ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.61
  • (3449)
  • (4151)
  • (6288)
  • (1013)
  • (340)
本棚登録 : 44898
感想 : 2875
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748698

作品紹介・あらすじ

あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くこと-。あたらしい僕の大学生活はこうしてはじまった。自殺した親友キズキ、その恋人の直子、同じ学部の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私は村上春樹の著書を読んだことがなかった。それでもなぜ『ノルウェイの森』から読もうと思ったのか、理由は”おすすめされなかったから”だ。
    たくさんある著書の中からおすすめするとき、とりわけ万人受けするものを選ぶと思う。しかし私は村上春樹がなぜこんなに人の心を動かしているのか、その尖ったところを知りたかったのである。簡単に言うと読むなと言われたら読みたくなるのが人の心理である。

    読み終わって感じるのは評判通りのどうしようもない「喪失感」だ。そして心に何か引っかかっているというモヤモヤした読後感を得た。
    直子は章の切れ目で突然死ぬ。そして直子がなぜ自殺したかの詳細な種明かしもされないのだ。もっとも、この物語はワタナベの主観のみで綴られているものであるため、彼が知りえないところは私たちも知ることができないのだ。ここに読後の釈然としなさの原因が宿っている。私たちは物語を俯瞰して客観的に読んでいるようで、ワタナベにしかなれないのだ。もちろん彼が目にする事象や心に抱く心象から二次的に分析はできるが、いろんな形をしているはずの世界が平面的にしかとらえることができないのである。そのため深い没入とワタナベが抱くやるせなさを存分に味わうことができるのだと思う。
    永沢やワタナベの「他人に理解してもらわなくてかまわない」という考えは誰にでもあるのだと思う。他人はあくまで他人であり、自分がどれだけ努力してもその人の心の中を完全に理解することはできないという思いは自分にもある。そのため永沢のように他人との関係をあくまで自分の行動の「結果」であるというような考え方ができるのがうらやましいと感じた。他人と関わりたいと思わないが、孤独を避けたいと思う気持ちの葛藤の中で誰もが生きているのだと思った。
    生者より死者のほうが近い距離にいられるような気がする。これは直子が生きているときには緑を選ぼうとしたワタナベが、直子が死んでから直子のことしか考えられなくなったことから考えられる。生きている人に対しては物理的な距離で測るが、死んだ人は精神的な距離でしか測れないため時間に応じた距離で近く感じてしまうのだと思う。
    何度も読み返すたびに新しい発見がありそうな本だと思った。自分が成長すればワタナベの考えにアドバイスができたりするのかなとか考えてわくわくした。いろんな人と出会っていろんな考えを蓄え、またこの本に挑もうと思う。

  • 〜粗筋〜
    ⑥直子のルームメイトであるレイコがレズビアンの教え子から受けた性的な体験と、それを拒んだ後に悪い噂を流され精神異常になり離婚した事をワタナベに打ち明ける。
    ⑦緑は、ワタナベに相手がいると知りつつも好意を寄せ、積極的に理解し合おうと努める。そして、父親が入院している病院に連れて行く。脳腫瘍の術後で、容体があまり良くない父親は、「切符・緑・頼む・上野駅」とワタナベに伝え、後日亡くなった。
    ⑧永沢さんの就職祝いに、彼女のハツミさんと3人でフランス料理を食べに行くが、永沢の傲慢さから険悪な雰囲気に。ワタナベはハツミと2人でビリヤード店に行き、別れるべきだと伝える。もう少しまともな相手と結婚して幸せに暮らすべきだと。しかしハツミは、それでも永沢のことが好きで、自分ではどうしようもないことだと言う。結局、永沢がドイツに行った2年後にハツミは他の男と結婚し、その2年後に自殺した。
    ⑨緑は父親の葬儀の後、彼氏と奈良へ旅行に行ったが、急に生理が始まったことで喧嘩になり、その後1人で青森の友だちのところに行っていたとワタナベに話し、2人でいやらしい成人映画を見に行こうと誘う。映画を見てからディスコで踊った後、誰もいなくなった実家(元小林書店)へ。ワタナベはベッドで緑を抱いて、彼女が眠ると1人本を読み、寮の自室に帰った。後日、直子とレイコから葡萄色の丸首のセーター(誕生日プレゼント)と手紙が届く。
    ⑩冬、阿美寮へ直子に会いに行く。夜に直子と触れ合いフェラしてもらうが、彼女自身はキズキとの時と同様に濡れなくなっていた。
    ワタナベは、借家に引越した後で緑に連絡するが、緑は3週間も放置されたことに怒り、その仕返しに返事を遅くしたが、結局仲直りする。緑と久々のデートをするが、レイコからの手紙で直子の状態が悪いことを知ったワタナベは上の空で、緑を再び怒らせてしまい、孤独になる。
    その後、なんとか緑と仲直りして、緑もワタナベと会えなくて辛かったこと、ワタナベのことが好きで彼氏と別れたことを聞かされる。初めは時間がほしいと言っていたワタナベだったが、彼女のアパートに招かれ、布団の中で触れ合うことで、2人が相思相愛だということを理解する。そして手紙の中でレイコに相談し、「残念に思いますが、遠慮しないで幸せになりなさい。」と励ましの返事をもらう。
    ⑪直子が首を吊って自殺。直子の葬儀の後、傷心のワタナベは1ヶ月ほど旅に出る。妄想での直子との会話で、死も悪くないものだなと考えることもあった。「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ。」
    このままではいけないと、なんとか東京に戻った。
    電話で、レイコが阿美寮を出て旭川に移り住む前に、ワタナベに会いに来ることになり、住んでいる借家に案内し、2人で直子の葬式をした。ギターを弾いたり、お互いを励まし合うように言葉を交わしたりしながら過ごした後、セックスをした。次の日レイコは「幸せになりなさい」と言って、ワタナベと別れた。
    ❇︎緑に電話をかけて気持ちを伝えるが、沈黙の後で「あなた、今どこにいるの?」と言われ、電話ボックスのまわりを確認するか、自分がどこにいるのかわからなくなっていた。

