13階段 (講談社文庫)

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  • 講談社 (2004年8月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784062748384

作品紹介・あらすじ

宮部みゆき氏絶賛!!!
手強い商売仇を送り出してしまったものです。――(本書解説より)

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

みんなの感想まとめ

重厚なテーマを持つ本作は、犯行時の記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすため、刑務官と前科のある青年が手を組む物語です。彼らの心の葛藤や、死刑制度に対する厳しい現実が巧みに描かれ、読者は深く考えさせられます...

感想・レビュー・書評

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  • とても面白かった。
    本格ミステリーはあまり読まないのだけれど、やっぱり面白いですねー。一度スイッチが入ると止まらなくなるし、仕事中もあー早く続きが読みたい!と禁断症状が出てきてしまいますw
    死刑制度について深く考えさせられる物語でした。
    いつ訪れるか分からない刑の執行に毎日怯える死刑囚の恐怖、そして刑の執行に直接携わらなければならない刑務官の葛藤の描写が凄まじい。
    刑務官の南郷と、傷害致死の罪で服役し仮出所中の三上がある死刑囚の冤罪を晴らすために手を組んで調査をするのですが、二人の心の声を聞いていると、死刑と殺人の違いは何なのだろう?と分からなくなってきます。
    そして、被害者家族、加害者家族の苦しみも痛いほど伝わってきます。
    プラス何度も起こるどんでん返し。怒濤の展開。エンタメとしても最高です!
    ほっこりする読書も大好きだけど、こういう読書もやっぱり大好物だぁ。

    • Kの本棚さん
      こっとんさん(^^)
      こんにちは。いつも私の知らない本をたくさん読んでらっしゃって、感想を拝見しながら、すごいなあ、私も読んでみたい本がたく...
      こっとんさん(^^)
      こんにちは。いつも私の知らない本をたくさん読んでらっしゃって、感想を拝見しながら、すごいなあ、私も読んでみたい本がたくさんある!と思っていました。
      13階段は珍しく(?)私も読んだことのある本で、高野和明さんの緻密な文章と設定に引き込まれますよね。死刑制度について、こんなに考えることはなかったので、私にとっても印象深い一冊でした。
      自分も読んだことのある本をまた違う角度から感想を読むのも面白いなあと思いました!
      またいろいろと本の世界を共有できたら嬉しいです!
      2023/08/12
    • こっとんさん
      Kの本棚さん、こんばんは♪
      重厚なミステリーを読んだのは久しぶりの私。
      その一冊がKの本棚さんと共通の本だったとは嬉しいです!
      Kの本棚さん...
      Kの本棚さん、こんばんは♪
      重厚なミステリーを読んだのは久しぶりの私。
      その一冊がKの本棚さんと共通の本だったとは嬉しいです!
      Kの本棚さんとの共通本は、私のお気に入りの本が多くて、それもまた嬉しい!
      Kの本棚さんのレビューはいつも「うんうん、わかる!」と思いながら読ませていただいてます。
      これからもどうぞよろしくお願いしますね♪
      2023/08/12
  • 高野和明さん「13階段」
    第47回江戸川乱歩賞受賞作品でありデビュー作品との事。

    まず驚くのが後書きで宮部みゆきさんも書かれていたがこの内容とこの高い完成度の今作品がデビュー作品であるという事。前回読んだ「ジェノサイド」もそうだったがテーマに沿った物語の深掘りがとても上手い作家さんだと感じた。

    テーマは「罪と罰 改悛 死刑」
    南郷と純一の主軸の二人の各々の苦悩を死刑執行台に続く階段に隠喩暗示するように見立て描かれている。両者のその苦悩や過去が痛いほど分かり共感できると共に深く考えさせられる物だった。
    少し前にレビューを書いたドストエフスキー「罪と罰」を彷彿させられるような内容で罪には罪の、罰には罰の各々の背景が読み取れその背景が読み進めていけばいく程く濃さが増していく。
    最高の作品だった。

    ミステリー作品としても読みごたえがあり真犯人に纏わる二転三転するどんでん返しがありつつも決して物語の核から外れることなく進行されている。誰も気付かない土砂崩れで消えてしまった寺院や階段等の結構な無理難題な設定も見え隠れしたが、そういう雑多と思わされる粗さを考慮してもミステリーとしてもとても面白い。

