ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 32597
レビュー : 2239
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748698

感想・レビュー・書評

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  • 一つ一つの表現がとても繊細でありつつ、他の本ではぼかすような場面でも包み隠さず字に起こすというこの背反した二つのものが入り混じっていることに感慨を覚えた。

    生と死の狭間を行き来する、主人公。
    「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」
    この言葉がすごく刺激的であった。
    誰かの死によって自分すらも血の気を失った存在となってしまうことが、様々な場面で、現れている。

    また、自分が直子の死を悲しみんでいるときに、誰かに自分の周りの人の死について、語られた時醜い自分の心が主人公は出ていたが、それも納得できる。
    人の死は当本人、見る人によって全く価値の違うものになってしまう。
    決して同情することなんてできないんだ。

    • 高円寺 詩音さん
      小学校低学年の頃、私はよく泣いていた。
      人並みに読書はしていて、平々凡々な生活をしていた。
      哀れんでいるのではないのだけど。
      なによりも戦争...
      小学校低学年の頃、私はよく泣いていた。
      人並みに読書はしていて、平々凡々な生活をしていた。
      哀れんでいるのではないのだけど。
      なによりも戦争の根絶を願った。
      その内、思った。
      どうせ死ぬなら生まれた意味など存在しないのでは、と。

      ひたすらに生きることが辛かった訳でもない。

      ただ、毎年「俺は今年死ぬんだ」と言って憚らなかったことをよく覚えている。

      生きる意味はある。
      少なくとも、「生まれた」意味は。
      一瞬でも「生まれてきてよかった」と思えればいいのだと思う。

      小4の頃、ハリーポッターにハマった。
      小5になって、クラスメートの妹と仲良くなり、たまに一緒に帰った。

      思った。
      いつか誰も俺の名前を忘れたら、その時が私が死んだ時なのかもしれない、と。
      2019/07/24
  • 30年ぶりの再読です。
    文章の美しさに驚かされます。
    50になろうかとするオヤジが読めば、ウジウジと悩み、しかしヤリまくる主人公に辟易しそうなストーリーであるのだが、なぜかその苦しみを分かち合い、初々しさに嫉妬してしまう。
    女性陣がなんとも魅力的でいい。
    軽快で哲学的、生きていくための教訓をなんと多く含んでいることか。
    感受性の鋭さゆえに苦しみ、必死で生きようとする若者たちには、覚めた目で見つつも感情移入してしまう。
    こぼれ落ちる者が悲しいが、生き残ろうともがく者への救いにホッとする。
    村上さんを青春期にもっと読んでおけばよかったな。
    オヤジは永沢が一番好きだな。
    「自分に同情するな」は、30年来心にとめている。

  • 一体何年ぶりに読んだんだ?
    1987年だったんだ。22歳か・・・若かったな〜
    この緑と赤の装丁が本屋に山積みにされていて・・・
    それまでも村上ファンだったから、何かこの作品で一気にファンが増えて、社会現象的な作品になったことを記憶しています。

    改めて読むと・・・軽くて重い、青春小説だったのかな
    もはやどうすることもできない純然たる「死」と、どう向き合って生きていくのか・・・
    やっぱりヘビーな作品です。

    女の子は、できる限り奔放で、キュートで
    男は、ストイックであり、主体性はないが、一風変わった我が有り、
    気分は軽やかであり、しかし死を哀しいまでに内包している。

    やはりいい作品だと思います

  • まるで死が通り過ぎていくよう。この本を読んで、病んでしまったのか、病んでいるときに読んだのか、よく思い出せないけど、衝撃を受けたのは確かです。
    物語全体に霧がかかったような雰囲気が漂い、切なくて美しくて引き込まれてしまいました。
    みどりのお父さんにきゅうりを食べさせるシーンが好き。生命の香り。

  • 下巻もひたすら不安定な気分になり
    読んでいて自分がどこにいるのか分からなくなる
    消えてしまいそうな不安に襲われたのを
    覚えている。

    この感覚は一体なんなんだろう…とこわかった。
    でもひきつけられる作品。

  • 下巻に入り、天真爛漫で奔放、無邪気な緑と、次第に病が重くなっていく薄幸な直子との対比が描かれ、ワタナベ君へ次第に恋心を募らせ段々と存在感の増して来る緑の事をいじらしく感じました。
    逆に思い出の中で生き続ける直子とは、彼女の病状の悪化と共に、段々と逢う機会も少なくなって行き…。
    直子とワタナベ君にとって共通の大切な人であったキズキ君(死者)を想う気持ちは大切だけど、あまりにも想いを引きずるとその人の心まで病んで来るのかなぁ…と。
    また、物語の最後でレイコさんから打ち明けられた直子の本当の気持ちを聞き、その頃にはすっかり自分と主人公の気持ちを重ね合わせていましたので、軽いショックを受けました。
    女の子の本心(内面)って分からないよなぁ…って。
    中には緑の様にずっと細かなサインを発している人もいる訳で、これを見落としちゃ駄目だなぁと。
    青春の一コマ、愛する人を失い、深い喪失感からなかなか立ち直れないでいる一人の青年の心の葛藤を渾身の力で描写しています。
    直子の儚さと危うさは、紙一重のところで狂気に接していると感じ、狂気は人から人へと伝染するのであろうと。
    僕らは現実の世界の中で“いま”を生きているのだから、人生で何度か訪れる大切な人との出会いと別れの中で、自分自身の心にどう折り合いをつけるのか?また、その時心の支えとなってくれる存在は?など色々と考えさせられる物語でした。
    映画化もされているので、今度は是非映像の方も見てみたいです。
    ワタナベ君は今をどう生きているのか、その世界を少し垣間見てみたかったなぁ…と思いました。

  • 下巻になり、女性の心が手にとってわかる位、描写が分かりやすく、文体が綺麗。この小説は春にぴったり。春になれば、何度も読みたくなる。
    私の事を決して忘れないで。

  • この作品では、いつも胸を締め付けられてばかりだ。
    人の死がどこからともなく自然にやってくるし、
    直子とワタナベとの“恋愛”が凄く繊細で、幻想を見ているよう。
    そして、緑に心惹かれていくワタナベの気持ちもわかる気がする。
    この作品、女性と男性でかなり見方が違うだろうなぁ。
    映画も観たかったけど、昨日で終わってしまった。
    そして今日、大学受験が終わった。正確に言うと、前期が終わった。

  • 恋愛が物語を駆動する関係の軸には違いないが、死者が常に背後に存在していて、その死者とどう向き合うかを常に問うているような鎮魂の物語。

  • 本当に感情移入出来て読めたなら最後の1ページで死ぬほど共感する

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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