    〜参考〜(コピペ)
    装丁の赤色と緑色は「死」と「生」を表し、直子は「死の象徴」で緑は「生の象徴」。
    レイコは霊魂と言う意味で、直子の分身としての幽霊です。彼女が旭川に行くのも霊的世界の入り口があるからです。彼女の元夫は四国出身。四国とは村上にとって「死国」なのです。そして、レイコは「棺桶みたいな電車」に乗って僕に会いに来る。
    最後に緑に電話をしたのは、直子=死の象徴から緑=生の象徴へと往還する物語のエンディングだからです。

    〜感想〜
    まるで現実の出来事のように、読み手の解釈の仕方によって大きく変化する一種のリアリズム小説だと感じた。村上春樹の作品には、元々答えがなく読者に自分なりの答えを見つけ出させるような節が多くあり、その点が賛否が分かれる要因になっているようだが、愛や死という不条理な事柄をテーマにした本作にとっては非常に効果的で、物語の空白を自分の想像が埋めていく感覚を覚えた。

    個人的な解釈を述べさせてもらうと、冒頭で直子が話したという井戸(草原と雑木林の境目にある深く暗い穴)というのは、直子が患っていた精神病のことで、草原と雑木林は生と死を意味しており(穴は生と死の狭間)、何処にあるか誰にも分からず、落ちたらどうしようもなくて、そしてそれはときどき(2・3年に1度くらい)起きると書かれている。つまり、直子の姉の自殺も、キズキの自殺も、直子の自殺も、ハツミの自殺も穴に落ちてしまったということだと思う。思い返すと間隔も丁度合致している。

    そして、直子を失ったことでワタナベもおそらく穴に落ちたが、最後にレイコが会いに来て、まるで直子の代わりのように、当たり前のように2人は抱き合い、直子と同じセリフ「私のこと忘れないでね」と彼女は言う。最後に「幸せになりなさい」とレイコは言う。

    レイコを通して、直子とのお別れをすることができたワタナベは、緑に電話をかけるが、何処にいるのか訊かれ、自分が何処にいるのか分からず混乱して物語は終わる。
    このシーンが冒頭の37歳のワタナベか、レイコと別れた直後なのか意見が分かれるところだが、個人的には前者だと思う。

    冒頭で、「10月の草原の風景だけが象徴的なシーンみたいに繰り返し頭の中に浮かび、その風景は頭のある部分を執拗に蹴り続けている。」とある。多くの読者は、作中にある10月に直子と歩いていた草原のシーンだというが、個人的には草原は「生」の象徴である小林緑を表していると解釈し、10月は直子のいる阿美寮から戻って、入院している緑の父親に会い、「緑・頼む」と託された月だと思った。
    冒頭に緑が出てこないことも、直子を失ったワタナベが精神的ショックで緑のことを忘れてしまっているのではないかと考える。また、冒頭でワタナベは、ひょっとして自分はいちばん肝心な部分の記憶を失ってしまっているんじゃないかと考えており「記憶の辺土」という表現を使っているが、これが緑の存在、あるいは緑の父親との約束なのではないかと思う。

    そして37歳のワタナベは、過去の記憶を文章にして辿ることで物事や忘れていた記憶を思い出し、最終的にレイコとの別れまでリンクした後で、「生」の象徴である緑に電話する。つまり十数年経ってから穴から生還する。そういう風に自分は解釈した。

    他に、緑の父親が発した言葉「キップ・ミドリ・タノム・ウエノエキ」が「ノルウェイノモリ」に似ている気がしたため、何かに関係するアナグラムじゃないかと疑ってみたが全く分からなかった。

    感想が長くなってしまったが、キズキを愛した直子はワタナベとの関係に罪悪感を抱き、直子を愛したワタナベもまた緑との関係に罪悪感を抱くという風に、様々な人物と出来事がリンクしていて、まだまだ想像の余地がありそうな深い作品だった。以前、村上春樹は自分には合わないと思っていたが、人気作のハードボイルドやねじまき島も読んでみようと思った。