    最後の展開も本筋「13階段」の意味に沿った各々の13段目が読み取れ、そしてその事実だけを詳細し締め括っている。登りきった階段の上の景色はあえて描かれていない。
    そこもこの「13階段」という表題を意識したが故なのかな?とも思えた。罪と罰の間に存在する心の階段だと読み取ればその一段一段を描く事が本筋だと思われあえてその先の展開は描かれなかったのだろうと推測。

    今作品は25年前の作品で前回読んだ「ジェノサイド」は12年前の作品だった。例えるなら土砂に埋まってしまった寺院の如く他の本に埋まってしまってもおかしくなかった状況ではあったがこの2冊に巡り会う事ができてよかった。まるで作中にあった不動明王像のようだと感じた。
    今後は発刊されたら早めに読んでいこうと思う。


  • 超名作★5 犯行前後の記憶がない死刑囚の運命は? 刑務官と前科のある青年の苦悩が胸に突き刺さる #13階段

    犯行時の記憶が喪失していた死刑囚が、当時の記憶の一部を思い出した。それは階段を見た記憶だった。
    一方、長らく公務に勤めていた刑務官と傷害致死で仮出所をしてきた青年は、死刑囚の冤罪を晴らすべく仕事を受ける。法務省では死刑執行の手続きがどんどん進み、執行の日が迫っていた…

    はい、名作。
    ミステリーとしても、エンタメとしても、社会派小説としても圧倒的に★5

    面白い面白いと聞いてはいましたが、バチクソ面白いですね。
    なにより死刑といった重い社会問題がテーマにも関わらず、エンターテイメント性がスゴイんですよ。ジェットコースターのようなストーリー展開で、ダレるような場面がまったくない、しかも読みやすい。
    そのままテレビドラマにしても十分見ごたえのある強烈な作品でした。

    本作さらに素晴らしいのは、人間とその真剣な情念が描けているところ。
    死と隣り合わせの死刑囚の緊迫感、被害者家族の露骨な怒り、死刑に携わる人たちの葛藤、正義と不義、罪と罰に対する思い… ひとりひとりが本気でぶつかっている熱い感情が伝わってきました。

    特に刑務官と前科のある青年の心の機微がマジで突き刺さるんです、何度も何度も応援しちゃいました。そして衝撃のラスト、わだかまっていた霧が晴れ、ミステリーとしての読後感もバッチシでした。

    実は死刑制度、嫌いなんですよね。
    てめーの家族が被害者になったらどうなんだと指摘されますが、それは別の話。あくまで制度の話です。

    議論や賛否あるところなので、難しい問題とは思いますが、本作はズバリ切り込んでいくところが素晴らしい。被害者の叫び、死刑制度の現実、人が人を裁くということ… 我が国の制度にしっかり向き合って、自分自身の責任で考えていく必要がありますね。

    名作と知りつつ、あえて温めていた本作、やっぱり超一流の社会派ミステリーでした。おすすめです!

  • 「法律は正しいのですか。本当に平等なのですか。(中略)悪い人間は犯した罪に見合うように、正しく裁かれているのですか。」p374から引用

    本作『13階段』はSF小説で有名な『ジェノサイド』の著者、高野和明さんのデビュー長編であり、ジェノサイドとは異なるけれど、強いメッセージ性を感じさせる名作でした。

    主人公は10年前に罪を犯した青年の三上純一と、死刑囚と長年に渡り向き合ってきた南郷正二。
    二人の出会いから別れまでに至り、冤罪と思える一人の死刑囚の無実を晴らす日々が綴られていますが、その死刑囚が絡んだ事件の真相に、皆さんは最後どんな気持ちを抱くでしょうか。

    私は本作を通して、冤罪の証明の難しさを垣間見ただけではなく、犯罪そのものが無くならない人間の性や業に悩まされました。

    高野和明さんの作品は、ジェノサイドに続き本作が読了2作目ですが本当に事細かく調べて書かれた作品だと感じ、また心理描写も読みやすさにも強いこだわりが見えて非常に好みでした。

