eの悲劇 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062747608

作品紹介・あらすじ

進化する経済社会を生き抜くために! eビジネスで成功し時代の寵児(ちょうじ)となった男は、なぜ大銀行のビルから飛び降りようとしたのか。安値更新していた株が急騰、最新設備を誇る外資系通信会社で何が起こったか――証券会社を辞め、警備会社に再就職した中年男が直面する事件の数々。刻一刻と進化する経済社会を生き抜く人間たちを熱く描いた傑作!

感想・レビュー・書評

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  • コイン・トスの篠山孝雄と藤木達也の短編集。篠山が前職を辞めた原因がわかる。

  • 商品説明

    前作『日本国債』で、国債の危うさと秒刻みの勝負を挑むトレーダーの緊迫感を描いた著者が、eビジネスとe社会に翻弄される人たちを描写したのが本書である。主人公の篠山孝男は50代半ばの元金融マン。信託銀行から「抱えきれないほどの野望を抱いて」アメリカ系証券会社に転職し、チーフ・トレーダーとして活躍した過去を持つ。その主人公が再就職先に選んだのは警備会社。皮肉にもガードマンとして大手金融企業の警備をすることになった主人公が遭遇するできごとが短編にまとめられ、4話連作の形をとっている。

    ネット起業家として脚光を浴びながらも子飼いの社員に手酷い仕打ちをされて自殺未遂に追い込まれる40代男、女優を辞めて米国系経済専門通信社のアナウンサーになった20代の女性、カードキーのパスワード入力すらおぼつかない機械オンチの元アパレルメーカー部長、Y2K問題対応のために大晦日に金庫の点検をする金融マン。

    ITと呼ばれる情報技術革命は彼等の、そして我々の人生に否応なく影響を及ぼす。そんな断片をサラリと切り取った本書のなかでも特に最終話はサスペンスの味つけが施され、そのままテレビドラマ化できそうな作品に仕上がっている。連作である本書の準主人公は自衛隊あがりの藤木達也。ガードマンからデイ・トレーダーへの転身をはかる20代の達也は、篠山とは逆の道筋で「e」の世界に飛び込んだ。藤木達也と篠山のその後はいずれ近いうちにつづられることになるだろう。(松浦恭子) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

    内容紹介

    進化する経済社会を生き抜くために eビジネスで成功し時代の寵児(ちょうじ)となった男は、なぜ大銀行のビルから飛び降りようとしたのか。安値更新していた株が急騰、最新設備を誇る外資系通信会社で何が起こったか——証券会社を辞め、警備会社に再就職した中年男が直面する事件の数々。刻一刻と進化する経済社会を生き抜く人間たちを熱く描いた傑作!

    内容(「BOOK」データベースより)

    eビジネスで成功し時代の寵児となった男は、なぜ大銀行のビルから飛び降りようとしたのか。安値更新していた株が急騰、最新設備を誇る外資系通信会社で何が起こったか―証券会社を辞め、警備会社に再就職した中年男が直面する事件の数々。刻一刻と進化する経済社会を生き抜く人間たちを熱く描いた傑作。

    内容(「MARC」データベースより)

    インテリジェントビルの深夜のヒーロー、二人のガードマン。一人は経済知識、一人はハイテクの達人。経済情報飛び交う現代日本にひそむ、人間の闘いと哀しみを描き出し、「IT革命」社会の脆さを追う。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

    著者について

    幸田真音(こうだまいん) 1951年、滋賀県に生まれる。米国系投資銀行や証券会社で、日本国債のトレーダーや大手金融法人を担当する外国債券のセールス等を経て、作家に。著書に『小説ヘッジファンド』『マネー・ハッキング』(ともに講談社文庫所収)、『偽造証券』(新潮文庫所収)、『傷』(文春文庫所収)がある。2000年11月、『日本国債』上下を、講談社より書下ろし刊行。大きな反響を呼び、ベストセラーとなる。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    幸田真音 1951年滋賀県生まれ。米国系銀行および米国系証券会社において、ディーラーや外国債券セールスとして国際金融市場に関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    目次
    eの悲劇
    朝の似合う娘
    イノセント
    2000年の信号

  • 過去に大きな失態をしてその地位を捨ててビル警備員となった主人公という若干あり気たりな設定だが結構面白く読めた。続きで出たらぜひ読みたい。

  • 元ディーラーが警備会社に就職して、勤務先とか警備会社の同僚と色々ある短編集。

  • 続きがありそうな気もしますが…これで終わりの方がいいのかな。
    悲劇とタイトルにありますが、読み終わった後にホッとした気持ちになった。

  • 経済小説か(?)