  • 読み終わっても、ワタナベの今後の人生が気になるなぁ、、ラストシーンはどういう意味なのだろう、なぜワタナベはレイコさんと最後に体の関係を持ってしまったのか、なぜ直子は死んだのか、などなど、恋愛小説なのに疑問点が多く残る。
    ワタナベは緑とうまくいって今度こそ幸せになってほしいなぁ
    緑とワタナベの、大事な友達として一線を超えないように頑張ってるところとか、お互い尊重し合っている雰囲気がとても好き。
    難しい話だったな、、何度も読み返したいと思った。まぁ、全体的には村上春樹の世界観として楽しめたからいっか(笑)

  • 美術館に5時間くらい居る人や、クラシックを最後まで聴けるような人には向いているんじゃないかしら。つまり私じゃ門外漢。それくらい卑屈になるほど、何をどう感じて良いのかさっぱり分からなかった。狂った翻訳小説みたい。

    「エロス」ってのはこういうものを指すのか。
    小説というより、文学っていうやつなんだろうか。
    棒読みでもセリフが男性か女性か分かる。だけど表情は抜け落ちたマネキンのよう。
    退廃的で、本質だとかシステムとか古めかしい言葉が存在感をもっていて、やたらめったらセックスする。
    それから、君のフェラチオ、すごかったよ。
    おいおい、一生こんなセリフ吐けそうにないわ。


    ただ、、、読み終わって半日ほどすると、世界観がじわじわと染みこみ始めていた。あれ、欲しがってる?気づけば村上ワールドを求める気持ちが込み上げている。
    なぜだ。知らない間に何が刺さったんだ。
    人間の悩む権利みたいなものを、別の星の地球人に教えられたみたいな感じ。こんなにも美しい語彙で悩むことはできそうにないんだけど。

    ちょっとの間を置いて別の作品も読んでみたいと思う。
    これを楽しむ人に追いつけるかもしれない。

  • なんかリアルな話だなぁ……

    もし自分が主人公の立場だったとしても、彼のように女性に対する中途半端な態度を取らないとは言い切れない。

    現実っぽいから、この主人公が嫌いなんだなぁ…。

    と、思った。


    (今回はネタバレで感想書きます( ᴗ ᴗ)")



    いいかげん大人をとっくに通り越したわたくし…

    「そろそろ村上春樹いけるのでは?」
    という事で、
    初!!村上春樹作品でございます(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ★

    村上春樹といえば
    超有名な『ノルウェイの森』一択!

    ぜんっっぜん内容知りません!
    あらすじも知りません!
    映画ももちろん観たことありません!

    何故なら…
    『難しそうで、意味わからなそう』だからです笑
    完全に食わず嫌いです。

    なんか、大人〜って感じ…( '-' )

    満を持して挑む!!!
    大人の階段登る!!!
    結果!!!


    ……階段…滑り落ちました…(^ω^;);););)


    村上作品は、全てこんな感じなのでしょうか?
    予想してたイメージと全く違ってびっくり。
    まぁ、合う合わないはありますよね(-∀-`; )


    学生運動が盛んだった時代、主人公ワタナベの親友キズキが自殺。
    ワタナベはキズキの彼女、直子と再会。
    直子の心の傷は深く、複雑なものであった。
    再会後2人は親交を深め、やがてかけがえのない存在になってゆく…


    ワタナベはモテる。
    そんなに顔が良いという訳ではなさそうなので、インテリ風で少しクールな態度が魅力なのだろう。
    そして、来るもの拒まず女関係に節操がない。
    そのような、どっちつかずな態度が、読者としては腹が立つ。
    ただ、実際自分が男で、主人公のような立場になったらどうだろう…。
    その時2人の女を本気で好きなのに、振り解く事が出来るだろうか…(-_-;)
    自信ない…。(本音)笑笑
    だってモテるんだからしょうがないよね笑笑
    2人とも好きなんだし。

    言葉ではきちんとする、ちゃんとするような事をワタナベは言いますが、私が読んだ感想として、してるかと聞かれたら、全然してないよね笑笑
    他の女とヤリまくってるし…。
    男の感覚と違うのかな〜。

    私なりに解釈して考えた結果、上手く言えないが、小説っぽくない…というか、リアルすぎるのかなと。
    実際の行動・態度なんてこんな感じなんだろう。
    友人にいますよね。あまり聞かないだけで(^_^;)

    だから反感持つし、イライラする。

    直子に関しては、恋人が何も言わずに自殺…という過去があるので、病む気持ちは分かります。
    うつ病っぽいです。

    彼女がワタナベに取っている行動は、彼女自身もわかっていないのだろうと思う。
    どうしたいのか、どうなりたいのか、考えすぎてパンクしてる。

    彼女の態度は逆に、小説っぽさを感じる。
    曖昧な態度とって、
    どうしたらいいのか分からない。
    私を助けて。
    助けて。
    (かまって、かまって!!)…と(- -;)

