ぼんくら(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 4176
レビュー : 329
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062747523

作品紹介・あらすじ

「俺、ここでいったい何をやっているんだろう」。江戸・深川の鉄瓶長屋を舞台に店子が次々と姿を消すと、差配人の佐吉は蒼白な顔をした。親思いの娘・お露、煮売屋の未亡人・お徳ら個性的な住人たちを脅えさせる怪事件。同心の平四郎と甥の美少年・弓之助が、事件の裏に潜む陰謀に迫る「宮部ワールド」の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 深川のとある長屋を舞台に、前作では店子たちのそれぞれの事情が描かれ、本作では誰が、何のためにという謎が点から線になっていく。登場人物の人物像や設定と、その絡み合いが実に豊か。さすが宮部さん、上手いなあ。善悪だけではなく、強さも脆さも。強情さも従順さも。人間は一重でも、単純でもない。そういう人に見える、思える過去や背景の描き方に引き込まれる。宮部さんの「三島屋変調百物語」シリーズも追いかけているが、この「ぼんくら」も「日暮らし」「おまえさん」に続くとのこと。楽しみがまた一つ。

  • 「なんだかなぁ」と思っていた謎が解けたのはいいけれど、やっぱりどこか切ない雰囲気。
    ぼんやりしているようでいて意外と(!?)みている井筒平四郎と弓之助のコンビが後味を悪くしないでいてくれている気がする。

  • 弓之助とおでこがかわいい!!弓之介に嫉妬する小平次もかわいい。葵さんの生死と最後の締め方。嫌な人が嫌に表現されててどろっとしたところが残るのが宮部みゆきさんだなあ。

  • 2000年4月に出版された宮部みゆきの長編歴史小説。

    上巻序盤で鉄瓶長屋が舞台の人情連作短編と思わせて、その後長屋での出来事はすべて裏でつながっているのではないか、と大きな謎を呈示したところで下巻突入です。

    上巻では登場人物、中でも主人公井筒平四郎の人物描写が面白く、その寛容さと子供っぽさに共感し、こんなふうにブラブラしながら生きていけたらと無い物ねだりをしつつ読んでいたら、平四郎が少し真面目に仕事をしだし、そして弓之助が登場しました。

    下巻では弓之助のキャラの立ちっぷりがとにかく目立ちます。上巻では平四郎の細君イチ押しの井筒家の養子候補であること、大変な美形であること、何でも正確に測量してしまうことなどが語られていますが、下巻に入っては平四郎をしのぐ魅力を発揮します。

    想像だけで事件の真相にたどり着く名探偵ぶり、12歳にして「私の顔を見てぼうっとしない女子は他に思い人がいる」という世慣れた様子の一方、おやつを食べ、風鈴を買ってもらったときの喜びようやたどり着いた真相を考えすぎておねしょしてしまう幼さの両極端を持つ、ギャップ萌えがその魅力の中核でしょう。
     魅せ場も十分用意されています。特に物語のクライマックスでは、測量趣味を活かして犯人を追い詰め、そして大立ち回り!その後の雨降りまで含めて弓之助の一人舞台です。

    ブラブラしていたのがことを大きくしてしまったかと反省気味の平四郎、ギャップ萌え弓之助のダブル主人公に加え、渦中の巻き込まれキャラ佐吉、近眼のお転婆みすず、鉄瓶長屋の心お徳、回向院の茂七の一の子分政五郎、何でも覚えてしまう異能者おでこ、「骨の髄まで差配人」の久兵衛、悪役の見本のような仁平と、上巻に続き脇役たちも魅力的。特に仁平はあらゆるところに手を回し、どこまでもつきまとってくる執念深さといい総身に知恵が回りかねている子分を連れているあたりやどんでん返しを食らったあとの悪あがきの仕方なんかのなんとも言えない小物っぷりといい、これほどやっつけられたときに読者が快哉を叫びやすい悪役もなかなかいないと思います。

