99%の誘拐 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062747875

作品紹介・あらすじ

末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 30年以上前の作品という事実にビビる。通信技術、工学、音声合成を駆使したハイテク誘拐エンタメミステリー!

    かつて自身の親に仕組まれた誘拐事件に復讐するために、最新技術を駆使して仕返しの誘拐事件を実行する。前代未聞の誘拐計画は果たして成功できるのか…

    1988年の作品ということは、昭和63年ですか。
    東京ドームができた年、ファミコンでドラゴンクエスト3が出て、ドキュメントはワープロで作ってた時代ですね。実に34年前ですか。

    相変わらず、未来発想力がスゴイすね。いまだったら、技術的には可能かもな、でも現実性はないよな… とか想像もできますが、ドラクエ3の時代ですよ。無理でしょw

    令和の現代を見てみると、IT技術を使っての誘拐事件は成功率も低いので少ないでしょうが、ハイテク詐欺なんかは社会問題になってますよ。先見性がすさまじい!

    物語の構成もすごくしっかりしていて、最初からぐいぐい話に引き込まれます。特に中盤以降の展開からは目が離せませんよ。どうなるどうなるって感じでワクワクが止まりません。

    最新技術を使った誘拐事件という部分が読みどころだとは思うのですが、だからこそもう少し主人公親子の愛情や復讐に滾る情念あたりを厚めに描写して欲しかったです。個人的にはちと残念でした。

    とはいえ、とても素晴らしいエンターテイメント作品なので未読の人は今すぐ読みましょう。おすすめです!

    • Kaniさん
      面白そう॑⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝⋆*

      近未来ミステリーの魅力はたまりません♡

      30年前に近未来だったのなら、今はさらに超えていても良...
      面白そう॑⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝⋆*

      近未来ミステリーの魅力はたまりません♡

      30年前に近未来だったのなら、今はさらに超えていても良かったハズ、、、
      文明は岡嶋二人に着いていけてなかったのね笑
      2022/02/22
    • autumn522akiさん
      Kaniさん
      いつもコメントありがとうございます。

      そうなんすよ、本作も現代と比較してもなかなかの先見性なのでやはりスゴイお二人です。

      ...
      Kaniさん
      いつもコメントありがとうございます。

      そうなんすよ、本作も現代と比較してもなかなかの先見性なのでやはりスゴイお二人です。

      面白いので是非〜
      2022/02/22
  • 「第1章『誘拐する側』で書かれる1968年の事件」
    「第2章『誘拐される側』の目線で書かれた19年後の事件。」
    と新装改訂版の表紙に書かれていて面白そうだと思った。

    最初の方に犯人がわかるので、倒叙型のようだけど、2つの事件とも犯人の心理はほとんど語られることがなく、淡々と事件が進んでいく感じ。

    1988年当時だとパソコンを使用しての誘拐は前代未聞だったと思うけど、現在では驚きがない。

    同じ著者の『クラインの壺』は現在よりも技術が先に進んでいたのでSFのような面白さがあったけど、『99%の誘拐』は古さしか感じなかった。
    もっと犯人目線の心理的な描写を期待していたので物足りなく感じた。

    でもストーリーや展開は面白かったし、読んでいて辛くなるような誘拐ではなかったのは良かった。

  • 誘拐ではない残り1%は何?

    題名を見て、読む直前に頭を掠めた。多くの方もそうだと思う。

    でも読み終えると、落ち着いたラストとともに、えっ?!と思うような彼方に着地させられている。(1%もまずまず納得)

    物語は、末期がんに冒された男が、8年前に誘拐された息子の事件の詳細を3冊のノートに記す、これを第一章として始まる。

    充分なのにこの先がまだあるのか・・・。

    というのが、第二章に入ったときの僕の感想で、

    結末が分かったかも・・・。

    というのが、第三章に入ってしばらくしてからの僕の感想。(3/4外しているが。)