    繋ぎ止めるような、気を持たせるような態度。
    そこがビートルズの『ノルウェイの森』の歌詞に因んでいる所なのかな。
    歌詞の女は、どちらかというとさっぱりしていて、緑のような女性という印象を受けますが…。

    直子が駆け込んだ先『阿美寮』は、宗教施設っぽい印象を受けました。
    まぁ、教祖がいるわけではないし、療養施設だから違うんだけどね。
    ただ、狭い世界で生活しているので少なからず洗脳状態にならないとは言い切れませんよね…。

    この施設の中では、隠し事や嘘は吐けない。
    直子は、包み隠さずあらゆる事を同室のレイコに話します。
    ワタナベも2人に手紙を書き、真実を報告します。

    このセラピーが効果あるのか、回復は人それぞれだと思いますが…。

    『何故直子は自殺したのか』という疑問に関しては、私なりの解釈で結論を出しました。

    緑の存在が引き金になったのだと思います。

    『自分がいなければ、ワタナベは緑と一緒になれる』という事実が引き金になった。
    恋人の自殺。男とセックスできない事実。それらを抱えて更にワタナベと共に生きて行けるか分からない。
    彼女は混乱し、症状が重くなった。

    という私の解釈です。

    理由のひとつに、レイコの体験談があります。
    彼女はピアニストになる夢を諦めざるを得なくなり、心が病んでいる所に、旦那さんと出会います。
    とても彼女を愛していてくれていたが、ある事件がきっかけで別れる事に。

    直子にとっては永遠の愛なんて存在しないという例となったのでは?

    そして、ワタナベが直子宛に書いた手紙に、緑との関係が書かれています。

    何でも包み隠さず言い合うのって、本当にセラピーとして効果あるのか、すごく疑問です。
    それが原因なのでは?

    文章がストレートな言い回しで、少し気持ち悪いと思った点がいくつか。

    特にレイコがピアノ教室で会った女の子との話。
    療養施設で直子が「忘れないでね」と言ってワタナベとしていた行為。
    非常にキツかったです。
    していた行為も、エピソードも気持ち悪いです。女の無神経さ?かな。
    (もちろん、自分がしないか?と聞かれたら自信はありませんが…笑)

    読むのやめたいと思った数少ない作品のひとつになりました…(-_-;)

    そんな中でも、好きなキャラは2人。
    突撃隊と、永沢先輩です。

    突撃隊は唯一の癒しでした‎߹ㅁ‎߹)♡
    彼は寮でワタナベと同室。
    毎朝6時にラジオ体操。
    潔癖で部屋は清潔。
    他の部屋にはグラビアのポスターなどが貼ってあるのだが、彼らの部屋には、アムステルダムの運河の写真笑(素敵だと思いますけどね。゚+.゚(´˘`人)゚+.゚)
    ワタナベが彼をからかうエピソードはとても好きです。
    どこ行っちゃったんだよ〜突撃隊〜!(༎ຶ⌑༎ຶ)

    そしてこの方。永沢先輩。
    彼は天才。努力家。信念を貫く。
    彼の考え方は非常に魅力度高いです。
    この本を読んでよかったと唯一思える存在。

    何故女の子を口説くのかと言う質問に、この回答。
    「可能性がまわりに充ちているときに、それをやりすごして通りすぎるというのは大変にむずかしいことなんだ。それ、わかるか?」

    はい。その通り。思わずメモりました。笑笑

    「ところであなたの人生の行動規範っていったいどんなものなんですか?」とのワタナベの質問に対する回答。
    「紳士であることだ」(中略)
    「自分がやりたいことをやるのではなく、やるべきことをやるのが紳士だ」

    すごい。(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
    そんな考え方もあるんだなぁ。
    惚れるぜ。

    とは言え、彼の恋人のハツミさんは自殺してしまいます。

    彼らの喧嘩の時、永沢の自由さに文句はないと、割り切っているんだと思っていたハツミさんは本音を漏らす。

    やっぱそんなできた女、いないよね…(^▽^;)

    それでも貫く永沢節…。

    彼女が自殺した事で、永沢に変化は訪れるのでしょうか…。

    緑は、好きです。
    聡明で素直で下ネタ全開で、機嫌損ねるとめんどくさいけど、多分、一途です。
    策士で、駆け引きが上手い。
    拍手(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ

    ラスト、レイコとセックスする意味が全く分かりません。
    酷いし、あの年齢の女の印象を悪くしている感じがしたのと、熟女層のウケを狙ったのかなという感じがしました……(-᷅_-᷄ )
    だから、リアルなんだって〜。
    するかもしれないけど、小説だから見たくない。