    元花形ディーラーでディーリングに失敗し現在ビルのガードマンをしている男性が主人公。
    主人公がeビジネスで成功したが特許で失敗しいまや自殺を考えている社長、元女優から経済アナウンサーに転身したがニュースを意図的読み間違え業界を去ろうとしている女性等々と接して行くというストーリー

    経済小説というか何というか。幸田真音には珍しく短編の連作。

  • 『バイアウト』が面白かったので、図書館にあったこの薄い短編集も読んでみた。こっちもなかなか面白かった。この作家さんの書く本は、どことなく優しい感じがして好き。

  • ITや金融を舞台にした経済小説

  • 証券会社を辞め、警備会社に再就職した中年男が直面する事件の数々。IT時代の背景には様々な人間の人生がある。
    富を増やす者の裏には、全てを失ってしまう人がいる。

    4つの短編に登場する人物はそれぞれ違うけど、なんか他人事じゃないんだよなー。株式公開にはあまり知識がないけど、パソコンの2000年問題はまだ学生だったけど興味あったし仕事しだしてからはほんと身近だし。

    eの悲劇:飛び降り自殺、ネットショッピング、株
    朝の似合う娘:通信サービス会社のアナウンサー、じゃがいものお味噌汁
    イノセント:同年代の同僚、機械オンチ
    2000年の信号(シグナル):銀行での2000年問題、年末年始、金庫

  • 主人公は篠山孝男
    トレーダーとして一世を風靡したこともある男。
    部下の失敗を責任を取って退職し、
    その結果家族は離散し、今はガードマンをしている。

    人生の紆余曲折の中で 今の状態に 甘んじながら
    家族のことを 思い続け 
    そして 仕事のことは触れないようにして
    ささやかな生活をしている。

    eの悲劇 
    インターネットでのビジネスを成功させた男が
    自殺しようとして 自殺できないで ビルの屋上にいたときに
    篠山孝男に 救出される。
    なぜ 事業が うまくいかなかったのか?
    ビジネスモデルの特許、そして スピンアウトと引き抜き
    いつのまにか 会社は骨抜きにされているのだった。
    それで、自殺しようとした男に 篠山孝男がアドバイスをする。
    復讐 をしようとするが・・・結果は。

    朝の似合う娘
    俳優だったが 経済ニュースの説明するようになった 娘。
    ところが 上司から インサイダーまがいの発言を強要されるが。
    そんな娘に 篠山孝男が ささやかな朝ごはんを作ってやる。

    イノセント
    篠山孝男が なぜ会社をやめ 離婚したのかが
    語られる。
    部下の失敗を うけとめて・・・・・。

    2000年の信号(シグナル)
    2000年問題で 銀行は その対策に 追われている。
    篠山孝男は 古巣の銀行のガードの仕事をするが・・・
    事件に巻き込まれる。
    そして あんまり役に立たないと思っていた 
    同僚のトウモロコシのような アタマをした 藤木達也が・・・・。

    短編仕立てであるが 構成力が すぐれている。
    負け組 という言葉が ただしいとはいえない。
    すべてを失った 喪失組 もしくは 沈没組 といったほうが良いだろうか。
    その 篠山孝男が ガードマンをしながら 事件に巻き込まれる。
    なぜか 経験と すくなくとも 知恵や勇気が みちあふれる。

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著者プロフィール

1951年生まれ。米国系投資銀行等で債券ディーラー、外国債券セールスを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家に。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らす作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目される。2014年『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で第33回新田次郎文学賞を受賞。主な著書は『日銀券』『あきんど 絹屋半兵衛』『バイアウト 企業買収』『ランウェイ』『スケープゴート』『この日のために 池田勇人・東京五輪への軌跡』『大暴落 ガラ』『ナナフシ』『天稟(てんぴん)』のほか、『マネー・ハッキング』『Hello, CEO.』『あなたの余命教えます ビッグデータの罠』など、時代に先駆けてITの世界をテーマにした作品も多い。

「2022年 『人工知能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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