百鬼夜行 陰 (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 2557
レビュー : 169
  • Amazon.co.jp ・本 (642ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748520

作品紹介・あらすじ

人みな心中に妖しきものを飼う 京極堂を待ちながら

「妖怪」はいずこより来るのか……。人の心は闇にあらねども、揺るぎないはずの世界が乱れたとき、その裂け目から恠(あや)しきものが湧き出し、取り憑く。他人の視線を畏れる者、煙に常軌を逸した執着をもつ火消し、「海」を忌む小説家……。日常に潜む恐怖を描く10の短篇から成る「京極堂サイドストーリーズ」。

感想・レビュー・書評

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  • 京極堂シリーズのスピンオフだかサイドストーリーだかで、『邪魅の雫』以外は読破したから読者資格を得ている。シリーズに登場する事件当事者や犯罪者たちの、救われぬ人格的障害を陰惨に描写する。依存性、回避性、強迫性、ストレス性、離人症性といった様々な障害により、思考に極度な異常をきたし、認知がゆがみきって崩れていく彼等が傷ましい。あのおぞましい事件群は、人心を失い鬼と化した者どもの所業なのだ。それにしても関口先生、あなたの自己嫌悪と厭世観ときたら、もはや芸術の域ですよ。凄まじいというより素晴らしい。あなたに添い続ける奥方こそ、ある意味狂人なのかもしれません。

  • 今までの事件での犯人が犯行に及ぶまでの心理みたいなもの。サイドストーリー集といった感じで読み流してしまった。
    しいて挙げるなら「川赤子」での人間の底辺関口君がよかった。相変わらず後ろ向きの彼が沼で色々考えたりしている。
    雪絵さんが子犬を飼いたいと言ってばっさり拒否する関口。子供をせがまれているのでは、と勘ぐっている。謝る雪絵さんが健気だった。
    何でこの2人結婚してるんだろう、と本気で馴れ初めを知りたいと思った。
    こちらを先に読んでいたら何がなんだか分からないだろうな、と思い★2つ。

  • 姑獲鳥の夏から塗仏の宴までのサイドストーリー十篇。
    1番好きなのは煙に取り憑かれた男を描く『煙々羅』。男の壊れっぷりがたまらない不気味な怪作。『小袖の手』では、柚木加菜子の存在感の強さに改めて魅了される。『鬼一口』はルーガルーにも繋がってるのが嬉しいし、鬼についての薀蓄が面白い、なにより久保竣公のキャラは本当に蠱惑的。

  • 久々の京極作品文庫化。今回は10話からなる短編集。京極堂シリーズの外伝と言える位置付け。関口など関係者も登場している。 京極堂こそ登場しないが、京極堂ワールド。各話ともどうも「視る、視られる」という事がキーワードのよう。 六話の教育論的なところは理想論的ではあるが共感できる部分。筆者自身の考え方なんだろうか? しかし、京極堂シリーズはページ数以上のボリュームがあって、読了まで時間が掛かる。読もうと手に取るまでに気合いが必要な本もなかなか無いよね。

  • 百鬼夜行シリーズのサイドストーリィ。
    シリーズに登場した人物を主人公にした短編。
    本編ではミステリィ要素が強かったが、本作はホラー要素が強い。
    本編よりは蘊蓄少なめ。

  • まずは妖怪をモチーフとして、または、妖怪のモチーフとなった現象に着想を得て物語を綴るという着眼に感心。
    江戸川乱歩、横溝正史からこの手の世界に足を踏み入れた身としては、舞台となる時代設定が古の昭和初期という近代黎明期であることも正統派としての伝統が受け継がれていることが感じられ嬉しい。
    小説の時代背景も本作が執筆された時期も今とは異なるのではあるのだが、作中でチクリと針を刺す社会批判が、ごたごたが解決する気配が一向に感じられないまま悪化する一方の現政局とシンクロしてしまうことがかくし味として妙味を付け加え、本作を読んでいる側の現実世界での不安を駆りたてるのは偶然なのか。
    意図したものと捉えるのは買い被り過ぎか。
    京極堂外伝として、スピンオフの性質を持っていることについては、あとがきを読んで知った。
    各話単体でも十分楽しめたのではあるが、京極ワールドへの造詣が深ければ更に味わい深い経験をすることができたことを想うと残念無念。
    これからもっと精進しなくては。

  •  やっぱり面白いなぁと思いました。
     気温差のせいか風邪をひいてしまったので、土日はずっと眠っていよう、ベットでおとなしく小説読もうと思ってまた手に取った本でした。
     百鬼夜行シリーズを順番に再読していたので、状況がよくわかりました。百鬼夜行シリーズで関わった人物(主に犯人)から見た目線、想いが描かれています。明るい話ではないですが、世界観がやっぱりとても好きです。
     逆にこのシリーズを読んだことがない人がこの本を読んだときどんな感想を持つのかなと気になりました。
     早く陽を読みたいですが、雨→陰摩羅鬼→風→邪魅まで読み返してから読むぞ!

  • ★4.0
    再読。京極堂シリーズでありながら、京極堂の出番は一切なし。登場するのは「姑獲鳥の夏」から「塗仏の宴」まで、何かに憑かれている人たちのみ。全10話の短編集で読みやすく、個々の本編では触れられなかった人物の過去や心情に迫っているため、非常に興味深いし面白い。中でも、「文車妖妃」の久遠寺涼子が物悲しく、「鬼一口」は映画「野火」を彷彿とさせる。木場の後輩刑事との印象しかなかった、木下のエピソードも印象的。また、最終章「川赤子」はお馴染みの関口のエピソードで、この後に「姑獲鳥の夏」へ続くと思うと感慨深い。

  • 京極夏彦は「京極堂」シリーズ一本、という方は
    それなりにいらっしゃるのでは、と思います。
    私も割と最近までそうだったのですが。

    これ、「京極堂」シリーズのスピンオフみたいな位置づけでかつ、一応シリーズもののようです。短編集です。
    「百器徒然袋−雨」「今昔続百鬼−雲」「百器徒然袋−風」と続くようです。

    この文体が落ち着くし、榎さんは好き勝手にやりたい放題だしで楽し〜い〜 ^^/

    最後の一遍が関口モノだったので、関口ファンとしては、ラッキー。「姑獲鳥の夏」前夜って感じの時制で、ちょっと懐かしかった。

  • かなり本編を読み込んでいないと、あれ?このひとどれのどこに出てきたんだ?となる…
    うちは何度か検索した…笑

    でも、これを読んで本編に戻るとより本編が面白くなるだろうなぁ。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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