    あとは、個人的なツボ。
    学生運動のビラを配りに授業に割り込んだ生徒に対してのワタナベの心の声が面白かった笑

    「欺瞞的総長選挙を粉砕し〜」からの文章
    「この連中の真の敵は国家権力ではなく想像力の欠如だろうと僕は思った」

    笑笑ブラックジョーク的なの、好きです。

    村上春樹ファンの方々は、文章の美しさが好きなのかな?
    深いと言われても、具体的にどの辺が深いのか知りたい所。

    総じてこの小説、私には合わなかったです。

    私は頭が悪いので、魅力に気付く事ができませんでした…|д꒪ͧ)…

    ただ、最後まで読んで良かったと思います。

    偏りがちな読書生活ですので、色々な分野の本も読めた貴重な時間だったと思います。
    しかもこの感想、めっちゃ時間かかってるんだぜꉂꉂ(ˊᗜˋ*)笑

    ある意味インパクト大な作品でした。

    死ぬまで忘れないと思います。





  • 若い頃に読んでいたら、また違った感想になったのではないかと思う。学生時代の、考える時間だけはたっぷりある、自分を取り巻く小さな世界。
    私だったらと考えてはいけない。違和感たっぷりだし、乗り越えられない、というか、消化できず思考停止になるような気がするので。俯瞰して、毎日流され面白可笑しく過ごすよりは、ワタナベ君の人生を豊かにし、成長できた学生時代だったのではないかと思う。

    言わなくてもいい事、聞きたくない事が沢山あった。でもそれは、自分の心のどこかで思っている事だから、突きつけられたくなかったのかもしれない。

    「死」を選ぶ、選ばないということ。
    私は私であって私ではない。
    死ぬ思いをして産んだのに安易に逝かれちゃ迷惑だ。などと親の立場では思うのだ。

    『事態がどれほど絶望的に見えても、どこかに必ず糸口はあります。まわりが暗ければ、しばらくじっとして目がその暗闇に慣れるのを待つしかありません。』

    読めてよかったと思う。が、性的描写は最小限で…

  • 高校生のときに初めて読んだ村上春樹。
    その時の印象は暗くて静か(そういうのは好きなのだけど)、あまりの性描写の多さに村上春樹は苦手だとおもうきっかけになってしまった。いみのない性描写はきらい。官能小説みたいでなんか嫌だ。
    でも今回改めてきちんと考えながら読んで、この作品に於いての性というのは"生"のことなのかなという考えに至ったら、一気にすっきりとした。

    生を受け入れられない直子と、まっすぐに生と向き合おうとする緑と、生の世界にありながらも直子のもつ死を見つめざるを得ないワタナベくん、死に近いけれどまだ選択の余地のあるレイコさん
    全力で正直な緑が好き。死に影響されつづけるワタナベくんが生をわすれなかったのは、生命力にあふれている緑との関わりがあったからだと思う。

    結局はまだまだ生きなければならないけど、生きてゆく限りは多くのものを失うことになるし、世界にはきれいじゃないものが沢山あるし、自分のかなしみのことだけ考えていく訳にもいかないし、でもそれに向き合うのが生きるということだから。
    4年ぶりに読んだノルウェイの森は、生きるパワーやあたたかさを感じる作品だった。
    すごくうまく組み立てられた作品。村上春樹がすごいと言われる理由が分かり始めたかもしれない。

  • これは恋愛小説であった。

    緑めんどくさいけど登場人物の中では一番好きだなぁ。

    緑とのあけすけなエロトークがなんか笑えてきた。

  • ワタナベ、直子、キズキ、緑、レイコ、それぞれの若さの闇と共に青春と生と死があり、深い喪失感と不思議な希望を見せてくれる傑作でした。

  • 下巻は一気に半日で読んだ。
    ノルウェイの森、村上春樹、おそるべし。
    僕が味わった哀しみは次の哀しみに対して何の役にも立たないというのが真理だと共感。

    レイコさんのおかげで彼は影を持った現実に戻れる。
    レイコさんも救われたと思う。

    生の中に死は潜んでいる。
    でも、えいやって生きたい!

  • この本が刊行された頃に一度読んだきりで、内容を殆ど忘れてしまったので再読。
    忘れていたにもかかわらず、私の中で圧倒的な存在感を誇っていた。
    「私のことをいつまでも忘れないで。私が存在していたことを覚えていて。」
    ストーリーを噛みしめながら読んでいった。
    死に向かう人間と、生身の人間…
    誰かに心魅かれるというのは、罪でも何でもありません。
    何度読んでも伝わるものがあるし、また何年か後にも読みたいと思う。

  • 20歳前後の人生を男女の関係の描写で表現されている。時代背景は学生運動をはじめ自分のイデオロギーを主張する良き時代だと感じる。

    以前読んだ時とは異なる感じを受けた。それは今の私が、ワタナベの思考に似ているからかもしれない。「やれやれ」という文中の言葉を引用するのが近い言葉かもしれない。

    人の死を通して人との関わりが相互に影響しあっている事の表現は、私の頭の中に流れるように入ってくる。村上春樹さんの作品でしばしば出てくる「井戸」は心の中にある「イド」とも捉えることができる。それはホンネとタテマエの境界線のように思える。
    作者の気持ちを読み取るというより、私自身の中にあるものをこの作品を通して読み解く感覚を覚える。