    やはり名作は名作たる凄みがあるのだと改めて感じます。未読の方は是非♪

  • 何年も前から読んでみたいと思っていた作品です。

    第47回江戸川乱歩賞受賞作。

    死刑囚の話だとは知っていたので、タイトルの『13階段』というのは死刑になるときに13段の階段を昇るのかなと思っていたらそういう意味のタイトルではありませんでした。死刑になる前に階段は昇りません。

    殺人の罪状で死刑囚となった樹原亮という青年の冤罪を晴らそうと、刑務官の南郷と前科のある青年、三上純一が調査をしていきます。
    樹原亮には犯行時刻の記憶がなかったのです。
    処刑までに残された時間で、二人は樹原を救うことができるのか…。

    最初の方は、死刑執行前の描写など、読んでいて鬱々としてきました。気力と体力のない時に読む本ではなかった失敗した…と思いました。
    死刑執行前の刑務官の苦悩は真に迫っていました。
    法というものはおかしなことを起こすものだとも思いました。


    以下、少しネタバレがありますのでご注意ください。

    真犯人の容疑者は二転三転します。
    最後に、真犯人にたどりつきますが、調査をしている三上まで、容疑者の一人になってしまい、最後に真犯人がわかるまでの過程が非常にスリリングでした。

    文庫版の帯に「ケタ違いの筆力!ケタ違いの驚き!」とうたわれています。
    確かによくできたミステリーであり人間ドラマでした。

    最初の死刑前の描写を除けば、タイトルからくるようなおどろおどろしい話ではなかったです。

    • まことさん
      まおちゃん

      まおちゃん『パインズ』観てたなんて凄~い!
      『パインズ』観てた人初めて会いました。
      まおちゃんの本棚、思い出したら、な...
      まおちゃん

      まおちゃん『パインズ』観てたなんて凄~い!
      『パインズ』観てた人初めて会いました。
      まおちゃんの本棚、思い出したら、なんかああいうのが好きかもと思ってお薦めしました。
      伊坂さんは名作がたくさんあるから、『マリアビートル』が1番というわけではありません。
      『ゴールデンスランバー』は本屋大賞だけど、初めて、お試しで読んでみるには600ページは長すぎるんじゃないかとか考えたので。
      伊坂さんは好き嫌い?が分かれる作家さんかなと思うので、好みじゃないときはそれ以上お薦めしないから安心してください(*^^*)
      2021/01/13
    • 八幡山書店さん
      まことさん

      13階段読みました!ここまでミステリーに併せて社会問題を深掘りした作品はなかなかないと思います!
      プロフ読ませて頂きましたが、...
      まことさん

      13階段読みました!ここまでミステリーに併せて社会問題を深掘りした作品はなかなかないと思います!
      プロフ読ませて頂きましたが、伊坂幸太郎先生がお好きなんですね。私も死神シリーズ、ゴールデンスランバーはお気に入りです。殺し屋シリーズも読んでみたいです^ ^
      2021/01/13
    • まことさん
      八幡山書店さん

      コメントありがとうございます。
      私も、プロフ拝見しました。
      『13階段』や『火車』に思い入れがおありなんですね!
      ...
      八幡山書店さん

      コメントありがとうございます。
      私も、プロフ拝見しました。
      『13階段』や『火車』に思い入れがおありなんですね!
      わかる気がします。
      話が面白い上にあれだけ社会に切り込んだ作品は本当になかなかないですよね。
      伊坂幸太郎さん大好きです!
      殺し屋シリーズも面白いですよ。
      是非お読みください(*^^*)
      レビューを楽しみにしています。
      2021/01/13
  • ずっと読みたかった高野和明さんデビュー作。
    死刑制度や死刑執行に関わる人、加害者(前科者)や加害者/被害者家族等の状況・心情が詳細に描かれて色々考えさせられる作品だった。奥深い。

     犯行時刻前の記憶を失ったまま死刑囚となった樹原亮。毎朝来るお迎えの音。外部との接触を一切断たれ「明日は我が身かも」という恐怖に対する精神的ダメージは相当なもの。
    その死刑囚:樹原の冤罪を晴らすべく、刑務官:南郷は、前科を背負った青年:三上と共に真相解明に迫る。

