ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 40334
レビュー : 3035
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748681

作品紹介・あらすじ

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • どれどれ、これから村上春樹なるものを読んでみようではないか、という読者諸君。この本を手に取ってはならない。悪いことは言わないから、『ねじまき鳥クロニクル』あたりから始めなさい。いや、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』でも、『風の歌を聴け』でもいいけど、『ノルウェイの森』だけはおやめなさい。
    そもそも、村上春樹ほど人によって好き嫌いの分かれる作家も珍しいが、だいたいにおいて、嫌いになる人はすべからく『ノルウェイの森』から入っている、というのが私の持論である。彼の小説は「喪失感」というのが重要な要素をなしているのだが、『ノルウェイの森』はその喪失感がハンパないのである。であるからして、相当のハルキストであっても、この本を読むと手ひどく心を痛めつけられてしまう。ましてや、初めて読むのが『ノルウェイの森』となると、痛みのあまり怒りが湧いてきて、村上春樹全体を嫌悪するようになるのである。
    そして、
    「取り立てて何のセックスアピールもない男が、なんでこうも簡単に女と寝ることができるのだ!」
    とか、
    「やれやれとか、オーケーとか、そんなセリフ吐くやつ現実にいないだろ!」
    とか、
    「海外文学とかジャズとかクラシックに妙に造詣が深くてペダンティック!」
    とか、
    「持って回ったようなメタファーはなんなんだよ!」
    とか言い出すに決まっているのである。つまり、村上春樹ファンが愛してやまないすべての村上春樹的な要素が、ことごとく鼻に付くようになるのである。
    だから、もう一度言うが、『ノルウェイの森』を最初に読むのだけはおやめなさい。もっとも、あなたが「村上春樹は文学ではない!」とか「ノーベル賞貰えなくてザマアミロ!」と言ってアンチハルキストと徒党を組みたいのなら勝手である。そうではなくて、文学であるとか文学でないとか関係なく、読書という営みの奥深い妙味を人々と分かち合いたいのなら、他の本からお始めなさい。

  • 気温が下がってくるとなんだか無性にこの本が読みたくなる。ということで3回目。今まで親の古い文庫本(装丁が文庫オリジナルのもの)を読んでいたので新しく購入。絶望的な未来しか見えないし、読んでいて決して楽しい訳じゃないのに何でこんなにも読ませるのだろう。死の影が色濃くたちこめるこの物語に於いて緑の溌剌とした生の匂いがワタナベくんを現世に引き止めてくれているように思えてならない。直子の昔の入院のエピソードって『めくらやなぎと眠る女』まんまだよなー。そしてやっぱり冒頭部分が秀逸なのよね。2011/511

  • 感想は後半で書こうと思ったけど、メモ的に思ったこと書いとく。

    自分を普通と疑わない主人公とその周りの複雑な背景を持った人たちが織り成すものがたり。

    癖というか闇というかそうした背景を持つ人に惹かれる主人公の気持ちが自分に刺さりっぱなしだった。

    あのとき分かり合いたかったのに、分かり合えなかった。そんな微妙な思い出が自分のなかでふつふつとよみがえってきた。

  • 失恋した相手が『ノルウェイの森』が好きだと言っていて読んだ。

    失恋相手も兵庫出身で、小洒落た理系院生だった。何ヶ月も一緒にいて、わたしが「すき」と言えば「おれもすきだよ」って言ってくれていたけど、わたしの面倒な性格に愛想を尽かしたのか離れていった。
    上を読んでいて、ミドリさんに自分を重ねていた。わたしはミドリさんのような面倒臭さが女性らしさだと思っていたし、そういう思考回路がわたしの普通だった。

    失恋相手はワタナベくんであり、永沢さんのような人だった。「この男はこの男なりの地獄を抱えて生きているのだ」の一文に脳天を貫かれた。
    失恋相手は元カノを6年思っていて、わたしがこの男に出会ったのは男が地獄の中でぼんやり生きてる頃だった。
    そうかばってしまうのは惚れた弱みだろうけど、登場人物に重ねて読んで涙してしまうこともあった。

    でもいくらお前が地獄にいるからって、4つも下の小娘に同じ地獄を見せるなんて、と思ってその日は「I spit on your grave」を観て寝た。

  • 全体を通して見ると大きな山場があるわけでもなく、何か事件が起きるわけでもない。
    けれど何故かスラスラと読める。退屈になることもなかった。初めて村上春樹さんの小説を読んだけれど、これが世界に通用する作品というのは十分理解できた。

  • 村上春樹を読もう読もう詐欺しててようやく読んだ。
    もっと陰湿で硬いものをイメージしてたが意外とポップなリズムだし読みやすい。
    今後どうなるのか、下巻が楽しみ。

  • 読み終わるとあんまり内容は覚えてないんだけど、とにかく文章が読みやすいから、するすると読めてしまう。

    きれいな情景描写はやっぱ村上春樹だなぁ。

  • 言の葉の庭の雪野先生の「みんなちょっとずつおかしいんだよ」みたいな言葉を思い出すこととなった。

  • 久しぶりに読みました。
    今回は英語学習のため、英語版と一緒に交互に読んだため、より一層深く読むことができました。
    ジャズが聴きたくなりました。

  •  椎名林檎と村上春樹のおかげで、セックスにありつけた男性は多い。男に対して、こういう理由でペニスを許しても良いというモデルを色々と提示してくれたからだ。
     にしても。
     読みにくい。めちゃくちゃ読みにくかった。読み始めた時、小林秀雄の本居宣長を読んでいる時と、全く同じ感覚だった。
     ある混乱があった。
     この、読んでいる本は、果たして純文学なのだろうか、それとも単なる大衆エロ文学なのか、だ。これは、小林秀雄を読んでいて、僕が読んでいるのはオカルト本だろうか、それとも一流の哲学書だろうか、どちらにしろ、宣長その人を読んでいる気分にはまるでなれない。あのリズム良い宣長の文章とはまるで違う、句読点の多い、葦の群生するぬかるんだ土のようなもの。
     それと同じく、このノルウェイの森も、「どういう風に読んだらいいのか」が迷ってしまう。これは安保闘争とかそういう政治運動の季節へのアンチなのか、オタクっぽい人をげらげら笑う高等遊民の差別小説なのか、出てくる女がみんなどいつもこいつも男が「こんな風にやれる都合のいい女がいたらええな」と思いそうな結構ベタな女が出てくる週刊誌のポルノ小説なのか。読んでいる方が激しく混乱して、実に読みにくいのである。
     ノルウェイの森に出てくる女は、みんな酒に強すぎるし、金の心配もない。後日、自殺したり勝手に去っていくし、主人公の思い出のなかで良い感じに生かされていく。
     もう村上春樹は東京で過ごしていた頃、女が本当に嫌いになって、女性嫌悪で皮肉で書いてるんじゃないかと思うほどだ。
     あと、ノルウェイの森という曲を聞いてみたが、ここではじめて、冬目景の「イエスタデイをうたって」が、もしかしてノルウェイの森へのアンサーではないかと思い始めた。自殺した男の影を背負う処女シナコ。処女ハル。写真を撮るリクオ。たまに出てくる美大生たち。どうしてもノルウェイの森っぽい感じがするのだ。ただし、セックスのないノルウェイの森。ネクストノルウェイの森のような気がしてならないが、いまはそれを詳しく語れる自信はない。
     ノルウェイの森から、憂鬱成分を除くと、セックスアンドザシティになる。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。やれやれ、僕にとってそれはどうでもいいことだった。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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