    1970年代に二十歳の原点が出版された。これも生と死をまざまざと見せつけられる作品で、出版後何十年もの歳月を経ても、リアルであるだけに一層衝撃を受けた。表面的なテーマは同じであっても、切り口が異なる。そして同じ意味では色褪せないということだろう。

  • 随分と昔に何度も読んでいた物語。20年ぶりくらいの再読になるのかも知れないけど、結構忘れちゃってて、作中次々と訪れる喪失に涙が出そうになりながら #読了
    やっぱり村上春樹さんの作品の中では1番好きかもしれない…

  • 上巻は、性描写は写実的だが、どちらかといえば内容は淡白な感じがした。
    下巻は、対照的に引き込まれるような場面展開と、登場人物の苦悩や葛藤がより強く描かれていると感じた。

    村上さん特有の比喩表現は、
    一度読んだら眉を顰めるような突飛な表現をするな〜と感じた。

    ストーリーからは村上さんの死生観も伺えた。
    「死とは生を構成する多くの要因のうちのひとつでしかない」という一文はとても印象的だった。
    あと、緑さんのビスケット缶の話も好きだった。

    レイコさんは良い人だな〜と思っていましたがラストの場面は何なんだろう…
    あそこだけ未だに腑に落ちてない。

  • 村上春樹作品は肌に合わない。しかしながら絶大な人気を誇る、村上作品の魅力は一体何なのか、それを探りたい。
    今作は村上作品の中でも非常に読みやすかった。私が思うに村上春樹を好きなのは女性より男性比が圧倒的に高いような気がする。理由としては作品全体に漂うニヒリズム、退廃的雰囲気、セックスドラクスロックンロール。ビートルズを代表とする60年代の音楽やムーブメント、サブカルチャー、イデオロギーなど如何にも男性好みだ。かくいう私は女性の書き手が圧倒的に好みである。笑
    しかし、作品を彩る登場人物たちの溢れんばかりの魅力。緑、永沢、キズキ、突撃隊!(他は余り好きではない)
    この辺りのキャラクターは素晴らしい。
    虚無感は拗らせすぎると辟易して、何故、自死を選ぶかわからない者達。
    物語終盤のあるシーンと選択。全く理解不能。胸糞悪すぎ。と、悪いとこだらけだが、次の作品に委ねます。

  • 上巻以上に登場人物の言動に理解が追いついていかない。どういう発想からこんな個性的で独特な人物像が出来上がったのか非常に興味深い。この作品は何を語りたかったのか、読んでいる途中も読み終わっても分からずモヤモヤ感が残った。これが文学なのか・・。そして自分がその領域に達していないことを知った。


  • 「どれくらい私のこと好き?」と緑が訊いた。

    「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好きだ」と僕は言った。

  • 30年ぶりの再読です。
    文章の美しさに驚かされます。
    50になろうかとするオヤジが読めば、ウジウジと悩み、しかしヤリまくる主人公に辟易しそうなストーリーであるのだが、なぜかその苦しみを分かち合い、初々しさに嫉妬してしまう。
    女性陣がなんとも魅力的でいい。
    軽快で哲学的、生きていくための教訓をなんと多く含んでいることか。
    感受性の鋭さゆえに苦しみ、必死で生きようとする若者たちには、覚めた目で見つつも感情移入してしまう。
    こぼれ落ちる者が悲しいが、生き残ろうともがく者への救いにホッとする。
    村上さんを青春期にもっと読んでおけばよかったな。
    オヤジは永沢が一番好きだな。
    「自分に同情するな」は、30年来心にとめている。

  • 本当に読んで良かった。長い間、イメージから読むのを避けてたのが悔やまれる。大切な人を急に失った経験があって、その事を頻繁に思い出しては言葉に出来ない感傷に浸ってだけど今作を読んで失った経験を肯定的に捉えられた。まさかこの本を読んで自己肯定感が上がるような体験ができるとは思わなかった。長沢さんの「自分に同情するな」「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」というセリフが胸に刺さった。でもそれをしないで生きていくのはまだ私には難しそうだけど。
    これからも落ち込むような気持ちになった時は読み返していきたい。

  • 北欧からの帰途の機内で読んだ。再読。

    印象的な文章を羅列してみる

    “人の死というものは小さな奇妙な思い出をあとに残していくものだ”

    僕が直子に宛てた手紙の一節
    “・・・・・・僕はおおむね元気に生きています。君が毎朝鳥の世話をしたり・・・・・・するように、僕も毎朝僕自身のねじを巻いています”

    緑の科白
    “人生はビスケットの缶だと思えばいい。・・・いろんなビスケットがつまっていて、好きなものとあまり好きじゃやないのがある・・・”
    フォレストガンプも「人生はチョコレートの箱」って言ってたな・・・


    春樹さんらしい表現
    “そのあいだに彼女はレポート用紙にボールペンでこりこりと何かを書き付けていた”