     先が気になってどんどん引き込まれるし、終盤の犯人が分かったときの衝撃!南郷、三上にそれぞれ迫る危機に読みながらドキドキした。

     犯罪の証拠から起きた事実は解明されるけれど、その時の動機や心情は体験した当事者しかわからない。人の心って複雑で難しい。

     南郷の刑務官として使命を燃やし任務を遂行した思いから葛藤・苦悩、そして最後の行動は特に痛いほど印象に残った。

    • しずくさん
      イイねをありがとうございます。
      『13階段』を読んだのは随分前で内容もほとんど忘れてしまっています。でも、とても印象深かった本で、図書館で...
      イイねをありがとうございます。
      『13階段』を読んだのは随分前で内容もほとんど忘れてしまっています。でも、とても印象深かった本で、図書館でこのタイトルを目にするたびに、今でもその時受けた強烈な思いが蘇ります。
      当時大学生だった息子に勧め、息子にも良かったと言われ、鼻を高くした若い母でした。
      2022/10/28
    • satokoさん
      しずくさん

      コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)私もこの作品は周りにオススメしたい本の1つ、大事な本になりました。親子で同じ本...
      しずくさん

      コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)私もこの作品は周りにオススメしたい本の1つ、大事な本になりました。親子で同じ本を読んで感想を共有できるの素敵ですね!
      これからもしずくさんの本棚参考にさせていただきます。
      2022/10/28
  • 「死刑制度」をテーマにしているので、最初から最後まで緊張しながら読み進めました。
    とある死刑囚の冤罪を晴らすべく、調査を進める2人。ラスト100ページくらいで一気に話が進むので、そこから一気読み。明かされる真相には驚愕しました。
    知らなかった職業や制度などがたくさん出てきて、とても勉強になりました。

  • 執行間近の死刑囚の冤罪を晴らすべく、刑務官と前科者コンビが苦難の中、真相を追究していく物語。

    個人的に期待していたミステリーの要素が、思いのほか薄く少々肩透かしを喰らった…と思いきや、死刑や制度に関する実態がリアルに描かれていた場面には感服した。これは私にとってヒューマンドラマだった。

    加害者と被害者のみならず、罰を以って裁く者、刑を執行する者が存在すること。そして極刑となる死刑執行に携わる方々の苦悩や葛藤を示し、考えさせてくれた本作品に感謝。

  • 作者の初読みです!
    表紙こわい、、有名な作品だったので購入(私の本の選び方はミーハーっぽい笑)
    ミーハーって古い!?まあいいか。。

    面白かったです!
    ネタバレになるのであんまり書けませんが、
    えー!?と何度も驚かされ、刑務官の仕事内容などの知見も知れました。執行前の食事とか。。

    トリックや館系よりも、私はwhyのなぜ?動機が主となるような社会派ミステリーの方が好みなのかもー。  
    はあ、重かった重かった、でも読んで良かった。
    表紙もう少し違うと良いのになあ、余計なお世話ですね笑

    • moboyokohamaさん
      随分前に読んだので内容は忘れてしまいました。
      刑事さんと少年が冤罪をはらそうと一生懸命になっていたような。
      「表紙がこわい」ってユニークな視...
      随分前に読んだので内容は忘れてしまいました。
      刑事さんと少年が冤罪をはらそうと一生懸命になっていたような。
      「表紙がこわい」ってユニークな視点ですね。
      2022/06/26
    • なんなんさん
      そです、刑務官と少年だったかも!刑務官が元刑事経験あったかも!?最近裁判系を連続読んで、もう詳細忘れぎみです笑

      でも、めちゃくちゃ面白かっ...
      そです、刑務官と少年だったかも!刑務官が元刑事経験あったかも!?最近裁判系を連続読んで、もう詳細忘れぎみです笑

      でも、めちゃくちゃ面白かった…
      表紙は、なんか、洞窟?みたいだし、渋いですよねー、、^^
      2022/06/26
  • 最近は新刊にとらわれるかとなく過去の名作を読むようになった。これから人生の残りが50年として、せいぜい500冊がんばって1000冊しか読むことができない。
    この「19階段」は江戸川乱歩賞受賞作であり、おすすめ本になっていた。
    映画にもなったようだが、観ていない。今後映像では観ないだろう。これは本で心理描写を楽しむ内容だから。
    社会に負債を持つ者が同じような境遇の者を助けられるのか、否か?良い本ですよ。

