風の歌を聴け (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 15600
レビュー : 1451
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748704

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹さんは数年前に書かれたエッセーの中で、デビュー作であるこの作品について「今だったらもっとうまく書けるのになぁ」みたいに語っていたのですが、私は普通にめちゃくちゃ感動して何度も読み返しては胸を熱くしていたので、自分の至らなさにちょっと凹みました。(序章部分はご自身で今読み返しても感動なさるそうです。)

    いろんな意味で人と人とが繋がりをもっているように思うし、とてもハートウォーミングな話だと私は思います。

  • ノルウェイの森の、病的な透明感が合わずに苦手意識を持っていた村上春樹。
    夏らしい小説に紹介されていたので今回手にとったら、意外にも面白かった。
    やはり圧倒的な透明感、異常を感じさせるような描写・・はあるのだが、主人公や夏という独特の気だるさの中に隠れていたので、あまり気にせずに読み進めることができた。
    さらり、と読了したものの、1週間ほど心になにかがつっかかる。簡潔な澄み切った文と文の間に、描かれていないなにかを想像しようと、頭がぐるぐるしていた。
    村上春樹作品への苦手意識が薄まった作品。

  • 村上春樹さんのデビュー作を遅ればせながら読んだ。
    全体的に漂う乾いた空気感は以後の村上作品に共通してるんじゃないかとなんとなく思う。海辺の町に帰省した<僕>が<鼠>とビールを飲むシーン、多用される「うんざり」とは裏腹に、人生っていいな、小説って素敵だなという読後感。

  • 「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」と順番に読み、もう一度この本に戻ってきた。2度目のほうが冷静に読めた気がするけど、「風」の意味するものがなんなのか、結論がまだ出せない。3度目に読んだらまたなにかがわかるかもしれない。

    一連の「僕」がいる世界は、直接ストーリーと関係ないかもしれない文章の多さも関係してるのか、とても立体的に見える。だから一度ここに入ると、しばらく逃れられない気がする。実際、私はほかの本をいまのところ読む気持ちになれていない。この本のほとんどの登場人物は、風のようにやってきては消えていってしまうのに。

    この作品の登場人物は、元気を10、不幸のどん底を0とするなら、4くらいの状態でずっと続いていく。そしてその足りないものを補い合って6くらいになっているようだ。だから物語全体の空気感はとても淡々としているように見える。でも、少しずつ人々の心が変化し、時間が進んでいくのがわかる。このスピード感が、私にはとても心地がいい。

  • 読んだばかりの加藤典洋著の『村上春樹は、むずかしい』に導かれて本書を読了。『騎士団長殺し』の1部を読んで以来、村上作品からは遠ざかっていた。今作を読んだ素直な感想は「お洒落」の一言に尽きる。アメ車に乗って海の見えるステキなバーに行き、好きな人とカクテルを飲む自分の姿を恥ずかしながらも想像してしまった。

  • 家で押入れ掃除してたら村上春樹処女作の「風の歌を聴け」を発見、早速読んでみました。

    再読になるのですが、本書を読んで学生時代と違う”面白さ”と”わくわく感”を感じ得れました!
    ”文字”と”言葉”によって『表現』を創り表す書物ならではの不思議な「想像」を体感でき、そしてそこから感じる「刺激」を受けることができました!

    いや~、読んでよかったです。
    物語の季節が「夏」ってゆうのもなんかタイムリーでした。
    「1973年のピンボール」も一緒に見つけたのでこの後読む予定です。

  • 恥ずかしながらこの歳になって初めて村上作品に触れました。この作品に出てくる主人公を含めた登場人物たちの、変にカッコつけたような言い回しや考え方がやはり理解し難い部分もありますが、最後には癖になってしまいました。
    大抵物語を読み終えた後は、頭の中に取り残されている本の世界と、目から入ってくる現実世界とがないまぜになって浮遊感というか、余韻が残るものですが、この本を読み終えた後はその感覚がいつにも増して長く感じました。
    また近いうちにでも村上ワールドに浸りに行こうと思わせてくれます。
    けれど読み始めて早々にスマホでデレク・ハートフィールドについてググってしまったのは内緒です笑笑

  • 久し振りに読み返した。やっぱり最近は世界と折り合いを付けられないでいる鼠の心情に共感することが多い。初めて読んだときは「すらすら読める」とか「スマートに生きる僕」とか「壜入りのコーラうまそう」ってのが印象に残ったんだけど、歳を重ねてもっと切迫した毎日を送るようになってからは、どうしても「僕」にこう言ってしまいたくなるのだ。鼠と同じようにね。「あんたは本当にそう信じてる?」、「嘘だと言ってくれないか?」。

  • 再読。
    いちばん最初に読んだのが一番最後のダンス。次に羊-を読んだので、このデビュー作は掴めなかったわたしは20代の終わり。
    わざと分かりにくく書いたと思ってた。今読むとなかなか尖ってて荒削りな感じ。

    村上作品に登場する「僕」の淡々として個人主義的なスタイル(態度、姿勢という日本語じゃなくてスタイルのカタカナ)に憧れてたけど、多少の読書遍歴後の今読むとアメリカ小説にもにて鬱々としている。生活といううすのろに負けそうな倦怠感みたいなものが感じられる。

    この時からすでに地中深くに潜ることに気付いてなかった。言いたいことの半分しか言わないと言いながら、みんな同じだと言う描写に『言いたいこと全部言っててキツ!』と思ったり、氏が作家になるまでにしたたくさんの読書への感想、自分なりの意見、表現したかったフレーズをここに著わしたんだろうと思った。

    指が四本しかない女性の描写にズキンとする。中学生の時先天的にそういう女の子がいたもので、衝撃の光景だったもので。

    それにしても21歳ってこんなにお金もってて大人かな?21歳の主人公の心に29歳の精神が宿ってる??

  • 村上春樹の作品は「ノルウェーの森」以来に読みました。

    あの作品は衝撃的過ぎたのと、文字と言葉の持つ影響力の大きさに、衝撃を受けた記憶があります。

    それ以来、数々の話題作が出版されましたが何故か村上春樹の作品は避けていました。

    今回、沢山の人がこの「風の音を聞け」の影響を受けたという事で、読んでみる事に。

    ストーリーは主人公の回顧録の様な展開。
    その時、その時の心の動きと、生きている事への哲学を感じました。

    200ページも無い短い小説なので、すぐに読めます。

    村上春樹のニヒルさと、何とも言えない儚さと、登場人物のユーモアだけど、何か考えさせられるセリフが面白く、あっという間に読めました。

    話の展開も早いです。
    ちょっと理解に苦しむ章もありますが、そこも想像力を働かせてくれました。

    言葉の持つ力強さ、影響力。
    こるが村上春樹作品の原点。

    何度も読みたいし、読む度に新たな発見がありそうです。

    人間の葛藤を描いている印象ですが、最後の

    「宇宙の複雑さに比べは」

    この言葉に全ての答えがある様な…

    何処に行き着いたか分からないと、村上春樹自身も述べてますが、その抽象的さがまたこの作品の良さなのだと思いました。

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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