    こりこりと!って すごくないか?
    緑がワタナベ君に手紙を書いているんだ 熱心に 筆圧強く 確信に満ちて きっと
    こりこり

    若い頃に読んだ時より 緑の自由奔放な感じは嫌ではなくなっていた。むしろ、彼女は ずいぶん忍耐強くワタナベ君を待っているな と印象が変わった


    若い時の印象と 変わらない印象
    レイコさんは いいアジ 出している。さらっと言うショークも なんとも
    “夜中にレイプしにこるのはいいけど相手まちがえないでね”
    “左側のベッドで寝ているしわのない体か直子のだから”
    “嘘よ。私右側だわ”


    春樹さんらしいワード
    “ねじを巻く”
    【ねじまき鳥クロニクル】でも出てきてたよな・・・


    【ノルウェイの森】
    切ないなぁ そして決定的な 不可逆性 喪失感

    冒頭の どんより しんみりした グレイな印象が すっぽり この本のイメージ だと思う

    “ボーイング747 その巨大な飛行機が分厚い雨雲をくぐり抜けて下降し・・・”
    “天井のスピーカーから小さな音でBGMが流れ始めた・・・ビートルズの「ノルウェイの森」”


    おわり。

  • 上下巻の感想をまとめて書こうと思う。

    最近の実体験から、村上春樹が書く心の奥の繊細な部分に理解できる事が多くあると気づき、このタイミングでこの本を読んで良かったと思った。

    主人公が上巻序盤の飛行機でふいに寂しくなる事があるんだと言っていたが、自分も普段と違うところに行くと寂しくなる事がある。
    久しぶりに実家に帰って優しくされると、とたんに申し訳なさやありがたさ、寂しさが同時に襲ってくるような感覚。

    心を通わす事は、脆くてあたたかくて大切で、忘れてはいけない事だと思った。




  • とても深い小説だった。「深い」というのはあまりにも陳腐な表現なので本来使いたくはないけれど、他に適切な表現が分からない。
    何が面白いかを言語化できないものは後に役に立つと常々思っている。これはそんな小説だった。言語化できないということは細分化できない、分析できないということであり、それをそっくりそのまま自分にインストールするしかないからだ。ストーリーが斬新なわけではないし、設定が突飛なわけでもない。暗くて抑鬱な雰囲気でストーリーが進んでいくが、なぜか次々と読ませられる、そんな小説だった。

    これも月並みな表現だが、この小説は「死」と「成長」がテーマなのかと思う。
    ワタナベ(主人公)は自分の世界を持っている人物で、人と馴れ合うことを是としない。それでいて割と周りの出来事に流されやすく、一貫性に欠ける。アドラーがいう「課題の分離」のように、自分のことと他人のことをナチュラルに分けて考えることができ、さらにそれを当然だと考える、そんな性格だ。親友のキズキが自殺した際に、たいして動揺せず「死は生を構成する一要素に過ぎない」と言い切ってしまうのがその象徴だろう。
    しかしワタナベはその後、人間の色んな特性をシンボライズする登場人物と触れ合うことで、徐々に相手に深く入り込み「割り切る」ことができなくなっていく。ワタナベはそれに動揺し、傷つきながらも立ち上がって成長していく。そんなストーリーだった。

    ワタナベの先輩の永沢は「強さとエゴ」を象徴した人物だが、ワタナベは彼に自分との類似を見出して憧れながらも最後まで心を開くことがなかった。この決別がワタナベの成長を象徴していると思った。ワタナベはそこまで割り切って自分の「歪み」を体系化して織り込んでしまうことができなかったのだ。

    ワタナベはキズキの死との邂逅によって、自分の歪みを自覚すると同時に直子と出会った。そして直子の死との邂逅によって、深く傷つくと同時に人間らしさを手にした。自分がまとめるとすればそんな物語だ。

    この地味なストーリーをシニカルでポップなユーモアのある表現によって壮大に書き上げて、ベストセラーにしてしまう村上春樹はやはりすごい。

  • 一つ一つの表現がとても繊細でありつつ、他の本ではぼかすような場面でも包み隠さず字に起こすというこの背反した二つのものが入り混じっていることに感慨を覚えた。

    生と死の狭間を行き来する、主人公。
    「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」
    この言葉がすごく刺激的であった。
    誰かの死によって自分すらも血の気を失った存在となってしまうことが、様々な場面で、現れている。

    また、自分が直子の死を悲しみんでいるときに、誰かに自分の周りの人の死について、語られた時醜い自分の心が主人公は出ていたが、それも納得できる。
    人の死は当本人、見る人によって全く価値の違うものになってしまう。
    決して同情することなんてできないんだ。

    • 高円寺 詩音さん
      小学校低学年の頃、私はよく泣いていた。
      人並みに読書はしていて、平々凡々な生活をしていた。
      哀れんでいるのではないのだけど。
      なによりも戦争...
      小学校低学年の頃、私はよく泣いていた。
      人並みに読書はしていて、平々凡々な生活をしていた。
      哀れんでいるのではないのだけど。
      なによりも戦争の根絶を願った。
      その内、思った。
      どうせ死ぬなら生まれた意味など存在しないのでは、と。