    湊屋の落としている長い影の真相へ、弓之助と平四郎はほぼ想像だけで辿り着きました。それは読者からしても意外なものではありませんでした。どちらかと言えば、直接対決のあとの平四郎の態度のほうに違和感…ではなくて、すっきりしないものを感じました。できることはないのかもしれませんが、それにしても面と向かって話している相手に一言ぐらい言ってやればいいのに…。そんな読者の思いには、エピローグでお徳が応えてくれました。
     幽霊と名乗っている相手は、名は明かされませんが、葵でしょう。もう少し日陰の花みたいな感じなのかと思っていましたが、意外にちゃきちゃきしていました。追い払ってあっかんべえをするって、子供っぽい仕返しですが、一連のすっきりしない事態への片の付け方としてはまあまあふさわしいように思えます。

    なお、上巻でも思いましたが、初期の作品とは少し作風が違ってきたのかなと感じました。何よりこの「登場人物は納得しているのに読者が納得しない感」なんて「模倣犯」とか「ペテロの葬列」でも同じことを感じましたw。この「ぼんくら」は幸いなことにシリーズの続編がまだ2編読めます。平四郎と弓之助の魅力の続きを楽しみにしています。

    • hanemitsuruさん
      ドラマは実はつい先日再放送があったようです。
      https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/90000/3...
      ドラマは実はつい先日再放送があったようです。
      https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/90000/316941.html
      映画ならDVD化が期待できるのですが、普段TVを見ない自分にとってドラマは本当に追いづらいコンテンツです…。NHKオンデマンドのようなサービスの充実を願うばかりです。
      2019/05/23
    • hs19501112さん
      情報ありがとうございます。(観ることはできなかったのですけど)

      岸谷吾郎さんですか。。。イメージと合ってるような、合っていないような。...
      情報ありがとうございます。(観ることはできなかったのですけど)

      岸谷吾郎さんですか。。。イメージと合ってるような、合っていないような。。。

      ※もう少し背丈があれば、風間俊介さんに関しては、かな~りマッチしているとは思います♪
      2019/05/30
    • hanemitsuruさん
      平四郎は藤田まことで再生しています。
      奥方はラジオドラマの影響で原田知世になってしまいました。
      平四郎は藤田まことで再生しています。
      奥方はラジオドラマの影響で原田知世になってしまいました。
      2019/05/31
  • ぼんくら同心と個性的な仲間たちが、なにやら不穏な事が起こりつつ長屋の謎に迫る。

    とっちらかったとこもあるけど、面白かった。上下巻ほぼ一気読みしました。

  • 登場人物のキャラがよく
    親しみを感じながら読み進めれました。
    だだ、少し切ない感じが残りました。

  • えっと、再読なんですが・・・。
    読み始めたのでどんどん読んでいきます。
    佐吉、いいよねぇ。
    実写ドラマだと、ゆみのすけって誰だろう。

  • この後は先日読んだ「日暮らし」に続くんだな。
    鉄瓶長屋の話がそういうことだったのねってことで理解できた。

  • (p189)
     死者は、自分が死んだことをどうやって悟るのだろう――そんなことを、唐突に考えた。
     死者が祟ったり幽霊になったりするのは、死後も強い感情が残っているからだろう。しかしまずそれ以前に、自分が死者となったということを、どんなふうにして理解するのだろう。誰かに告げられる告げられるのだろうか。閻魔様か。地獄の獄吏か。しかし、いちいちそんなことをしていたら、死者は大勢いるのだから、地獄の方々は休む暇もないだろう。やはり、死者自身が嘆き悲しむ残された者の顔を、物陰から見つめてそれと理解するのか。
     だとすると、嘆いてくれる者がいない場合にはなかなか死者になったことを納得できないのではないか.
    ――面白いことを言うね

  • 再読。謎解きはしてみたものの、やっぱり謎は解かなかったことにしちゃいました・・・っていう結末はどうなのよ。と思いながらも主人公平四郎のいい加減さのおかげでそれでもいいか、と思ってしまう。平四郎のまわりに、なんと多くのユニークで有能なキャラクターが集まってきて平四郎を助けてくれることか。特に養子候補の弓之助となんでも覚えるおでこは秀逸。名前だけ登場の回向院の茂七の後をつとめる政五郎や幼馴染の黒豆なんか、平四郎が頼めばささっとなんでも調べてくれるありがたいお助けマン。こんなになんもしない主人公いないよ。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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