  • 江戸川乱歩賞受賞作。
    フォロワーさんの本棚などで見かけることが多かったので、読んでみました。
    うん。面白かった。そして読みやすかった。途中途中でドキドキしながら、最後は駆け抜けた感じです。

  • 面白い!一気読み!衝撃の結末!
    死刑制度という重いテーマを扱っているにもかかわらず、読み易かった。
    って言うか、ドンドン引き込まれていく〜
    後半は、残り時間が少なくなり、ハラハラドキドキ!驚きの連続!
    でも、一番の驚きは、これが、作者のデビュー作って事 ∑(゚Д゚)

  • 「ジェノサイド」を読み終えてから約2年3ヶ月、ようやく2作目として手にした本書は高野和明氏のデビュー作にて第47回江戸川乱歩賞受賞作。

    死刑確定囚の冤罪を晴らす!これが本作の本筋です。

    そんな物語のW主演は刑務官の南郷、そして殺人者としての十字架を背負った青年三上。

    敢えてW主演でいいと思います。
    それほどにこの2人の設定も素晴らしい。

    いつ刑が執行されてもおかしくない状況で「階段」という手掛かりから真犯人を探す調査が始まります。

    単なる謎解きミステリーといってしまうのは勿体無い。

    確かに物語の後半で浮かび上がる犯人像は二転三転し、なるほどなぁって感心させられるのですが、本作はそれだけではなく、殺人や死刑、法といった問題にも疑問を投げかけ、真正面から向き合っていきます。

    その中で苦悩する南郷と三上、たとえ罪に問われないとしても、刑期を終えようとも、背負い続ける十字架は終身刑と言っても過言ではない。

    目を背けたくなるような刑場での絞首刑執行シーンと執行する刑務官の苦悩、法と執行命令の関係など多くの読者が死刑という制度についてもそれぞれに感じだことがあると思いますし、三上の回顧録ともいえるラストで明かされた過去の殺人事件においても読者それぞれに考えさせられたことでしょう。

    個人的には「ロスト・ケア」(葉真中顕)が社会派ミステリー最高傑作と思っていますが、本作も間違いなく社会派ミステリーの傑作。

    ただし、読み終えて思い出したのは「Aではない君と」(薬丸岳)でした。


    説明
    内容紹介
    宮部みゆき氏絶賛!!!
    手強い商売仇を送り出してしまったものです。――(本書解説より)

    犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。
    内容(「BOOK」データベースより)
    犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。二人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    高野/和明
    1964年東京都生まれ。’85年より、映画、TV、Vシネマの撮影現場で経験を積み、岡本喜八氏の門下に入る。’89年渡米し、ロサンゼルス・シティカレッジで映画演出、撮影、編集を学ぶ。’91年に同校を中退。’01年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • なんだか落ち着かない。自分の感情の居場所が定まらない。そんな心境になる。またそれが読書の醍醐味だったりもする。

    個人的には凄まじく完成度の高い小説だと思う。これが著者のデビュー作というから更に驚愕だ。
    ストーリーが秀逸でよく練られている。また、決して読者を置いてけぼりにしない解りやすさにも好感。

    二人の主人公、それぞれの視点から物語は進んでいく。ある死刑囚の冤罪を証明するための活劇。何が人を裁くのか。死刑制度について、殺人、冤罪、それに関わる人々。そこに主人公らの複雑な心境が巧みに描かれる。ミステリー要素も加わり、読み応え十分。

    以下ネタバレ有り。(備忘録)

    南郷、純一、樹原亮。

    身に覚えのない罪で死刑を課された青年、樹原亮。彼の記憶は事件の2時間前から消失していた。思い出したことと言えば階段があったということだけ。

    純一は佐村という男を殺した。傷害致死罪で2年の刑期を終え出所。家族の現状に狼狽する。自分の罪の為に家族は消沈し、経済的にも大きな負担を抱えていた。

    南郷は死刑執行に関わる仕事を経て心を病んでいた。退任を控えた彼が、弁護士から依頼されている調査は、破格の報酬だった。純一の更生に力を貸したいと考えていた南郷は、純一を調査の相棒として迎える。
    この報酬で南郷は引退後にはパン屋を開きたいと夢を語る。純一も自責の念から、両親を楽にさせてやりたいと意気込んだ。