    以降は物語と一緒に、疾走感を持って読むことができた。

    この作品は吉川英治文学新人賞を受賞しているが、発刊された1988年当時、パソコンはまだ、一般には浸透していなかった。

    当時、20歳過ぎの僕が読んでも、おそらく面白さは分からなかっただろう。

    よく、審査員に評価されたものだと思う。

    岡嶋二人さん、まだ3冊しか読んでいないが、今の僕の、考えの及ばぬ先をちょこっとずつ衝いてくるのが心憎い。

    共著名義は全28作あるそうだが、井上夢人(泉)さんの作品も合わせて、目についた作品は読んでいこうと思っている。

  • 誘拐をテーマにした作品で、ダントツ面白い。

  • 30年以上前に書かれた作品にもかかわらず、犯行にコンピュータが使われていて、ハイテクを感じさせます。さすがに今と比べたらコンピュータが一昔前のような感じがする部分もありますが、作品としてはあまり時代を感じさせることなく、非常に面白いと思います。完全犯罪を成し遂げようとするスリルがあり一気に読めてしまいました。

    時間の経過による二部構成になっているのですが、犯人と警察の駆け引きが興味深くドキドキします。人が殺されない犯罪ものの作品もたまには良いなと思いました。

  • 岡嶋二人さん2冊目読了。作品的には全28作中23作目で第10回吉川英治文学新人賞受賞作。30年以上前の作品なので、Z世代には通用しにくいのかな。昭和な私には懐かしさもあった。当時こんなことを考えつくとは。

    まず今作も構成の凄さに舌を巻く。末期がんに冒された生駒洋一郎は、病床で手記を綴って亡くなった。その手記には8年前、息子の慎吾誘拐事件の記憶が記されていた。犯人の要求通り、身代金の5千万円を金の延べ板に替え、船の上から海に投げ込んで人質だった慎吾は解放された。

    その12年後、同じく誘拐事件が起こる。その犯行は全てコンピューターで行われた。身代金を運ぶのに指定されたのが生駒慎吾その人。以前の誘拐事件との関係は?犯人は?全てが秀逸だった。

    解説の西澤保彦さんも好きなので楽しく読めた。作家さんならではの視点かなと。

  • 30年以上前の携帯電話もない時代に書かれたのが驚き。
    犯人側と警察側の立場と両方描かれ面白かった。展開も早く、読み応えありました。

  • 内容は、面白く一気に読めた。
    しかし…古い作品なんで、コンピューターとかの機器がかなり前時代な感じ…
    内容とは別に、その辺りも懐かしく読めた。
    でも、今の人に分かるんかな?

  • 動機も方法もなかなか深い。
    ミステリーで良ろしくないのは、散々悩ませ、謎解きさせた挙句、後半にひょっこり出てくる付箋にもなんにもなり得てない人物が実はこーゆー動機があって犯人でした。後付けかよ!ってやつ笑
    幼少期に誘拐されたことのある慎吾は、その8年後に父の残した手記により真実を知る。
    さらにその12年後に起こる誘拐事件とは…。
    最初から動機ありきで犯人が綿密に仕掛けた犯罪がどう進み、周りがどう反応してゆくのかを傍観していられるのは面白い。
    復讐劇…敵討ち…誰にだってご都合主義の自分の正義がある。事情がある。
    だからと言って、大人の事情に子どもを巻き込んじゃいけない。
    誘拐されたものだけが知る孤独や不安や恐怖…それは皮肉にも誘拐した少年への配慮となる。
    面白いけど、仕掛けがハイテク過ぎて(昭和63年ですけど笑)ついて行くのが大変でした汗
    今年の14冊目
    2020.5.5

  • 父の時代と息子の時代に二つの誘拐事件が起こる話。後半の事件は初めから犯人がわかった上で、というか犯人の視点から話が進んでいく。それにも関わらず謎解き要素もあり、ハラハラしながら読めてかなり面白かった。
    電子機器の進化でミステリーのトリックもかなり変わっていくんだなぁと思った。ミステリー作家すごい。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡嶋二人の作品

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