うぐぐぐ。とうとう言ってしまった。』

    『こうしてすべてを告白してしまい、余計な虚栄心を捨ててしまったいま現在、私は大変安らかな気分である。誰に対してでも、堂々と、「拙宅には猫が二人います」と言えそうな心持ちがする。』

    『休日。精神的な快楽と肉体的な快楽とどっちにしよう? つって、やっぱり精神的快楽。ー それに精神つったほうがなんか高尚な感じがするし。イエイー、てって精神的快楽といえばやはり
    読書』

    『だいたいにおいて文字というのは威嚇的である。例えば、脅迫状や不幸の手紙なども、字で書いてあるからこそ、所期の目的を達成する可能性があるのであって、もし仮にこれが、紙に悪漢の顔が書いてあって、その横に、「六千万円もってきてちょんまげ」などと書き添えてあったとしたら、なにかの冗談だと思って誰も本気で対応しようとはせず、人質は殺害されてしまうだろう。』

    『それじゃまるで××じゃないか。そういう××は一刻も早く、××××に××にしてしまわないと、××だよ。』

    『自分のような人間とて人並みにいただく御飯もいただかんければ生きていかれず、その、米代、味噌代、醤油代を支払うための最低限の金子は稼がんければ相成らぬからで、しょうがない』

    『まったく仏語を解さぬ自分はパリで三歳児にも劣る状態であり、煙草ひとつ買うにもふたりの人間の介助を要するといった体たらくであったが、まあそこはなんとかなった。』

    『俺は切手しか買わぬ。最低のブタ野郎だ。クソ野郎だ。ケチ、ケチ、ケチ、ケチ野郎なんだよ。貴様はよ。ロール・オーバー・シャイロック。エブリバディレッツ貯蓄』

    『しかしそれもまた不自由な話で、進むも不自由、引くのも不自由、不自由の泥沼の中で人は生き、そして死んでいくのだ、終わっていくのだ。腐っていくのだ、なんてことを考え自分は猫を抱きしめ踊り狂った。』

    『ほどなくして運ばれてきた蕎麦、わーい。実にうまそうだ。食べよ食べよ。しかしながらその前にやはりもう一杯飲もうかな。なんてって、脇に蒸篭を置いたところ、手元が狂って蕎麦を床にぶちまけてしまう。しかし僕らはプラス思考。いいじゃないか。蕎麦くらい。人間だもの。』

    『僕は、あなたに、水戸黄門のテーマを日に五度聴けばいいと思う。そして有名な、「人生楽ありゃ苦もあるさー」という歌詞を「人生、苦もありゃ苦もあるさ。苦もありゃ苦もあるさ。苦もあーりゃー、苦もありゃ苦もあるさ。苦もありゃ苦もありゃ苦もあるさ」と歌い替えてごらんなさい。やがて結婚なんて大した苦じゃないと思えるようになり、そのうちある点を超えると、うそのようにいい加減な人間になる』

    『音楽というものは論文ではないのであって、言いたいことなどあるわけがないし、一言に要約できるような種類のものではない。』

    『親に背いてパンク歌手に成り下がった身の因果を思い、来世ではきっと堅気になろうと心に誓う』

    『回転式鼻毛剃りを全世界に普及させるためです』

  • いつもはしない頭の中での音声再生を、
    知らないうちにやってしまうようなリズム感が非常に面白い。
    落語は一度も聴いたことないけど、落語的な音感、
    というかテンポに脳内で自然と音楽が響くような感覚に陥る。

    INUをまた聴きたくなるようなエッセイでした。

  • リズミカルだよ。

  • なんて面白くて無益なエッセイなんだろう!

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著者プロフィール

1962年生まれ、大阪府堺市出身。バンド「INU」のボーカリストとして活動する一方、俳優、詩人としても活躍。1996年「くっすん大黒」で小説家デビューし、第7回bunkamuraドゥマゴ文学賞、第19回野間文芸新人賞を同時受賞。2000年「きれぎれ」で第123回芥川賞を受賞以降は、作家としての活動にほぼ専心している。
その他受賞歴として、2001年『土間の四十八滝』で第9回萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で第28回川端康成文学賞、2005年に『告白』で第41回谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で第61回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
上記文芸作が代表作として評価を得る一方、映画化された『パンク侍、斬られて候』など、メディア化作品が多い。エッセイストとしても定評があり、『猫にかまけて』『スピンク日記』などが人気。

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