ぼんくら(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 329
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062747523

感想・レビュー・書評

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  • ぼんくらの下巻

    上巻では鉄瓶長屋の店子(借主)が次々と長屋から出て行ってしまう事態になったが、それが実は鉄瓶長屋の土地主である湊屋自身によるものだと分かり始めた
    湊屋の狙いがわかってくるのが下巻

    下巻を読み始めてすぐに、ぼんくら同心の平四郎たちの推理がある結論に達する
    湊屋の主人の奥さんが、湊屋の浮気相手を殺して鉄瓶長屋に埋めたというもの
    それが表沙汰にならないように、裏から手を回して鉄瓶長屋の住人を追い出し、長屋の跡地に湊屋の別邸か何かを建てようとしているのではないか

    その浮気相手というのが、鉄瓶長屋の現在の差配人である佐吉の実母であったり、湊屋にねじれた恨みを持ち、湊屋の罪を暴こうとしている仁平であったり
    子供ではあるが、すぐにでも平四郎の片腕にもなりそうな才能を発揮する弓之助、鉄瓶長屋の「心」お徳さん

    ストーリーやキャラクターがかなり練られており、とても読み応えがある作品である

    平四郎たちの推理がかなり自分に近づいている事を感じた湊屋が平四郎との直接対話を望み、その場で全てが明かされる
    女の怖さ、男の身勝手さといったところが描かれている

  • 鉄瓶長屋に起こった事件を契機に、平四郎側と総右衛門側の人々はこれまで知ることのなかった感情や生き方、価値観に触れることになる。それは、彼らの中では、存在している事実を頭では認識できたとしても、心情としては理解しがたいことであった。
     それを象徴するのが「本当のこと」という言葉である。「ぼんくら」のなかで、両者の会話の中に「本当のこと」という言葉がしきりに使われるが、それは両者それぞれにおいて異なる内容、事実を指していた。しかし、ともにこの「本当のこと」という言葉によって、人間それぞれがその感情や信念の中に持っていて、たとえそれが世間の常識や規範から外れることになったとしても譲れないものを指しているようである。両者は、自分たちとは「違う人種」の「本当のこと」に触れることによって、それに賛同しかねるとしても、「人間には、それぞれの違う人生があるように、違う考えかたや生きかたがあるのだ」ということにも気付かされることになったに違いない。
     このように多くの、様々な価値観をもって生きている人物たちを作品に登場させると言うことは、読み手である私たちがそれだけ多くの人間の人生に触れることが出来るということである。それは読み手が作品から自分とは異なる様々な価値観に触れることにも繋がる。
     作者はこの作品を通して、このような「人間の有りようの真実」を描きたかったのではなかろうか。「ぼんくら」という作品は、多くの情報やその時々の流行に振り回されがちな現代に生きる私たちに、他人や世間に流されずに生きている登場人物たちの姿を通して、自らの確固たる意思を持って生きることの難しさ、またその尊さを教えてくれているように思われる。

  • のんびり怠け者の同心・平四郎。子供もいないし、野心はないしで、あれ、こんな同心、ほかにもいたよね、と思うよね。
    長屋という場所は、多くの家族が集まっているわけだから、多かれ少なかれドラマには事欠かないと思うけど、それに加えて、こんな陰謀があったなら、そらあ大変なことでしょう。
    大風呂敷のケもちょっぴり、いかにもなところもほんのり、なストーリーで、ドラマ化はやっぱり、な時代劇。

  • NHKドラマに触発され、十数年振りに再読。

    江戸下町の長屋を舞台にした連作集の趣からいきなり長編ミステリに切り替わるという仕掛けには初読時にも驚かされたが、作者の達者ぶりには何度読んでも感心させられる。

  • 11月-16。4.0点。
    上巻の事件が、ある目的のためだと判明。
    主人公の甥が出てきてから、一気に物語が進む。
    面白かった。
    次作もあり、期待大。

  • 烏の話がウソくさいことを除いて、面白く読んだ。おデコとか金田一少年ふうな弓乃助とかのイロモノも楽しい。

  • ドラマが面白かったので再読。内容を全く覚えてないってすごいと思った(笑)
    宮部みゆきは、とてもあたたかい口調で語りかけながら不意に怖い話する近所のおばさんおじさん、おばあちゃんおじいちゃんみたいだと思う。
    鉄瓶長屋の楽しい様子をずっと楽しんでいたいのに。残酷な現実をバっと突きつけてきて、にこーと笑われるみたいな。
    おくめさんがとても好きだったんだ…。

  • 鉄瓶長屋に住んでみたい。お徳さんが一緒なら大丈夫な気がする。

  • 2014/10/29 - 2014/11/01

    「俺、ここでいったい何をやっているんだろう」。江戸・深川の鉄瓶長屋を舞台に店子が次々と姿を消すと、差配人の佐吉は蒼白な顔をした。親思いの娘・お露、煮売屋の未亡人・お徳ら個性的な住人たちを脅えさせる怪事件。同心の平四郎と甥の美少年・弓之助が、事件の裏に潜む陰謀に迫る「宮部ワールド」の傑作。

  • 人の恨みは恐ろしい

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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