    破格の報酬への執着はもちろんだが、南郷と純一、双方が抱えた死刑というものへの感情が渦巻く。罪人が裁かれ、償い、許され、そして何が残されるのか。
    あらゆる感情が原動力となり、10年前に起こった事件の真相を解き明かしてゆく。

    安藤紀夫。10年前に保護司夫婦を惨殺し、その罪を樹原亮に着せた人物。
    前科のあった安藤は、保護観察中ににビジネスを起こし財を成した。しかし保護司に強請られ多額の金銭を渡していた。それに終止符を打つために、殺害を実行した。そこに運悪く居合わせた樹原亮。安藤は策略により、樹原亮を保護司夫婦の殺害犯に仕立て上げることに成功する。

    破格の報酬は、純一の両親から佐村の遺族に支払われていたものから出されていた。依頼人は佐村の父。純一への復讐の為に、樹原亮の冤罪を証明し、10年前の保護司殺害事件の犯人を純一にすり替えようとしていた。しかし、真犯人が安藤と判明したことにより、純一を死刑囚にすることを断念せざるを得なくなる。息子の無念を果たすため、自ら死刑執行人となり純一に襲い掛かる。

    佐村の父は純一との対峙の末に廃寺の下敷きに、安藤は南郷との闘いで死んだ。

    樹原亮。彼は無罪となった。彼の無罪を証明するために、多くの犠牲を伴なうことになる。それは正義の為であり、一方で復讐の為であった。しかし、樹原亮が犠牲にした人生こそ掛け替えのないものだろう。

    最後に、南郷が望んだ正義、純一の更生は裏切られた形になる。2年前、誰も矯正することのできない純一の復讐心、あの事件は純一による『私刑執行』が成されたことを決定付けるものとなった。

    人の心の闇は深い。だからこそ美しいと思わせる小説だった。軽々しい話ではない。死刑制度を用いる日本。今でも議論は絶えない。

    読了。

  • 傑作でした!!
    私刑間近の殺人犯・樹原が無実の主張を行ったことから、元受刑者の三上と元看守長の南郷がその捜査を行い、真実を明らかにしていく小説。司法の不平等さや死刑制度への矛盾、被害者家族と加害者家族のそれぞれの立場の苦しみなど終始重たい要素が漂いながらも、読みやすい文章とテンポの速さからグイグイと読むことが出来ました。2001年に刊行された作品ながら現代にも通じるような司法への考え方や冤罪などの重みも読書でありながら普通のドキュメンタリーを見ているかのような感覚になりました。
    そんな重い空気でありながら複線の回収やどんでん返し、ミスリードなどミステリーとしてもとても楽しめました。匿名の支援者の正体と本当の目的、真犯人の正体、10年前の事件の真相が最後に明かされていく所(特に山寺のシーン)は読む手が止まりませんでした。読後感も爽快で後味も良いので是非読んでみてください。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    三上純一:細谷佳正
    南郷正二:安元洋貴
    佐原光男:大塚明夫
    佐原恭介:福島潤
    樹原亮:杉田智和
    宇津木啓介:鳥海浩輔
    安藤紀夫:関智一
    室戸英彦:平川大輔
    木下友里:千本木彩花
    杉浦弁護士:三木眞一郎
    中森検事:平田広明