      ひたすらに生きることが辛かった訳でもない。

      ただ、毎年「俺は今年死ぬんだ」と言って憚らなかったことをよく覚えている。

      生きる意味はある。
      少なくとも、「生まれた」意味は。
      一瞬でも「生まれてきてよかった」と思えればいいのだと思う。

      小4の頃、ハリーポッターにハマった。
      小5になって、クラスメートの妹と仲良くなり、たまに一緒に帰った。

      思った。
      いつか誰も俺の名前を忘れたら、その時が私が死んだ時なのかもしれない、と。
      2019/07/24
  • 3回目。今まではラストのレイコさんとの件がどうにも解せなかったのだけど、あれは二人を死の世界から生の世界へと引き戻す為に必要な行為だったんじゃないかと思えてきた。その前の二人ですき焼きを食べるシーンは、肉を食らうということは生へのどうしようもない衝動なんじゃないかと。死の世界にいる直子ではなく生の世界の象徴たる緑にワタナベが惹かれてしまうのはどうしようもない生への渇望なんだろうなと。「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」蓋し名言。これは生(性)と死の物語なのだ。2011/512

  • 下巻でも相変わらず主人公は羨ましいくらいにモテる。ワタナベ君と同じくらいの歳の頃は誰かを好きになり、深い関係になるということは今考えるよりも簡単なことだったのか?今の自分の常識から考えると、この本のストーリーのような都合の良いシチュエーションは現実ではありえないと考えてしまうのは、自分が歳をとり若い頃の感覚を忘れているせいなのかもしれない。そしてもう一つの違和感は、主人公に近しい人たちが、ある日突然森の中の見えない井戸に落ちてしまったかのように、いとも簡単に次々と死んでしまう点。現実的にこんなことはさすがにないだろうけど、これはたぶん恋愛やセックスや死を誇張することで何かを表現したかったのではないかと思います。下巻の最後で緑に電話するシーンは、37歳になったワタナベ君がハンブルク空港から電話している状況を想像しました。

  • Audibleにて。
    上巻の感想にも書いたが、妻夫木聡さんのナレーションが素晴らし過ぎて終わってほしくなかった程。好き嫌いがありそうだけど、この棒読みの抑揚のない、淡々と進む感じがこの作品の世界観を邪魔せず、本当にぐいぐい引き込んでくれた。

    何度も何度もチャレンジしては数ページで挫折してきた「ノルウェイの森」。読了(聴了)した今、何でもっと早くに読まなかったのかと後悔。10代の病みに病んでたあの頃に、20代のまた病んでたあの頃に、30代の更にまた病んでたあの頃に読んでいたかった。40代になった今ようやく出会えて良かった。

    アラフォー女性がこの本が好きというと色々誤解されそうではあるが笑 とにかくこの世界観がたまらなく好きだ。性描写が生々しく多々出てくるものの、ただのエロではない。いやらしいのではなく、人間のリアルだと感じた。人間誰しも欲としてあるのだから。なのでそこに嫌悪感は持たなかった。ドキっとはしたが。(でもこれも好き嫌いが分かれるだろうなと思った。)

    しばらくこの世界観に浸っていたい。間違いなく生涯で何度も読み返したい私の中の一冊の上位に入った。

    村上春樹さんの世界観、本当に好きだ。

    私の周りで「ノルウェイの森」が好きな本だという人がいないのだが、この世界観が好きな人と語り合いたくなった。そしてワタナベくんに出会いたくなった。

  • 共感できる登場人物がいなくて、有名な作品の割に刺さらないな‥‥というのが上巻の感想でした。
    でも不思議と下巻を読まないという選択肢はありませんでした。
    下巻を読んで、「死は生と逆のところにあるのではなく、生と繋がっている」という感覚を自分のものにすることができたなと思います。

  • 「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」確かに、自分の死も大切な人の死も、生きていることの中にある。
    村上作品はどうしても理解しきれない心情が出てくる。性の本性なのか、本能なのか。どこに一線を引いているのか分からなくなる。生を生きると決めた緑とワタナベは純愛であってほしい。

  • 何だかんだで村上作品で一番好き。
    女性を魅力的に描くなぁと感じた。

  • キズキ君も、突撃隊も、緑の父も、直子も茂みの中の井戸に落ちてしまった。上巻の最初の表現はまさにそういう比喩だったんだと途中で気づいた。
    人は誰にも気づかれずに突然姿を消すけど、それは別世界にワープするようなものではなく、生の世界と地続きになったところに空いた穴にランダムに落ちていくようなものだと言いたいように感じた。そして、死者はあたかも最初から存在しなかったかのようにいなくなるが、生者が忘れなかったり悲しんだりすることで「死んだ」という事実と以前は生きていたいう事実が意味を持つということかなと思う。

    正直、主人公はところどころでなかなか自分勝手だった。あと、村上春樹の作品を読んだことが無かったので、作者にとっての「生」の描写が今回は特殊なのかいつもこうなのかがまだわからない。そこで、今は星3つの評価にしておき、今後作者についてもより深く知ることができたら、その後で改めて評価を見直してみようと思う。

全2875件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

村上春樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×