- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062748674
感想・レビュー・書評
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リーガルというよりラブ・サスペンスとしても楽しめます。
原題の“Reversible Errors”は、「取り返しのつく間違い」という意味でもあり、物語が進むにつれて、読者はこの原題が単なる法律用語にとどまらず、4人のそれぞれの人生におけるreversible errorsをあらわしていることに気づくだろう…これは<役者のあとがき>にある言葉です。
本書は二組のカップル、ラリーとミュリエル、アーサーとジリアンの愛のドラマでもあります。30代、40代のおじさんとおばさんの性愛が容赦なく描かれています。男女関係なくその欲求やオーガズムまでの過程、決して美男美女なわけではない彼や彼女の衰えた肉体に対するフェティッシュな言及など。
だからといって高尚なポルノを気取るでもなく、悦びや愉しみといった通俗のためのお約束に堕するわけもない。ここでも僕は本書のリアリティに魅せられしまうのです。中年のセックスをここまで表現した作品はあまりお目にかかれないものですから。
うんざりと思われる読者もいると思われます。だけど、弁護士VS検察官、冤罪なのか有罪なのか、謎解きの過程で二転三転する証言や決定的な証拠の再発見、衝撃の事実の暴露といったメイン・スートリーのなかで、4人の現在と過去のエピソードが時折浮上し、性歴はその恋愛模様を奏でるうえでのグラデーションのような気がしました。
本書には思わず唸ってしまうような文章がいくつもあります。トゥロー節というか、作者を作者たらしめている精神性(魂?)、その作品世界をリアライズするのに欠かせないものです。
たとえば……「それでうまくいっていたんだ、ミュリエル。はじめからずっと。忘れたとはいわせないぞ」
ラリーはようやくミュリエルのほうを見てくれた。ラリーにとって、二人のあいだに起こったことは心の石板に刻みこまれた律法に等しく、ラリーはその石板をしょっちゅう訪れては書かれた文字をすべて解読し、理解したのだ。その要素をひとつでも否定することは侮辱なのである。 -
プロットは大変良くできている。ただし、主人公(一応カップル2組)が全部哀しい。特に、検事と刑事のカップル、何の救いもない。同属嫌悪じゃないよね...
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リーガル・サスペンスの下巻。今ひとつの内容。
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国選弁護人となったアーサーの前に現われる新事実。1991年事件当時と、死刑執行まで1ヶ月と迫った2001年が同時進行で話が展開する。
アーサー他元判事ジリアン・主席検事補ミュリエル・刑事ラリーの織り成す人間模様。
死刑制度に対する作者の鋭い視点と人間の情・宗教・・・・。