    • マメムさん
      初コメです。
      大御所揃いのキャスティングで原作へのリスペクトが感じられます^_^
      初コメです。
      大御所揃いのキャスティングで原作へのリスペクトが感じられます^_^
      2024/10/06
    • S.Rさん
      マメムさん。
      コメントありがとうございます。
      現実にリンクした話でもあるので、重厚感のあるキャスティングにしました。またミステリーであるとと...
      マメムさん。
      コメントありがとうございます。
      現実にリンクした話でもあるので、重厚感のあるキャスティングにしました。またミステリーであるとともに人間ドラマでもあるので、アニメというよりかはドラマに近いかなと思います!
      2024/10/06
    • マメムさん
      S.Rさん、お返事ありがとうございます。
      ドラマや映画などの実写にしやすい作品ですよね♪アニメなら澤野弘之さんの壮大なBGMが盛り上がりそう...
      S.Rさん、お返事ありがとうございます。
      ドラマや映画などの実写にしやすい作品ですよね♪アニメなら澤野弘之さんの壮大なBGMが盛り上がりそうです(^^)
      2024/10/06
  • ブクログでの評価も高く気になっていた一冊。難しい箇所もあったものの、後半からの強烈な面白さ!死刑制度や冤罪といった重く暗いテーマではあるものの、疾走感ある読み心地。記憶にあるのは階段のみという設定にも惹きつけられ読み出したが、冤罪や死刑制度について学ぶ良い機会になった。真犯人が最後の最後までわからないのでずっと緊張感ある読書体験をできた。読後感は暗め。

  • 高野和明さんは『踏切の幽霊』に続いて
    2作品目だった。
    今から20年も前にこんな凄まじい長編傑作を
    出されていたことに衝撃を受けた。

    第47回江戸川乱歩賞を受賞され
    高野和明さんが作家デビューされた本作

    『13階段』
    無実の男の冤罪を晴らすべく立ち上がったのは、
    刑務官の南郷正二と保護観察中の青年 三上純一。

    南郷は相方になぜ前科者の純一を選んだのか?
    日本の死刑制度、人としての尊厳と司法の間で生きる苦悩に苛まれた南郷の刑務官人生が重く胸に迫って来る。

    一方で、事件当時の記憶が欠落したまま、死刑の日が一日一日と迫って来るこの上ない恐怖に怯える樹原亮。

    そして、終始読み手に違和感を与え続けた純一の懲役二年の傷害致死という罪の裏に隠された真実とは?

    物語に緻密に張り巡らされた伏線が、徐々に形を整えて回収されていく展開は、どの視点もぬかりなく描かれていて、精巧な造形品の様な作品だった。

    真犯人は結局誰なんだ?という視点で進む物語だが、巧妙な展開で最初から最後まで見事に作者の手の平で転がされた感じだった。二転三転する怒涛の展開に、アドレナリンが大放出!もう何だかここまで来ると、それもまた心地良い。

    詳細に書きたいがネタバレになるので避けるとして、巻末で解説の宮部みゆきさんが記された満場一致の乱歩賞だったことが全てを物語っていると思う。

    扱うテーマが重厚な上に、構成が秀悦なのでとても読み易く、どっぷり浸かって読み進めた。
    終盤の臨場感と疾走感も半端ない。途中で止まるに止められないこんな作品は久しぶりだった。

    心して読まないと受け止めきれない程の濃厚な読書体験が出来るオススメ本!

    • マメムさん
      初コメです。
      重たいテーマですがタイムリミットサスペンスとして面白い作品ですね♪
      初コメです。
      重たいテーマですがタイムリミットサスペンスとして面白い作品ですね♪
      2024/09/27
  • 「理で人は救えない。か」

    前科を持つ若者と退職を決めた刑務官が死刑囚のえん罪を晴らす物語。

    304ページを出勤の電車中で読んでいたが、証拠品から検出された指紋の主の名前が明かされた時は天を仰ぎ「なんてこった」と口に出てしまうところだった。
    その時の自分の心の動きは、犯行当時は少年だったか、とか、なにかやむにやまれぬ事情がとか言う物で、しっかり「犯人」に感情移入してしまっていた。そこからさらに物語は展開し黒幕が明かされるわけだが、心証で法理が左右されてしまったり、恩赦が恣意的に運用されていたりと不完全な人間が人を裁くことの困難さが描かれている気がした。

    隠された真の証拠を見つけるため、躊躇しつつも純一は明王像に鍬を振るいついに証拠を見つけ出す。死刑囚樹原亮の命を救うのは仏像ではなく自分であると。

    証拠ねつ造で誰かを死刑にしようとする場合、それが殺人未遂になるのかどうかという議論があった。それが認められてしまうと絞首刑が刑法の構成要件である「殺人」に該当してしまうと。そんな議論を聞いているとなんだか「法理」が遠くにあるような気がしてしまう。

    ジェノサイドから高野先生の作品に触れ、このデビュー作を読んだが、二転三転しつつも重厚なストーリーで面白かった。

  • 死刑囚の冤罪を晴らすために刑務官と仮釈放中の青年が真実を追求する社会派ミステリー。

    以前から読みたいと思っていた本ですが、期待を裏切らない傑作でした!
    死刑制度、冤罪、犯罪者の更生、加害者家族と被害者家族の心情や生活など…
    テーマとしては重苦しく、深く考えさせられる物語なのにも関わらずしっかりエンタメ作となっていました。
    ぐいぐい物語に引き込まれていくうちに主人公二人を応援する気持ちになり、手に汗握る展開にハラハラしっぱなしでした。
    さすが江戸川乱歩賞受賞作。
    これがデビュー作だというのは衝撃です。


  • 『13階段』高野和明氏
    緊張感 ★★★★★(5)
    意外性 ★★★★★(5)
    社会性 ★★★★★★(6)
    ※5段階評価では収まらず・・・。

    374ページ。
    刑務官とバディを組む20代の若者が問います。
    「法律は正しいのですか?本当に平等なのですか?地位のある人もない人も、頭のいい人も悪い人も、悪い人間は犯した罪に見合うように、正しく裁かれているのですか。」

    【A:購読動機】
    江戸川乱歩賞受賞作です。そして、巻末の選考委員のあとがきによれば、満場一致での受賞作品です。さらに、高野氏がデビュー作にしての受賞です。
    ここまで整っていたため、自然に「読みたい」となったのです。

    【B:タイトル;13階段】
    死刑を執行する場合には、法務大臣を13人目としてそのほか12名の捺印・決裁が必要です。この手続きを階段になぞらえて、13階段としています。

    物語の中心となる事件は、老夫婦の殺人事件です。この被告に対して死刑が確定しています。あとは執行手続きを待つのみとなります。

    【C:物語が動く】
    被告は、事件当日に交通事故にあったため、その日の記憶がありません。したがって被告自らの証言を得ることができません。
    しかし、物的証拠、状況証拠ともに、被告が殺人者であることから刑が確定します。
    一方で、被告のバイト先の勤務態度等から殺人を犯す性格、言動を想像することが難しく、「冤罪」の可能性も捨てきれていません。

    この冤罪を証明するために、依頼人が雇う弁護士経由で白羽の矢がたったのが刑務官です。
    刑務官とは、刑務所内で業務を執行する公務員です。また、死刑を執行する際に刑場に立ち合う役割を担っています。
    そして、刑務官が調査のバディとして選んだのが、同じ刑務所で仮出所が確定した20代の若者です。

    【D:テーマと参考文献】
    巻末の参考文献には「犯罪者の処遇」「日本の検察」「私はみた 犯罪被害者の地獄絵」「死刑執行人の苦悩」「死刑って何だ」「死刑囚の一日」をはじめ20冊以上の記述があります。
    取材、参考文献を通じて、少なくても以下のようなテーマが物語のなかで展開します。
    ・被告の犯行動機。
    ・仮釈放後に生活に適応することの困難さ。
    ・被害者、遺族側の苦悩。被告に対して消化できない感情。
    ・犯罪者と遺族側で取り交わされる和解内容とその影響。
    ・死刑を執行する刑務官の苦悩。

    【E:読み終えて】
    事件のニュースが途絶えることのない昨今です。事件が発生したあとに裁判がはじまります。その過程で、被告と遺族のやりとり等が行われ、刑期が確定します。

    しかし、わたくしたちは、報道を通じてこの一連のプロセスを知ることはほぼ皆無です。
    そうした意味において、この「13階段」はフィクションとはいえ、被告側そして遺族側の生活、苦悩を想像する機会を与えてくれます。

    それが何に役立つのか?まったく役立たないかもしれません。
    巻末に記述のとおり多くの参考文献に支えられた「13階段」は、通りすぎるにはもったいないかもしれない・・・と思うのでした。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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